夕焼けと月に恋心を込めて   作:ネム狼

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ハロウィンなので書きました
二日遅れなのは見逃して下さい


悪戯とお菓子、彼と彼女に口づけを

 十月三十一日はハロウィンだ。今日はその前日、商店街はハロウィンの飾りで一色、やまぶきベーカリーや羽沢珈琲店もハロウィンに染まっている。染まっているというより、飾りを付けているが正しいか。

 

 俺は家でお菓子を大量に作っている。ハロウィンでお菓子を配るためだ。仮装もしないといけないが、何の仮装にしようか、今日まで約二日程迷っていた。

 

 お菓子はクッキーとマフィンを作っているが、一から作るというのは間に合わないから材料を揃えて作ることにした。ゼロから作ると時間掛かるし、間に合わないからな。俺はオーブンを見てクッキーが焼けてるかを確認した。

 

「さてと……よし。焼けてるな後はチョコだけか」

「お邪魔しまーす!あれ、何してるの?」

「ああひまり。今クッキーとマフィンを作ってるんだ」

 

 へぇ、とひまりは言い、俺の隣に近づいてオーブンを見た。ひまりが来てくれたなら、手伝ってもらおうかな。一緒にやれば明日には間に合う。明日は朝から配るから忙しい。

 

「焼けてるね。結月、お菓子作り上手くなった?」

「何回かやってれば上手くなるさ。そうだひまり。今からマフィン作るんだが、手伝ってくれるか? 」

「任せて!結月のためならひまりちゃん、手伝うよー!」

 

 頼もしい、さすが俺の彼女だ。ひまりがいてくれるだけでも心強い。俺はひまりにエプロンを渡した。ひまりはエプロンを着けると、おさげに縛っている髪をポニーテールに縛った。俺も気合いを入れるため、下ろしている髪を一つ縛りに縛った。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は結月の隣に立ち、マフィン作りを始めた。結月を見ると、髪を一つ縛りにして腕を捲ってお菓子作りをしていた。似合ってる、というか似合いすぎて眩しい。何度も見ている姿なのに、どうしてこんなに眩しいと感じるんだろう。

 

 よく考えたらこのお菓子作りは私と結月が付き合ってから初めてやるんだった。そう考えるとこれはあれかな?夫婦みたい?それとも……何だろう?

 

「ひまり、どうかしたか?」

「な、何でもないよ!?」

「本当にそうか?まぁいいか」

 

 結月は気にすることなく作業に戻った。危なかった、結月がかっこよかったから何て言えない。そんなこと言ったら気まずくなるし、作業に集中出来ない。これから私はこの空気に耐える、私の心持つかな?

 

 マフィン作りは順調に進み、気づいたら時間は十五時になっていた。結月は作業を中断し、さっき焼けたクッキーを四枚程小皿に置いた。もしかして味見かな?そうとしか思えない。紅茶も淹れてるんだからそれしかないよね。

 

「ひまり、さっき焼いたクッキーだけど、味見してみないか?」

「いいの?枚数足りてる?」

「全然足りてるさ。これくらいしかないけど許してくれ」

「いいよ。私は平気だから」

 

 ごめんな、と結月は謝った。どうしよう、空気が重くなった。そうだ、仮装とかの話をしよう!ここは私が明るくしないといけない。よし、頑張ろう!

 

「ねえ結月、今年は仮装どうするの?」

「仮装?ああ、それなんだけど……迷っててな。どれにしようかで決まってないんだ」

「嘘、大丈夫なの?私が決めてあげようか?」

「今回は頼めるか?ひまりに選んでもらえるなら助かるよ」

 

 私は結月に近づき、彼を抱き締めた。仮装のことで悩んでて不安だったんだ。それなら早く言ってくれたらいいのに、無理し過ぎだよ。私は結月に任せてと言った。

 

 彼は安心したのか、ありがとうと言った。お菓子作りが終わったら仮装のことを何とかしよう。今日中に決めないといけない。やることが増えちゃったけど、結月のためだ。彼のためって思えばこんなのへっちゃらだ。

 

 その後、お菓子作りを終えて私は結月の仮装決めに入った。どうやら吸血鬼か狼、どっちにしようかに迷っていたようだ。これは……狼が無難かな……。

 

「結月、これは狼がいいと思うよ」

「そうか。何かこのために二日迷ってたのが馬鹿らしくなって来たな」

「二日!?迷い過ぎだよ!」

 

 二日だなんて、迷い過ぎだ。結月はイベントになると気合いを入れることがある。こういうところは相変わらずだ。さて、決まったことだし、今日は帰ろうかな。明日が楽しみだ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

 次の日、ハロウィン当日。俺は昨日焼いたクッキーとマフィンを二つずつ袋に入れて準備をした。今回は商店街の子供達、あとまりなさん、お世話になってる人にも配ることにしている。あとは蘭達にもだ。作った数は約七十、これはさすがに……。

 

「作り過ぎ……だよな」

 

 うん、これはやり過ぎたな。まぁ余らないように調整しよう。余ったら家に保管すればいいし、そうすれば小腹が空いた時にも困らない。俺は肩掛けのバッグに袋詰めしたお菓子を崩れないように入れた。ここでクッキーが割れたりしたらおしまいだ。

 

 そういえばひまりは早めに出掛けたのか。あと、狼の衣装か。といっても帽子だけだ。申し訳程度だが、これしかなかったのだから仕方ない。子供達よ、許してくれ。

 

「トリックオアトリートー、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞー」

「お菓子ならこれをくれてやるよモカ」

 

 商店街に着くと、開幕早々にモカがトリートオアトリートをしてきた。悪戯にはお菓子で返す、これはハロウィンの鉄則だ。鉄則といっても、自然とそうなったがな。

 

「さすがユズくん。用意周到だねー」

「結月、お前いくつ作ったんだ?」

「おはよう巴。ざっと50個だ。合わせて100、やり過ぎたな」

「いや、やり過ぎだよ!?」

「結月、それは引くよ」

 

 つぐみが間髪入れずにツッコミを入れた。ハロウィンでもつぐってるな。さすかだ。巴も蘭もドン引きか、自分でもやり過ぎたと自覚してる。

 

 その後、ひまりがやって来た。あれ?仮装が吸血鬼?それってライブの衣装だよな?そのままで来たのか!?似合いすぎだろ!

 

「結月、トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!」

「お菓子ならあげるが、俺が悪戯をしてやろうか?」

「悪戯返しって、期待していいの?」

「期待して待ってろよ」

 

 顔を赤くしてるな。可愛いせいか、危うく襲おうとしてた。抑えよう、それをやるのは後だ。

 

 俺は子供達やお世話になってる人にお菓子を配り、ライブハウスに寄ってまりなさんにも配った。ここまで配るのは体力を使う、配り終えた頃には夕方になっていた。俺は蘭達に別れを告げ、ひまりと共に自分の部屋で休憩をした。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私と結月はお菓子配りを終えて休憩に入った。さっき悪戯に期待しろよ、何て言ったけど、何だろう?嫌な予感がするんだけど、気のせいかな?

 

「ねえ、結月。悪戯って何をするの?」

「悪戯?まぁこういうことさ」

 

 結月はそう言うと、私を抱き寄せた。えっ、悪戯ってこれ!?な、何をするの!?なんか怖いんだけど!?私は結月に何が来るのか期待してしまった。甘い悪戯なのか、それとも不味い悪戯なのか、わからないけれど私は欲しいと思ってしまった。

 

「ひまり、目瞑ってて」

「へ?」

 

 私は目を瞑った。結月は私が目を瞑ったことを確認すると、唇を重ねた。悪戯ってキスなの?な、何だろう……。怖いと感じた私がおかしいのかな?

 

 結月は唇を離すと、私の顔を見つめた。もう!こうなったら私もお返しだ!こんなことされたらやられたまま じゃ駄目だ。これをされるのなら覚悟は出来てるんだよね?

 

 私は結月に唇を重ねた。今度は舌を絡めてだ。だったら深く堕としてやる。頭がおかしくなるくらいにやってやる。私は結月を快楽に堕ちるまで滅茶苦茶にした。

 

 

 




これ以上は限界です
R18は書きませんので、ご想像にお任せします

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