恋愛攻防戦争   作:雪苺

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オリ主の属性等は診断メーカーで決めました。
「あなたの属性と魔術回路と起源調べったー」
https://shindanmaker.com/593091

追記:誤字修正しました。報告ありがとうございます。


これが日常なのです

婦長により強制的に取らされた仮眠からやっとこさ解放され、仕事場に戻ろうと廊下を歩いていると後ろからバタバタと走る音が聞こえる。

 

……ああ、そういえば今日はまだだったな。

 

足音の相手が誰で、誰に何の用事なのか分かっているので、僕は足を止め振り返る。

やっぱり思った通りの人がいた。

 

「こんにちは、スバルさん!」

「こんにちは、リツカちゃん」

 

元気よく満面の笑みで挨拶をするリツカちゃんは仕事で疲れている目には酷く眩しく感じる。

ここで世間話でもして普通に別れれば、ただのカルデアスタッフとマスターの会話で終わるのだが、いつからか自分達の間だけはそれで終わる関係ではなくなったのだ。

 

理由は簡単。

 

「スバルさん、好きです!結婚を前提に付き合ってください!」

 

────最後の希望である唯一のマスター、藤丸立香が何故か僕に惚れてしまったからである。

 

理由は全く分からない。何せリツカちゃんは惚れた理由を言わずにひたすら「好き」という感情を示すだけなのだ。1度だけ理由を聞いた事もあるけれど、彼女は照れ臭そうに「大した理由じゃないから」と話そうとしないから困る。

 

「お断りします」

 

それが理由という訳ではないが僕は彼女の告白を受け入れた事はないし、これからも受け入れない。彼女が早く僕の事を諦めるのを祈るばかりだ。

 

いつもの返事を聞いて、リツカちゃんは若干拗ねたような顔をする。

 

「また振られちゃった。もうスバルさんの頑固者~!」

「僕からしたらリツカちゃんが頑固に見えるんだけどね……」

 

地団駄踏むリツカちゃんに苦笑してしまう。

今日はもう無理だと判断したのかリツカちゃんは1つ溜め息を溢してから、また明るい笑顔を見せる。

 

「また明日リベンジしますね。お仕事頑張ってください」

「うん、ありがとう」

 

大きく手を振りながら立ち去るリツカちゃんに軽く手を振り、彼女が見えなくなるまで見送る。

完全に見えなくなったところで振り返らずにもう1人、この場にいる人物に声をかける。

 

「リツカちゃんを追いかけなくていいんですか、清姫さん」

「……またですか。一体何度わたくしの旦那様(ますたぁ)を振れば気が済むんですか」

 

恐らく近くの物影から怨めしそうに僕を見ながら出て来ている、と思う。リツカちゃんを振った直後の清姫さんの姿を確認しようものなら、メドゥーサさんのような魔眼持ちじゃないのに、まるで石化されたような気分を味わう事になる。前にやらかして酷い目にあったので、もうあんな思いはゴメンである。

 

「そういった好意を持っていないのに告白を受ける方が不誠実だと思いまして」

「……わかっています。でも、あなたが受け入れないといつまでもあなたに告白をしに行くのも事実。一夫多妻を認めているわたくしですが、好きな人が他の誰かに告白する姿を見て傷付かない訳ではないのです」

 

ショボくれたような言葉を聞きつつ、これならそろそろ振り向いても問題ないだろうと清姫さんの方に向く。案の定彼女は僕を睨む事を止め、少し俯きながらポツポツと僕への不満を呟いていた。

 

「清姫さん、それでも僕は告白は受けませんよ。貴女だって偽りの愛は嫌でしょう?」

「むぅ……。それを言われたら反論出来ません。偽りの愛を目の前で見る程の苦痛はありませんもの。今回は諦めます」

 

頬をぷくっと膨らませて、なんとか納得した清姫さんはリツカちゃんの後を追い掛けるべく、僕の横を通り抜くと同時に霊体化した。こうなるともう視認は出来ないので僕も自分の持ち場に戻る為に歩くのを再開した。

 

ここまでの一連をほぼ毎日繰り返している。今回は清姫さんだったが、毎回彼女が来る訳ではなく日によって違うサーヴァントが僕に声をかけるのだ。それでも圧倒的にリツカちゃんのマイルームの寝床に勝手に入り込んでくるトリオ、またの名を溶岩水泳部が小言を言いに来るのだけども。

 

リツカちゃんが告白してくるまで僕に積極的に話しかけるサーヴァントはいなかった。他のスタッフと同じ位の関わりしか持っていなかった為に、何だか急に注目を浴びる形になってしまったのだから何とも言えない。別に交流したくない訳ではないけれど、サーヴァントに注目されると自然と目立ってしまうから、それが嫌なのだ。

 

僕は何も変わらない日常を好んでただけに、このような変化にあまりいい気はしない。

リツカちゃんの僕への恋心が親愛からの勘違いであれば、それを諭すだけなので助かるのだけど、惚れた理由が分からないのだから諭す事すら出来ない。年齢差を理由にしようものなら「私が20歳の時スバルさんは○○歳だから世間的にセーフ!」と反論される。というかされた。

 

自分のデスクについて早々机に倒れ込む姿を見て、たまたま近くを通ったムニエルがニヤニヤしながら楽しそうに声をかける。

 

「よぉスバル、また例の愛の告白か~?」

「……お前なんて婦長に怒られてベッドで殴られてしまえ」

「生憎とオレは仕事中毒のお前と違ってしっかり休養は取ってるから、お前よりベッドで殴られる可能性は低いぜ」

「そうだった。お前結構そういう所しっかりしてるんだった」

 

公私混同が割と多い癖にそこはしっかりしてて偉いとは思う。アガルタの件は結果的に良かったから特に言う気はないけれど。マシュからのボーナスカットの件も止める気はないけれど。

 

「で、話は戻すけどスバルはリツカと付き合わねぇの?歳の差とかそんなにないだろ」

「……リツカちゃんが僕への親愛を恋心と勘違いしている可能性だってあるだろ」

「お前そんなナイーブな奴だっけ?」

「誰が鈍感だ」

 

「日本語的なナイーブで言ったんだよ」と言い訳していたが、フランス語での「鈍感」という意味合いも含めている筈だ。別に軽口だと分かっているし、わざわざ怒る内容でもないから気にしないが。

暫くしてムニエルはばつの悪そうな顔で頭を掻きながら話を変える。

 

「まあ、結局リツカと付き合うかは本人の判断だからそこまで押し通そうとは思わないけどさ。他のスタッフだってそれに口出す気もないし。けど、周りのサーヴァントはそうじゃないんだろ?」

「今日は清姫さんだった」

「……お前、よく生きてたな……」

 

顔を青くしながら恐ろしいものを見るような態度に、つい呆れた顔で見てしまう。いや、気持ちは分かるけども。

 

「別に嘘をつかなければ、ある程度話は出来るからさ」

「いや、でも、あれ結構判定シビアじゃないか?」

「ああ、まあ……、うん」

 

優しい嘘も容認する事が出来ないのだから彼女の嘘嫌いは筋金入りだろう。伝承が伝承だけに仕方がないが。

 

「でも対応出来ない訳ではないから」

「ふーん。そういうもんか」

 

対応出来ない訳ではない事に反論がない辺り彼も優秀なカルデアスタッフの1人だと思える。現にアガルタでマシュを含め、大半のスタッフの目を掻い潜り、サーヴァントの密航を実行した男なのだから実力は十分過ぎる程あるだろう。理由が非常に残念だけど。

 

「──随分と楽しそうだね」

 

コーヒーを片手にロマニが此方に近寄って来た。

 

「楽しそうな所悪いけど、そろそろ仕事に取り掛からないと深夜まで終わらなくなってしまうよ?」

「げっ……!ホントだ、結構時間経ってた。じゃあスバルまたあとでな!」

「ああ、また」

 

軽く手を挙げて自分のデスクに戻るムニエルを見送る。ロマニはまだ僕の側に立ってじっと僕を見つめる。

 

「……ロマニどうかした?」

「え、ああ、いや……。スバル、今度お茶でもどうかな?」

「もちろん、僕がロマニの誘いを断るわけないだろ?大切なお茶友なんだから」

「……うん、ボクも大切なお茶友だと思っているよ」

 

ロマニの嬉しそうな顔に僕も嬉しくなる。ロマニとのお茶は久々なので、何か美味しいお茶菓子でも持って行こう。

 

明日も何も変わらない。幸せな日々が続けばいい。

 

 




常盤 昴(トキワ スバル)

属性:無
魔術回路:39本
起源:「知識」

20代半ばのカルデア技術スタッフの1人。気のいいお人好しタイプ。
年頃の女の子が1人で心細いだろうとお兄ちゃんぶってたら何か知らんうちに惚れられてた。妹の様に思っているので答える気はない。
ただどんなに断ってもぐだは「めげない、挫けない、前進あるのみ」なので最早ぐだの告白は日常の一部となっている。
ロマニは大切なお茶友。
よく徹夜するのでもれなく婦長のブラックリストいり。
ぐだからのアピール(物理)で最近腰が痛い。あとガチ勢鯖(溶岩水泳部)の視線が痛い。

基本的に世話焼きなので、手のかかる鯖との交流が多め。(例:オルタ系、讐クラス等)
知識として蓄えているものを任意で無効化する事が出来る。自分の知らないものは無効化出来ない。知識を増やす為に定期的に図書館に行ったり、その道に詳しい鯖に教えを請う事がある。
マスター適性はあるものの、自分の存在を秘匿するというマリスビリーとの取引の関係で決して表舞台に立とうとしない。


無属性とかどうしろと……。
知識は現在も学習中です。
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