機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ IF   作:タロ芋

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遅くなっちゃった★
すまねぇ、すまねぇ・・・ だけど今回は長めだから許してくれー!


拾参

 突然の停船信号により、作業が中断された為にミカエラは事の理由を聞こうとブリッジに入り込んだ瞬間。

 

『人の船を勝手に乗り回しやがって!! この泥棒ネズミどもがァ!』

 

 なにやらモニターにでかでかと映りこんだ中年の親父がギャンギャンと喚き散らし、やれ俺の船だの、やれ良くも俺の会社を乗っ取りやがってとかあーだこーだうるさく、ミカエラは顔を顰め近くにいたダンジへと声をかける。

 

「あのおじさん何者デス?」

 

「あー、CGSの頃の社長っていいますかー……なんというかー…… まぁそんな感じっす」

 

「なるほどデス」

 

「ナルホドナ! ナルホドナ!」

 

 胸元に抱いてたハロが続く中で、前CGS社長マルバ・アーケイとそれの相手をしているユージンが怒鳴るのをBGMにして、ビスケットがフミタンへLCS(エイハブウェーブ下でも使用可能な短距離レーザーシステム)の解析を頼む。

 

「方位180度、距離6200…… 相対速度ほぼ一致しています」

 

「不味いな…… 完全に後ろを取られている」

 

「嘘だろ? エイハブウェーブの反応はなかったぞ?」

 

「いったいどうやって……?」

 

「そういうのが上手いってことは…… きっと面倒な艇なんだろうね」

 

「ですねェ。お相手さんは多分場馴れしてマス」

 

 ザワつくブリッジ内で、ミカエラは久方の手応えのありそうな敵と相対する事実に少しだけ声を弾ませる中でモニターの向こう側でヒートアップしたマルバの怒鳴り声を中断させ、別の男の声が聞こえてきた。

 

『ガキども聞いてんのか!? 船を止めろ! 今なら楽にぶっ殺し───

 

『ちょっとどいとけおっさん』

 

 モニターには白いスーツを着こなし、長い黒髪をたなびかせた美形の男が映っていた。

 

『さっきからさっぱり話が進んでねぇ。欠伸が出るぜ…… なぁ?』

 

 男の問いかけにオルガは眉をひそめながら名を尋ねる。

 

『俺? 俺は"名瀬・タービン"だ。"タービンズ"っていう組織の代表を努めさせてもらっている」

 

『俺は鉄華団の代表、オルガ・イツカだ』

 

「何が鉄華団だ! コノヤロウ!」

 

 モニター越しに映る若い少年、オルガを見ながら椅子に座り名瀬は余裕を崩さずに続ける。

 

「このマルバ・アーケイとは前に仕事上の付き合いがあってなあ…… んで、たまたま火星に立ち寄って久々に再開したんだが、えらいボロボロでよう。 話を聞けばギャラルホルンと揉めて困ってるって言うじゃねぇか。

 んで、俺らのところなら奴らが手出しを出来ないようにもしてやれるってもんで力をかそうか? って話になってたんだが…………』

 

「"俺ら"……?」

 

 オルガの疑問にビスケットは端末に情報を写し、それを彼へとみせて説明を行う。

 

「タービンズってのは"テイワズ"直参の組織だよ」

 

「なに?」

 

「組織の規模はまだ小さいけど…… あの名瀬って男はテイワズのトップ"マクマード・バリストン"と親子の盃を交わしてるんだ」

 

「そりゃ大物だな」

 

「最悪の展開だよこれは…… テイワズまで敵に回せばお終いだ!」

 

 思わず天を仰ぎみるようにビスケットは声を上げ、頭を抱えてしまう。

 

(へぇ……)

 

 二人の会話を後ろから聞き、その情報にますますミカエラは笑みを強くする。 話が本当ならば彼の持つ戦力はそれなりの物だろう。ならば、歯ごたえはかなりあることになる。

 今にも飛び出しかねない昂りを抑え、ミカエラは仮の飼い主とはいえ、オルガの命令が出るまでは我慢をするべきと思いそこに留まる。 どうせ直ぐに彼は命令するだろう。 なら、その時まで極上の御馳走をありつけるならいくらでも待とうではないか。

 

「…………」

 

「……オルガ?」

 

 ほら、来た。

 

「いや、これはチャンスだ。 俺たちだってテイワズの後ろ盾は欲しかったんだ…… その足がかりをマルバが連れてきてくれたんだぜ?」

 

『おいおい、俺と話してる時にコソコソやんな。 男同士で仲良いなぁお前ら』

 

「おっと、すまねぇな続けてくれ」

 

 男同志の腹の探り合いは続き、オルガはふと呟いた三日月の言葉に決めの一手を放つ。

 

「さっき言った通りだ。 あんたの要求は飲めない…… アンタの道理がどうだろうと、俺たちにも通さなきゃいけない筋がある」

 

『それは…… 俺たちと殺り合うって意味でいいんだよな?』

 

「ああ。俺たちがただのガキじゃねぇってことを教えてやるよ…… マルバァ、テメェにも死んで行った仲間のケジメきっちり付けさせてもらうぞ!」

 

 オルガの声に名瀬は眉をひそめ、軽くドスの聞かせた声色で言い放った。

 

『お前ら、生意気の代償は高くつくぞ?』

 

 名瀬はそれを最後に通信を切る。

 '強襲装甲艦ハンマーヘッド"のブリッジ内、名瀬・タービンは先程までのやり取りに苦い笑みを浮かべ傍に控えていた愛する妻"アミダ・アルカ"へ顔を向ける。

 

「悪ぃアミダ、こうなっちまった」

 

「やんちゃする子供を叱ってやるのも大人の役目だよ」

 

「ほんと、いい女だよお前は……」

 

 その言葉にアミダは笑い、テキパキと指示を出す中でそっと名瀬へとそっと耳打ちする。

 

「名瀬、あの中でずっと笑ってた黒髪のお嬢ちゃんがいるだろう?」

 

「ああ、偉く整った嬢ちゃんだったがそれがどうしたんだ?」

 

「あの子、多分あたしと同じかそれ以上のやり手さ。 あんまり気を抜けないかもしれないよ」

 

「オイオイ、そいつはまじかアミダ?」

 

「フフッ、なんて顔をすんだい名瀬。 あんたの惚れた女が死ぬとでも思ってんのかい?」

 

「いいや、まさかさ」

 

「そうかい。じゃあ行ってくるよ名瀬」

 

「おう、気ぃつけろよアミダ」

 

 アミダはそう言い、背後にいた女"アジー・グルミン"に振り返る。

 

「アジー。私と出てもらうよ」

 

「はい、いつでも」

 

 テイワズ最強のコンビに勝利をもぎ取ることをできたものは一人もいない。

 いつも通りと勝利を予想し、名瀬はほくそ笑む。

 だが、それすら噛み砕き咀嚼する蛇の悪魔に通用するかは分からないだろう。

 

 

 

「慎重にって言ったじゃないか! 交渉の余地はあったはずだ!」

 

「分かってるけどな、通すと決めた筋は曲げられねぇよ」

 

 オルガはビスケットに端末を返すと、艦長席から立ち上がり周りへ声を上げる。

 

「敵艦にケツをとられちゃいるが、鉄華団の力を見せつけるにはむしろ好都合だよなお前ら?」

 

「当たりめぇだろ!」「おう、目にもの見せてやろうぜ!」

 

「テイワズとの渡りをつける千載一遇のチャンス、ものにすんぞ!」

 

『おぉ!』

 

「エイハブウェーブの反応確認! 敵艦加速して距離を詰めてくる!」

 

 チャドの報告に船内は慌ただしくなり、戦闘準備を行っていく。

 

「よし! ブリッジ収納! 速度は維持して180度回頭、砲撃戦に備えろ!」

 

「了解! ブリッジ収納!!」

 

 新たな戦いが始まり、ついにミカエラは弧を描いて歪な笑みを作る。

 

「昭弘、出てくれるか?」

 

『ああ、任せろ!』

 

「ミカァ! 頼むぜ!!」

 

「勿論」

 

「シノも準備してくれ!」

 

「おうよ待ってました!」

 

「ミカエラ! お前も行けるか?」

 

「アハァ、いつでも準備万端ですヨォ? ウフフ、堪らないですヨネェ。 強そうでしたネェ、楽しめそうデスゥ〜」

 

 漸くきた指示にミカエラは歌い出しかねないほど嬉しそうに答え、三日月のあとを追うように床を蹴る。

 

 

 

 モビルスーツ格納デッキにて、捕虜であるはずの男クランク・ゼントはノーマルスーツを身にまとっていた。

 既に"グレイズ改"は準備しておりそのコクピットに昭弘が吸い込まれていく。

 その隣にはいくつか損傷は残っているが、宇宙仕様に換装とミカエラの手である程度改修の施された"グレイズ改弍型"を見上げてクランクは息を吐いた。

 

 使えるものはなんでも使うというミカエラの指示の元、一時的に自由になったクランクはこうして臨時の戦力として数えられていた。

 

「『なすべきことを為せ』……か」

 

 つい先程、ミカエラに言われたセリフを呟きクランクは眉をひそめた。

 かつては大義を持ってギャラルホルンに入り、がむしゃらに進んでいた。だが、信じるべき正義を失い、守るべき子供を手にかけようとし、結局は全てを失った。

 たが、こうして生きている自分はなんなのだ? と思ってしまう。

 だが、こうして鉄華団の少年たちと接し彼らの過酷な環境や境遇を知り、己の浅はかさを思い知らされ、クランクは改めて覚悟を決めた。

 

 せめて、この捨てそこなった命を彼らのために使おうと。

 

「……もう一度、俺に力を貸してくれ」

 

 クランクはそう言うと己の機体を見つめ、そのコクピットへと入る。

 

「クランク・ゼント…… "グレイズ改弍型"出るぞ!!」

 

 カタパルトデッキからクランクの駆る"グレイズ改弍型"が射出されていく。

 その次は"アンドロマリウス"の番で、最後に三日月という順番だ。

 

「〜♪」

 

 抱いてたハロをコクピット内のデバイスへと接続し、続けてヘルメットを被る。

 一瞬だけ視界が真っ暗になるが、すぐにバイザー兼ディスプレイが起動され全方位ディスプレイのようになった。

 

 ミカエラは愛機のコクピットで歌を口ずさみ、出撃のときを待つ。

 そして、ディスプレイの前方にオペレーターのフミタンが表示される。

 

『発射スタンバイ、どうぞ』

 

「はぁい、雪之丞さァン」

 

『おう! 次は"アンドロマリウス"だ! 下ぁ気をつけろよ!』

 

 ガコン、と音を当てて作業用クレーンが”グレイズ"の左腕を移植させた”アンドロマリウス"を降下させ、カタパルトへと機体を横たわさせる。

 

『エアロック作動。カタパルト、ハッチ開放します』

 

 前方のハッチが解放していく。

 広大な宇宙空間の中で一つの光点を発見し、それが敵艦"ハンマーヘッド"だと分かる。

 下の部分で発進用レールが伸びていき、やがてロックされた。

 

『カタパルトスタンバイ。いつでもどうぞ』

 

「わかりましたタァ。 ……"ガンダムアンドロマリウス"ミカエラ・カイエル、敵を鏖殺しまァス!」

 

 加速による凄まじいG、勢いから"アンドロマリウス"が”イサリビ”からはじき出される。

 飛び出した”アンドロマリウス”に続き、イサリビの傍にいたミカエラが奪ったハーフビーク級のカタパルト内から飛行形態の"リベルタスパッケージ"が射出された。

 ミカエラは慣れた手つきで”アンドロマリウス”の背部へと”リベルタスパッケージ”を接続させ、センサー指示の下で先行していた2機の後を追う。

 

 本来であれば、昭弘の駆る”グレイズ改”だけだったが地上と宇宙でかなりの数の”グレイズ”を鹵獲したため、新たにクランク用に用意することが出来たのだ。

 昭弘だけでは心配があったために、その補佐として経験豊富なのと頭数確保に起用した。

 

『来たか』

 

「ハァイ、どうも〜。 ミカエラですヨォ?」

 

 昭弘とミカエラは面識がなかったため、こうして会話を行うのは初めてだった。

 やがて”バルバトス”も発進し、青い光を纏いながらこちらと合流を行った。

 武装は無骨なメイス、背部のサブアームから伸ばされた滑腔砲を構えて”アンドロマリウス”と”バルバトス”は距離をとる。

 

『お待たせ』

 

『ハッ、待っちゃいねぇよ』

 

『敵が来るぞ!』

 

 センサーが敵機を捉え、ディスプレイに望遠映像に2機のMS表示される。

 2機のMS”百錬”、厄祭戦後期に開発予定だったモビルスーツ・フレームを参考にテイワズが独自に開発した機体だが、今この時にはどうでもいいだろう。

 

「えーと、じゃあ敵には近づきすぎずお願いしマス。接近戦は不利ですからネ。 それと、昭弘さんはクランクさんがサポートに着きますから」

 

『ああ、分かった』

 

『うん』

 

『承知した』

 

 三者三様の返答に頷き、ミカエラは僅かに微笑む。

 手持ちのライフルを撃ちながら迫る青い”百錬”に”アンドロマリウス”の大型レールキャノンと折りたたみ式レールガンを発射。 あえて狙いは付けず牽制目的の乱射だ。

 レールキャノンの砲弾は当たらなかったが、レールガンが幾つか当たることにより接近を諦めた青い百錬へ、狙いを定めてレールキャノンを放とうとする。 だが、その直後に赤い”百錬”が援護を行いその邪魔をする。

 

「チッ!!」

 

 見事な連携に、堪らず舌を打つ。

 人数差があっても、こっちの練度はあまりない為に連携はとれず、”リベルタスアンドロマリウス”も機体コンセプト敵には多対1を想定しているため、数の有利を活かせていない。

 

「3人は牽制のためにそのまま弾幕を維持、私は赤い方を相手しマス!」

 

 3人にそう告げ、返答も待たずミカエラは赤い百錬へと突貫する。

 

『おやおや、アンタが私の相手かい!』

 

「アハハハァッ!!」

 

 リアアーマーから”グレイズ”のバトルアックスを取り出し、赤い百錬もブレードを装備し武器同士がぶつかり合う。

 

『ッ! 随分と力持ちだねぇ!』

 

「砕けちゃいなよ!!」

 

 トリプルリアクターからなる大出力に堪らず”百錬”はマトモにぶつかり合うことを避け、攻撃をいなしていく。

 ミカエラは蹴りやレールガンの射撃を織り交ぜて赤い“百錬”を攻め立てるが、敵側もそれをかわしながら攻撃を行う。

 

『姐さん!!』

 

『行かせるかよ!』

 

『クッ!』

 

 アジーが援護を行おうとするが、3機の弾幕にたまらず近づくことを断念する。

 

「ハハッ、アハハハハハハッ!! 貴方強いですね!? でも、でもでもでもぉ! この子と私に勝てるわけないでしょオ!!」

 

 2本のウィングブレードが射出され、蛇のようにうねりながらその切っ先を赤い”百錬”へ向けて突き進む。

 

『甘いよ!!』

 

「アァん、連れませんよネェ!!」

 

 当たる瞬間にブレードでウィングブレードを弾き、もう一本もライフルを乱射して動きを停めさせた。

 2人の戦いが白熱する中で、鉄華団側のMSに通信が入る。

 

『”イサリビ”が敵MSの攻撃を受けています。援護を』

 

『ッ、もう一機いたのか!』

 

『三日月ィ!』

 

 一瞬、攻撃を受ける”イサリビ”に気を取られて機動が緩む”バルバトス”。その一瞬の隙青い方の”百錬”は見逃さなかった

 

 だが、それを昭弘の”グレイズ改”が”バルバトス”の腕を引っ張ることで”百錬”の射線からはずし、そこをすかさず”クランク改弍型”が攻める。

 

『悪い昭弘、前のやつ任せていい?』

 

『ッ、ああ任せろ!!』

 

『すぐ戻る』

 

 そう言い残し”バルバトス”を”イサリビ”へと向かわせる。

 クランクもついて行こうと思ったが、昭弘だけだと心配なために残ることにした。

 

『くっ、なかなかやる! ……うっ!?』

 

 足の止まった青い”百錬”に昭弘機の射撃が命中。 着弾により敵機がよろめく。

 

『ここは俺らが任された!』

 

『行かせはせんぞ!』

 

 その時、視界の端が白く染められる。

 何事かと確認をすると、スモークを拡散し反転した”イサリビ”が突っ込んでいく様子だった。

 恐らくはオルガらが敵艦に乗り込み、名瀬・タービンと話をつけるための策だろう。

 

 そして、母艦から離されつつあることに気がついた2機は戦うことを中断させ、追おうとする。

 

「グッ!? 逃げるナァ!!」

 

『うぉぉおお!!』

 

『ッ、待て昭弘!! 迂闊に突っ込むんじゃない!』

 

 クランクは昭弘を諌めようとするが、既に青い”百錬”へ突っ込んでいってしまう。

 昭弘は”グレイズ改”のバトルアックスを振り下ろし、青い”百錬”はブレードで受け止め、その刀身にバトルアックスの刃がめり込む。だが、逆に振り払われてしまい武装の失った昭弘機は殴り飛ばされる。

 

『クソォ! 俺は!!』

 

 昭弘は三日月を認めている。

 その三日月に任された。 その言葉の重さは第三者には分からないだろう。

 クランク援護を行おうとするが、ミカエラを振り払った赤い”百錬”がタイミング悪くこちら側へと来てしまった。

 それにより、牽制のために動きを停めざるおえなくなり、弾も消費されていく。

 

『クッ、弾が!』

 

 引き金を引いてもライフルからは弾丸は発射されることはなく、その時には合流した赤い”百錬”へ昭弘の”グレイズ改”が飛びかかり装甲をぶつけ合い、頭部を殴りつけようとする。

 だが、その腕は敵機のライフルの銃床で打ち据えられ砕けてしまう。

 

「このぉ!!」

 

 ミカエラは昭弘機諸共照準に収め、引き金を引く。だが、レールキャノンからではなくサイドアーマーのレールガンから弾丸が発射される。

 それらは昭弘機や敵機にも当たってしまうが、怯ませ距離を離すことには成功した。

 

「逃がすとでモォ!?」

 

 叫び、ガシュン!! とレールキャノンが伸びる。

 

「アハァ! 壊れちゃエ!!」

 

 砲弾が発射され、逃げようとしていた赤い”百錬”の軌道を先読みし、偏差撃ちを行う。

 赤い機体は狙い通りの起動を辿り、そして撃ち出された砲弾は右脚部の膝関節と左マニュピレーターを砕く。

 

『キャァァァアッ!!?』

 

『姐さん!!?』

 

「アハハハハハハッ! 愉快な鉄塊(オブジェ)にしてあげる!?」

 

 バランスを崩し、制御を失った赤い”百錬”は錐揉みを始めその瞬間を逃さずにミカエラは”アンドロマリウス”を急接近させ、ウィングブレードで四肢を突き刺し胸部装甲を右腕で掴む。

 

BON(ボン)♪」

 

 掌底部分が青い燐光を放ち、その光が発射される。

 瞬間、

 

『やらせるかァ!!』

 

『行かせるかよッ! ぐぁ!?』

 

『邪魔だァ!!』

 

 青い”百錬”が”グレイズ改”を引き剥がし、今にも攻撃を放とうとしていた”アンドロマリウス”へと加速を殺さずに突っ込む。

 

「キャァァア!!? このッ、許せない許せない許せない許せない許せないユルセナイィィイ!!!」

 

『アジー!? すまないねぇ!』

 

『いえ、大丈夫ですか姐さん?』

 

『何とかね……』

 

 意識外からの攻撃に避けられず、”アンドロマリウス”は弾き飛ばされ激しい揺れに襲われるコクピット内でミカエラはアジーの駆る”百錬”に向けて怨嗟の声を漏らす。

 

「後悔させてあげル!!」

 

『ブッコロス! ブッコロス!』

 

 動けない赤い機体を無視し、青い機体へウィングブレードを全て射出する。

 

『なっ!?』

 

「切り刻まれちゃないヨ!!」

 

 ”百錬”は何とかブレードをかわしていこうとするが、死角からの刺突や絶え間ない連撃にジワジワとその装甲に傷を作っていき、最初にライフル、次にブレードといった武装を破壊されるといたぶるようにスラスターを削り取っていった。

 

「ンフフフッ! 貴方がいけないんですヨォ? 私の邪魔をしちゃうかラァ!!!」

 

『グッ…… 動け!!』

 

「アハハァ、無駄無駄無駄ァ!」

 

『ッ! アジー!!』

 

 動けないように四肢にブレードのワイヤーを巻き付け、”アンドロマリウス”がゆっくりと”百錬”へと近づく。

 そして、今度こそ終わりとばかりに胸部装甲に右腕部の掌底部を触れさせる。

 

「綺麗なお花を咲かせてあげルゥ!」

 

『ッ─────!!』

 

 相手のパイロットが息を飲み、青い光が放たれようと今か今かと輝きを強めた瞬間にその動きは止まってしまう。

 

『全機、戦闘を中止して帰投してください。タービンズとの停戦が成立しました』

 

「…………チッ!!!」

 

 通信越しに聞こえるフミタンの声にミカエラは盛大に舌を打ち、青い”百錬”の拘束を解くと機体を反転させスラスターを吹かすと昭弘とクランクと合流し”イサリビ”へ3つの軌跡を作り、消えていった。

 

「ふぅ…… こっぴどくやられたねぇ。 そう思わないかい、アジー?」

 

『えぇ…… まさかここまで強いとは思いませんでした。 あの翼付き、かなりの腕でした』

 

「まさか私ら2人がかりで傷1つ付けられないとはねぇ…… 」

 

 その光を動けない機体のコクピットから見送り、アミダとアジーの2人はミカエラの駆る”アンドロマリウス”の事を話していた。

 すると、程なくしてそれなりにボロボロのラフタの乗る”百里”が2機の元へやってきた。

 

『うわ、どうしたの2人とも!? すんごいボロッボロじゃない! アジーならまだしも姐さんまで!』

 

『ラフタ、一言余計。 仕方ないだろう、相手が上手だったんだ』

 

「そうだねぇ、通信があと一歩遅かったら私ら死んでたよ」

 

『うひゃあ…… 間一髪ってやつかぁ…… じゃあ2人とも捕まって!』

 

 ”百里”のバックパック部分に損傷の激しい2機の”百錬”を載せると、スラスターから勢いよく推進剤を吐き出し”ハンマーヘッド”へと帰還する。




ハイ、安定のミカエラちゃん無双ですね!
だって仕方ないよねー、厄祭戦でMAとドンパチやり合って、オリジナル阿頼耶識もちでアグニカと同じ姓を持ってるんだから。
それじゃ、感想や誤字脱字の報告をお待ちしてまーす。
感想くれ(懇願)


〜機体解説〜
・グレイズ改弍型

型式番号:EB-06tcⅡ

全高:17.8m

本体重量:32.5t

動力源:エイハブリアクター

武装:グレイズとほぼ同じ

パイロット:クランク・ゼント

・ミカエラ・カイエルが鹵獲したグレイズを改修した機体。
背部にはグレイズ改と同様の大型スラスターに変え、更にシュバルベ同様に各部分にスラスターと姿勢制御バーニアを取り付けられているが、OSをミカエラが独自なものに変更したためにシュバルベ以上に操作性は向上しており、クランクが登場しても通常のグレイズと同様に操作することを可能としている。

歳星にて登場するアンドロマリウスの新装備案

  • 近接攻撃型
  • 遠距離砲撃型
  • 電撃強襲型
  • 強行偵察型
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