夕焼けと月に恋心を込めて   作:ネム狼

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エピローグになります
ようやくここまで書けました


二人で始める本当のアオハル

 夏祭りから次の日、ひまりは俺の家に泊まると言い出した。花火が打ち上がった後、俺とひまりは蘭達と合流するために商店街へと向かった。

 

 それにしても蘭の奴、俺とひまりを二人きりにするために計画してたな。あいつならやるかもしれない、いややりかねない。

「あ、お疲れ様結月、ひまり」

「お疲れ様じゃねえよ蘭」

「いや、ホントにお疲れ様だよ。結月、やっとひまりに好きだって言えたね」

 

 蘭、それは卑怯だろ。それ言われたら何にも言い返せないじゃん。明らかに狙って言ってるし、してやったぜみたいな顔してるしで無性に腹が立つ。

 

 

――でも、ありがとう蘭。いや、これはモカと巴とつぐみ、みんなのおかげだな。

 

「まぁ、お礼は言うよ。ありがと蘭」

「どういたしまして、そしておめでと二人とも」

「蘭、ありがと!ホントにありがとねー!」

 

 ひまりは蘭に泣きながら抱きついてお礼を言った。彼女は泣いてるけれど笑っていた。俺はその笑顔に見惚れてしまった。

 

 俺の好きな人はどうしてこんなにも魅力的なんだろうか、でもいいか。それがひまりの良いところで、俺の好きな一面でもあるから。

 

 

▼▼▼▼

 

 

「よかったなひまり!」

「ひーちゃんおめでとー」

「ひまりちゃん、ホントによかった、よかったよぉ……」

「ちょ、ちょっとみんな!って巴髪が乱れちゃうよー!」

 

 みんな私と結月が付き合えたことを祝ってくれた。巴は私の髪をわしゃわしゃ撫でながら祝い、モカとつぐは涙目になりながらもおめでとうと言ってくれた。二人とも泣きすぎだよ。

 

 でも本当によかった。結月と付き合うことができた、それは私にとってどれほど嬉しいことか。最初はヒヤヒヤした。付き合えないなんて言われたらどうしようかと思った。

 

 結月はというと、蘭におめでとうって言われてる。もしかしてこれはみんなが計画したのかな?そうだとしたらお礼を言わないといけない。私と結月のためにここまでしてくれるなんて、予想してなかったな。

 

「じゃああたし達はこれで帰るね」

「いいのか?みんなと巡れてないが……」

「実は夏祭りなんだけど、再来週にまたやるんだ。その時にみんなで行こう」

 

 え、それ初めて聞いたんだけど!?蘭、それ確信犯だよ!?やっぱりみんな計画してたじゃん!

 

「じゃあアタシ達はこれで帰るからまた練習の時に会おうな」

「あたしはもうエネルギー切れだから、帰るねー」

「私も帰るね。結月君、ひまりちゃん、お幸せにね!」

 

 巴とモカとつぐみはそう言ってそれぞれの家に向かった。待ってつぐお幸せにって、恥ずかしくなるからやめてよ!しかも結月の前で!

 

 

▼▼▼▼

 

 

「あたしもそろそろ帰るね」

「蘭、手間掛けさせてごめんな」

「なんのこと?」

 

 蘭は質問した。手間というより、ここまでしてくれたことだ。俺とひまりは互いに想い合っていたにも関わらず気持ちに気づけなかった。そのせいでひまりに辛い想いをさせてしまった。

 

 元はと言うと俺がひまりの気持ちに気づけなかったのが悪い。それで蘭にまで世話を焼かれるなんて情けない。

 

「今回のことだよ。本当に感謝の気持ちしかない」

「いいよ感謝なんて。あたしは見てられなかったんだ」

「見てられなかった?蘭、それって……」

「言わなくてもわかるでしょひまり。二人がいつまでたってもくっつかないから、あたし達が二人を付き合わせようって考えたんだ」

 

 案の定だった。あの蘭がここまで考えてくれてたなんて……。蘭、お前にはありがとうしか言えないよ。俺とひまりを付き合わせてくれてありがとう。

 

「だから結月、ひまり。感謝の言葉はいらない。感謝なら音楽で返すっていうのが゙あたし達゙でしょ?」

「そうだね蘭」

「そういうこと。最後になるけどさ、おめでとう二人とも。結月」

 

 

――ひまりを幸せにするんだよ!

 

 

 蘭は俺に優しく微笑んで言った。もちろんだ。ひまりを幸せにする、それがひまりと交わした約束なんだ。

 

「じゃあ帰ろうかひまり」

「うん!」

 

 俺はひまりに手を伸ばして言った。ひまりはそれに応え、手を差し出した。そして指を絡めた、所謂恋人繋ぎだ。この繋ぎ方は恥ずかしいな……。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 数十分して私と結月は家に着いた。私はさっき結月に泊まりたいと言った。せめて今日は結月と一緒にいたい、離れたくない。せっかく付き合えたんだからもう少し側にいたいよ。

 

「ねぇ、私いきなり入って大丈夫かな?」

「母さん達には俺から言っておく。まだ付き合い始めたことは隠しておこう」

「いいの?」

「俺も今日はゆっくりしたいからさ。それに……ひまりと一緒に過ごしたいから、それじゃ駄目か?」

 

 ううん、駄目じゃないよ。私は結月の耳に囁いた。恋人らしいことをしたい、今の私はそんな気持ちでいっぱいだった。

 

「ちょひまり、くすぐったい!いきなりはズルい」

「ごめんごめん!やり過ぎたね!」

「やり過ぎどころじゃない、俺が悶え死ぬからやめてくれ」

 

 効果抜群だなんて、やって正解だったかな。やっぱり結月は可愛いな。もう彼氏なのかわからないや。私はこんな可愛い幼馴染みに幸せにしてもらう。けど、やっと約束を果たせたんだ。

 

 結月はおばさん達に私が泊まることを伝えた。付き合い始めたことは伏せてだ。なんだろう、この隠してるって二人だけの秘密みたいでなんかいい。そう思うとドキッとしてしまう。

 

「このままだとおかしくなるかも……。はぁ、私結月にメロメロだ」

 

 私も結月のこと好きすぎるみたいだ。お互いにこんなだなんて、どうしたらいいんだろう。これが私が求めてた恋愛だなんて……。

 

 

――恋ってすごいなぁ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 俺は母さん達にひまりが泊まることを伝えた。ごゆっくりなんて言われたが、あの二人完全に気づいたな。まぁいいや、もうどうにでもなれ。

 

 しかしどうするか、ひまりに告白する時にキルトを渡そうと思ったが、完全に忘れていた。ていうか誰も突っ込まないなんて……。

 

 とりあえずひまりに渡さないといけない。当の本人は俺のベッドに座って俺の方を見つめてる。可愛い顔しやがって、目のやり場に困るじゃねえか。

 

「そういえばひまり、着替えどうするんだ?」

「着替え?あぁ、それなら大丈夫!私の荷物は事前に置いてあるから!」

 

 は?置いてある?いつから……。

 

「待て、いつから置いた?」

「夏祭り前かな。結月がいない間におばさんに頼んだの!」

「……それ早く言ってくれよ」

 

 それさぁ、完全に狙っただろ!母さんも父さんもひまりも俺に黙ってたなんて、なんでこんなことすんだよ。

 

 ごめんね、ひまりは手を合わせてウィンクして謝った。だからそんなことされたら許すしかないじゃん!

 

「どしたの結月?頭を撫でたりして」

「いや、撫でたくなっただけ。あと可愛いから許す」

「そ、そうなんだ……」

 

 ひまりが顔を赤くしてる、これはやり過ぎたか。てかなにやってんだ俺は、早くキルト渡さないと!

 

「ひまり、渡したい物があるんだけどいいか?」

「渡したい物?なんなの?」

「この前作ってたアイビーのキルトあるだろ?それを渡そうと思ってな」

 

 俺は袋からアイビーのキルトを出した。よかった傷ついてない。あの人混みだったとはいえ、ここまで傷一つないなんて、本当によかった。あの時渡していればよかったな。

 

「これを私に?」

「ああ。実はさ、この前言ってた永遠の愛はさ……。アイビーの花言葉なんだ」

「そうなんだ、なんか今の私達みたいだね」

「そうだな。だから、このキルトと一緒にこの言葉を贈る」

 

 この言葉はひまりに贈るべき言葉なんだ。まだ先になるかもしれない、でも今ここで言わなきゃいつ言う?今しかないだろ。

 

 俺はひまりに愛情を込めてこの言葉を贈った。

 

 

――ひまり、愛してるよ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 それは結月の想いが込められた言葉だった。

 

 アイビーの花言葉は永遠の愛、つまり結月は永遠の愛を誓うって言ったんだ。そこまでしてくれるなんて……。

 

「嬉しい、嬉しいよ結月!」

「これが俺の精一杯だ。ひまり、俺はお前を幸せにするために色んなことをした」

 

 知ってるよ結月。君は私のために色んな努力をしたんだよね。私が側で見てたから、結月が私のことを好きだってことは知ってた、でも私はそれを言わなかった。

 

 嫌われてるんじゃないのかって最初は思ってた。でも、それは違ってた。結月は優しいからそんなことはないってわかってた。私はそれでも信じるしかなかった。

 

 でも、いいんだ。こうして付き合えたんだからもういいんだ。

 

「うん、知ってるよ結月。全部私のためなんだよね?」

「全部ひまりのためだよ。料理も楽器もパッチワークも、ひまりを幸せにするために出来るようにしたんだ」

「そうだったんだね。ねえ結月、キスしていい?」

「……いいよ。おいでひまり」

 

 私は結月の元に近づき、結月を押し倒した。キスはするけど、離したくない。こんなに驚いてる、この表情を知っているのは私だけだ。

 

「ひまり、俺はどこにも行かないから押し倒さなくてもいいだろ?」

「だって、こうしたかったんだもん」

「そっか、今日は眠れそうにないな」

「そうだね。今日は寝かせないよ結月」

 

 私と結月は互いに唇を重ねた。重ねては離し重ねては離し、互いの舌を絡めて唇を啄んだ。ずっとこうしたかった、ずっと恋人らしいことがしたかった。

 

 ようやく願いが叶った。後から結月に七夕の願いを聞いたけど、想いが届きますように、それが結月の願い事だった。

 

 その願いは私と同じだった。まさか願い事まで同じだなんて、これって運命なのかな?

 

「ひまりの願い事ってなんだったんだ?」

「実はね、私も結月と願い事同じだったんだ」

「え!?すごいな、同じだなんて……」

 

 本当にそうだ。こんなの運命としか言い様がない。なんだろう、またキスがしたくなってきた。

 

「結月、またキスしていい?」

「いつでもいいよ。ひまり、二人で幸せになろうな」

 

 当たり前だ。私だけじゃ駄目だ、結月と二人で幸せにならないと意味がないんだ!

 

 私は結月の唇を奪い舌を絡めた。これからは幼馴染みじゃない。恋人になるんだ。私と結月はまだ付き合ったばかりだけど、きっと二人で幸せになれる筈だ。

 

 

――私と結月の二人で始めるアオハル、どんなことが起きるんだろう、楽しみだ。

 

 

 




これにて本編終了です
今回は書いてて恥ずかしかったです
実を言うと作者も前回の話書いてる時キルトの存在忘れてました
アフターは気が向いたらやるかもです
ここまで読んでくれて本当にありがとうごさいました!
他の作品も連載してますので、そちらもよろしくです!
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