インフィニット・ストラトス 零ユートピア   作:ぬっく~

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第12話

試合当日、第二アリーナ第一試合。組み合わせは一夏と鈴。

噂の新入生同士の戦いとあって、アリーナは全席満員。それどころか通路まで立って見ている生徒で埋め尽くされていた。

 

「うわぁ……。満員御礼だな」

 

「それだけ注目さえているのですわ。ちなみに会場に入りきらなかった人達は校舎内のモニターで観戦するんだとか」

 

「うう……。何気にプレシャーかけるなよ」

 

「情けないぞ、一夏。何を怖気づいている!」

 

「しっかりしろ!! 胸を張って堂々と行け!!」

 

「そうですわ。特訓の成果を披露してくださいませ」

 

「勝て!!」

 

「頑張ってください!!」

 

「箒……セシリア……おう!!」

 

『一組、織斑一夏。二組、凰鈴音。両者……規定の位置まで移動してください』

 

アナウンスに促されて、一夏と鈴は空中で向き合う。

一夏の視線の先では、鈴とそのIS『甲龍』が試合開始の時を静かに待っていた。

ブルー・ティアーズ同様、非固定浮遊部位が特徴的で、肩の横に浮いた棘付き装甲が、やたら攻撃的な自己主張をしている。

 

「逃げないで来たのね。今謝れば少しは痛めつけるレベルを下げてあげるわ」

 

「手加減なんていらねえよ。真剣勝負だ……全力で来い!」

 

「どうあっても気は変わらないって事ね。なら微塵も容赦しない……この甲龍で叩きのめしてあげるわ」

 

『それでは両者……試合開始!!』

 

ビーッと鳴り響くブザー。それが切れる瞬間に一夏と鈴は動いた。

ガギィンッ!! 瞬間に展開した《雪片弐型》が物理的な衝撃で弾き返される。

 

「ふうん……。初撃を防ぐなんてやるじゃない」

 

「……どうも」

 

鈴が異形の青龍刀と呼ぶには余りにもかけ離れた形状をバトンでも扱うかのように回す。

 

「そうだ……アンタの試合、ビデオで観たわよ」

 

「!」

 

「確かに……『鏖殺公』の斬撃波攻撃は強大だわ。でもね、『鏖殺公』じゃくなくても……攻撃力の高いISなら絶対防御を突破して本体に直接ダメージを与えれるのよ。――勿論この甲龍もね。つまり、条件は互角!!」

 

青龍刀を縦横斜めと鈴の手によって自在に角度を変えながら切り込んでくる。

 

(くっ……さばきにくい!! このままじゃ防戦一方だ。距離を取って……)

 

「甘いっ!!」

 

ばがっと鈴の肩アーマーがスライドして開く。中心の球体が光った瞬間、一夏は目に見えない衝撃に殴り飛ばされた。

 

 

 

 

「一夏!!」

 

ビットからリアルタイムモニタを見ていた箒が呟く。

 

「何だ今のは……何も見えなかったぞ!!」

 

「……『衝撃砲』ですわね」

 

それに答えたのは、同じモニタを見つめるセシリアだった。

 

「空間自体に圧力をかけ砲身を生成、余剰で生じた衝撃を砲弾にして撃ち出したのですわ……」

 

一夏がダメージを受ける度に、箒の胸はずきりと痛んだ。

 

(一夏……!!)

 

セシリアの時よりも激しい戦闘を目の当たりにして、箒は勝利よりもただただ無事を願っていた。

 

 

 

 

「よく耐えたわね。『龍砲』は砲身も砲弾も見えないのに」

 

(厄介だな……。空間の歪み、大気の流れの変化をハイパーセンサーが捉えたから衝撃を減らせたけど。……撃たれてから動いたようなもんだ。どこかで先手をうたなくちゃな……)

 

そう、その通りだった。砲弾が眼に見えないのはまだしも、砲身までも眼に見えないのは非常に厄介だった。

だから、一夏はおしなく使うことにした。

 

「鈴!! 本気で行くからな!!」

 

「当たり前でしょ!! 格の違いを見せてあげるわ!!」

 

(セフィロトシステム起動!!)

 

『認証』

 

零香が一夏のために作ったシステムを一夏は起動させる。

 

「「!?」」

 

「何だ……!?」

 

鈴に刃が届きそうになった瞬間、突如大きな衝撃がアリーナ全体に走った。

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