最強になりたい(小並感   作:ちくわぐみ

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第一話

 ハジメから聞いた話をさらに要約するとこういう事だった。

 

 ・この世界はトータスと呼ばれている。

 ・トータスには大きく分けて人間族、魔人族、亜人族の三種族がいる。

 ・魔人族と人間族は何百年も戦争している。

 ・魔人族は数は少ないが、個々の力で人間族を上回っている。

 ・最近、魔人族が魔物を使役できるようになって人間族がピンチ。

 ・仕方がないから神様が俺たちを勇者として召喚した。

 ・この説明をガン無視してメイドさんと話をしていたため、俺は教皇に目をつけられたらしい。

 

 マジでファンタジーだな……。なお、教皇に目をつけられた件は移動する前に、こちらをガン見してきたので若干察していたため、ショックは少ない。ごめんね、イシュタル。悪気はなかったんだ、許してくれ。と心の中で思う事で切り替える。よし!ちゃんと(心の中で)謝ったし、これ以上は気にしないでおこう!

 

 というか、美少女メイドと話していたおかげで、クラスの男子達から気にくわない対象として目をつけられたらしいのだ。心の狭い奴らめ!そんなんだからモテないんだ!まあ俺も女子にモテたことなんてないがな。女子の友達は一応いるが、一風変わったなんて言葉が生ぬるい奴ばかりだからなぁ。可愛くて常識的な彼女が欲しい(切実

 

 それはそうとして、俺たちは今俺たちが召喚された聖協会本部のある【神山】のお膝元、ハイリヒ王国の王宮に来ていた。なぜかというと、いくら規格外の才能があるとはいえ、先ほどまで平和ボケしきったただの日本の高校生だったのだ。いきなり魔人族などと戦えるわけがない。そのため、戦うための訓練が必要なのだ。その受け入れを希望した国は多かったようだが、神山のお膝元ということもあり、ハイリヒ王国に白羽の矢が立ったのだ。

 

 その王宮内ですれ違う人々は、皆畏怖の表情を浮かべてこちらを見てくる。既に俺たちの情報が出回っているのだろうか?とにかく、居心地の悪さを感じながら、王座の間へと移動した。

 

 細やかな細工のなされた巨大な両開きの扉の前までやって来た。イシュタルが勇者がやってきた旨を伝えるや否や、返事も待たずにその扉を開け放った。

 

 その中には王と思わしき初老の老人が立ったまま待っていた。その隣には王妃らしき女性。さらにその隣には一四、五歳ほどの王女らしき少女と、十歳ほどの王子らしき少年が控えていた。そして、部屋の両側には、右に騎士らしき者が、左には文官らしき者達がズラリと30人ほど並んでいた。

 

 イシュタルはレッドカーペットの上をズカズカと王らしき人物に向かって歩いて行くと彼に向かって手を差し出した。すると彼は恭しげに軽くその手にキスをした。これを見る限り、神の権力は王よりも上のようだ。

 

 そこからは自己紹介が始まった。国王の名はエリヒド・S・B・ハイリヒのいい、王妃はルルアリア、王子はランデル、王女はリリアーナというそうだ。その後は高い地位にいる者達の名前が紹介されていたが、正直覚えていない。みんな名前がクソ長いのが悪い。

 

 その後、晩餐会が行われたが、正直弁当の方が美味かった。それが終わると、一人一人に用意された個室に案内された。ベッドが天蓋付きのものだったことが印象的だった。なんで天蓋付きベッドなんだよ。乙女の寝室か。しかし、色々あったため疲れていたのか、自然とまぶたが落ちてきて、俺は夢の世界へと旅だった。

 

 

 

 

 

 

 翌日から訓練は始まった。起きてきて集まった生徒にまず一二センチ×七センチくらいの銀色の板が配られた。騎士団長メルド・ロギンスが言うにはこれはステータスプレートというらしい。アーチファクトという現在の技術力じゃ再現できない魔法の道具の一つであり、自分のステータスを客観的に数値化してみることができるようだ。さらに身分証明証にもなるらしい。なにこれすげぇ便利。使い方は魔法陣に血を垂らせばいいらしい

 

 とにかく使ってみないことには実感がわかないので、早速血をなすりつけてみるとみると、文字が浮かんできた。

 

 

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竹下遥 17歳 男 レベル:1

天職‥付与師

筋力‥8

体力‥10

耐性‥2

敏捷‥15

魔力‥2000

魔耐‥10

技能‥付与・言語理解

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 まさにゲームのような表示にテンションが上がる。メルド団長からの説明によるとレベルの上限が100でステータスは鍛錬やレベルの上昇、魔力による一時的な増強などによって高くなるようだ。そして技能は端的に言うとスキルで、天職は持ち主の一番高い才能らしい。ちなみにこの世界の一般的なステータスはレベル1でオール10くらいらしい。それを聞き、俺は内心焦っていた。

 

(あれ?俺の耐性低すぎ!?魔力はアホみたいに高いが、耐性は一般人の5分の1だぞ!?こんなんで本当にやっていけるのか?)

 

 隣を見ると、ハジメが同じように冷や汗をかいていた。俺たちはお互いにステータスプレートを見せ合った。すると、ハジメのプレートにはこう書かれていた。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

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 ハジメは、最後の希望を失ったかのような絶望した表情をして崩れ落ちた。正直これは哀れすぎる。ちなみにステータスが一番高い天之河のステータスはこれだった。

 

 

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天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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 まさに王道勇者といった感じだろう。俺のようなえげつないほどの特化型と違い、とてもバランスのとれたチート野郎といった印象を受けた。ハジメは恨みの念を感じる視線を向けてくる。

 

「同類だと思ってすまん……。ここまで酷いとは思わなかったんだ……」

「お願いだからこれ以上傷をえぐらないで……」

「とにかく元気出せよ?きっといいことあるさ……多分」

「月並みな上に断言して欲しかったよっ!それに遥は俺TUEEEE出来そうなほど魔力があるじゃん!それに比べて僕は……」

 

 いかん、ものすごく卑屈になっている。どうやって慰めたら……。そう思案しているとメルド団長がこちらにやってきた。どうやらハジメが報告する順番になったようだ。今まで規格外なステータスばかりだったのか、ホクホクした表情でハジメのステータスプレートを受け取った瞬間に笑顔が固まった。

 

 見間違いではないか確認するかのように、プレートをコツコツと叩いたり、指でこすったり、光に透かしていたりしていたが、間違いでないとわかると、ものすごく微妙そうにステータスプレートをハジメに返して歯切れが悪そうに錬成師の説明を始めた。

 

「ああ、その、なんだ。錬成師っていうのは鍛治師のことだ。鍛治をするときに便利だとか……」

 

 その様子に、ハジメのことを気にくわない男子達が食いついてきた。

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か?鍛治職でどうやって戦うんだよ?メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

「おいおい、南雲〜。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

 檜山がウザ〜い感じでハジメに絡んできたので、無視してハジメを慰める

 

「そんなに気を落とすなよ。錬成とかめちゃくちゃ心くすぐられるじゃん。きっと極めたら鋼の○金術師みたいにパンッ!ドンッ!みたいな感じで錬成出来るようになるさ。だから大丈夫だって。な?」

「……確かにそれはカッコいいかも」

「無視すんじゃねぇ!」

 

 チッ。せっかくハジメの機嫌が直ってきたというのに。

 

「なんだよ学校内将来禿げそうランキング1位さん。なんか用?」

「話聞いてなかったのかよ!というか、学校内将来禿げそうランキング1位ってなんでなんだよ!」

「あまりにウザい話し方だったからつい。そしてなんで1位かっていうと、遺伝としか言いようがない」

「くっ」

 

 絡んだことも忘れ、檜山は涙目になりながら睨んでくる。前にこいつが絡んでくるのがウザすぎたので、弱みを握ろうと身辺を調べたところ、こいつの家系は代々禿げの家系だったのだ。父方の家系も、母方の家系も、遡れるだけ遡ってみたが、どこまでいっても男が禿げだった。これで禿げないというのはあまりに希望的観測すぎるだろう。

 

「こらーっ!何してるんですか!喧嘩は先生許しませんよ!」

「先生、喧嘩じゃないです。彼の家系の髪の薄さについて語り合ってただけです」

「それは……その……すみませんでした……」

「くっ」

 

 そうやって檜山の頭部を弄っていると、畑山愛子先生という、学校内のマスコットキャラクターと化した可愛らしい先生が喧嘩と間違えてやって来たが、彼の頭部についての話だとわかると、デリケートな話題なのだと考え、すごすごと帰っていった。彼女も懇談などで彼の父親に会い、その髪の薄さを知っているため、こういった反応になったのだと考えられる。檜山は既にほとんど泣いている。

 

「……訓練、初めていいか?」

 

 メルド団長の冷静な声を聞き、やっと会話が終了した。




不定期ながらも、投稿間隔は大体一週間ぐらいです。大体だから!大幅に遅れても大体なのでおkだから!
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