家デート続きです
ひまりに膝枕をしてもらって数分が経った。どれくらい経ったんだ?二人きりの部屋は何故か静寂だった。あれ?おかしいなひまりには昼くらいに起こしてくれって言ったんだけど……。
――なんでひまりからいびきが聞こえるんだ?
こいつ俺が寝た瞬間に眠くなったな。まあいいか。とりあえず起こすか。俺はひまりの膝から頭をどけて起こすことにした。寝顔可愛いな、写真撮っておくか。
「ひまり、おーいひまりー」
「……ふにゃぁ」
ふにゃぁってなんだよ可愛いな。俺はひまりの頬を優しく突きながら起こした。起きないな、それに頬がプニプニする。幼馴染みでしかも好きな人にこれやってるって、俺は相当の変態だな。
「ん……」
「あ、起きたか。おはようひまり」
「あれ、寝ちゃった私?」
「寝ちゃってたよ」
まだ寝惚けてるなこいつ。さて、昼にしなきゃだな。お母さん達は朝からいないみたいだし、どうするか。
「ご、ごめんね結月!起こせなくてごめんなさい!」
「いいよ謝んなくても。寝顔が可愛かったからチャラにするよ」
「可愛かったって、もしかして撮ったの!?」
「撮ったよ。可愛かったから撮らせてもらった。俺のスマホに永久保存だよ」
俺がそう言った瞬間、ひまりは俺のベッドの布団に顔を埋めた。あ、悶えてるな。やりすぎたかもしれない。でもしょうがない、可愛いのがいけないんだ。
「バカ~、撮らないでよ~」
「ごめんって」
「もう、(結月の)お嫁に行けないよ……」
大丈夫、その時は俺が貰うから。なんて言えない。それを言ったら好きだってことがバレちまう。こんなタイミングで告白みたいなことになったらロマンなんて全くない。
「とりあえずお昼にするぞ」
「は~い」
なに作るか?まあ適当でいいか。その後はなにをして過ごすか。
▼▼▼▼
「結月、話があるんだけど……」
私は結月に今日泊まることとおばさん達が1ヶ月間仕事で家を空けることを伝えた。そしたら案の定、結月はビックリしつつも動揺した。
「お母さん達また言ってなかったな。はあ、なんでミスをするんだか」
「忙しかったから仕方ないよ。突然でごめんね?」
「いいよ、ひまりが悪いわけじゃない。あと、泊まるんだろ。着替えとか大丈夫か?」
「鍵は預かってるから大丈夫だよ」
お母さんからは鍵は預かってるからなにかあっても取りに行けるから問題ない。けど、結月と二人きりで過ごすってなんか夫婦みたいだ。そんなことを思っていたら私の耳が赤くなったような気がした。
「けど家から取りに行くのは面倒だろ?制服とか必要な物は置いてもいいぞ」
「いいの?」
「全然いいよ。俺とひまりの仲だろ?あと、鍵も渡しとくから」
「鍵も?」
「俺の帰りが遅くなったらとかを考えてだよ。買い物とか部活とかで遅くなるかもしれないからさ。女の子一人を外に放ってはおけないし、それに……」
――ひまりになら預けられるって思ったから。
結月は照れながら言った。照れてるのがわかるくらいにだ。それってつまり、私のことを信頼してくれてるってことだよね?
「結月照れすぎじゃない?」
「しょうがないだろ!言うの恥ずかしかったんだよ」
「ふーん。さすが"ヒメちゃん"だね!」
「ヒメちゃんはやめろ。そう呼ばれるの苦手なんだよ」
ヒメちゃんとは結月の渾名だ。結月は普段はユズって呼ばれてるけど、中等部の頃はヒメちゃんと呼ばれていた。理由は結月が女の子っぽかったからだ。
「だったら俺もひまりのことひーちゃんって呼ぶぞ?」
「なっ!?なら私だってユズって呼ぶよ?」
なんだろうこれ?小さい頃呼んでた渾名で呼び合うってなんかくすぐったいな。でもそれって毎日呼ぶってことになるよね?
「たまに呼ぶならいいけど、毎日はやめようか」
「そう……だね。毎日ってなったら身が持たないよね」
「じゃあ、二人きりの時に呼ばないか?」
え、二人きりの時に呼ぶの?それって恥ずかしくないかな?私ならひーちゃんだけど、結月だとユズかヒメちゃんのどっちかになる。どっちがいいかな?
「二人きりの時に?」
「そう。二人きりの時ならいいだろ。俺のことはユズでもヒメちゃんでもいいよ。ヒメちゃんの方は慣れるようにするから」
「そうなると私はひーちゃんだよね」
ヒメちゃんってなったらお互いにちゃん付けになる。ならユズにしようかな?ヒメちゃんはたまに呼ぶくらいならいいかな。
「渾名のことは置いといて、雑誌読むが一緒に読むか?」
「読む読む!ファッション系とかでいい?ヒメちゃん」
「あ、ああ。それにするかひーちゃん」
なんか恥ずかしい。慣れてないからかもしれない。お互い渾名で呼ぶのってこんなにも恥ずかしいことなんだなって私は実感した。
▼▼▼▼
夕飯を済ませてファッション系の雑誌を読むことになり、ひまりは隣に座り、ページを見る毎にこれはヒメちゃんに似合うんじゃない?とか、これいいね!とかを二人で言い合ったりした。
こんな家デートも悪くないな。好きな人と過ごすのってなかなかいいな。まるで恋してますとか青春してるみたいで心地がいい。
「ヒメちゃん」
「なに?」
「前より髪伸びてない?」
あれ伸びてたのか?肩までしか伸びてないと思うけど、気づかなかったな。
「そういえば伸びたかも。ひーちゃんは切ったほうがいいと思う?」
いつから切ってないんだっけ?中2以来だったか?ひまりから髪が長いほうがいいって言われてそれっきりだったか。
「長いほうがいいよ」
「そうか、ひーちゃんが言うならそのままにしとくよ」
「そうだよ。今のほうがヒメちゃんに似合うよ」
「ありがとひーちゃん」
さっきから渾名で呼び合ってるけどやっぱり恥ずかしいな。
「……」
俺とひまりは黙り込んだ。そりゃそうだ、夕飯の時も渾名で呼んでたんだ。よくそこまで呼び合えたよなって思える。
「やっぱりやめようよ結月!恥ずいよ!」
「そうだよな!俺も恥ずかしいよ!」
「ここまで渾名で呼ぶのっておかしいよね」
「ああ、おかしいよ。慣れないことはやるもんじゃないな」
二人きりだからいいけど、ここまで呼び合うのは無理があった。本当に俺達はバカだな。はあ、今日は寝よう。下から布団取りに行かないといけないな。
「ひまり今日はもう寝ようか」
「そうだね。あ、一緒に寝ない?」
「え、一緒に?」
「そう、一緒に!私達いつも一緒に寝てるじゃん!」
俺とひまりは幼馴染みでありながら一緒に寝ているんだ。前に布団を敷くと言った瞬間に一緒に寝ようと言われたんだ。しかも涙目からの上目遣い、さらに甘ったるい声で言われた。
それ以来、俺とひまりは一緒に寝るようになった。俺は毎回こう思うようになった。
――可愛いから許すって!
「わかったよ。しょうがない子だな」
「やった!ありがとヒメちゃん!」
もういいや、諦めよう。こうなったひまりはなにを言っても聞かない。素直に一緒に寝るしかない。
▼▼▼▼
ああ、結月の匂いがする、幸せだ。私は結月に抱きついて背中に顔を埋めている。結月からは今日は向き合って寝るのはやめようって言われた。理由は渾名で呼び合ったから恥ずかしいとのこと。だからこんな状況になってる。
「結月起きてる?」
「お、起きてるよ……。どうした?」
「明日はどうするの?」
「明日は特に決めてないよ」
決めてないかあ。それなら出掛けようかな。明日は土曜日だからちょうどいいや。何故かというと、金曜日の今日は祝日で休みだからだ。
「じゃあさ、どっか出掛けない?」
「出掛ける?」
「うん、デートってやつだよ!」
「デートか。というかひまり」
「なに?」
あれ、どうしたんだろう結月?さっきから伝わってくるくらいに動揺してるけど、何かあったのかな?
「お前、わざとなのか?」
「なにが?」
「なにがってその……。当たってるんだけど」
「ああこれ?当ててるんだよ!」
「わざとじゃん!ひどいなひまり!」
ふふっ、悪いね結月!からかいたかっただけだから許してね!
「ごめんね結月。嫌だったよね?」
「え、それは……」
「今離れるから」
「いや、離れなくていい!このままでいいよ!ひまりもそのほうがいいだろ!」
もしかして嫌じゃなかったのかな?結月ってムッツリスケベかな?
「……スケベ」
「ちょっ、理不尽だな!?」
「いいよ。朝までこうしてるもん!」
「ええ!?この小悪魔め……」
朝までこうしていよう。こうしていた方が結月の匂い嗅げるからいいや。ごめんね結月、私はたまーに小悪魔になるんだからね!
まだ付き合っていません
次はデートになりますのでお楽しみに
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