ガーリー・エアフォースX2 ~蒼き鷹と灰の竜姫~   作:零八式

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最近ガリフォ二次創作増えてきましたね。喜ばしい限りなので初投稿です。


17話 少女たちの思い出

 知ってるか? この世界のアニマは三種類に分けられる。

 

 ザイのコアから培養されたもの。

 

 その技術を応用してアニマの体に人間の記憶を移植したもの。

 

 反対に人間側を薬物などで強化し、アニマと同等の能力を後天的に付与させたもの。

 

 この三つだ。

 

 最初の二つは俺の望む異端者(イレギュラー)たり得なかった。三つめは今試してるところだ。

 

 唯一望みのあった鳴谷慧と言う一人の少年と少しばかり特異なアニマ、グリペンの組み合わせや、生き残ったアニマの活躍で確かに世界は一度ザイのいない世界になった。

 

 だが、それだけだ。

 

 ザイとの戦いが終わったと思えば、国と国とのいがみ合いと言い、己の利益の勘定しかしない豚どもと言い、人間の本質が変わった訳ではない。結局、人類に可能性を見出すことは出来ても、その証明は誰も出せないままでいた。

 その結果、先延ばしにされたとは言え歴史は繰り返され、再びザイやアニマは生まれてしまった。

 こうしてまた無限ループが始まった訳なんだが、それでも人類を信じた集団、俺達未来人の革新派は事を起こした。人間側に技術力があれば少しくらいマシな歴史になるだろうと、様々な時代に飛んでは歴史を破壊しない程度に未来の技術を横流しにしてやった。結果はまぁ見ての通り、本来あるべきだった歴史よりは局所的に技術が進化した世界になった。

 

 考えてもみろよ、例えばこの歴史だと今から40年前にヨーロッパ、いや、当時はオーレリア連合国群だったか? そのオーレリア戦争で光学迷彩付きの飛行機や巨大飛空艇が幅を利かせてるってどーよ? 本来の歴史なら世間じゃブラウン管のフルカラーテレビが出て丁度10年くらいだぞ? 液晶パネルなんてある訳がない、ましてやその応用理論も。パリに突っ立ってるグリフィスウォールなんかいい例だ、40年以上前から対空レーザー兵器があったんだぞ、あの国は。 

 

 まぁ、無駄だったんだよお前らの選択は、とは俺も言いたくはない。これでも一児の父親なんでね、子供の頑張りや葛藤は理解してるつもりだし、まぁ、人類自体も多少は良くやった、と褒めてやっても良い。結果がどうであれ、あそこだけだからな、一度無限ループを潜り抜けてザイの誕生を先延ばしにしたのは。

 

 だからこそ、俺は、俺達は探し続ける。

 

 人類の持つ『可能性』の証明方法を。

 

 来る日も、来る日も、探し求め続ける。

 

 世界を変える異端者(イレギュラー)、『幸せの青い鳥』を。

 

 

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 沖縄 那覇 海水浴場

 

 

 作戦成功の戦勝祝い……と言うほど大袈裟な物でも無いが、那覇の海水浴場に招待された独飛やMS社の面々は皆思い思いに真夏の海水浴場を満喫していた。ある者はパラソルの下でサマーベッドに寝転がり、ある者は水鉄砲を持ってお互いに水を掛け合い、またある者は砂に埋められ、そして海を全力で泳ぐ者もいる。

 そんな中、イオはと言うと……水飛沫を上げてはしゃぐ同僚や友人と真上で燦々と輝く太陽、それらに負けず劣らずの熱気を放ちながら炎の前で忙しなく動き続けていた。

 

 「へい、焼きそば一丁!!」

 

 「……お主はいったい何をしておるんじゃ?」

 

 要するに、海岸に出された屋台で臨時のアルバイトをしていたのだ。どうやら焼きそば担当が熱中症で倒れたらしく、たまたま近くを通り掛かったイオが自ら進んで手伝いを買って出たと言う。町内の縁日の出店の手伝いもしていたので、この位はお手の物だった。

 縁日で並んでいる様な数件の屋台の中では他にもかき氷や焼きトウモロコシ、ラーメンやカレーなど、まさしく海の家と呼ぶに相応しいラインナップの充実さだ。

 それを呆れた様子で見ていたリューコの格好は水着姿……ではあるのだが、突っ込みどころが満載だった。どこの誰だ、よりによって彼女に純白の旧スク水を薦めた奴は。平らな胸の上に胸に「りゅーこ」と平仮名で書かれた名札がきちんと記されている辺り、最早こだわりすらも感じる。

 長いアッシュブロンドの髪はアップで束ねられ、小学校低学年にしか見えない彼女の容姿では確かに可愛らしく違和感こそ無いが何故だろう、犯罪臭しかしない。

 

 「お、社長秘書じゃん!! なんか食うかい?」

 

 「変わったあだ名の知り合いだねぇ、イオ君。応援が到着したみたいから、その子の分終わったら上がってくれていいからね。本当に助かったよ」

 

 「ういーっす!!」

 

 隣でカレーを作っていた海の家のリーダーがイオにそう告げると、リューコは塩焼きそばの大盛りを二つ注文してお代を渡した。 

 イオはコテをせわしなく動かして具材と麺を混ぜ込み、最後に塩で味付け、完成したそれをパックに詰め込むと、ビニール袋に入れて彼女に手渡す。

 

 「ほいよ、塩焼きそば大盛り、二丁上がり!!」

 

 「うむ、大儀であった。あとさっきから蜂娘がお主がどこにもいないと煩くて敵わん。早う行ってやれ」

 

 「あー、社長秘書も大変だな……分かった、すぐ行くぜ」

 

 妙にリューコに懐き、いつも彼女に引っ付いてるライノの様子を頭の中で思い浮かべながら、頭に巻いたタオルとTシャツ、エプロンを脱ぎ払い、ビーチサンダルを履き直すと、バイト代代わりに貰った大玉のスイカの入りのネットを片手に紺色の海パン姿になって海岸を駆け抜け、独飛の面々がいる場所へと向かう。

 

 「あ、やっと来た!! おーい、イオ~!!」

 

 イオの接近に気が付き、バーフォードを砂に埋めて遊んでいたライノは大手を振って彼に駆け寄る。だが、その彼女の格好と言えば……

 

 「なんて格好、してやがる……ライノォ!?」

 

 彼女が黄色の薄手のパーカーの下に着ていたのは、これまたリューコとは対照的な紺色のスクール水着だった。平仮名で「らいの」と記された名札が、彼女の程よく膨らんだ胸のお陰で歪んで見える。その谷間にはいつも身に着けている銀細工のロケットが鈍い輝きを放っていた。ましてや、ライノはリューコの様な完全な子供体系では無く、整ったスタイルの持ち主だ。その違和感が生み出すギャップの破壊力たるや、燃料気化弾頭をゼロ距離で撃ち込まれた気分だった。

 

 「えへっ、良いでしょコレ!! イアゴ少佐が社長秘書殿とお揃いだから~って薦めてくれたんだ~!!」

 

 「あのオタクリーダーめ、何考えてやがる……っ!!」

 

 意外と日本のオタク文化に詳しい、アンタレス隊の強面のリーダーの顔を思い出しながら、イオは頭を抱えた。と言うか、それをあっさり受け入れる彼女も彼女な気がする。こう言うのはその……何というか、アメリカ本国では教え込まれなかったのだろうか?

 イオが視線を気まずげに反らしている事を気にしてか、グイッと踏み込み上目遣いでイオを見上げる。

 彼女のプロポーションの良さと落ち着いた彼女の雰囲気に、とろんとした目付きや親しみやすい大人びた性格も相成ってか、とても扇情的な雰囲気を醸し出している。

 

 (やべぇ、直視できねぇ……)

 

 (そんなちょっと大人っぽいライノがスクール水着なんて着てみろ、ギャップ差で悶え苦しむだろうがありがとうございます)

 

 イオの心の中では片や気恥ずかしさと上官への呆れが混ざった複雑な心境な一方、もう片方は現在浮き輪で海の上に浮かんでいるオタクリーダーに向けて敬礼を送っていた。

 覚悟を決めた……と言うのも少し変な話だが、イオは頭を振って気持ちを落ち着けると彼女と向き合う。

 

 「まぁ、なんだ……結構、似合ってんじゃねぇか」

 

 「ありがと。そうそう、今向こうで中佐殿埋めて遊んでるんだけど、イオもやる?」

 

 「埋めてるっていうか、もう砂の城になってんぞ……」

 

 ライノが指を指した方向には、昼寝している間にこっそり顔以外を砂で埋められているバーフォードの姿があった。しかし、その上にはどうしたらそうなるのか、砂で作ったにしては妙にハイクオリティなオブジェクトが完成している。

 その製作をしていた褐色の肌に対照的な色彩が映える白のビキニとパレオを着用し、麦わら帽子を被ったゾーイに事細かに指示を出していたのは、リボンとフリルのあしらわれたオレンジ色のセパレートの水着を着たグリペンだった。

 

 「よぅ、お前ら。何作ってんだ?」

 

 「グリプスホルム城、スウェーデン南東部にあるお城。16世紀の調度品がオリジナルのまま保存され、一般公開されている」

 

 「成る程な、自分の生まれた国のお城ってわけか」

 

 「私は大阪城が良いと言ったんだが、どうしても彼女が聞かなくてね」

 

 肩を竦めながらも、親友であるグリペンのわがままに付き合うゾーイ。彼女らは独飛結成前にもデータ取りの模擬戦で何度も空中を共に飛んでいる仲だ。そしてお互いに人間のパイロットを乗せないとまともに稼働できないアニマ同士でもある。ある種の共感と言っても良いだろう、そのシンパシーが彼女らの絆を深い物としていた。

 城が大方完成したその時、大型の水鉄砲を構えた慧が合流してくる。羽織っていたアロハシャツが、何故だか今はびしょ濡れだ。

 

 「おーい、イオ~、ここにいたのかって、うわ!? バーフォードさんが城の基礎に!?」

 

 「私がやりました」

 

 「いやいや、確かにすごいけどさ……良いのかコレ、ってそうだった!! 二人とも俺に加勢してくれ!!」

 

 そう言って慧はイオとライノに拳銃型の水鉄砲を手渡す。

 その直後だった、慧の背中に海水がかかる。その後ろにはしてやったりと言った笑みを浮かべたイーグルがいた。圧力の低下から思ったほど威力が出ていないことを見てか、両手で空気圧縮式の水鉄砲に必死に空気を送り込んでいる。

 

 「ありゃ、ちょっと足りなかったかも。くぬっ、くぬっ、わぷっ!?」

 

 「ダチの弔い合戦だ!! 全機、フルブラスト!!」

 

 「りょうかーい!!」

 

 「やれやれ、折角作ったお城を壊されては困るからな。私も加勢するとしよう」

 

 どうやら慧が濡れていたのは彼女の仕業らしい。状況からそう判断したイオは友人を援護すべくイーグルに牽制射を浴びせる。そして最後の仕上げに入ったグリペンを守るべく、ゾーイも立ち上がるとどこからか大型の水鉄砲を取り出した。筒状のそれは所謂昔ながらのシリンジ式だ。しかし、そのサイズは段違いに長く、ライノの後ろからそれを構えると一気に棒を押し込む。規格外の水圧の照射が、イーグルに襲い掛かった。

 

 「うわっぷ!? ゾーイそれズルくない!?」

 

 「通販で買っておいてよかった。ちなみに最大射程は21mだ。ましてや私はこの手の武器の扱いに慣れている。逃がさないよ?」

 

 そう言いながら照射を続けるゾーイの目はどこか完全に座っていた。親友の作った砂の城を守るべく、彼女も必死なのだろう。規格外の威力から逃れようと、積み上げられたクーラーボックスを陰に反撃をするイーグル。

 ゾーイの抜けた穴に慧が入り、グリペンと二人で仕上げに入っている砂の城を防衛していたイオ達に、新たな刺客が訪れる。

 

 「ふふっ、敵は何もイーグルだけではありませんよ?」

 

 「何やら面白そうなことをしておるのぅ、儂も混ぜて貰おうか」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべたファントムと、何やらうずうずしているリューコだ。二人は同時に得物を構え、その照準を彼らの守る砂の城に向ける。どうやら、現在はこういうルールなのだと思い込んだらしい。放たれる水弾、完成まであと僅かの城、それにいち早く気が付いたイオは、二人の前に立ちはだかると背中を盾にその攻撃を受けた。あからさまに氷水と思われる冷水が、彼の背中を伝う。

 

 「グゥッ!? 冷たっ!?」

 

 「何やってんだよ、イオ!?」

 

 「作業の手を止めるんじゃねぇぞ……ヴァアアアアアッ!!」

 

 振り向いては拳銃型の水鉄砲を連射するイオ。その何発かが二人の肩を掠り、二人は一時後退をせざるを得なくなる。

 

 「なんだよ。結構当たんじゃねぇか……つか、超冷てぇ。絶対氷水だろコレ」

 

 「そんな、砂の城なんかの為に……」

 

 「ダチの作品を守るのは俺の仕事だ。それに、未完成で終わる物ほど悔やみ切れないものは無いぜ? それよりもほら」

 

 イオが顎で示すと、そこには仕上げを完全に終えて完成した城の前で、ドヤ顔を披露するグリペンの姿があった。ネットに落ちている画像と比べても寸分の違いの無い正確さだ。普段ドンくさいくせにこういう所は実に器用である。

 

 「皆の協力に感謝する。お陰でまた一つ、思い出が作れた」

 

 「そっかぁ……思い出、かぁ……」

 

 グリペンのその言葉に、そんな独り言を漏らすライノだった。その表情はどこか物憂げで、哀愁すらも漂わせている。イオは彼女のその呟きを聞き逃さなかった。

 

 「お前は、こういった事ってやっぱ無かったのか?」

 

 「うん。本国にいた頃とかは暗い暗い研究所で毎日実験だの訓練だのばっかで、あたしの楽しみってジャンクフード位しか無かったんだよねぇ、今までは」

 

 しかし、一瞬にして物憂げな表情を晴らすと、クルリと身を翻してイオに笑顔を向ける。その眩しさたるや、海に反射する太陽の煌めきも合わさってより鮮明に彼の目に映った。

 

 「でもね、MS社に派遣されて、イオと出会って、それからは全然違うんだよ。子供っぽいイーグルに意外と挑発に弱いファントム、ドジだけど頑張り屋のグリペンに、初めて出来た同僚のゾーイ、そして社長秘書殿……ここに来て、こんなにも沢山のアニマと、そして人間と出会えた。こんなに嬉しい事は無いよ。だからありがとう、イオ。私をここに連れてきてくれて」

 

 「おいおい、礼を言うのは俺じゃなくて、せめて社長秘書だろ?」

 

 「? ありゃりゃ、それもそっか。と言う訳で社長秘書殿~、ハグさせて~!!」

 

 一瞬小首を傾げたが、すぐに理解したライノはポンと手を打つとリューコの冷水水鉄砲の攻撃などお構いなしと言った具合で突破し、彼女に頬ずりを食らわせていた。

 リューコの悲鳴が響く中、一つ疑問を抱え続ける男がいた。

 

 (果たして、俺は何時になったら起きられるのだろうか……?)

 

 慧とグリペンが砂の城をバックに記念撮影をする中、文字通り思い出の礎となったバーフォードは、一人そんなことを胸中で呟くのであった。

  

 

 




X2って読もうと思えば12とも読めるよね? と言う訳で冒頭で今作のザッパなネタバレです。本編が11巻で終わりとの事なので少し狙いました。
これならエスコンの超技術機体混ぜても歴史に矛盾出ないよねって事で、この世界線はゲームで例えるなら『クリア後に難易度変えた二週目』と思って頂ければ。

何とか無事11巻まで購入しました。

六月だか発売の12巻まで全裸待機します。
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