ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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564話

 

 

ツグミが技術者(エンジニア)たちに依頼をしておいたアフトクラトルで採取した「サンプル」の解析が終わった。

それは彼女にとって満足できるもので、彼女の「仮説」が正しいとまではまだ言えないが期待の持てるものとなっている。

 

近界(ネイバーフッド)の国々は(マザー)トリガーから抽出するトリオンによって構成されていて、国土つまり近界民(ネイバー)の暮らす大地もまたトリオン由来のものとなっている。

これはすべての国に共通しているものなのだが、国また同じ国でも場所によって土壌に含有するトリオンの量が異なる。

農地にはトリオンを多く行き渡らせ、森林や人手が足りなくて開拓されていない荒地にはほんのわずかなトリオンしか含まれない。

限りあるトリオンを効率良く使うためには人の生活に必要な場所はトリオンを多く、そうでなければ土地が崩壊しないようトリオンをギリギリ最小限に留めておく…と配分するのは当然の措置だ。

その典型的な例はキオンで、広い国土を維持するために人の住むエリアを限定して国土の半分以上は森林地帯となっており、そんな場所にトリオンを注ぎ込むのは無駄だと考えた指導者が数百年前から玄界(ミデン)のシベリアの「ツンドラ地帯」のような永久凍土にしてしまった。

その代わり人の住むエリアはにはトリオンを行き渡らせ、冬の期間が1年の4分の3と長いが十分生存に耐えうるようにしていて、特に農地と首都やその近郊の人口の多いエリアではピンポイントでトリオンを他のエリアよりは多めに配分している。

近界民(ネイバー)たちの間ではキオンを「雪原の大国」と称しているが、それは間違いではないものの正確なものでもない。

それだけキオンという国の実態が他の国の近界民(ネイバー)たちに知られていない証拠でもある。

アフトクラトルは「神」の交代の前後で土地に含まれるトリオンの量が圧倒的に異なっている。

「神」の寿命が尽きようとしていた頃 ── ボーダーの遠征部隊がハイレインたちと戦った時期 ── には農地ですらトリオンはほとんど含まれておらず、作物の栽培など不可能な状態だった。

ところが現在では新しい「神」のおかげで(マザー)トリガーの力が復活し、農地は()を取り戻していた。

前回と同じ場所で採集した土であってもトリオン量は格段に増えていて、そこで収穫した作物のトリオン量も増加している。

これまでツグミがサンプルを採取した国はキオン、エウクラートン、メノエイデス、アフトクラトル、ヒエムス、レプト、ラグナ、トロポイで、比較するためにそれぞれ可能な限り共通したものを集めるようにしてきた。

首都及び人口の多い地域の地面、農地(主に小麦を栽培している畑)、郊外の森林地帯、飲料水の水源の近くの土をそれぞれの国から採取してきてその土に含まれるトリオン量を比較すると明らかに違いがあることが証明された。

さらに近界民(ネイバー)の多くが主食としている小麦やジャガイモ、玉ねぎ、にんじん等のサンプルの野菜だが農業に力を入れているエウクラートンとラグナの農作物には他の国と比べてトリオン量が大きく違っていた。

これらのデータから導き出されるのはトリオンの多く含まれる土で育った作物には多くのトリオンが含まれるということ。

さらにツグミの仮説を立証するにはこれらを日常的に食べていた人とそうでない人の比較が必要だ。

そこで彼女はスマートシティで暮らす拉致被害者市民とその家族に協力を求めた。

今のところヒエムス、レプト、ラグナの3国に限定されるが、そこで生まれ育った近界民(ネイバー)と6年間を近界(ネイバーフッド)で過ごした三門市民のトリオン能力を計測して比較するのである。

ツグミはラグナから帰国してすぐにデータ収集を行い、こちらも彼女にとって満足のいく結果が出ている。

ヒエムスとレプトでは長い間戦争が行われていて庶民階級の人間は十分な食料を得ることが難しいというだけでなく手に入れた食料に含まれるトリオンの量は非常に低かった。

それはどちらも軍備にトリオンを多く割いていたためで、農地に含まれるトリオンは「神」の寿命が尽きる直前のアフトクラトルほどではないにしても明らかに少ないものであった。

飲料水に関しても含まれるトリオンの量が違っていて、毎日の生活に必要な水や食料からトリオンを得られるかどうかで個人のトリオン能力は変わるはずだ。

そしてそこで暮らしていた住民のトリオン能力を測ってみると元々トリオン能力が高いトリガー使いだった市民を除外して一般人のみの平均値を出すとボーダーの基準で「3.3」というトリガー使いとしてはギリギリ役つかどうかというレベルであった。

ところがラグナの住民たちの平均値は「7.9」と約2.4倍のトリオン能力を持っていたのだ。

これはボーダーの防衛隊員の平均値よりも高く、子供の頃からトリガー使いとして訓練を続ければトリオン器官が鍛えられてもっと高い値を持つ人もいたかもしれない。

 

もちろんこれだけで結論を出すことはできないために調査は続行するが、それでも城戸たちを説得する根拠にはなる。

拉致被害者市民救出計画と並行してサンプル採取を続けていくことになり、データの数を増やしていくことで彼女の仮説はいずれ立証されるだろう。

そしてそのデータはレプリカとジュニアにも蓄積されていき、近界(ネイバーフッド)では彼らにも協力してもらうことになっている。

以前は遊真と切り離してレプリカ単体での活動はできなかったが、遊真の身体のことでトロポイを訪問した際に改良してもらってレプリカ自身が遊真からではなく周囲にいる人間からトリオン補給ができるようになっており、レプリカだけで行動することも可能になっていて()だけ同行してもらうこともできるようになっているのだ。

 

 

◆◆◆

 

 

アフトクラトルから戻って慌ただしい日々が続いていたツグミ。

27日には「こちらボーダー広報室」特別版の収録のために彼女は三門ケーブルテレビテレビの本社を訪問した。

アフトクラトルとの同盟締結調印式の様子を三門市民に公開するために29日の夜に特別枠を用意してそこで撮影した映像を放映するのだ。

1時間枠だが正味50分ほどしかなく、そのうちアフトクラトルでの映像は約20分に編集し、残りの時間はテレビ局のアナウンサーとツグミの対談となる。

拉致被害者市民救出計画の中心となって活躍している彼女の人気は現在上昇中であるから、彼女が出演するとなれば視聴率はアップするというテレビ局側の思惑があり、このような形式となったのだった。

これまで彼女が記者会見に出てその様子を放映することは何度もあったのだが、彼女自身をフィーチャーしたものはなかったので「旬」な人物として彼女をクローズアップする番組をテレビ局側は作りたかった。

紙媒体では「ボーダー・タイムズ」で何度か特集が組まれていて売り上げを伸ばしていたので、三門ケーブルテレビはこれ幸いにと彼女へのインタビューをメインとした番組を制作することにしたのだ。

ツグミにとっても自分が利用されようがそんなことは関係なく、多くの市民にアフトクラトルがもう敵ではないことを認識してもらい、彼らの技術を利用することで日常生活にメリットがあることを知ってもらうために()()させてもらう気でいる。

 

 

 

 

「本日は番組の内容を変更して『こちらボーダー広報室』特別版をお送りいたします」

 

司会の男性アナウンサーがカメラに向かって言う。

 

「ゲストとして総合外交政策局長の霧科ツグミさんをお呼びし、先日アフトクラトルにて行われた同盟締結調印式の様子をご覧いただきます。そして後半は調印式に参加した霧科局長の感想や、彼女が総合外交政策局長として近界民(ネイバー)とどのような交流をしているのかを語っていただくことになっています」

 

そしてカメラが()()とアナウンサーの隣にいるツグミの姿が映った。

 

「こんばんは、ボーダー総合外交政策局長の霧科ツグミです。どうぞよろしくお願いいたします」

 

挨拶をしてから軽く頭を下げる。

 

「まずは調印式の映像を見ながら解説をしていただきます」

 

アナウンサーがそう言うとボーダーが提供したアフトクラトルでの映像に切り替わった。

この映像はボーダー側で編集したものをテレビ局に提供したもので、放映しては問題のある部分は削除してある。

まずはアフトクラトルの王都の一般市民の日常生活を中心としたごく当たり前の風景から始まり、王城の正面玄関から大広間に続く廊下などの様子が映し出された。

そして重厚な扉を開くとベルサイユ宮殿の鏡の間のような大広間が現れ、そこにはやはり中世風の貴族の衣装に良く似た衣服を着用したアフトクラトル側のメンバーが勢揃いしてボーダーの使節団を出迎える。

ここでツグミの解説が入った。

 

「アフトクラトルに限らず近界(ネイバーフッド)の多くの国はわたしたちの住むこちら側の世界の中世のヨーロッパに良く似ていると言えます。まあ、わたしが実際にその時代に生きていたのではありませんから学校の世界史で学んだ知識と比べてになりますが、衣食住だけでなく様々な面で共通しているものがあるのは確かです。ですが文明レベルが中世の頃…数百年近く遅れているのです。しかしこれは彼らがわたしたちとは違う()を歩いてきたためにこちら側の基準で判断すれば遅れているように思えるだけで、彼らの文明の根幹であるトリオンというものを基準に比べてみればこちら側の世界は原始時代レベルでしかありません。ですからお互いの文明が混ざり合うことでより一層の発展が見込めると考えられるのです」

 

映像はアフトクラトル側のメンバーのアップになった。

それぞれに肩書と名前がテロップで入るのだが、ツグミも説明をする。

 

「まずは国家元首であるハイレイン・ベルティストン国王です。彼はまだ31歳で、先代の王の68歳と比べるとはるかに若いですが、思考が柔軟で国民の生活向上に熱心な方です。そしてその隣にいるのがランバネイン・ベルティストン宰相。ハイレイン陛下の5歳下の弟で、上級貴族の子弟でありながら庶民と交流があって国民の人気は非常に高いです。さらにその隣のお歳を召した方はヴィザ軍総司令官で、御年67。その年齢には似つかわしくないアクティブな御仁で、普段は穏やかな笑みを浮かべていて好々爺然としていますが、いざという時には若い頃から培ったトリガー使いとしての一面を見せる方だと聞いています。そして最後の男性はディルク・エリン外相で、今回の同盟締結に関してはもちろんのこと今後の交流は彼が窓口となってくれます。今回の旅でわたしは彼らといろいろ話をしました。それにつきましては後ほど詳しくお話しします」

 

 

ここで映像は式典のオープニングとなる。

中央のテーブルに城戸とハイレインが並んで座り、進行役のツグミは城戸のいる側の後方に立っている。

 

[ただ今から『玄界(ミデン)近界(ネイバーフッド)平和同盟』締結調印式を行います]

 

ツグミが司会役で調印式は始まった。

 

「当初はキオンとエウクラートンの2ヶ国から始めましたので『玄界(ミデン)、キオン及びエウクラートン間三国同盟』でしたが、メノエイデスが加わった3ヶ月前に『玄界(ミデン)近界(ネイバーフッド)平和同盟』へと名称を改めています。これでわたしたちを含めて参加国は5ヶ国となります」

 

ツグミの解説を挟みながら式典の映像は厳かに進んでいき、条約内容の説明の後に城戸とハイレインが書類に署名をしてそれを交換することでひとまず儀式的なものは終わりとなった。

臨席した()()たちから拍手が沸き起こり、城戸とハイレインは固い握手をするだけでなくカメラに向かって笑顔を見せる。

続いてハイレインが三門市民に向けてメッセージを送る場面になった。

 

[三門市のみなさん、アフトクラトル国王ハイレイン・ベルティストンです。この場をお借りしましてみなさんへ謝罪と感謝の気持ちを伝えたいと思います]

 

ハイレインはそう前置きをしてから2年前の三門市侵攻についての全責任は自分にあることを告白し、国王の名において謝罪をすると言って深く頭を下げた。

言い訳や自己弁護などは一切せずにただ自分が悪かったのだと言う。

そしてその蛮行を猛省し、今後は専守防衛のみに徹して同盟加入国が第三国からの攻撃を受け、さらに依頼があった時のみ軍を動かすと宣言した。

 

「ここで衝撃的な発表があります。わたしたちも事前に聞かされていませんでしたのでとても驚きました」

 

ツグミがそう言った次の瞬間、映像の中のハイレインがカメラに向かってハッキリと宣言した。

 

[アフトクラトル国王の名において、ハイレイン・ベルティストンはアフトクラトルの持つトリガーの技術をボーダーに供与するものとする。それを償いとさせていただきたい]

 

ここでアフトクラトル側の大臣や議員たちが驚いてざわめき始めたことは映像には映っていないが音声でわかる。

彼らが事情を知らされておらず初耳だったということで、ハイレインが独断で行ったことだということは視聴者にも理解できるだろう。

当然ツグミのそばにいるアナウンサーもこの映像を見るのは初めてなので驚いている。

 

「これは…もしかしたら国王の独断による発言、ということでしょうか?」

 

「そうです。近界(ネイバーフッド)の国々ではあらゆるものにトリオンという生体エネルギーを使用しており、それを使った道具や機械、武器や兵器などをすべて『トリガー』と呼びます。ボーダーの使用する武器もトリガーと呼びますが、これはこちら側の世界ではまだ武器以外にトリオンを使う道具を持っていないからで、今後使用するとなればそれもトリガーと呼ぶことになるでしょう」

 

「トリオンという生体エネルギー…と言いましたが、それはどんなものなんでしょうか?」

 

アナウンサーの問いにツグミは答えた。

 

「人間の身体の中にはトリオン器官という目に見えない内臓があり、そこから生み出されるエネルギーをトリオンと呼びます。これは目に見えない内臓ですからその存在が今まで知られていなかったのは無理もありません。ですが近界民(ネイバー)たちは知っており、トリオンを利用して文明を発達させてきたのだそうです。そしてそのトリオンをどのように使用するかはその国の事情によって様々で、アフトクラトルでは軍事に関する技術を発展させてきて武力による支配を進めてきたのです。ですから彼らの持つトリガーの技術は国家の最高機密であり、他国には絶対に漏らすことができない情報です。それをボーダーに供与すると宣言したのですから驚くのは無理もありませんね。ボーダーではまだ近界民(ネイバー)の使用していた武器(トリガー)をコピーして使うくらいのレベルしかありませんので、このハイレイン陛下の申し出をありがたく受け入れることになりました」

 

「でもこの国の技術ということですと武器とか兵器といった危ないものばかりなのではありませんか?」

 

「たしかに他の国よりもそれらの軍事分野の技術が多いのは想像できますが、だからと言って危険なものだとは限りません。要は使う人間の気持ち次第だとわたしは考えています。こちら側の世界でも元は軍事用に開発された技術でも平和利用されているものは多いです。たとえば缶詰だってナポレオンが遠征時に必要な食料の確保のために保存性の優れた保存食のアイデアを募り、瓶詰という方法が開発されたといいます。それが重くて割れやすい瓶から缶という金属製の容器で保存する技術を確立したのですから、戦争がなければ缶詰は生まれなかった可能性があるのです。電子レンジだってレーダー開発の副産物だということですので、使い方さえ間違わなければ有用な技術であることには間違いありません。切れ味の良い包丁も美味しい料理を作るために使用すればみんなが幸せになれますが、人を殺傷する道具にもなるわけですから」

 

「なるほど…」

 

「現在では三門スマートシティの工事現場で作業員の方がトリガーを使って作業をしています。近界民(ネイバー)たちの戦争ではトリオン体というトリオンを使用した義体に換装することでトリオン由来の攻撃以外はダメージを受けません。そのトリオン体で作業をすることによって高いところから落下しても、重機に挟まれても怪我をしないので安全に作業を進めることができるからです。また身体能力が生身の状態よりも大幅に強化されるために重い荷物でも軽々と運ぶことができ、作業効率は格段にアップしています」

 

「その…トリオン器官というのは誰でも持っているということですが、やはり個人差はあるんでしょうか?」

 

「もちろんです。ボーダーの防衛隊員になるためには一定のトリオン能力がなければ武器(トリガー)を使うことはできません。そこで入隊試験では筆記試験や運動能力の審査の他にトリオン能力についても調査して合否を決めています」

 

「そうなると第一次侵攻で大勢の市民が拉致されたのは近界民(ネイバー)がトリオンを欲しているからで、これまで帰国した方々が全員無事だったのもトリオンを生み出す貴重な人材だから大切に扱われていた…ということで辻褄が合いますね」

 

「そのとおりです。近界(ネイバーフッド)ではトリオンが豊富な国が強くて国民は生活に余裕があり、少ない国は弱くて国民は貧しく苦しい生活を強いられるということになっています」

 

「それだとトリオンというのはこちら側の世界だと石油みたいなものと考えてもいいでしょうか?」

 

「ええ、正確ではありませんがだいたい合っています。近界(ネイバーフッド)の国土がその起源に理由があって化石燃料というものは存在しません。ですからトリオンを多く持つ国が()()()になるわけです。こちら側の世界にはトリオンを生み出す人間が大勢いますので、近界民(ネイバー)側としては『いっぱいいるんだから少しくらいさらったってかまわないじゃないか』という感覚だったようです。ハイレイン陛下も同様に考えていて、三門市に攻め込んでC級隊員を32人も拉致したのです。ですが今では心から反省していて、その償いのために国家機密を供与すると言うのですからその気持ちは本物だと信じています」

 

「あなたはハイレイン王のことを信用しているんですね?」

 

「当然ですよ。わたしたちはこの前日にアフトクラトルに到着し、国王陛下を始め宰相閣下や外務大臣などのお歴々に歓迎していただきました。彼らは三門市に侵攻して来た近界民(ネイバー)ですが、軍事大国と称されながらもボーダーに進軍を阻まれて最終的には撤退を余儀なくされたのですから赤っ恥をかかされたようなものです。おまけにボーダーの遠征部隊の活躍によってさらったC級隊員も奪い返されたとなればリベンジマッチをしようと考えたはずです。ボーダー側も大きな被害を与えられたのですし、職員6人が殉職するという許しがたい行為にはらわたは煮えくり返っていました。しかしアフトクラトルの新しい国王であるハイレイン陛下はボーダーに屈する…と言うと少々語弊がありますが、これ以上関係を悪化させるよりも恥を忍んでボーダーに恭順の意を示し、今後はボーダーと足並みを揃えて他の国の近界民(ネイバー)とも武力ではなく対話で友好的な交流を推し進めていこうという()を選びました。出会いこそ最悪なものでしたがこの悲劇を悲劇のままで終わらせたくはありません。そこでボーダー…城戸司令は彼らが自分たちの愚行を心から反省していると判断をして、彼らを同盟に参加させることにしました。このことは以前に城戸司令がみなさんにお話ししたことですのでよくご存じかと思います」

 

「はい。城戸司令の発表には驚きました。…そう言えばあなたは大規模侵攻の時にB級隊員としてアフトクラトルのトリオン兵と戦ったという話でしたが、その時に戦った国と同盟を結ぶことになるとは当時は想像もしていなかったことでしょうね?」

 

「ええ、もちろんです。そもそも近界民(ネイバー)が人間だということも知らなかった頃ですから、敵が対話のできる相手だなんて想像もしていませんでした」

 

この時はまだボーダー隊員でさえ「近界民(ネイバー)=トリオン兵」だという認識であったことになっているため、間違ってもツグミが人型(ハイレイン)と戦ったなどとは言えない。

あくまでも()()()()ではトリオン兵が異世界から来た怪物であり、人類の敵であったことにしておかなければならないのだ。

 

 

 

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