ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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623話

 

 

午後からは大型ショッピングセンターの視察で、そこで欲しいものがあればリストアップして明日中にボーダー本部基地まで配送してもらう。

そうすればトロポイの艇に積み込む時間も十分に得られるからだ。

エルヴィンたちはたくさんのお土産を積んで帰る計画らしく、たった3人しかいないのに10人定員で大きな倉庫のある中型艇でやって来た。

その倉庫を満杯にして帰る気満々でいるので、ツグミはスマートシティ内の店舗ではなく三門市で最も品揃えのいい西三門にある「テラスモールMIKADO」へ行くことにしている。

そこは以前に迅とデートをした場所で、その後に向かった「ミカドファミリーパーク」でツグミはゼノンたちに誘拐されてしまった。

しかしそれがきっかけで彼女はゼノン隊の3人と共にキオンへと赴き、テスタと出会って戦争の絶えない近界(ネイバーフッド)の現状を変革しようという大胆な行動に出た。

そういうことで彼女にとっては思い出深い場所でもある。

 

 

1階が食品、2階がファッション、3階がホビーと雑貨、4階が家電、5階がフードコートで屋上に子供向けの小規模な遊園地があり、平日であっても家族連れで賑わっている。

三門市を訪れた近界民(ネイバー)たちは必ず大型ショッピングセンターの視察をする。

そしてその品揃えに驚き、それが庶民の生活の中で特別なことではなく当たり前であることに対して驚愕するのだ。

食料品売り場では新鮮であるだけでなく種類の豊富さや素材となる野菜や果物だけでなく加工食品の種類も膨大なものであるから、それだけで近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)のふたつの世界の「差」を感じてしまう。

冬だというのに新鮮な夏野菜のトマトやきゅうりが売られている光景は近界(ネイバーフッド)にはありえない。

仮に近界(ネイバーフッド)で夏野菜を冬に栽培しようとすれば温室を造って()()()()()室温を暖めることで可能にはなるが、あまりにもコストパフォーマンスが悪いために断念せざるをえないだろう。

だからといって1年中夏にすれば夏野菜は採れるが他の季節の作物は採れなくなることになり、特に季節の変化が必要な作物には悪影響しかもたらさない。

しかし太陽光による発電等トリオン以外のエネルギーを使用する道があれば自国でもやってみたいと考える。

そうなると玄界(ミデン)で栽培している品質の良い種苗を持ち帰り、同時に発電システムを導入すべく玄界(ミデン)専門家に相談をする。

近界(ネイバーフッド)では自然現象を(マザー)トリガーによって操作することができるので、玄界(ミデン)では発電量が風速に左右されたり設置のための適所が限られているといったデメリットのある風力発電でも近界(ネイバーフッド)なら必要な場所に適度な風速の風を通年通して吹かせることも可能であり、さらに電気エネルギーの変換効率となると太陽光や木質バイオマス発電など他の発電方法よりも効率が良い。

可能であれば最も変換効率の良い水力発電を導入したいのだが、山岳部など適した地形がなければ設置は難しい。

それでもダムや発電所などを視察して()()()()()()でも導入しようと考えている国もある。

拉致被害者市民を返した代価として日常雑貨を納入するだけでなく、こうしたインフラの設置もボーダーが窓口となりスポンサーの企業を中心としていずれは技術者(エンジニア)や資材を近界(ネイバーフッド)へ送り込むことになるだろう。

 

エルヴィンたちは1階の食品売り場で玄界(ミデン)の豊かさに感銘を受けたが、2階のファッションコーナーでは色鮮やかな()()()衣類が大量にあることにも驚いていた。

近界民(ネイバー)たちの「衣食住」の「衣」についてだが貴族たちはすべてオーダーメイドであり、彼らが着古して不要となったものを古物商に売却してその古着を庶民用に仕立て直して売るという。

だから庶民の服はほぼすべて古着であるから、庶民でも新品の服が買えることに驚くのは無理もない。

また3階のホビーと雑貨のフロアでは、そもそも近界民(ネイバー)の庶民階級では娯楽という概念すらなく、休日にアウトドアを楽しむとか趣味で音楽や芸術を嗜むなどということはごく一部の特権階級の人間たちだけのものだ。

だから玄界(ミデン)では庶民も()()()()()を楽しんでいるのだと知り、トロポイ国民にもそういう余裕のある暮らしを与えたいとエルヴィンは思った。

4階の家電コーナーともなると見たこともないものばかりで、エルヴィンよりも技術者(エンジニア)のトリュスの方が興味津々でありとあらゆるものについてツグミを質問攻めにしていた。

エルヴィンたちは見るもの聞くもの初めての者ばかりで驚くのは無理もないことだ。

例えるなら16世紀や17世紀のヨーロッパの人間がタイムスリップして現代日本にやって来たようなもので、文明の進歩に400年から500年くらい「差」があると考えればいい。

「未来人の世界」を垣間見た近界民(ネイバー)たちが玄界(ミデン)と敵対することがあまりにも意味のないことだと気付き、仲間になればその恩恵を受けられるとなれば選択肢はひとつ ── ボーダーと同盟を結び平和的な交流を促進する ── となる。

中にはトリオンとトリガーの技術では圧倒的に優位にあるのだから玄界(ミデン)へ攻め込んで制圧してしまえばいいと考える輩もいるだろうが、アフトクラトルとキオンという軍事大国が揃って武力侵攻を諦めたという「事実」が広まってからはそんな愚かな考えをする連中もいなくなったらしい。

なにしろトリオンを生む人間の数が圧倒的に多い玄界(ミデン)い攻め込むということは無限に兵力を注ぎ込むことのできる敵地に兵站の補給がままならない状態で戦い続けなければならないわけで、その不利を覆すだけの圧倒的戦力を持たなければ勝てる見込みはないのだ。

この点で考えると偶然ではあるがキオンと縁ができたことがボーダーにとっての転換点(ターニングポイント)であったと言えるだろう。

キオンは軍事大国であっても広い国土を維持するために人の住めない土地ばかりで経済面では決して豊かではなく、長い間続く()()()()()()()()()戦争に家族や仲間が次々と駆り出されることでますます国内経済が疲弊してくだけでなく、国に対して希望を抱くことができずにいた。

ところがテスタという戦争をやめようという指導者が現れて国の改革を始めた。

彼は効率というものを考える人間で、奪うための戦争にかかるコストと手に入れた利益を比べて「コストパフォーマンスが悪い」と判断し、戦争などせずに玄界(ミデン)の進んだ文明を取り入れる方法があるとわかったので方針を大きく変えた。

すでに存在するトリオンやトリガーの技術や知識を譲るだけで玄界(ミデン)の「トリオンを使わない文明」を手に入れられるとなれば「()()リスク・ハイリターン」という文句のない結果を得られるのだから。

そうなると他の国でも「キオンが選んだ道ならきっと我々にとっても良い結果を得られる」と考え、同盟加入を模索するようになる。

現にメノエイデスという「玄界(ミデン)にとって大きな利益となりそうにない小国」でも「相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉」のルールさえ守れば加入を許可してくれるという()()があるため、人口が10万人ほどの小国でも希望を抱くことができる環境も整えてある。

あとはどんどん実績を増やしていくだけで、ツグミがボーダーを辞めた後でもこの流れが止まることはないはずだ。

 

 

ショッピングセンターを丸ごと買い占めてしまうのではないかという勢いのエルヴィンたちであったが、そこは思慮分別のある一国の王であるから常識的な範囲内でも買い物となった。

それでも全部で大型トラック2台分の商品を購入し、明日中にすべてボーダー本部基地へと配送してもらうことにした。

本部基地から遠征艇のある港まで運ばなければならないので二度手間になるが、まだ民間人に近界民(ネイバー)の「玄関口」の場所を知らせるべきではないので、この措置は仕方がないことである。

そのためにボーダーのスポンサーには国内でも有数の宅配業者もいて、トラックや配送員を提供してもらうことになっている。

今後は近界民(ネイバー)との交流が進むことによって物流も増えることになるのは明らかで、その運送関連の仕事を一手に引き受けることが約束されているということだ。

 

 

◆◆◆

 

 

2日目は幼年教育に関心のあるエルヴィンの希望で保育園と小学校を視察し、小学校で子供たちと一緒に給食体験をした後は放課後児童クラブを視察する予定だ。

この時点ではまだエルヴィンの存在は秘密なので、某国の教育大臣の視察ということにしてある。

 

近界(ネイバーフッド)の子供たちは親の身分や階級によって未来が定められている。

貴族などの上級階級に生まれるとトリオン能力が高いのであれば幼年学校に入学して将来はトリガー使いとして軍の主戦力になる。

トリオン能力が低いと一般兵…というのではなく、軍の運営に関わる部門で働くことが多い。

一方庶民階級に生まれた子供の中には稀にトリオン能力が高い子供がいて、貴族がその子供を引き取ることで将来は子飼いのトリガー使いに育てる。

ヒュースがディルクに認められてエリン家に引き取られたことはその例のひとつだ。

そして庶民階級でトリオン能力の低い子供たちは教育の機会を与えられることなく、親の仕事を手伝う場合が大多数だ。

親が農民であれば農作業を手伝うし、商人であれば親のやり方を見て同様に商売をする。

場合によっては軍の一般兵となって戦場へ向かうこともある。

なにしろ労働人口が少ない近界(ネイバーフッド)では子供も労働力として貴重な存在であり、庶民の子供たちに教育を与える余裕などない。

それにもし技術者(エンジニア)などの才能があったとしてもそれを誰かに見出してもらわなければ埋もれてしまう。

まさに「千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず」で、きっと優秀な技術者(エンジニア)になりえた人材が人知れず消えていったことだろう。

それが正しいのかそうでないのかはエルヴィン自身にもわからないが、身分階級に関わらず一定の年齢に達した子供は教育を受けることができるという玄界(ミデン)の教育機関をその目で見ることが必要だと確信している。

そこで近界民(ネイバー)の子供たちが通っている保育園と小学校を視察することにした。

両親とも働かなければ生きていけないというのに自分の幼い子供を安心して預けることのできる保育園というシステムが近界(ネイバーフッド)にはない。

中には農作業等の重労働に耐えられない老婆 ── といっても50代くらいの女性 ── が集落にひとりはいて近所の子供を預かることはあるが、素人が自宅で世話をするだけなので、せいぜい3人くらいまでが限界だ。

政府はどの国であっても子供はその家族が責任を持つのが原則だと言って、人口を増やしたいと言いながらもすべては個人に任せきり。

貧しい家の子供であれば病気になっても医師に診てもらうこともできないから親は何もできずに苦しむ子供を看取らなければならない。

医療に関しては医師を増やすところから始めなければならず時間がかかるが、そのためにもまずは医師になれる人材の育成からだ。

そこでツグミはレクスの通っている小学校を視察場所に選んでいた。

レクスが三門市で暮らし始めて間もなく3年になる。

現在彼は小学5年生で、外国人の両親を持ちながらもずっと日本で暮らしていた転校生として周りの人間から認知されていて、友人もたくさんいる明るい少年として玄界(ミデン)での生活を満喫していた。

エリン夫妻がアフトクラトルへ戻っても彼は自分の意思で三門市に残ることにしたのは医師になりたいという強い希望を抱いていたからだ。

軍事大国であって周りの国から畏怖の念を抱かれるアフトクラトルだが、他の近界(ネイバーフッド)の国々同様女性の数が少ないだけでなく出生率の低さや乳幼児の死亡率高さによって人口がなかなか増えずにいる。

その問題を解決する最短の道が医師を増やすということで、まず自分がその先駆けになりたいと強く願った。

まだ両親に甘えたい年頃だというのに、自分がアフトクラトルの貴族の人間であるという矜持がそうさせたのだ。

来年には偏差値の高い中学を受験するということで準備を進めており、そんな彼の通う学校へ赴き玄界(ミデン)での暮らしについてエルヴィンと話をしてもらおうということである。

 

 

エルヴィンが案内されたのは三門スマートシティの住宅地エリアにある三門市立の保育園で、スマートシティ内に住む市民の子供たちだけでなく、定員に満たない場合は外部のエリアからも受け入れている。

したがって近界(ネイバーフッド)出身の子供たちも多く、全体の3割は近界民(ネイバー)だが玄界(ミデン)の子供たちと上手くやっているようだ。

そもそも差別をするのは大人たちであり、子供たちにとっては差別をするための根拠になるものがない。

近界民(ネイバー)に襲われて怖い体験をしたことはないし、保育士も近界民(ネイバー)に対して友好的な態度でいるから子供たちに悪い影響を与えることがないという点も大きい。

それに三門市民の保護者に対しては入園の際に近界民(ネイバー)の子供たちが多く在籍することを説明してあるので、それが不満なら他の保育園へ行けばいいのでトラブルが生じる原因は生まれない。

0歳から5歳までの子供たちが年齢別に3つの部屋に分かれてそれぞれの年齢に適した保育が行われており、この日の4歳と5歳のクラスでは小学校へ入学する前の準備として園庭で交通ルールを教えていた。

園庭には道路に見立てた白線が引かれていて、交差点には横断歩道があり信号機の模型も設置されている。

電動乗用ラジコンカーを保育士が動かし、子供たちは信号が青になってから手を挙げて渡るという基本的なことを遊びながら学んでいた。

近界(ネイバーフッド)には交通ルールなどというものはない。

そもそも車が存在しないし、馬車やトリオン兵に引かせる荷馬車などはあるがそれらに適用するルールはないのだから近界民(ネイバー)の子供たちにとっては道を歩くことに対してもルールがあるという考えには至らない。

しかし玄界(ミデン)において生きていくのであればルールの順守は不可欠だ。

だから子供のうちに遊びながら教えるのは理に適っているし、周りの玄界(ミデン)の子供たちも同じ年齢であるから抵抗もない。

今のところは生活圏内がスマートシティだけなので事故は起こらないが、外部の小学校へ通うことになれば交通ルールを守ることで自分の命も守ることができると教えなければならないので、保育士たちは子供が楽しんでルールを学べるよう試行錯誤したのだった。

そしてきちんとルールを守ると約束した子にはご褒美として順番に電動乗用ラジコンカーを運転できるという()()が付く。

だからどの子供も積極的に保育士の話を聞くようになる。

 

「遊びの中に生きていくための知恵や知識を織り交ぜていくというやり方は見事だ。子供はいずれ親の手を離れるのだが、それまでにひとりでも生きていくことができるように教育するのは大人の役目。このやり方は子供にとって苦痛ではなく、むしろ楽しんでいるのだから素晴らしいと思う」

 

エルヴィンは楽し気な子供たちの様子を目を細めて見ながら言った。

 

「子供が元気に走り回ったり歌を歌っている姿はいい。この子供たちが将来国を支えてくれるのだから、国として子供たちを守り育てていかなければいけない。個人に任せきりだから限界があるのであり、国が施設を運営して親に安心して子供を預けてもらえば彼らは子供のことを考えずに仕事に専念できる。そうなれば生産力も上昇し、それを国民に還元するという良い循環が生まれる」

 

「そうですね。今の近界(ネイバーフッド)ではあらゆる負のスパイラルが止まりません。トリオンが足りないから他国から奪う。そのためにトリオンを大量に使ってトリオン兵を造り、戦争で勝っても国は想像していたほど豊かにはならず疲弊したままです。労働人口が少ないので生産力はアップせず、子供に十分な食事をさせることもできない。そうやって子供が不健康な状態でいれば健全な大人になれるはずもなく、労働人口は減っていく。そこでエクトスのような隊商国家が人間の大勢いる玄界(ミデン)へやって来て400人以上の善良な市民を拉致し、高値で他国に売りつけました。またそのせいで1200人を超える市民の人生をも捻じ曲げてしまいました。奪ったトリオン器官もいろいろな国に売ったことでしょう。こんな負のスパイラルに陥っている近界(ネイバーフッド)で得をしたのは卑劣なエクトスだけ。こんなことは絶対に許せません」

 

ツグミが怒りを滲ませて強く言うと、エルヴィンも同意見とばかりに頷いた。

 

「そうなると負のスパイラルを断ち切ることが最良であることは明らかで、トリオン不足については代替えエネルギーの導入、人口問題は子供を生む女性の健康と、生まれた子供たちを健全な大人に育てることによって解決するのだということが陛下にもおわかりのはず。この国だって数百年前には今の近界(ネイバーフッド)の国々と似たようなものでした。ですから現状の負のスパイラルを克服できないことはないと断言できます。各国の指導者の中には自らや一部の富裕層の既得権益を守ろうなどという愚かな考えを持つ者がいることは事実。しかしそれではいつまで経っても変わることはできません。すべての国の指導者が陛下のように万民が等しく豊かになれるよう導いていくことこそが自分の役目であると理解してくだされば近界(ネイバーフッド)は変わっていくことでしょう」

 

そして続けた。

 

「それに子供たちが元気に遊んでいる姿を見て心が荒むようなことはまずありません。子供たちには可能性が詰まっています。将来どんな大人になるのかはまだわかりませんが、少なくともこの子たちは夢をいっぱい抱え込んで日々生きています。その夢や可能性を見付けて育ててあげることは大人の義務です。わたしにはトリオン能力が高いという才能がありました。その才能を活かしてボーダーで戦い続け今があります。それを養父の忍田や父親代わりの城戸はわたしを戦いの中に引きずり込んでしまったと後悔をしていたようです。ですがこの道はわたしが選んだものであり、わたし自身は後悔するどころか導いてくれた大人たちに感謝をしています。もしわたしがボーダーに入らずに近界民(ネイバー)とはまったく縁のない別の場所で生きていたら今のわたしはありません。たぶん陛下には一生お会いすることもなかったことでしょう」

 

「そうなっていたらオリバの娘に会えず、彼の最期を知ることなかった。彼がユーゴの故郷である玄界(ミデン)へ行く途中だと知ってトロポイに骨を埋める気はないかと尋ねたが、オリバは玄界(ミデン)へ行けば近界(ネイバーフッド)近界民(ネイバー)にとって役に立つ知識や技術を得られるだろうからと旅立って行った。その判断は正しかったと証明したのだな、彼は。自分の娘がトロポイにやって来て私に会うことまでは想像もしていなかっただろうが、きっと喜んでいると私は思う」

 

「わたしもそう思います。父は三門市を自分の居場所だと定めましたが、近界民(ネイバー)である自分を否定することはなくむしろ近界民(ネイバー)だからこそわかることもあると考えていたそうです。わたしには最後まで自分が近界民(ネイバー)だということは教えてくれませんでしたが、それは負い目を感じて隠していたのではなく、いつかわたしが理解できる年齢になったら教えてくれたと思うんです。わたしはそんな父を尊敬していますし、そんな父を愛した母のことを誇りに思っています」

 

そう言って微笑むツグミの顔を見てエルヴィン心の中で呟いた。

 

(オリバは素晴らしい娘を残してくれた。あの時無理やりにトロポイに引き留めなくて良かった。オリバが残ってくれたなら別の未来があっただろうが、トロポイという国にとっては利益になっただろうが近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)全体のことを考えるならオリバは最善の選択をしたことは間違いない。ツグミの世界を見渡す広い視野はオリバに似たのだろうな…)

 

そしてツグミに悟られないように微笑んだ。

 

 

 

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