我が祖国を裏切ったモア教と責任者であった、シモンズがエムデン王国で新しい教会の司祭に就任したとかフザケタ情報が流れて来た。エムデン王国と裏取引をしたのに間違いはないな。
何が友愛を是とする事が教義だ!俺達には全く友愛を振りまいてくれてないじゃないか。確かに寄付もしなければ手伝いもしなかったが、貴族様や他の連中からたっぷりと寄付を貰っていたんだろ?
その大恩が有る俺達を見捨てて、よりにもよってエムデン王国に新しく出来た教会の司祭に就任するとか守銭奴じゃないか。何が友愛だ、何が宗教だ。
俺は全然救われてないじゃないか!
祖国が人類の敵認定されたからといって、何故俺達も人類の敵認定されるんだ。国と国民は別だろ?お偉い様方の失態を下々にまで押し付けるなよ。上の方で勝手にやってろよ。
そもそもパゥルム王女が父親を殺して王位を乗っ取って、それでエムデン王国に属国化した事が間違いだったんだよ。戦争を吹っ掛ければ勝てたのに、変な慈悲とか掛けるから駄目だったんだ。
そんな駄目王女から祖国を取り戻した連中も駄目だった。エルフ族に子種を提供するとか、数の少ないエルフ族だから俺達の子種まで提供出来ないだろ。馬鹿なの?計算出来無いの?
結局、租チン連中しかいないから駄目出しされて俺達まで順番が回って来ない内に終わってしまったとかさ。
代わりに迷惑を掛けられ捲っている、エムデン王国の女達を攫って分け与えろって言ったのに実行しないときた。いい加減にしないと温厚な俺様も暴れ出すぞって事だ。
自分で行動しないと駄目って事なのは分かるが、俺様は『働いたら負け』という強い信念を持って生きているのだが……その信念も捻じ曲げなければ駄目な状況にまで追い込まれた。
全く、エムデン王国の連中はどうしようもないな。俺達のお情けで生きているというのに、その恩義も忘れてエルフ族に媚びを売るとか度し難い恩知らずだ。
まぁ仕方ない。俺も偶には恩知らず共から強制的に感謝の気持ちを受け取っているので、今回も同じ様にするか。目標は恩知らずで恥知らずな、シモンズと修道女達だ。
修道女達は性奴隷として可愛がってやるし、シモンズは寄付や賄賂で貯め込んだ財貨を全て寄越せば許してやるか。まぁストレス発散と罰として、思いっきりぶん殴るけどな。
罪を犯したのだから、正義の制裁は必要。心が全く痛まないのは、悪事じゃないから。正義の行いだからだな。うん、俺は正しい。俺が正しい。
作戦の成功率を上げる為に何時もの仲間達を呼び寄せる。数は正義、暴力も正義。真面目に働く俺様が善人、故に恩知らず共から貰えるものを貰って楽に生きるんだ。
◇◇◇◇◇◇
シモンズの居る街には問題無く入れた。何時もの方法で少人数で侵入してから合流するという、賢い行動に惚れ惚れしてしまうな。今回集めた仲間は三十人、これならば教会を占拠するのも簡単だ。
エムデン王国の兵士が何か言ってきたが、取り合えず下手に出て誤魔化す。お前達も大変だよな。心の中では俺達への罪悪感が溢れているのに、国の問題で属国として扱わなければ駄目とかさ。
もっと気を使ってくれても構わないし、もっと気を遣え。なんだよ、露店で食い物を食べたら代金を払えとかさ。お前達は俺達に負い目が有るのだから、タダで食わせろってんだ。
それが人としての良心って奴だろ。まぁ代金は払ったが、後で思い知らせてやる。この街は略奪に向いている豊かさがあるので楽しみだぜ。
「おぃ、そろそろやろうぜ」
「楽しみだな。俺は一度で良いから、モア教の修道女と遊んでみたかったんだよ」
「へへへ、神に仕えているから女の楽しみを知らないだろうしな。俺達でじっくりたっぷり教えてやろうぜ。堪らないな」
仲間達も我慢できないって感じだな。街の連中がチラチラ窺っていやがるのが気に入らないが、そんなの関係ねーな。ウザい連中だが、黙って見ているのがお似合いだぜ。
警備の連中が集まってくる前にサッサと終わらせるか。シモンズに俺達を保護するって言わせれば、街の連中は何も言えねぇんだ。モア教は友愛が教義だから、その友愛を俺達が受ける訳だしな。
俺達は教義にも理解が深いんだぜ。奴等の教義の為の行動をおこさせてやるって事だからな。ははは、慈悲深過ぎじゃね?モアの女神も喜んでくれるだろうぜ。
「よし、教会に入るぜ」
扉を蹴り開ける。だが丈夫過ぎて数回蹴っても開かないってどういう事だよ。チッと舌打ちをして手で開ける。鍵が掛かってないのは、俺達を受け入れるって事だから遠慮無く全てを奪ってやるぜ。
教会の中は礼拝堂になっていて、通路の左右にベンチが並んでいる。祈っていた連中が結構居て、俺達を胡散臭い目で見やがったので近くのベンチを蹴って黙らせる。椅子も丈夫で蹴った足が痛いぜ。
全く贅沢な作りをしやがって。よっぽど儲けていやがるんだろうな。そりゃ丁度良い、奪い甲斐が有って事だぜ。オドオドしながら修道女が近付いてくるが、年増じゃねぇかよ。
若い女を寄越せっていうんだ。全く、コイツ等を捕まえてシモンズと若い修道女を寄越す様に命令させないと駄目じゃねぇか。
「あの、ここはモアの神の住まわれる場所です」
「乱暴な事はしないで下さい。貴方の罪を懺悔なさるのですか?」
はぁ?俺の罪だと?懺悔するのは裏切り者の、お前等がする事だろ?馬鹿にするんじゃねぇぞ!
「うるせぇ!大人しくしやがれ」
腕を掴んで引き寄せる。年増だが中々の美人じゃねぇか。コレは楽しみが増えたな。
「この女に怪我をさせたくなければ、シモンズを呼べ。早く呼べ!」
後ろから腹の部分に手を回し拘束する。その時に胸の感触を味わう事も忘れない。うむ、結構デカいぞ。本当なら、さっさと服を剥ぎたいのだが目的を達成する迄はお預けだ。
我慢すればするほど、楽しめるって奴だよ。もう一人も仲間が捕まえたが、そっちはババァだから普通に拘束してるだけだ。残念だったな、ソッチはハズレだったな。
人質を捕まえた俺達を中心に、仲間が円を描く様に周りに広がった。馬鹿が人質を奪おうと襲って来ても大丈夫、俺達は連携プレーもお手の物なんだぜ。
「イヤ、放して下さい」
「うるせぇ、大人しくしてやがれ」
暴れる女の腹の肉を力一杯抓れば、涙を浮かべながらも睨んで来やがったか。クックック、そんな生意気な態度が何時まで続くのか楽しみだぜ。お前は今夜は寝かせないぜ。
周りの連中が漸く俺達の事を襲撃者だと理解して遠巻きに様子を伺いながらも逃げ出そうとしていやがるな。入口は仲間が二人で守っているから出られないぜ。
他の出入り口は奥に見える扉だが、アレは教会の内部に通じている筈だし片開きだから大勢で押しかけても逃げれるのは一人ずつだ。まぁ逃げ出す前に捕まえるがな。
「彼女達を解放しなさい」
その扉から、豪華な服を着たジジィが出て来て偉そうに命令しやがった。多分だが、お前がシモンズだな?この年増女は気に入ったので放さないぞ。後で楽しむんだからな。
「でめぇが裏切り者の、シモンズだな。とっとと俺達を手厚く保護するって約束しろ!」
こんなところでお気楽にのうのうと暮らしてたんだろう。良い服を着て美味い物を食べて呑気に暮らしやがって。俺達の苦労を知らないだろ?本当に大変だったんだぞ。
怒りが沸々と湧き上がって来たぞ。お前さえ裏切らずに逃げ出さなければ、モア教が守ってくれたんだ。それを勝手に裏切って逃げ出すから大勢に迷惑を掛けたんだぞ。
何が友愛だ。俺達にも友愛を寄越せ、金と女と食い物を寄越せ。モア教の教義だろ?司祭なら教義を守れってんだ。これだから汚職塗れの連中は嫌なんだ。
俺達みたいに清く正しく本能に忠実に生きろってんだ。
「先ずは謝罪だろ?それから補償と賠償だ。金と食い物と女を寄越せ!誠意を見せろ。このババァを解放するのは、俺達が満足してからだっ!」
お前、良い事言ったな。全くその通りだぞ。俺も丸くなってしまっていたって事か。恥ずかしい、初心に帰れって奴じゃないか。
「そうだった、良く言った。全くその通りだぜ。お前の誠意を試させて貰うぞ。お前等、シモンズを取り押さえろっ!」
数発殴れば大人しく言う事を聞くだろ。全く、余計な手間暇を掛けさせるなよな。お前等、エムデン王国の連中は俺達に還しきれない恩が有るだろ。それを早く返せってんだ。
シモンズの野郎、逃げるかと思えば前に出て来やがった。エムデン王国の連中は騙せても、俺達は騙されないぞ。仲間が腕を振り上げて殴り掛かる仕草をしても逃げない度胸は認めてやるよ。
殺すと面倒だから手加減する様に言ってはあるが、アイツはサドっ気が強いから死んでしまうかもしれないな。まぁ死んだら死んだで、次の奴を探せば良いから構わないか。
モア教の教会なんて幾らでもあるしな。
「え?」
脇腹に鋭い痛みを感じて見れば、俺の腹にナイフが刺さってやがる。ナイフを握っている手の先を見ると、若い冒険者風の男が怒気を浮かべて睨んでいやがった。
「てっ手前、なにしやがる」
抜いたナイフで修道女を掴んでいた腕を更に刺しやがった。思わず修道女を放してしまったが、やられっぱなしじゃ済まさないぞ。致命傷じゃない、未だ利き腕は無傷で……
「死ね、外道がっ!」
背中に衝撃が有り振り返ればメイスを構えた男が居た。俺はメイスで殴られたのか?なんて酷い事を平気でするんだ。俺達は被害者なのに、何で抵抗するんだ?
ナイフ野郎が修道女を引っ張って逃がしやがった。もう人質は使えない。他に人質になりそうな奴は?居ない、周りには床に倒れた仲間達しかいない。
お前等、なんて酷い事をしやがるんだ。俺達は哀れな被害者なのに、加害者が更に危害を加えるって何だよ!
「ふざけやがって、もう許さねえぞ」
何とかショートソードを抜いたが、足腰に力が入らねぇ」。ショートソードを杖代わりに床に突き刺して何とか倒れ込むのを我慢する。
「おぃお前!早く、俺にヒールかポーションを寄越せ。死んじまうだろうがっ!」
ここは神の住まいで、お前らは神に仕える神職だろ?ヒール使えるだろ?俺はもう死にそうだぞ。早く教義の友愛で、俺を手厚く治療するのは当然だろ?何故、黙って見ているんだよ?
「貴方達はモア教から破門されたのです。つまり神の敵です。与える慈悲も有りません。貴方の罪を償いなさい」
シモンズの糞野郎が何か言っているが理解が出来ない。破門?神の敵?いやいやいや、悪いのは全てエムデン王国だろ?そう教えられて来たぞ。誰も否定しなかったぞ。だから……
「はぁ?ふざけるなよ。俺に……罪なんて無い……罪深いのは、お前等だろ」
ベンチに凭れ掛かる様に座る。固い板の感触も今は心地よく感じるな。身体の感覚が無くなっているのか。力が入らない……
「罪深き者よ。彼の者の罪を死によって許したまえ」
目の前が真っ暗になり、さっきまで感じていた痛みが感じられなくなったぞ。ああ、治療してくれてるのか?
ゴールデンウィーク真っ最中、皆様休みを満喫していますか?
自分は急な仕事で短期出張中です。拘束時間が長く趣味の小説を書く時間が中々取れずストレスが溜まります。来週の投稿は間に合わないかもしれません。