第一話で世界観が見えた方もそうでない方もお楽しみくだされば幸いでやんす。
センティアは季節の変わり目になると街の様子がすこし変わる。
変節祭という祭りが開催されるのだ。大陸中央部に位置するセンティアには四季がある。よって一年に4回の祭りが開催されるのだ。
今年は建国50周年ということで、変節祭には国王や王宮貴族も来賓する。
首都「ツェン」では王国の旗がいたるところに掲げられ、賑わいを見せていた。
この日、シルバーとフローディアは協会が斡旋した依頼を受けることになった。変節祭に来賓する王宮貴族の護衛の任務である。
その貴族は王国南部の街「ボローマ」を治める領主ラス・ド・ボローマ侯爵である。ボローマ候はその器量と温厚な性格から「ル・ボン」(名領主)と呼ばれているノスト族の男だ。
依頼を受けた二人は南部領、ボローマの街を訪れていた。
ボローマの街は首都に比べるとかなり長閑で、栄えているとはお世辞にも言えない。しかしシルバーはこの街の雰囲気が好きだ。
「ふあぁ~~っと」
大きく伸びをしながらこの街のおいしい空気を満喫するシルバーを横目に、フローディアも同じことをする。
表情の乏しい彼女だが、シルバーのモノマネをよくするのが癖だ。
「てめえ・・・また真似しやがって・・・」
「・・・・クスッ」
彼女はこうやって微かに笑顔を見せることがある。めったに見せることはないが、そういうときは至って今が平和なんだと実感できる。
ボローマの街を抜け、農地を抜けると少し小高い丘を登ったところに依頼主、ボローマ候の館がある。大きくも小さくもないその館から手を振る若者の姿が見えた。
「おーーい!シルバーさーん!フローディアさーん!」
二人はその手を振る若者に何度か会ったことがある。
元々は首都に住んでいた男で、ウェスティン族で、名前をレッドという。彼との出会いは2年前で、D級傭兵時代に探し物の依頼を受けて以来のお得意様なのだ。
彼から受けた最期の依頼は「職探し」だった。
今現在は執事としてボローマ候の給仕を務めている。
「お久しぶりです!ル・ボンに貴方達の事を話したら「是非に」と言われまして!」
今回の依頼はボローマ候からの指名であった。それはもちろんレッドの推薦があったからで、普通ならB級に成り立ての無名の傭兵に貴族からの指名などありえないのだ。
「で、護衛ってどこまで護衛するんだ?」
髪をいじりながらめんどくさそうにシルバーがたずねると、レッドは少し呆れたような笑顔を見せた。
「シルバーさんは相変わらずですねぇ。そのことでしたらル・ボンに直接聞いてください。」
「・・・・・コクリ」
シルバーの後ろでヤレヤレといった素振りを見せながら、フローディアは頷いた。
南部領は肥沃な大地とボローマ水源とよばれる水源地によって農業が盛んに行われていた。建国当初は商業国家として中立国として動いていたこの国も、度重なる戦争によって自国での食糧自給率向上のために開拓したのがこの街の始まりである。その農業技術をノスト族が提供したことによってこの南部領をノスト族が治めることとなった。
ラスは現在2代目領主で、先代の孫にあたる。未だ若輩ではあるが、よく治めていると評判である。
領主の部屋に着くと、奥の机に座るボローマ候が笑顔で迎え入れてくれた。
「ボローマへようこそ」
身長は130cmくらいでまるで子供の体格、見た目も子供であり、声も声変わりをしていない子供のようだ。しかし、本人は現在30歳を超えている。ノスト族は老いる期間が短いのが特徴だ。
なんというか・・・かわいい。
「さて、本題だ」
机の上にある書類らしきものをトントンと揃えると、少し真面目な顔になる。
「まずはシルバー君・・・だったかな?君の腕を見込んでとある御仁を護衛してもらいたいのだ。」
ボローマ候の言葉を聞くなりシルバーは気だるそうに髪をいじった。
「は?アンタじゃねえのか?」
どんな人に対しても変わらない態度に、ボローマ候の傍に立つレッドがあたふたしていた。
しかしボローマ候は構わず続ける。
「うむ。その御仁は現在王宮にいてな・・・王宮の裏手の納屋でおち会う手筈となっておる。」
「へぇ・・・まぁいいや。そいつを護衛すりゃいいんだよな?」
「そうだ。・・・・そしてフローディア君は私の護衛だ。」
「・・・・コク」
ボローマ候は、レッドから二人の事をある程度聞いていた。自由奔放なシルバーに、寡黙で無口なフローディア。話に聞いた通りの二人にとある興味を持っていたのだ。
「・・・・・銀髪灼眼・・か。」
シルバーの容姿は銀髪灼眼、浅黒い肌である。聞いた話だとサウジア族というが、彼は違う見解をしていた。
「・・・・んだよ?」
初対面の人に自分を凝視されていい気分ではないシルバーは、ボローマ候を睨みつける。
そんな彼に構わず、ボローマ候は口を開く。
「北の地の言い伝えでな・・・シルバー君、君は白夜の伝承を知っているかね?」
「びゃ・・・白夜?」
明らかに少し動揺を見せたシルバーに、フローディアは少し首を傾げた。
「ふむ・・・・まぁいい。ではシルバー君は任務につきたまえ。」
「な、なんだってんだよ・・・んじゃフローディア、う、うまくやれよな!」
「・・・・・・?」
そそくさと立ち去るシルバーの後ろ姿を眺めながら、ボローマ候は切ないような寂しいような目をしていた。
「あの・・・ル・ボン?白夜の伝承というのは・・・?」
嵐のように去って行ったシルバーに動揺しながらもさっきいった伝承についてレッドは尋ねた。
それに対し、頬をポリポリと掻きながらボローマ候は後ろを向いた。
「白夜族の伝承だよ。銀髪灼眼・・・そしてあの肌。彼はもしかしたら・・・と思ってね。」
「白夜族?おとぎ話じゃないんですか?あれ・・・」
白夜族というのは大昔、大陸が多数の国家に別れる以前に世界を治めていたとされる種族である。光と闇の魔法を操り、彼らの手によって昼と夜が生まれたとされている。昼は生命の息吹を、夜は人々に安息を与える。安息のない人間は疲弊し、それを憐れんだ白夜族は夜というものを創る。太陽の光を糧に生きる白夜族にとって夜というのは毒であり、夜を作ったことによって白夜族は滅びたと伝えられている。太陽の光を浴び続けることにより、その容姿は銀髪灼眼、肌は浅黒いという。
これが白夜伝というおとぎ話である。
「そうだな。さて・・・フローディア君、出立は明日だ。今日はここに泊っていきなさい。」
「・・・・コク」
たしかに灼眼というのは中々お目にかかれない。そしてあの若さで銀髪・・・不自然ではあるが、その伝承が本当ならばもしかしたら・・・そんな思いを描きながら、ボローマ候はとある人物を思い出していた。かつて会ったことのある人物・・・
シルバーは一人、帰路についていた。
「ったく・・・なんなんだよアイツは・・・」
文句を口にしながら、彼は昔を思い出していた。
まだ小さい頃、母親が何度も彼に歌ってくれていた曲があった。
その曲には歌詞がない。しかしその音色を聞くと不思議と落ち着けた。
母も同じように銀髪灼眼だった。父はサウジア族だったため、自分はサウジア族だと思っていた。
しかし他の人とちがう眼の色を持っていたがため、近所の子供に「悪魔の子」と言われて迫害されていた。そんな中、その曲だけが彼にとっての安らぎだった。
その頃だった。傷だらけで帰った自分に母はある話をした。それが白夜の伝承・・・彼は知っていた。そう、彼は自分が白夜族であるということも・・・。
アリュール大陸の国家を一部紹介
~中央国家~
センティア王国:名前の由来は中央=センt(ry
建国は大陸歴460年。それ以前は商業都市で、どこの国にも属していない都市だった。第一話で紹介したように、イル族が代々国王を務めている。5つの主要都市と、いくつかの村落が存在し、面積は北海道くらい?四方を3000m級の山に囲まれている自然要塞国家。人口は約1500万人。正規軍の他に傭兵制度を取っている傭兵国家。
~西部諸王国~
現在諸王国は8つ。その8カ国は10年前同盟を組んだが、その戦略に失敗して以来、共に諍いを起こしている状態にある。
ハルベニア帝国
大陸北西部に位置する西部最大勢力を誇る軍事国家。戦需による産業発展で巨額の財を得たが、それをすべて軍事力に注いでしまったがために現在は危機的状況。
リスダル公国
大陸北東部に位置する。元はハルベニアに属していたが、切り離された国家。現在はリスダル公が治める。
マレード王国
大陸最西端に位置する。豊富な資源を持ち、戦争物資を輸出することで成り立つ産業国家。基本的に自衛での戦闘しか行わない比較的平和な国家。
ジュノ
西部諸国中央部に位置する国家。8カ国の中でも一番領土が小さいが、センティアに習って傭兵制度を制定して軍事力を増強している。大統領制
アイローン
西部諸国南東部に位置する国家。山岳地帯に位置するため、自然の要塞でもある。発明家の多い技術国家。西部諸国の新兵器はほぼこの国で発明されているらしい。
シアン王国
西部諸王国南部に位置する。アイローンの資源を巡って度々アイローンを攻めているが、兵站ラインを潰されやすく、攻略は難航している模様。
ステファム王国
西部諸王国南西部に位置する。説明飽きてきたのは内緒の王国
リュッヘン王国
西部諸王国東部に位置する。センティア国境に位置し、度々センティアを攻略しようと試みている。軍事力はハルベニアに次ぐ上、傭兵制度も取り入れている軍事国家。
なんだか壮大な設定になってきたざます!!