「入港はいい! 加速して振り切れ!!」
「は、はいィィイ!!」
シャトルのコクピットでシノとユージンの2人がトドをボコボコにしてる横でオルガがパイロットに叫び、パイロットは情けない叫び声を上げすかさずスロットルレバーを押し込む。
低軌道ステーションへの入港準備のためシャトルは緩やかな減速の最中にあったが、このままでは追いつかれて撃墜される。
だが加速した所で…………モビルスーツの速度に叶うはずもない。
シャトル内に微かに衝撃が走る。
ビスケットたちがシャトルの窓際を見ると、顔を更に真っ青にさせる。
「囲まれてるっ!」
「モビルスーツから有線通信! 『クーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き渡せ』 ……とか言ってますけどぉ!?」
パイロットの絶叫の後、一瞬、誰もの視線がクーデリアただ一人に集中した。
ユージンに後ろ髪掴まれたトドが必死に抵抗しながら
「さ…………差し出せェっ!! そうすりゃ、俺たちの命までは取らねえだろ!?」
「てめぇは黙ってろ!」
「ほかに助かる手があるってのかよオ!?」
「ぐ…………それは……!」
「どうすんだ…………オルガ!」
2人から催促され、オルガはトドを冷めた目で見下ろしたまま口を開かない。
シャトル内にいる面々が顔を見合せたりしているがいい解決案など出るわけがなく
そして、クーデリアがさっと前に出た。
「私を差し出してください!」
「それはナシだ」
にべもなくその提案を切られ、クーデリアはなお食い下がろうとするがオルガは「俺らの"筋"が通らねぇ」と突っぱねる。
「バカかッ! 状況をか──」
「うっせぇ!」
「ギャヒッ!?」
喚こうとし殴られたトドから視線を外し、ビスケットへ視線を向ける。
その視線にビスケットはこれから来るであろう命令に備え、扉の端末に手を添えていた。
「ビスケット!」
「了解! ……行くよ三日月!」
「「何!?」」と思わずユージンとシノが、
「「三日月?」」とクーデリアとアトラの声が重なり、二人は顔を見合わせる。
「い、一体…………」
「何を!?」とダンジとタカキも驚きを抑えきれなかった。
オルガは不敵に口角を釣りあげ、何かが打ち出され貫く衝撃が走る。
そして、シャトル上部にコクピット部分を貫かれ機能を停止し漂流する"グレイズ"と飛翔する"バルバトス"。
『多分、トドさんが仲介してくれたトコはギャラルホルンに私たちを売りますヨ。これ証拠デース』
ついこの前にオルガはミカエラからオルクス商会とギャラルホルンのどうやって手に入れたかわからない密談の録音データを渡してきていたのだ。
これによりオルガは三日月をコックピットに待機させ、機体を出撃可能状態に置いていたのだ。
カーゴデッキからばら撒かれたスモークによって気を取られた先の"グレイズ"は、次の瞬間突き付けられた"バルバトス"の滑腔砲に為す術も無くコックピットをぶち抜かれ、突き刺さった通信ケーブルを支点に力なく漂流していく。
突然シャトルから現れた"バルバトス"の姿に、混乱したギャラルホルンのモビルスーツ部隊は、距離を取って応戦し始めた。
さらにコックピットの船窓越し。迫るもう1機の白いMSを見てオルガは笑う。
───来たか、ミカエラ!
「まずは…… いっぴぃィィキ!!」
フットペダルを限界まで押し込み、もはや流星と見間違うほどの光を放出させ複数のうちの1機に狙いを定め、"アンドロマリウス"を"グレイズ"へと勢いを乗せた飛び蹴りを放つ。
踵部のパイルバンカーが射出し、蹴りとその一撃は容易く"グレイズ"の頭部ごとコクピット部分諸共ひしゃげさせ、ソレを足場に隣にいた1機へと飛びかかる。
無論"グレイズ"もライフルから弾丸をばらまき応戦するが、最小のスラスター可動で弾丸を避け同じように、コクピット周辺の装甲を右腕の
「……遅い、鈍い、弱い、温いッ! この程度でMSに乗ってんじゃねぇぞクソガァ!!」
この程度の奇襲に対応出来ず、簡単にやられた"グレイズ"2機にミカエラはそう吐き捨てる。
この程度では全く満足できないと表すように、何度もVNを動かなくなった"グレイズ"へと叩きつけた。
その背後ではバルバトスが回収したバトルアックスでワイヤーを叩き切り、ミカエラは無言でリアアーマーへマウントしていたメイスを三日月のバルバトスへ投げ渡す。
三日月はソレを受け取り、互いに目配せし目標を定め飛び立つ。
「…………」
ミカエラは
『……目標の確保、失敗したようです』
部下からの報告に支部長ながら自らも前線にでてきたコーラルは一瞬ピクリと眉を震わせるが、すぐに下卑た笑みを浮かべた。
「クーデリアがそこにいるならいい」
護衛がいるというのならそこにいるといっているようなものであり、彼女を捕えるなり殺せば今迄の損失を補填し更にプラスとなるほどの金がノブリスから手に入る。
コーラルは乗機の "グレイズ" のスラスターを吹かし、前進させるとその手に持つライフルの照準をシャトルへ合わせる。
『コーラル司令ッ! ファリド特務三佐から"殺すな"という指示が!!』
部下からの通信に、コーラルは青筋をたて怒鳴り散らす。
「貴様の上官は、いつからあの青二才になった!? 構わん!! ファリドが来る前に船ごと、ぐわっ!?」
『こ、コーラル司令!?』
コーラルが言い終わる前に三日月の乗るバルバトスが打ち出した滑腔砲の砲弾がコーラル機に当たり、体勢を崩す。
だが、司令となる前まではいちパイロットとしてそれなりに活躍してたコーラルは前線から退いていても直ぐに体勢を立て直す。
「くっ、あいつから始末しろ!!」
「よし、こっちに来い」
コーラルと部下の "グレイズ" が三日月のバルバトスを狙いに定めシャトルから離れる。
それを見てニヤリとオルクスは笑う。
「クックック、モビルスーツ隊は敵に釣られたか。よし、こちらで船を沈めるぞ。コーラルに恩を売るいい機会だ!」
ドカドカと民間用シャトルからしたらオーバーキル気味な砲弾を打ち出す。
「引導を渡してや…… んなぁっ!!?」
「無駄ダ」
だが、その砲弾全てはミカエラのアンドロマリウスから射出されたウィングブレードが全て弾き飛ばした。
さらに今度は船内に衝撃が走る。
「な、何が起きたァ!?」
「ほ、砲門が全て破壊されています!! というか次々船体にダメージが!」
スラスターを稼働させ、オルクスの船全体を縦横無尽にかけまわりオルクスの船を少しずつ破壊していく。
そして推進部をレール砲で破壊し、完全に動きを停止させた。
『死ね』
短くミカエラは言葉を紡ぎ、ブリッジ全体にウィングブレード全てを突き刺す。
ウィングブレードの餌食になった艦は小爆発を起こし、オルクスやほかの船員諸共爆散するという呆気ない幕引きであった。
「次はアッチだナァ」
三日月が気を引いているコーラルたちのMS隊の後方にいるギャラルホルンの戦艦へ狙いを定める。
歳星にて登場するアンドロマリウスの新装備案
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近接攻撃型
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遠距離砲撃型
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電撃強襲型
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強行偵察型