バディファイト@サイバーダイバーズ メモリーサーバ 作:辻 逆月
雨中の始まり
強い雨が降りしきる4月の夜中。
N&Cアンダーズの店長、下田辰馬と山井プラグは傘を差して歩いていた。
辰馬「すっかり遅くなっちまった…。企業サーバだぞ、ウイルスがあんなにとりつくなんざおかしいだろ。」
プラグ「多分、ハッカーが遊びのつもりでやったんだ。ウイルスの出処はクレームメールだった、メールはCBSN内から送られてたから送り主をすぐ特定できたし後は警察が上手くやってくれる。」
辰馬とプラグはある企業の依頼でサーバ障害の原因を探っていた。
そのサーバの障害の原因はウイルス感染が原因だった為、ウイルス駆除と対策プログラムの構築、更に感染源の特定と警察への報告に追われ、夕方には終わるはずだった依頼は深夜まで続くこととなり、今帰宅である。
プラグ「…お嬢はもう寝てるか。」
辰馬「いや、デッキ作りかCBSNかFPSだろ。」
プラグ「だよな、……ん?」
辰馬「どうした?」
プラグの目は路地裏の方に向かう。
暗闇で何かが倒れた音がした。
プラグ「誰かそこに居るのか?」
プラグが何かに声をかけ、辰馬は何かに近づく。
プラグ「おい、辰馬!」
辰馬「……。」
辰馬は何かを抱え…ようとしたが手放した。
プラグ「…何だ、それ?」
辰馬「男だ、…全裸の。」
プラグ「…通報するか?」
辰馬「……いや、今日はもう警察を見たくない。また同じ質問をされるのは面倒だ。」
プラグ「じゃあどこに、ってちょい待て!まさかお前。」
プラグは露骨に嫌な顔をする。
辰馬「うちに連れて帰る。」
プラグ「冗談…じゃないな、お前冗談苦手だもんな。」
辰馬「ああ、俺の機材持ってくれ。コイツと傘は俺が持つ。」
辰馬は持っていた機材をプラグに渡すと、右腕で全裸の男を持ち上げ受け取った傘を開く。
プラグ「お前の筋肉が役に立ったな。」
辰馬「お前も鍛え直すか?」
プラグ「いやー、遠慮しとく。」
N&Cアンダーズ
プラグ「コイツは俺が起こすから、辰馬は先にシャワー浴びとけ。」
辰馬「そうさせてもらう。」
辰馬はシャワールームに向かい、プラグは男にバスタオルをかけ頬を弱めに叩く
プラグ「おーい、起きろー。」
すると男は直ぐに目を覚ました。
全裸「……、んご?」
プラグ「起きたか。お前なんであんな所で倒れてたんだよ、しかも全裸で。」
全裸「…自分…のこと…か?」
プラグ「そうだよ、追い剥ぎにでもやられたか?」
全裸「…分からん。」
プラグ「?何でだ。」
全裸「自分は、誰だ…?」
プラグ「はぁ!?」
雨の降る池袋で倒れていた男。
アンダーズに保護された彼は記憶を、自分の存在を無くしていた。
男が『自分』を得るのは少し先の話。
今回はここまで、男はどんな自分を持つのか乞うご期待…?ッス