ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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583話

 

 

遠征艇の中ではゼノン、リヌス、テオの3人がメンテナンスを行っていた。

帰国はまだ先のことだがいつでも作動できるようにしておく必要があるため、手の空いているメンバーが作業を行うことになっている。

そうはいっても誰でもできるというものではないので、艇の修理やシステムアップ等はゼノン隊に任せていた。

操縦室で舵の動きをチェックしていたゼノンにツグミは声をかけた。

 

「ゼノン隊長、ご相談があります。手が空いたらリヌスさんとテオくんと3人でミーティングルームに来てもらえますか?」

 

「ああ、かまわないが、何かあったのか?」

 

怪訝そうな顔でゼノンは訊く。

 

「ええ、少し気になることがあって調査をしようと思っているんです。こういう時にはみなさんはとても頼りになりますから」

 

急ぎの件でなければ夕食時に全員が揃うタイミングでの話でいいのだから、忙しい彼女があえて相談のために会いに来るとなればくだらない無駄話ではないことは確かだ。

出会って2年以上共に行動していることでツグミが「気になること」があると言えば間違いなくそれが()()()案件であるということをゼノンは知っている。

したがって作業の手を止めてリヌスとテオにミーティングルームへ()()来るように連絡をした。

リヌスとテオもツグミの「気になること」だと聞けば退屈な遠征艇のメンテナンスよりも優先したくなるわけで、すぐにゼノンの招集に応じたのだった。

 

 

ミーティングルームに集まった3人にツグミは事情を説明した。

その内容が()()()()()奇想天外なものなので並の人間なら呆れてしまうのだが、ゼノンたちは彼女の「仮説」が証拠さえそろえば真実だと証明されるものだと理解しているので真剣に聞いている。

 

「…ということなので、まずはみなさんの諜報員としての経験や知識から標的(ターゲット)の潜伏場所を洗い出したいと思います」

 

ツグミはリコフォス全体の地図を広げた。

全体といっても面積は九州の半分くらいの広さで、そのうちの王都を中心とした約2000平方キロメートルの範囲内に住民が集まっている。

このどこかに標的(ターゲット)がいるとしても手当たり次第に探すのでは人手も時間も足りない。

しかしツグミには勝算があった。

 

「この地図ですと…わたしたちが(ゲート)を開いて最初に着陸した場所はここです。そしてこのルートを通って王都へ向かったわけですが、その途中でいくつかの無人の集落を見かけましたね。最初の感染者と思われる少女が住んでいたのはこの村ですから、この少女の行動範囲内に標的(ターゲット)が侵入して彼女に麻疹(はしか)ウィルスを感染させたと思われます」

 

ツグミは地図を指差しながら説明をする。

 

標的(ターゲット)はどこの国の人間かわかりませんが、結果がどうであれ祖国に帰還して報告をしなければなりませんが、その結果が出ないうちにわたしたちが到着して感染対策をしてしまいましたから、標的(ターゲット)にとっては失敗となるはず。でも玄界(ミデン)の人間がリコフォス政府と接触したことについての理由を調べずに帰国したら上官から叱咤されるでしょう。だからまだこの国内にいると確信しています。サルシド閣下にお願いして(ゲート)を封鎖しましたので、逃走はできないことになっていますから、その間に標的(ターゲット)を見付けて取り押さえたいと考えました。そこでみなさんの、専門家(プロ)のご意見をお聞きしたいんです。日本には『餅は餅屋』という言葉があるくらいですから」

 

ツグミには彼女なりの策はあるのだが、それをゼノンたちに指示してやってもらうのではなく、彼らのやり方を尊重しようということらしい。

 

「そうだな…俺なら今ある手駒を利用するとして、まず可能な限り王都に近い無人の集落に潜伏して様子を探るな」

 

ゼノンが腕組みをしながら言う。

 

「たしかこの集落は住民が全滅して今は誰もいないことになっている。ここだと王都から約3キロメートルの距離だから王都で何らかの変化があればすぐに察知することができる。そして水や元の住民が残した食料もあるから食べることにも事欠かぬ。特に俺たちがこの国に到着したことは標的(ターゲット)は想定外のことだ。ならば俺たちの動向について知りたいと思うはず。こちらが動けば標的(ターゲット)も行動に出るだろう」

 

「そうですね…。それで標的(ターゲット)はどんな人物かわかりますか?」

 

「さすがに人間像まではわからないが、標的(ターゲット)の人数はふたりか3人。リンジのようにひとりで潜入調査ができるだけの有能な人間は少ない。そして見慣れぬ人間が複数いれば目立ってしまうから俺たちのように3人が限界だ。工作の内容がリコフォス国内に混乱を起こし、その隙に神殿に安置されている宝物を奪うというのであれば3人といったところだろう」

 

「そして作戦なんですが、ゼノン隊としてどのような行動をしますか?」

 

「現在奴らが行動を共にしているかどうかはわからないが、使用している艇は人目に付かないよう離れた場所に隠してあるはずだ。その場所は最初の感染者の少女の行動範囲内である可能性が高く、王都内にある軍総司令部のレーダーに察知されないようにしてあると思う。万が一の時のことを考えていつでも動かせるよう出航用意(スタンバイ)の状態になっているはずだ。その熱源を探索できるドローンがあるのだからそれを利用して上空から艇の位置を確定し、できることなら押さえたいと思う」

 

「そういうことはこの地図のこのあたりの森が怪しいということですね…。それで標的(ターゲット)を捕獲する勝算は?」

 

「ないと思うか?」

 

ゼノンはニヤリと笑って訊く。

 

「全面的に信頼していますよ、ゼノン隊長。必要であればわたしを含め他のメンバーを動員してもかまいません。わたしの方も拉致被害者市民の帰国交渉に入るまでまだしばらくかかりそうなのでフリーですから。それにわたしならトリオン体に換装している人物を見分けることができますから重宝しますよ」

 

「それは戦力として心強い。…少し待っていてくれ」

 

そう言ってゼノンは目を瞑った。

彼は何か考える時に目を瞑って精神統一をする。

それが癖らしく、そういう時には絶対に話しかけてはいけない。

できれば周囲に誰もいない方がいいので、ツグミとリヌスとテオは音を立てないようにしてミーティングルームを出た。

そして通路に立ってゼノンに呼ばれるのを3人で待つ。

 

 

「この分なら標的(ターゲット)の確保もそれほど手間取らないで済みそうですね?」

 

ツグミがリヌスに訊くと、彼は難しそうな顔で言う。

 

「あまり楽観視はしない方が良いですよ。敵の諜報員を捕獲すること自体は難しい任務ではないのですが、相手の口を割ることが難しい。私たちも同じ立場で潜入調査や破壊工作を行ったことはあります。ここで重要なのは作戦に成功することよりも敵に発見、そして捕獲されないようにすることです。捕まってしまうと敵は情報を引き出そうとして拷問でも何でもします。肉体的にダメージを与えられる拷問には耐えられるよう訓練はしているのですが、『死』という救いを求めることができない状態で無理やり()()()()()のはけっこうキツイものがあります」

 

「リヌスさんはそういう目に遭ったことがあるんですか?」

 

ツグミが訊くとリヌスは困惑気味の笑みで答えた。

 

「いいえ、私はありません。ただ、敵の諜報員をそういう目に遭わせたことがあるんです。死なない程度の水と食料を与え、生かさず殺さずの状態にして毎日少しずつ…」

 

リヌスはそこまで言うと口を噤んでしまった。

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、これ以上言うのはやめておきましょう。いくら祖国のためとはいえ私の行いは人として恥ずべき行為です。あなたに嫌われたくはありませんから」

 

そう答えるリヌスの隣りでテオが黙ってうんうんと頷いている。

 

「そういうことなら追及はしません。でも仮に聞いたとしてもみなさんのことを嫌いにはなりませんよ。みなさんがキオンの諜報員だったからこそ出会うことができたんですから。この出会いがなければ今のわたしはいません。ボーダーだってどんな道を歩んでいたかわかりません。アフト遠征に成功したかどうか、成功したとしてもどんな被害が出ていたのか…たぶんボーダーの力だけではアフトに勝てたとは思いません。敵地に乗り込んでハイレイン隊と正面から戦うなんて無理ゲーです。向こうだって二度目となればボーダーの戦力を舐めてかかることはなく、本気で全戦力を投じて防衛戦を行うでしょうからボーダーはひとたまりもなかったと思います。諜報のプロであるゼノン隊の協力あってこその完全な成功で、敵地の情報が皆無の状態で乗り込んで全員捕虜になっておしまいという最悪の結果だってありえたわけですから」

 

「そう言ってくれると嬉しいです。とにかく標的(ターゲット)を捕えるまでは協力してもらいますが、その後は私たちに任せてもらいます」

 

「はい、どんなことをするのかは想像したくないので全部お任せします」

 

世の中には知らない方が良いことはたくさんあり、一度知ってしまえば知らなかった時には戻れない。

ツグミは知って後悔するよりも知らないままでいることにした。

 

 

そして10分ほど経ち、ゼノンからツグミたちに計画内容の説明があった。

 

「…ということだ。迅にはツグミから説明してふたりで行動してくれ。無理はしなくてもいい、きみたちには囮として標的(ターゲット)の注意を引いてくれたらそれで十分だ。あとはこちらでやる」

 

「わかりました。ではサルシド閣下に作戦を伝え、そのままジンさんと一緒に王都を出ることにします。でもその前にみんなで昼食にしましょう。迎賓館の食堂へ行けば自由に食べられるよう用意をしてくれているらしいですから」

 

「『腹が減っては戦はできぬ』だな」

 

「ゼノン隊長も日本のことわざや格言などを使うようになりましたね」

 

ツグミが感心して言うとゼノンは高笑いをした。

 

「ハハハ…それは当然だ。玄界(ミデン)で2年も暮らしていればそれくらい普通に覚えるさ。おまけにきみがレクスにいろいろ教えているのをそばで見ていることもあったが、自然とそれらが身に付いてしまったようだ。こういうのを『門前の小僧習わぬ経を読む』と言うのだろ?」

 

「そのとおりです。じゃあ、行きましょう」

 

ツグミはゼノンたちと一緒に遠征艇を降り、迎賓館の食堂へと向かった。

 

 

◆◆◆

 

 

食堂には他のメンバーも集まってきており、王家直属の料理人が作ったそば粉の本格的なガレットを食べていた。

近界(ネイバーフッド)の多くの国では主食は小麦だが、他にライ麦やそばなども栽培している。

リコフォスは夕食には小麦のパンやパスタのような麺類を食べるが、朝食と昼食はライ麦パンやガレットが主流だ。

ガレットの具はチーズと生ハムで、それに生野菜が添えられている。

貧しい国ではないのだが「神」の寿命が近付いて来ていることと麻疹(はしか)の流行によって国力が低下してきていることは否めず、国賓であるから1日3食を提供してもらえるのであって感謝しなければいけない。

そんな昼食を終えるとツグミは迅に事情を説明し、サルシドに行動を開始することを伝えて王都を出た。

 

 

 

 

ツグミと迅の役目は敵諜報員の目を惹きつけるというものだ。

国民の約9割が王都の中に集められていて、残りの1割が王都周辺の町や村で暮らしている。

この1割の人間になら接触は簡単だが、彼らには王都での情報はほとんど伝わらない。

逆に王都に住んでいる人間なら中で何が起きているのかを良く知っているが、なかなか王都の外には出て来ないので接触はできない。

標的(ターゲット)は王都の情報を知りたいのだが、王都への出入りは厳重に管理されていて他国の人間が中に入ることはほぼ不可能だ。

そうなると外に出て来た人間を捕まえて話を聞くしか方法はなく、そういった人間を近くで監視しているだろうとゼノンは言っていた。

 

「それはそうと俺たちは生身のままでいいのか?」

 

迅がツグミに訊く。

ふたりは現地民の服装に着替えて生身のままで王城の門を出た。

もちろんトリガーは携帯しているが、こういったケースでは現地の人間に似せた姿形のトリオン体に換装して行動するのが定番なので迅が不思議に思うのは無理もない。

 

「これでいいんですよ。わたしたちはこの国に売られてきた玄界(ミデン)の兄妹で、元住んでいた村に一時帰宅して必要なものを持って来るという設定なんですから。標的(ターゲット)玄界(ミデン)の人間がこの国にいることは承知しているわけですから、特に怪しまれることはないでしょう。感染対策としてトリオン体に換装できる人間は全員換装させているということは王都の外にも伝わっていますから、わたしたちはトリオン体に換装すらできないほどの()()()だと勘違いする。そんな一般人だと思わせておけば油断して近付いてきますよ」

 

「なるほどな。玄界(ミデン)の人間は麻疹(はしか)に罹らなかったという話も伝わっているということだから、生身でも王都の外に出ることができるということか」

 

納得してくれた迅の隣でツグミは微笑んだ。

仲の良い兄妹という設定なのだが夫婦に見えたらどうするんだと迅は思ったが黙っていた。

下手に意識させてしまうと芝居に不自然さが出てしまうだろうと考えたからだ。

 

ふたりが乗っているのはリコフォス庶民が普通に使用する「カート」という1頭立ての2輪荷馬車で、こちらはトリオン兵ではなく本物の馬である。

家財道具を運ぶという設定なので政庁で急いで用意してもらったものだ。

だいたいどこの国でも馬車を使うことが多いため、ツグミに同行している迅は馬車の扱いにも慣れたものだ。

だから違和感なくリコフォスの風景に溶け込んでいた。

そして1キロメートルほど走ったところでツグミたちは道沿いの大樹の下で蹲っている高齢の男性の姿を見付けた。

ツグミは迅に馬車を止めるよう言い、馬車の上から声をかける。

 

「どうかしましたか?」

 

すると老人はゆっくりと顔を上げた。

 

「久しぶりに遠出をしたところ疲れてしまったのでここで休んでいただけだよ、親切なお嬢さん」

 

警戒されないようにという意味らしく温厚な好々爺の姿を見せるが、ツグミと迅はその様子から彼が標的(ターゲット)であると確信した。

それは長年の戦士としての直感というか、なんとも表現しがたい「勘」なのである。

しかしその勘はほぼ100パーセント当たるため、そのおかげで何度も命拾いしてうた。

 

「もしよろしければ家までお送りしましょうか? といってもこちらも向かう先がありますので方向にもよりますが」

 

「あっちの方角です」

 

老人は王都と反対の方向を指さした。

 

「それならわたしたちと同じ方向です。荷台ですがお乗りください」

 

老人はゆっくり立ち上がると荷台によっこらしょと乗り込んだ。

 

「では出発します。揺れますからしっかりと捕まっていてください」

 

ツグミはそう声をかけてから迅に馬車を出発させた。

するとすぐに老人が話しかけてくる。

 

「お嬢さんたちはこの国の人間じゃないね?」

 

「ええ。わたしたちはこの国に売られた玄界(ミデン)の兄妹です」

 

「それは難儀なことですなあ。ところでお嬢さんたちは流行り病には罹らなかったようじゃな?」

 

「ええ。どうやらこの病気は麻疹(はしか)というもので、玄界(ミデン)では普通に誰でも罹る病気なんです。わたしたちが罹らなかったのは子供の頃に一度罹っていて、身体に抗体が存在するからです。この病気は一度罹るもう二度と罹らないと言われています」

 

「そうなのかい? 儂は運良く罹らずに済んだが、大勢の人間が死んだ。悲惨なものだ」

 

「ええ。それにしてもお爺さんはトリオン体に換装しているんですよね? そうでないと王都の外には出ることができないはずですから」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「それなのに疲れて座り込んでしまっていたんですか?」

 

「…!」

 

ツグミにそう突っ込まれ、老人は絶句してしまった。

しかしそれは一瞬のことで、すぐに何事もなかったかのように答える。

 

「トリオン体だといっても疲れる時には疲れて動けなくなるものなんだぞ」

 

「そうなんですか。わたしは自分自身がトリオン体に馴染がないものですから、トリオン体になれば不死身の戦士になれるものだと思っていました」

 

「ハハハ…そんな便利なものじゃないぞ。…ところで王都の中の様子はどうだ? 噂によると玄界(ミデン)の人間がやって来たってことだが、お嬢さんたちを迎えに来たということなのか?」

 

「わたしは詳しいことを知りませんが、たしかに玄界(ミデン)から使者が来たということは噂になっています。迎えに来てくれたのなら嬉しいですね。そして薬や麻疹(はしか)の予防に役立つものを持って来てくれたそうなので、もうすぐ麻疹(はしか)の流行は完全に収まることでしょう」

 

「すると今の軍のトリガー使いのうちほとんどが玄界(ミデン)の人間だということだから、お嬢さんたちが帰国したらこの国のトリガー使いは数人しか残らないということになるな」

 

「でしょうね。でもどこかの国が攻めて来るというのでなければトリガー使いなんて不要だとわたしは思います。誰だって戦争なんてしたくないんですから」

 

「それはそうだ。…それはそうと玄界(ミデン)の人ならユゥアレェィニィアムという物質を知っているかい?」

 

老人の口からユゥアレェィニィアムという言葉を聞いた瞬間、ツグミは心の中で叫んでいた。

 

(ビンゴ!)

 

いくつもの状況証拠を集めながら、とうとう彼が「本星」であるという確証を得たのだ。

玄界(ミデン)の人間であればユゥアレェィニィアムがウランという物質であることを知っていても不思議はないのだが、近界民(ネイバー)である彼がその存在を知っているはずがない。

仮に知っているとすれば、それは明らかにユゥアレェィニィアムがリコフォスの神殿に安置されていることを知っている人間から遣わされた諜報員であるということだ。

ツグミは笑顔で老人の方に振り返ると無言で携帯していた催涙スプレーを噴射した。

 

「ぐがぁ…!」

 

いきなり強烈な唐辛子(カプサイシン)成分のスプレーを顔面に浴びたものだから、老人は呻き声を上げながら荷台の上で転げ回ってしまう。

まさか人畜無害そうな少女が微笑みながら攻撃してくるなど想像もしていなかったはずで、避けることもできずに直射を浴びてしまったのだから当然だ。

 

「これでひとり捕獲できましたね。標的(ターゲット)の残りはひとりかふたり。定期的に連絡を取り合っているはずですから、この人かとの連絡が取れなくなれば他の連中が慌てて逃げの準備に入るはず。艇の方はゼノン隊に任せておけば大丈夫だから、わたしたちはこの人を拘束すれば任務完了。案外早いうちに終わってしまいましたね」

 

「向こうがすぐに接触してきたからな」

 

「なんか物足りない気がします。また陽も高いですから、もう少し動いてみませんか? もうひとり釣れるかもしれませんよ」

 

「それはいいが何をする気だ?」

 

「さっきこの人がいた木の生えている場所まで戻りましょう。ちょっと面白いことを思いついてしまったので」

 

ツグミはそう言っていたずらっ子の目で迅を見た。

 

 

 

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