ワールドトリガー ~ I will fight for you ~ 作:ルーチェ
オリ主「霧科ツグミ」のボーダーにおける活躍を描いた本編は終了しましたが、その後の経過や出来事についてツグミ(
Ⅰ
【三雲修からツグミ・ジン・オーラクルへの手紙】
女王陛下におかれましては時下益々ご清祥のことと心よりお慶び申し上げます。
このたび拉致被害者市民救出計画は8ヶ国目のフスクム56人に続いて9ヶ国目のピュトン44人の帰国を果たすことができました。
陛下が始めた救出計画も約3年半かかりましたが、ようやく最も好ましい形で完了したのです。
414人という多数の市民が人によっては9年近く
それが全員帰国して家族や友人と再会できたのですから奇跡だと言っても過言ではないでしょう。
ぼくたちはそのお手伝いができたことを当事者たちと同じくらい嬉しく感じています。
本来なら陛下もこの場にいて共に喜びたかったことでしょう。
ひとつの大仕事を終えるという達成感、そして歴史の1ページに居合わせることができたという特別感は筆舌に尽しがたいもので、ぼくにはこれ以上のことは書けません。
いつか心の整理ができて冷静に説明ができるようになったらエウクラートンを訪問して直接お話したいと思っています。
そして来月の第一次
同時に三国同盟締結3周年記念式典も行うので、そちらはリベラート殿下に出席していただきたいので招待状を渡してください。
女王としてのお仕事はぼくが想像できないほど大変なものだと思います。
お身体ご自愛くださいませ。
◆◆◆
【ツグミ・ジン・オーラクルから三雲修への手紙】
オサムくん、そして総合外交政策局のみなさん、いかがお過ごしでしょうか?
こちらは日本よりも1シーズンほど先を進んでいますので、今は夏が真っ盛りで暑いですけど爽やかで気持ちの良い季節となっています。
日本のように湿度が高くなく、乾燥していて爽やかな晴天が続くからです。
これも
気候・天候に関しては自由自在ですので、週に1‐2回夜に雨を適量降らせて昼間は太陽をたっぷりと浴びることで農産物は順調に育っていきます。
農作物の病気は滅多になく害虫もいないので、農家の人が真面目に働いて
わたしがこちらへ来る時にスイカの種を持ち込みましたがそれが現在順調に育っていて、まもなく
拉致被害者市民救出計画が無事終了したこと、心よりお祝い申し上げます。
400人以上も行方不明となっていて手掛かりひとつなかった状態でしたが、麟児さんがエクトスから持ち帰ってくれたリストのおかげで長い間放置されていた救出計画が動き始めたわけですから、彼の功績はとても大きいものです。
もっとも拉致加害国のエクトスの人間で手引きをした張本人という点を考えればプラマイゼロになるわけですけど。
慰霊祭と三国同盟3周年記念式典にはエウクラートンの代表として悠一さんとリベラート殿下が出席します。
キオンのテスタ閣下も同行したいとのことですので、受け入れの準備をよろしくお願いします。
P.S.
わたしがエウクラートンの女王だからと畏まった言葉遣いとか敬語は必要ありませんよ。
もちろんエウクラートン政府への公式な手紙であれば必要だけど、わたし個人に宛てたものなら以前のように砕けたカンジでかまいません。
それと拉致被害者市民救出計画が終わったのですから、暇があったらプライベートで遊びに来てくださいね。
待っています。
◆◆◆
【ツグミ・ジン・オーラクルから城戸正宗への手紙】
城戸司令、拉致被害者市民救出計画が無事に終了したとのこと、心よりのお祝い申し上げます。
およそ9年もかかってしまいましたが、これでようやくあなたの背負っていた大きな荷物を下すことができますね。
アリステラ遠征で半数となってしまった仲間がやっと再出発をしようとしていた矢先の第一次
ボーダーの最高責任者としての重責にプラスして拉致被害者市民とその家族に対する責任が課され、それをひとりで抱え込んでしまったあなたの心の痛みにもっと早く気付いてあげたら別の道があったかもしれませんね。
あとは第一次侵攻以外で行方不明になっている市民の救出ですが、こちらは誰が該当しているのかもわかりませんし、どの国の
行方不明者のいなくなった時期とレプリカの持つ軌道配置図から推測して見当をつけるしかないでしょう。
エクトス王からいただいた情報が役に立つといいのですが…
大変な作業となるでしょうが、こちらもできることはやっております。
わたしが女王となったことを知ったいくつかの国の使者が挨拶に来ていて、その時にわたしが直接会って同盟加入の件や、
そちらはこれから夏になるわけですが、くれぐれも十分な食事と睡眠をとってご自愛くださいませ。
わたしは相変わらず元気で、こちらの生活にも慣れてきましたからご心配なく。
◆◆◆
【城戸正宗からツグミ・ジン・オーラクルへの手紙】
手紙ありがとう。
元気でやっているようでなによりだ。
第一次侵攻から9年だというが、この9年が長かったような短かったような、なんとも感慨深い気持ちでいっぱいだ。
全員が無事であったということは奇跡のようなことだが、
トリガー使いにされた者も大勢いたが、彼らも五体無事でいられたのはやはりトリオン体で戦う戦争だからだろう。
遊真が大怪我をして有吾が戦場で命を落としたり、アリステラ遠征で仲間の半数が死んでしまった事実が特別なことであったように感じるが、そもそも戦争とはそういうものなのだ。
それを私たちは忘れてしまっていただけで、それを反省しなければいけないと改めて感じたよ。
6月10日に慰霊祭を行うことになった。
午前中にボーダーと三門市の主催する合同慰霊祭を行い、午後にボーダー関係者のみの慰霊祭を行う。
本来ならおまえも出席してもらいたかったのだが、さすがにそれは無理というもの。
迅がおまえの代わりに出席してくれるというので感謝している。
他にも旧ボーダー時代からの木崎や小南も出席してくれるという返事をもらっている。
おまえから迅にはよろしく伝えておいてくれ。
最後になるが、おまえは何でも全力投球で行うきらいがある。
無理をせずに気長にやるように。
時間はまだたっぷりとあるのだからな。
◆◆◆
【忍田真史からツグミ・ジン・オーラクルへの手紙】
ツグミ、元気にやっているか?
6月10日に第一次
そして三国同盟締結3周年記念式典も開催したのだが、詳しいことは三雲くんの手紙や迅から直接聞くだろうから私は特に触れないでおく。
おまえにも出席してもらいたかったが、私がそう思う以上におまえ自身の出席したい気持ちの方が強かったことだろう。
慰めにもならないだろうが、三門ケーブルテレビで放映された番組のDVDを迅に預けたのでそれを見てくれ。
三雲くんたちが頑張ってくれたおかげで立派なものになったよ。
これで総合外交政策局の仕事もひと区切りしたことになるから、彼らには特別休暇を与えてゆっくり休んでもらおうと城戸さんは言っていた。
私もそれがいいと考えている。
そしてリフレッシュしたらまた彼らには存分に働いてもらおうと思う。
それからこれはまだオフレコだが、拉致被害者市民救出計画が完了したことで城戸さんは総司令官の座を降りるつもりでいる。
以前に二宮に声をかけていて返事を待っている状態だったが、彼がようやく引き受けると答えを出したらしい。
そこで上層部の人事を一新することも考えていて、私も本部長の座を東に譲りたいと彼に打診した。
彼は旧ボーダーメンバーを除くと古株のメンバーのひとりだし、いろいろな面で優れた人物だ。
若い隊員たちからも信頼されていて、彼になら任せても問題ない。
ただし開発室は寺島がいるから良いのだが、メディア対策室長と外務・営業部長は適任者がボーダー内にはいないので根付さんと唐沢さんがそれぞれ後継者を探してくることになっている。
もちろん私たちが完全に引退するのではなく相談役として席は置くが、現場は若者たちに譲ってのんびりしたいということだ。
特に城戸さんはボーダーや
人生の半分以上をボーダーのために心血を注いでいて、その中で苦しんだり哀しんだことは私たちよりはるかに多い。
だからせめて残りの人生は自分自身のために生きてほしいのだ。
城戸さんはずっとひとりで抱えていたアリステラ遠征の罪と罰から解放されたことで以前よりも表情が柔らかくなってきたし眉間のシワも今では見られない。
きっとあの人にも人並みの幸せは訪れるはずだ。
おまえも祈っていてくれ。
◆◆◆
【ツグミ・ジン・オーラクルから忍田真史への手紙】
真史叔父さん、お手紙ありがとうございました。
そして慰霊祭が無事に終了したことをお祝い申し上げます。
悠一さんがオサムくんたちの手紙を預かってくれていて、それを読んでどんな様子だったのかを教えてもらいました。
その後に真史叔父さんが用意してくれたDVDも見て、これでようやく第一次侵攻に関わった人たちにとって気持ちの整理ができただろうと感じました。
わたしも出席したかったですけど、いずれ帰国した時には必ず慰霊碑に詣でるつもりですからしばらくはお預けということにしておきます。
それにしても上層部メンバーの一新に関しましてはちょうど良い機会だとわたしも考えています。
ですが真史叔父さんからの手紙の中に城戸さんのことで「だからせめて残りの人生は自分自身のために生きてほしいのだ」と書かれていましたが、それはあなたにも言えることです。
結婚がすべてとは言いませんが、このまま死ぬまで独身でいる覚悟があるのならそれでも結構です。
わたしも何年後かに帰国した時にあなたがひとりで寂しくしているのなら最後まで面倒を見るつもりでいますが、そんなことを期待して待っていられても困りますからね。
話は変わりますが、1月にわたしがこちらへ来る時に持って来たスイカの種を蒔き、それが立派に実りました。
スイカというのは高温で太陽光をたっぷりと浴びないとダメなんですが、エウクラートンの環境は適しているらしくとても美味しいものが収穫でき、王家のメンバーはもちろんのこと使用人たちや農作業を手伝ってくれた農家の人たちと味わいました。
来年はもっと規模を拡大して収穫量を増やしたいと今から計画を立てています。
それから大根と白菜の種を蒔き、冬には収穫できるよう育てています。
冬の鍋料理には大根と白菜が不可欠ですからね。
食生活が豊かになることで人々の心も豊かになると思うからです。
キオンにおいて寒冷地でも育つ小麦の実験が成功していますので、現在は単位面積当たりの収穫量を増やす実験をして順調だとテスタ閣下から報告を貰っています。
それと陸稲の栽培も計画しています。
水稲の栽培はエウクラートンでは適してはおらず、国内の一部地域に限定して天候と気温を調節することで陸稲なら栽培が可能のようです。
そこで来年の春には種まきをしたいと考えていて、悠一さんが一時帰国した時に必要なものを買って来てくれました。
お米が収穫できたらまずは炊き立てご飯に生卵と醤油で卵かけご飯を食べようと考えています。
エウクラートンにはサルモネラ菌等の危険な雑菌がいないので日本と同じように生卵が食べられるんですって。
女王としての仕事はそれほど忙しくはありませんが、いろいろとやることがあって毎日忙しいです。
その忙しさのおかげでホームシックにはまだなっていません。
そうですよね、まだ半年しか経っていないんですからホームシックになるなんてありえません。
では、くれぐれもお身体ご自愛くださいませ。