ワールドトリガー ~ I will fight for you ~ 作:ルーチェ
地上部隊は順調にトリオン兵の数を減らしていった。
しかし戦場には出ずにオペレーター的な役割を担っていた男性
本来は自動で動くトリオン兵であるから、戦術は単調で動きさえ掴んでしまえば容易く倒せる。
だが人間が操縦するとなれば動きが人間のものと似たものとなるわけだ。
諏訪曰く「
そこで近接戦闘を得意とする黒江・木虎組と笹森・辻組がそれぞれ「動きの早いヤツ」を止める役を受け持ち、他の隊員は通常の自動タイプのアイドラの進撃を止めることとなった。
「エース機」と呼ぶことにした
黒江の「韋駄天」を使った高速斬撃と木虎のワイヤーによる連携で、エース機をいとも簡単に撃破。
だがヨミが別のアイドラに
ヨミも韋駄天のカラクリに気付き、黒江の軌道を推測して移動コースの上にアイドラのブレードを置くという対応をした。
黒江はダメージを受けて頭に血が上るが、木虎に諭されて自らの役割を思い出して立ち上がった。
本部基地内で那須と熊谷はウェン・ソー相手に善戦していた。
彼女の
虚像に実体は無いがレーダーによる本物の発見が難しいというもの。
虚像の大群に翻弄されるものの、菊地原の
屋外の部隊はアイドラとドグの排除を続けていた。
その中で三輪と米屋のふたりはコスケロの
「戦いの最中におしゃべり」をして敵を油断させるという作戦で、会話によって動きを止めることにより迅の風刃の遠隔斬撃を命中させた。
迅の
中でもレイジの
トリオン兵をどんどん送り込んでいたガロプラだが、さすがにここで戦力を投入するのは意味がないと判断したヨミはトリオン兵を引き上げようするが、人型
本人曰く「ドグを散らして街に向かわせれば
しかし迅の予知によりボーダー側は街に被害が出ないことを知っていたため、レギンデッツの陽動作戦には引っかからなかった。
格納庫での攻防戦は互角の状態が続いていた。
ガロプラ側には時間がなく、一刻も早くカタをつけたいところだが、エース4人の連携を崩すことができずに苦戦中。
一方、ボーダー側は遠征艇を人質に取られたような形になっているので動きが制限され、
迅の予知と
ボーダー側は
ガロプラ側は2発目の砲撃で遠征艇を破壊するためにその機会をうかがっているのだが、チャージに時間が掛かるために「一撃」で決めなければならず難しい状況にあった。
両陣営共に敵の特徴を正確に見極めており、ラタリコフは風間の「消えたままでは武器が使えない」と「空中ならワープはない」を見抜いてそれに対処していた。
しかし風間も
そしてカメレオンを起動した。
姿は見えなくなるが、ラタリコフは自分の背後に「トリオンの煙」の漏れを見付け、そこに
だがそれこそが風間の仕掛けた罠だったのだ。
これは遊真がB級ランク戦・Round3で那須隊の日浦に対して使った
足を失ったラタリコフはガトリンの指示で遠征艇のある格納庫の扉で待機する村上に攻撃を仕掛け、ガトリンは砲撃準備態勢に入った。
小南が村上の援護に回り、ガトリンと太刀川が一対一の状況となり、彼ごと格納庫の扉を撃ち抜こうとする。
しかし太刀川の位置が悪く、村上の位置からは大砲の射線が読めず砲撃からの防御ができない。
仮に村上が
ガトリンはそれを狙っていたのだ。
だがその目論見は完全に外れた。
小南が双月で太刀川ごとガトリンを真っ二つにしたのだ。
これは迅が「太刀川がぶった斬られる」未来を予知していて、そのことを知っていた太刀川と小南が逆に
だがガトリンも最後の力を振り絞って大砲を撃つ。
それを村上が
そこでガトリンの換装が解けて確保…となるはずだったのだが、
続いてラタリコフも消えてしまう。
どうやらガロプラも
他にも捕らえられたウェン・ソーとコスケロも同様に
捕虜には逃げられたものの、遠征艇の破壊を目的としていたガロプラを撤退させ、遠征艇を守りきったのだからボーダー側の勝利であることは確かである。
地上のトリオン兵の大部分も撤退の様子を見せていた。
ところが数体のドグを引き連れて警戒区域外へ出たレギンデッツと脱走したヒュースが遭遇してしまった。
さらにその直後にヒュースの行方を探していた陽太郎が追いつき、ここで事件が起きることとなる。
ヒュースがアフトクラトルに帰りたいのなら帰してあげたいと考えていた陽太郎。
だからこそヒュースの帰国の意思に反対することはない。
追いかけて来たのは、単純にまだ別れの挨拶をしていないヒュースにひと目会いたいという気持ちがあったからである。
そしてもうひとつの目的は陽太郎が迅から預かっていた
引き止めに来たのだと思ったヒュースだが、陽太郎の気持ちと行動に素直に感謝して
その光景を見ていたレギンデッツは苛立ちを抑えきれずにいた。
ヒュースは従属国のガロプラなら自分をアフトクラトルへ連れて行く協力をするだろうという考えがあって接触したわけだが、レギンデッツは「捕虜を発見しても救助・奪還の必要はない。邪魔であれば始末していい」という命令を受けている。
そもそもこの遠征自体がアフトクラトルに向けられる
ガロプラは小国であるからこれ以上敵を増やしたくないというのに、アフトクラトルのせいで
撤退の指示が出ているものの、レギンデッツは何の成果もなしに撤退することが悔しいし、何より自分たちがひどい目に遭うのはすべてアフトクラトルのせいなのである。
過去に祖国を蹂躙され、現在ではアフトクラトルの「使い走り」同様の扱いを受けている。
そんなアフトクラトルのことを信用できない上に、ヒュースと陽太郎の親しげな様子を見せられたとなれば、ヒュースとアフトクラトルに対してますます不信感を募らせるのは当然であった。
そこでレギンデッツはヒュースを
自分はヒュースのことを信用できない。信用できない人間を遠征艇には乗せられない。
街頭の監視カメラの存在に気が付いたレギンデッツは、ヒュースが陽太郎に危害を加える様子をこちら側の人間に見せることで、アフトクラトルの思惑どおりにはさせないという意味である。
たしかにアフトクラトルの捕虜が脱走して民間人の子供を誘拐するということになれば、こちら側の人間の憎しみの目はガロプラよりもアフトクラトルの方へ向けられる。
アフトクラトルにひと泡吹かせられるというものだ。
ヒュースは選択を迫られていた。
陽太郎を自分の手で捕らえてレギンデッツに引き渡せばアフトクラトルへ帰る道が開ける。
しかし断れば遠征艇に乗ることを諦めるしかなく、アフトクラトルへ帰る手段が失われる。
ヒュースにとってもっとも重要なのは、大恩あるエリン家の主のもとに馳せ参じること。
そのためなら何を犠牲にしても仕方がない。
アフトクラトルの戦士としての彼らな迷うことなく陽太郎を捕らえてレギンデッツに引き渡していたはずだ。
しかし陽太郎との日々が彼を大きく変えていた。
さんざん世話になった陽太郎への恩義に報いることなく、逆に恩をアダで返すことにもなるこの選択。
祖国の主を選ぶか、それとも自分のことを信頼し危険だというのに
その板挟みになっていた時、迅がヒュースたちの見える場所へとたどり着いた。
ほぼ同じタイミングで林藤も迅とは別のヒュースたちの見える場所へ来ており、どちらもしばらく様子を見守ることにした。
レギンデッツとしてはヒュースが子供を誘拐して悪役になる様子をこちら側の人間に見せさえすればそれで成功であった。
しかしレギンデッツの思惑とは大きく異なり、ヒュースはスコーピオンを起動すると陽太郎の腹を刺し貫いたのだ。
陽太郎は地面に伏しピクリとも動かない。
それを見たレギンデッツは想定外の展開に混乱し、ヒュースにとってとても残酷な真実を告げた。
ヒュースも薄々は勘付いていただろうが、ここまではっきりと「国に捨てられた」のだと断言されたら不都合な事実であっても受け入れざるをえない。
「ヒュースはアフトクラトルに帰ることはできない」と知ると、陽太郎はムックリと起き上がった。
スコーピオンで刺し貫かれたのはヒュースと陽太郎の演技で、ふたりの間に強い絆があったからこそできた即興芝居であったのだ。
嵌められたのだと気付いたレギンデッツは逆上し、さらにヒュースの戦意を感じ取って自身のトリガー
しかしヒュースが
その一部始終を固唾をのんで見守っていた迅はヒュースと陽太郎の前に姿を現した。
ここでヒュースは迅との「賭け」の話を持ち出す。
「賭け」というのはB級ランク戦・Round4を玉狛支部で一緒に観戦していた時、玉狛第2が勝つかどうかの賭けをしていたという
迅は「玉狛第2が負けたら俺に可能な限りなんでもひとつ頼みを聞いてやる」と言っており、この賭けはヒュースの勝ちとなっていたが約束はまだ果たされていなかったのだ。
そこでヒュースはその「権利」を使うことにした。
「どんな手を使ってでもオレをアフトクラトルへ送り届けろ」と言うヒュースに迅は「OK」と答え、ヒュースと陽太郎を伴って本部基地へと向かうこととなった。
彼らの様子を静観していた林藤はツグミに連絡を入れた。
「ヒュースと陽太郎は無事だ。迅がふたりを連れて本部へ行くことになった。俺はこれから