ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

675 / 721
656話

 

 

9月25日、ツグミと迅が帰国した。

出発したのが5月23日であったから約4ヶ月ぶりの三門市となる。

4ヶ月では街の様子はほとんど変わっていないのだが、彼女たちが留守をしていた間に確実に変化は起きていた。

まず拉致被害者市民救出計画ではツグミたちが発った10日後にベニニタスへ遠征していた修たちが帰国し、拉致被害者市民33人全員が家族や友人たちと再会を果たした。

ただしそのうちの8人がベニニタスで暮らすことを選び、1週間の滞在の後に終の棲家とすることを決めたベニニタスへと旅立った。

さらに「第7次拉致被害者市民救出計画ニウェウス遠征」が決定して8月30日に出発したということで、予定では今月中に拉致被害者市民55人と一緒に帰って来るということである。

第7次遠征が無事に終了すれば残りはあと2ヶ国で、このペースで行うことができれば来年の6月、つまり第一次近界民(ネイバー)侵攻から9年となるその日までに拉致被害者市民救出計画が完了することになるわけだ。

3年前に麟児がエクトスから拉致被害者市民の売却先リストを持ち帰ってくれたことから拉致された人々の居場所が判明した。

9ヶ国に414人の三門市民が帰国を一日千秋の思いで待っているとなれば三門市防衛と同等かそれ以上に力を注がねばならず、総合外交政策局という部署を設置して拉致被害者市民救出計画に専念してもらうことになった。

これまでの6ヶ国では全員が無事に帰国するという願いが叶い、それぞれ新しい生活を送っているのだがすべてが上手くいっているとは断言できない。

彼らが失ったものはとても大きい。

近界(ネイバーフッド)にいる間にも時は流れており、その時の流れが彼らから多くの機会(チャンス)を奪っていった。

親きょうだいに囲まれて健やかに育っていくはずだった幼い子供の時間。

将来に向けて学んだり友人たちと切磋琢磨したであろう思春期の時間。

配偶者を見付けて新しい家族を作って過ごすことになる成人となってからの時間。

それらはいくら金銭的な補償がされても二度と手に入れることができないものだ。

だから一刻も早くすべての拉致被害者を救出しなければならず、総合外交政策局は現在のボーダーの組織の中で最も忙しい部署となっていた。

まだ局長の肩書を持っているツグミにとってそれがとても心苦しいのだが、彼女にしかできないことを無視することもできずに彼女はその役目を修に任せた。

現在は総合外交政策局拉致被害者市民救出計画班主任という肩書だが、ツグミがボーダーを辞めた後の局長として適任な人材は彼しかいない。

第5回のアウデーンス遠征から修に計画のすべてを任せていてニウェウス遠征が成功すれば合計3回の遠征を彼の主導で成功させたという()()によって周囲の人間は彼を認めざるをえなくなる。

17歳で局長になったツグミの前例があるのだから、19歳の修が就任したとしてもおかしくはない。

それに拉致被害市民が帰国するたびに記者会見を開いていて、その場で彼が立派に役目を果たしているので世論は彼を認めている。

あとは本人のやる気次第で、それも彼が総合外交政策局の仕事を「自分のやるべきこと」と認識しているのだから問題はないはずだ。

だから何の憂いもなく局長の座を譲ることができるだろう。

そしてツグミは残りの時間を精一杯()()()()()()使うだけ。

エクトスにおける核兵器と「神」の問題を無事に解決したことで彼女には取り急ぎやらなければならない事案はなくなった。

ただしその前に城戸にエクトスの件の報告をしなければならない。

 

「ジンさん、あなたは先に寮に戻ってけっこうですよ。わたしは城戸司令に報告しなければならないことがありますし、他にも少し片付けてしまいたいことがあって帰るのは夕方近くになりそうなので」

 

本部基地の職員用玄関前でツグミが迅に言う。

今回の旅はツグミと迅のふたりきりであったために彼が操縦を行っていた。

自律トリオン兵(ジュニア)のおかげである程度の自動操縦はできるものの、発進や停止などは人間が手動で行わなければならない。

それにずっとツグミは知らなかったのだが操縦にはトリオンを消費するため、迅はトリオンをだいぶ消耗してしまっていた。

早く帰国しようとしてずいぶん無理をしていたのだということを三門市に到着してから知ったツグミ。

彼女は少しでも迅に早く身体を休めてもらおうと言ったのだが、その本人は首を横に振った。

 

「いや、俺は仮眠室で少し寝させてもらう。そんでおまえの仕事が終わったら起こしてくれればいい」

 

「でもそれじゃ十分に身体を休めることができません。ちゃんと家でお布団に入って ──」

 

「大丈夫。横になりさえすればすぐに眠れるさ。じゃあ、俺は行ってるから」

 

迅がそう言ったのはツグミに気を遣わせたくないというだけでなく、今すぐにでも眠りたいという気持ちもあったにすぎない。

国際港から本部基地までの車の運転が限界だったらしく、元気なフリをしていても気を張っていなければ倒れてしまいそうなほど疲弊していたのだった。

最後の気力を振り絞ってツグミの前から姿を消すと、よろよろと廊下の壁を伝いながら仮眠室へ向かい、空きベッドを見付けるとそのまま転がり込んでこのまま永遠に覚めないのではないかというほどの深い眠りに落ちていった。

 

 

◆◆◆

 

 

ツグミは総司令執務室で城戸にエクトスでの一件の報告をした。

核兵器の件はボーダー内でも極秘となっている案件なので公式な書面に残すことはできず、城戸がツグミから口頭によって報告を受けるのみである。

 

「…ということで『5人の王』の国の総意で恒久的に放棄すると決定しました。また処分方法はわたしに一任してくれたため、ひとまずは城戸司令の金庫の中で保管していただき、ウランについては唐沢部長に相談するつもりでいます。あの人なら顔が広いですし、闇から闇へと葬る手段も知っていそうですから」

 

「そうだな…下手に公的な機関に頼もうとすれば事情を根掘り葉掘り訊かれるに決まっている。それが最善策だ」

 

「はい。それから『神』の件は今のところ成功という判断で良いかと思います。先ほどお渡しした報告書はまだ公表できませんが、いずれトリオンの研究機関には提出しなければいけないと考えています。しかし『神』問題で悩んでいる近界(ネイバーフッド)の国々には積極的に伝えるべきかと。自国の人間を犠牲にしたくはないからと他国からさらう。人間が多くてトリガー技術が未熟な玄界(ミデン)は都合の良い()()()だと考える愚かな輩がいる以上は玄界(ミデン)防衛の面からも必要なことだと思うんです」

 

「定期的にやって来る『神』の寿命…。計画的にトリオン能力の高い動物を育成して必要な時に(マザー)トリガーと同化させるのであれば人間を犠牲にする必要はなくなる。『神』のサイクルは人間を使うよりも回数は増えるだろうが、倫理的にも近界民(ネイバー)たちに受け入れられるだろう」

 

「はい。そういうことでこのデータをリコフォスに伝えたいと思っています。あの国も新しい『神』を必要としていて、エクトスで実験をすることは知っていますので結果を早く知りたいと思っているはずです。これに関してはゼノン隊の誰かに行っていただくつもりです」

 

ツグミが自分で行くと言うのではないかと考えていた城戸は代理で済ませようとする彼女の判断を歓迎するものの不思議に感じた。

 

「おまえのことだから自分で行くと言うのかと思っていたが」

 

「もちろん行きたいですけど、もう時間がありません。残る時間はわたし自身がこの世界に心残りがないように生きたいと考え、代理で済むものであれば誰かにやってもらうことに決めました。わたしがエウクラートンの女王となってもそれは彼の地に骨を埋めるということではなく、代替わりをしたら戻って来るつもりでいますけど、それがいつになるのかはわかりません。リベラート殿下の娘であるロレッタにその資質があったとしても最低10年は()()することはできませんから、わたしの人生の20代は近界民(ネイバー)としてエウクラートン国民のために生きなければなりません。ですから今できることはやっておきたい。玄界(ミデン)の人間としてやりたいことは山ほどあるんですもの」

 

ツグミはそう言って微笑むが、城戸にはその表情と言葉に寂しさが滲んでいるのを感じ取っていた。

 

「そうか、ならばおまえには休暇を与えよう。4ヶ月という長期出張の間の休日と有給休暇の残りを消化してもらうには2ヶ月はかかる。よって明日から11月25日まで休暇とする。その間はボーダーの施設を自由に使用することは許可する。隊員や職員に会うことも自由、個人(ソロ)ランク戦ブースの使用も可。おまえの行動を阻むものはない。好きにしろ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「それはそうと…迅はどうした?」

 

普段ならツグミの付き人として常に一緒にいる迅がいないことに城戸は気が付いたらしい。

 

「ジンさんなら仮眠室で寝ています。遠征艇の操縦士が彼しかいないだけでなく早く帰りたいというわたしの気持ちを察して無理をしてくれましたから。わたしに休暇をくださるなら、彼にも同様に休暇をください。わたしの分を彼に回してもかまいませんから」

 

「いや、そんなことは心配しないでいい。彼にも同様に休暇を与えるつもりだ。おまえが任務を遂行して無事に帰還できたのは彼がそばにいてフォローをしているからなのだろ? ならばその仕事に対する対価と礼は当然だ。時間がたっぷりあるのならふたりで旅行でもしてこいと言うのだが、そんな余裕はなさそうだな」

 

「はい。ひとまずニウェウスへ行っている遠征部隊の帰国を待って計画の進行具合を確認し、それが終わったらこれまでお世話になった人たちにお礼とお別れのご挨拶に行きたいと思っています。もちろんわたしがエウクラートンの女王になるなんてことは言いませんけど、しばらくは近界(ネイバーフッド)に滞在して玄界(ミデン)との交流の近界(ネイバーフッド)側の窓口になるとでも言っておきます。まったくの嘘ではありませんから。女王の役目を果たしながらボーダーの仕事の一端を担えばエウクラートンだけでなく他国の近界民(ネイバー)の生活が安定して玄界(ミデン)の平和も保証されますからね。それにスカルキ閣下と少し話をしたのですが『5人の王』の5ヶ国を中心とした近界民(ネイバー)の生活向上を推し進める組織を作るのも良いかと。さきほどお話したようにエクトスの同盟加入はまだ三門市民の気持ちを察すると非常に難しいですから、キオンやトロポイがエクトスを支援するという形で間接的に玄界(ミデン)の技術支援ができればいいとも考えています。第一次侵攻とは別件の拉致被害者市民の居場所のリストだけでは力不足ですから」

 

ヌンツィオから貰ったリストには()()()()()()()()()近界民(ネイバー)に拉致されたと思われる玄界(ミデン)の人間が11ヶ国で24人が確認されていると書かれていて、それを城戸に渡す時に「エクトスの諜報員が可能な限り情報を集めてくれた」と報告している。

玄界(ミデン)との関係を改善したいと考えてあえて手間をかけて探してくれたのだと勘違いをしそうな言い方をしたツグミ。

もちろんそれは城戸を騙そうとしているのではなく、彼の勘違いを利用しようとしているだけで悪意はない。

しかしこれで城戸の心証が良くなればそれでいい。

それに勘違いをするような言い方をしたツグミのことを責めるような器の小さい男ではないので、結果さえ問題がなければ城戸も納得するというもの。

まあ、真実を知った時には渋い顔をしながら苦笑するのだろうが。

 

「このリストは何の手掛かりもなかった我々に降って湧いたような幸運だ。惑星国家の軌道配置図と照らし合わせて第一次侵攻の拉致被害者市民救出計画と並行して捜索と救出を行うことも可能だ。三雲くんたちが帰国したらこのリストを渡して検討してもらおう」

 

城戸は書類の束をポンと叩いて言う。

 

「局長のわたしには休暇で三雲主任には新たな仕事を与える。不公平ではありませんか?」

 

ツグミが冗談半分で言うと、城戸は意味ありげな笑みを浮かべながら答えた。

 

「『可愛い子には旅をさせよ』ということわざがあるだろ?」

 

「だとしたらわたしは可愛い子のグループから仲間外れですか?」

 

ツグミはわざと頬を膨らめて怒ったように言うが、城戸は表情を変えずに続ける。

 

「おまえも可愛い子供たちの中のひとりだが、おまえは間もなく私の手を離れて旅立つ一人前の大人だ。それに10年以上もかかる長い旅に出るのだ、それで十分だと思うがな」

 

城戸の言葉には彼女が必ず帰って来るという言葉を信じているという意味が含まれている。

血はつながっていない遺伝子的には赤の他人ではあるが、彼女が生まれた時からずっとそばにいて実の両親以上に彼女のことを慈しんできた城戸。

忍田のように親バカな愛し方はしていないが城戸は彼なりの愛し方があって、仲違いをした時期もあったが結果的にはその確執さえもふたりの絆を強くするものとなった。

だから自ら過酷な旅に出ようという娘の成長を喜び、笑顔で送り出してやりたいと決めているのだ。

 

「おまえは私が引き留めようとしても旅に出てしまうような娘だ。おまえがここに帰って来る頃に私はこの場にはいないだろうが、おまえの無事を心から祈りながら待っている」

 

「ありがとうございます、城戸()()

 

「礼には及ばぬ。親が子供に対して注ぐ愛情に何の見返りも望んではいないのだからな。その気持ちはおまえも親になればわかる。まあ、おまえが親の気持ちを理解するようになった時には、私と忍田、それに林藤は祖父としての気持ちを味わうようになるだろう。…だから早く帰って来てもらいたい。エウクラートンの事情は承知しているが、おまえは日本人となった霧科織羽と美琴のひとり娘なのだ。そして私と忍田と林藤の娘でもある。それだけは忘れるなよ」

 

「はい」

 

「では以上だ。おまえも長旅で疲れているのだからゆっくりと休みなさい。それから忍田がおまえと食事をしながら話がしたいと言っていた。忍田にもエクトス訪問は第一次侵攻の()()の件と(マザー)トリガーの『神』の実験だと説明をしてある。()()()に対しては私から話しておくが、おまえは父親に心配をかけた娘として適切にフォローをしておくのだぞ」

 

「承知しております。本部基地(ここ)に到着する前にメールで帰国の連絡を入れておいたんですけど、城戸司令への報告が終わったらすぐに自分の執務室まで来いって返事が来ていました。そろそろ行かないと待ち切れずにこの部屋までやって来るかもしれませんね」

 

ツグミがそんなことを言ったからなのか、その直後に総司令執務室のドアの向こう側に人の気配がした。

それは殺気ではないものの尋常ならざるもので、4ヶ月近くも近界(ネイバーフッド)に行って帰国したというのに父親である自分ではなく上司の城戸に真っ先に会いに行くという「嫉妬」によって生まれたオーラだ。

帰国のメールだけ送信して届いたメールに返事をしなければ機嫌を損ねて怒鳴り込んで来てもおかしくはない。

ボーダーの職務に関しては冷静で頼りがいのある忍田だが、ツグミのこととなるとタダの親バカと人間性が劣化してしまうのはそれだけ彼女のことを愛しているからなのだが、彼女としては「世界で一番好きな真史叔父さんだけど少しウザい」となってしまう。

そこで上司としても父親としても信頼のおける城戸を優先してしまうのは当然だ。

しかしドアをノックしようかどうか迷っているようで、ツグミは城戸との話を終わらせることにした。

 

「城戸司令、では明日からの休暇は心残りのないよう過ごしたいと思います。ですが何か用事がありましたら遠慮なくお声をかけてください」

 

「ああ、わかった」

 

「では、失礼いたします」

 

ツグミは軽く一礼するとドアに向かって進み、自動でドアが開くとそこに佇んでいた忍田に微笑みながら声をかけた。

 

「お待たせしました」

 

「え?」

 

「城戸司令にご用なのでは?」

 

「あ、ああ…いや…」

 

歯切れの悪い答え方しかできない忍田。

理由がわかっているのでツグミはからかいたくなる。

 

「わたしは忍田本部長にも用事がありますのでここで待っていますよ」

 

「わかった」

 

忍田は総司令執務室へと入って行くと数分で部屋から出て来る。

 

「城戸さんとの話は終わった。次はおまえと話がしたい。少し歩きながら話そう」

 

「はい」

 

ツグミは忍田と並んで廊下を歩き始めた。

人の大勢いる本部基地でも幹部たちの執務室のあるフロアなので人影はなく静まり返っている。

ただふたり分の足音だけが響き、周囲に誰もいないのだと意識するとどちらからともなく相手に声をかけた。

 

「ツグミ ──」

「忍田本部長 ──」

 

ふたりは顔を見合わせてから、先に忍田が言う。

 

「何だ、ツグミ?」

 

「いえ、本部長からお先にどうぞ」

 

「そうか? それなら…」

 

忍田は続けた。

 

「…さっき城戸さんから聞いたんだが、明日から長期休暇なんだってな?」

 

「はい。ちょっと長めの出張でしたからその分の休暇と消化しきれていない有給休暇を取るようにということでした。でもわたしに有給休暇があったなんて初めて知りました。おかげでしばらくはゆっくりと自分の時間を過ごせそうです。たまには実家に帰って親孝行をしなければいけないと思いつつもボーダーの人間としてやるべきことをやってしまわないといけないという気持ちでずっと後回しになっていました。忙しい叔父のことですから家の中は荒れ放題になっているでしょう。近いうちに帰ろうと思っています。後で叔父に仕事のスケジュールを訊いて、それに合わせようかと」

 

「それはいい。きっと首を長く伸ばして待っているはずだ」

 

他人事のように言うツグミと忍田。

そんな会話であっても4ヶ月ぶりだと思うと幸せだと感じていた。

 

「それはそうと迅はどうした?」

 

「ジンさんは仮眠室でおやすみ中です。わたしが早く帰りたいだろうからってちょっと無理をしてくれたものですから。だから夕方までゆっくりと眠ってもらって、夕食は真史叔父さんを誘って久々に新鮮なお魚料理を食べに行こうかと考えています」

 

「それならいつもの寿司屋がいいだろう。個室を予約しておく。あの店の個室は密談にも使えるくらい外に声が漏れないようになっているしな」

 

「そうですね。近界(ネイバーフッド)での話もしますからその方が都合が良いです」

 

「エクトス…へ行っていたんだよな?」

 

「はい。例の『神』の実験と経過観察とデータ収集をしてきたおかげでこんなに長期の出張となってしまいました。でも経過は良好で、この分なら近界(ネイバーフッド)の『神』問題の解決策として広めることもできるかもしれません。次はリコフォスでも行う予定ですが、そちらはわたしではなくゼノン隊のみなさんにお任せするつもりでいます」

 

「どうしてだ?」

 

「本部長も城戸司令と同じことを言うんですね。だって時間が足りませんよ。これからの2ヶ月はこちらの世界でやるべきことをやってしまいたい。そのためには誰かに頼めることはお願いしないと。全部自分でやろうとしたってわたしには時間がないんですから。家族や友人たちとの時間を大切にしたいと思うと仕事の方は極力他の人にやってもらうしかありません。ご理解してもらえますね?」

 

「もちろんだ。私としてもその方がありがたい」

 

「ひとまず休暇は明日からなので、ジンさんが目覚めるまで自分の仕事の後片付けをしてしまおうと思います」

 

「そうか。無理をしない程度に頑張れよ」

 

「はい」

 

こうしてツグミは忍田と別れて自分の執務室へと向かった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。