ガーリー・エアフォースX2 ~蒼き鷹と灰の竜姫~ 作:零八式
話数も何気にキリの良い25話ですね(笑)
それでは、後半をどうぞ!!
中国本土を姿の変化したライノと共に飛ぶ事数十秒、脅威警告が鳴り響く。
戦術マップに新たな敵反応多数。その数およそ15機前後。
FALKENの方は弾薬には若干の余裕はあるが、パイロットの気力が尽きかけていた。無理もない、既存の航空機の常識を超えた連続したハイGマニューバは、着実にイオの体力を削っていたのだ。既に操縦桿を握っておらず、制御をゾーイ任せにしている状態である。
「クソッ、これ以上は流石にキツイぜ!!」
『大丈夫、あたしに任せて!!』
直後、動いたのは青紫色の輝きを放つドーター、いや、もはやドーターの枠を超えた何かと化したライノだった。機体後部の変質したザイ由来の可変式スラスターノズルは失われておらず、高速で機体をその場で反転させると機首を180度後方に向ける。そのスピードたるや、人間が中に乗っていたらGで潰れかねない程だ。
すぐさま迎撃に向かったライノは主翼に備えられたガラス質の何かで出来た大型弾頭を四発一斉発射、空に紫色の花を咲かせる。空中で同時に炸裂したそれは、クラスター弾だった。無数のガラスの礫が航空型ザイに降り注ぎ、その機体を穴だらけにする。
「すげぇ、クラスターミサイルかありゃあ?」
『ゴメン!! 三機抜かれた!!』
感心するのもつかの間、クラスターミサイルを低高度に潜り回避していた三機がFALKENに接近、ゾーイも回避行動を取ろうとするが、イオに負担を掛けない様最小限の動きしかできないでいた。これ以上のマニューバはいくら彼でも持たないと思っての行動だったが、それにも限界があり背後を取られた……そう思った直後だった。
何処からともなく降り注いだ三本の赤い剣が、後方の三機のザイを瞬間で蒸発させたのだ。爆散し、落ちていく三機を見て安堵しつつも、イオの目は驚愕に見開いていた。
「今の光はTLS!? コイツ以外にも付いてる奴がいるのかよ!?」
「レーダーには反応無し……恐らく有効距離ギリギリから当てているね。この隙に離脱しよう」
見覚えのある兵器に助けられつつも、今はその正体を探りに行っている場合では無かった。今のは第一波を凌いだに過ぎず、後方からはまだ後続が迫っている。
ゾーイは一刻も早く中国本土を飛び去ろうと、ライノがこちらに戻ってきたことを確認するとアフターバーナーを吹かしてその場を去るのだった。
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『父よ、ターゲットが違うようだが?』
言われた通りに狙撃したとはいえ、本来自分たちにとっては敵である相手を助けたことに疑問を持つムニンは、訝しげに編隊の中央を飛ぶ自機と同型の、しかし全体が血塗られた赤いガラスで覆われたキャノピーの無い機体に向けて言い放つ。
返って来たのは、男の愉快そうなおどけ声だった。
「ギャハハっ!! あれぇ? そうだっけぇ?」
『フギンも納得いかな~い!! アイツは私たちの敵なのに~!!』
「ま、良いんじゃないの? お楽しみは後に取っておくってことで。それに、あっちが生き残った方がこの先面白いよ~」
『面白い? 父よ、それはどういう意味だ?』
「いずれ分かるよ、いずれね」
男は機体に搭載されたAIに操縦を丸投げにし、全周囲モニターに囲まれた空間でくつろぐと、いくつかの画像データと、手持ちの大樹の様な線が描かれたガラス板と照らし合わせる。
「まっさかあの状態で人類側に付くたぁ驚きだ。いや、人類側と言うよりはアイツ側、かな?」
男の知る限り、青い雀蜂は遅かれ早かれ味方の手で始末される結末しか見えていない。そのいずれもがザイによる浸食を浴びて飲み込まれての事だ。ある時は体内に埋め込まれた爆弾で機体ごと自爆させられて吹き飛ばされ、ある時は味方機に撃墜され、そして
だが、今回は違う。
青い雀蜂はその形状をザイに寄せながらもザイとしてでも兵器としてでも無く、もっと別の何かとして独立したのだ。こんなパターンは初めてだった。
「名付けるなら新たな時代に生きるアニマ……『ノヴァ・アニマ』ってとこかねぇ」
続いて画像データを見る。写っていたのは所々のガラスが剥がれ落ち、ドーターでもザイでも無い何かと化したF/A-18の画像だ。尾翼には、ある男がまだドーターとなる前のその機体に乗っていた頃のエンブレムであった剣を咥えた鷹のエンブレムが飾られている。
男は何かを理解すると、ガラス板を手で叩きながら一しきり大笑いした。
「そうか、そう言う事か!! お前が
男が長年探し求めていたもの。この無限ループを終わらせる鍵。その一つが、誕生したのだ。
「見せて貰おうか、人類。世界がどう動くのかを、さ」
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那覇基地
応援としてイーグルとファントム、そして日本の最後のアニマであるバイパーゼロを引き連れて戻って来た慧とグリペンの支援もあり、イオとライノは無事中国本土を脱出することが出来た。暴走したブロウラーもライノが命令を一部
見た目が大幅にザイ寄りに変わったせいでライノは最初イーグルとファントムに撃たれそうになったが、どうにかしてイオとゾーイが阻止した。
操縦桿を握る気力もないイオはゾーイに着陸までを全て任せ、タラップが取り付けられて機体を降りるや、すぐにライノの元へと向かった。
タラップを駆け上がり、着陸後も中々開かないコックピットハッチを叩く。
「おい、ライノ!! 降りてきてくれよ!!」
その後は一瞬だった。装甲ハッチが展開し、その下のキャノピーが一瞬だけ半開きになったかと思うと、イオはその腕を掴まれ一瞬にしてコックピットの中に引きずり込まれ、またハッチを閉じられた。抵抗するだけの余力が残っておらず、か細い彼女の腕にあっさりとだ。
軽い悲鳴と共に転げ落ちる形でコックピットに乗り込まされたイオの顔面に、何やら柔らかい感触が直に伝わる。
「やーっと、二人きりになれたね」
「!?!?!?!?!?」
イオは自分がライノに抱きしめられている事に気が付いた。視線を上げれば、右目が紫色に変色してこそいるが、えくぼの愛らしい少女の顔が見える。その瞬間、意識してしまった。両頬に当たる柔らかい感触は彼女の胸だ。それも、何故か作戦前に着ていたはずのボディスーツ越しでは無く、直の。
流石に色々まずいとジタバタともがくが、疲労困憊の彼の体で振り切る事など叶わなかった。
「おまっ、何で裸!?」
「んー? 何か気づいたらこうなってたよ。あたしがあたしだと意識したその時からね~」
そう答えながらもライノは抱擁を解かない。彼女の鼓動の音が、肌の温度が、直に伝わる。同時に自分の鼓動が早鐘を打っているのが嫌でもはっきり聞こえてくる。
疲れからか、それとも不思議と安らいでいく心からか、自然とイオは抵抗せずただされるがままの状態になっていた。
「あたしね、ずっと待ってた。ウィリーのプログラムとしてでも、ザイの残骸でも、ボーイング社の戦闘機でも無い、あたしを見てくれる人を」
「……ゾーイから聞いたぜ。お前ずっと禁止事項だらけの思考停止された状態だったんだってな」
「うん。まぁ、人間があたしにそうしたい気持ちは分かる。誰だって分からない事は怖いんだ。知らない事は怖いんだ。だから、自分の手の届く範囲に置こうとしたんだよ。自分たちが安心する為に」
確かに合理的思考の上では兵器に感情など不要だろう、動作不良を起こす要因などもっての外だろう。もし怒りの感情を抱いて人類に反感を抱いたらどうなる? もし悲しみの感情を抱いて戦う事を放棄したらどうなる? 答えは明白だ。分からない。
未知ほど恐ろしい物を、ザイによって滅亡の危機を迎えている人類が抱えている余裕は無かった。だから米軍は
鹵獲品、それも未知のテクノロジーの塊とも言え、暴走の危険性もあり得る彼女に相応の安全策を必要と考えた。人間に危害を加えない事、人間の命令に服従する事、そして自らを守る事─---その他色々と。
皮肉にもそのリミッターこそが彼女の自我の育成を妨げ、ザイの浸食による暴走に走り掛けた訳だが。
「それでもイオは手を伸ばしてくれた。自分ですら自分が何なのか分からないあたしに、ライノと言う一人の女の子になれば良いんだって言ってくれた。最初は意味分からなかった。でも、嬉しかった」
「俺は大したこと言ったつもりはねぇよ。生きてる奴ってのは、自分が何者なのか死ぬまで探し続けるのさ。だから俺は俺、っていう今の自分の場所が分からなきゃ、進む事も戻る事も出来やしねぇだろ?」
「作られたあたし達でも、それ適用されるの?」
イオの語る人生論に、ライノは首を傾げる。
姿形は少女でも、やはり彼女らの本質は対ザイ用無人戦闘航空システム、ドーターの頭脳となるべくザイのテクノロジーを使って生み出された存在、生体CPUの部類に過ぎない。
イオは少し返答に困るが、うずめていた体を起こして彼女をそっと抱き寄せるとこう告げた。
「確かにアニマは作られた存在かも知れねぇ、けど、今ここに
「……うん」
要するに、自分で自分を認識したのなら、それはもう道の始まりに立っているという事だ。ここから歩んでいく答えのない毎日、ただ過ぎてゆく時間。それらがどう彼女を変えていくのかは誰にだって分からない。けれど、それすら楽しんでしまえばいい。種全てにその余裕が無くとも、個だけなら未知はまだ楽しめる物の筈なのだから。
「前にあたし、個体個体では生きていけないって言ったけど、個を失ってもダメなんだよね。あたしがあたしでいられなくなっちゃうから」
「あぁ、だから俺達はこの世界に叩き付けてやるのさ。俺は俺だっていう証をな」
「じゃあさ、イオ……」
そう呟くや、ライノは素早く体勢を入れ替えた。今までは自分がシートに座っていたが、今度はイオがシートに座り、その上に一糸纏わない彼女が覆い被さる形になる。イオ見てまるで猛禽類のような笑みを浮かべるライノの姿に彼の全身にゾワリと走る悪寒が、何かの危機を全力で伝えているが脱出手段は無いに等しい。自分や慧が同乗するグリペンやFALKENとは異なり、通常のドーターには物理的な脱出レバーなど存在しないのだ。つまり、彼女の制御でしかこのハッチは開かない。
自分の有利なポジションを確保するや、ライノはとろんとした目を上目遣いにしてイオを見つめる。
「今あたしがここにいるっていう実感、イオがあたしに叩き付けてよ」
「おまっ……そう言うのはマズい……っ!! つか意味が色々違う!!」
「そうは言いつつ体は結構正直だよ~。ホラホラ」
「こ、コイツはほら、アレだ。疲れてるだけだっての……」
「あたし……女の子としての魅力無い?」
「そりゃぁまぁ、無い訳じゃねぇ、寧ろあると言いたいが……」
あぁ、逃れられない。現実は時として残酷である。
「あたしを女の子にした責任はちゃ~んと取ってもらうから。もう離さないからね~、あたしの王子様!!」
その時のライノの笑顔は、鮮明にイオの脳裏に刻み付けられる事となる。
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イオが引きずり込まれてから一向に出てこない、呼びかけにも応じないライノの内部の様子を探るにあたって、有効な手段はいくらかある。搬送波を加えたレーザによる盗聴はその代表格だろう。人間が話すと空気が振動する。その振動はガラス窓、ひいては装甲板にも伝わるのだ。その振動をレーザで拾い、反響情報から音声に復調すると密閉された空間での密談でも外から筒抜けだ。もしかしたら何か面白い情報が拾えるかもしれないと、ファントムはお手製のレーザ盗聴器を青紫の機体の装甲コックピットハッチに向けて照射した。右耳に備えた小型イヤホンに耳を傾ける。聞こえてきた音声は、このようなものだった。
「じゃあ……もうちょい体寄せろ」
「こ、こう?」
「あぁ、良い感じだ。しっかしこうしてみると意外と狭いな……」
「そう? あたしはイオが近くに感じられて嬉しいけど?」
ボフンッ、とファントムの頭がオーバーヒートを起こした。まさか、こんな所で? ドーターのコックピットの中は全周囲モニターだからそれを利用しての疑似野外プレイとかそういうアレですかいやしかし初心者にそれは色々とハードが高過ぎるのではと言うかそもそもあの二人はまだ未成年で片やゼロ歳児―――――――
「お、おい、あんま体揺するな!! 暴発しちまうだろうが!!」
「良いじゃん、そしたらまたやればいいんだし」
(ぼ、暴発っ!? それにまたって……)
続いてガタガタと何かが揺れる音が聞こえ、どんどん妄想が加速する。あの狭いコックピット内で二人がどういう風に絡み合っているのかの構図が次々と巡っては消えを繰り返し、ファントムの思考容量をいとも簡単にこそぎ落としていく。頬が熱を持ち赤くなっているのが自分でも分かる。なまじ長生きしすぎると(仮想上ではあるが)下手に知識が詰め込まれている分無駄に想像力豊かになる物で、その結末は容易に想像がついていた。
「不許可です……不許可ですぅぅぅぅっ!!」
妄想が爆発し、顔を真っ赤にしたファントムはすぐ傍にある自身のドーターに乗り込むとレーダーポッドを起動、目の前の青紫色の機体に向けてレーダー波を最大出力で照射、その中に機体制御を乗っ取るウイルスプログラムを大量に混入させ、強引に機体のハッチの開閉信号を認識させる。
機体のハッチが開いていくのを確認すると、ファントムは自身の着ていたフライトジャケットを握り締めてタラップを駆け上がる。
「あ、あなたたち!! こんなところでな、何をする気です……か?」
「は?」
しかし、解放されたコックピットの中では上着を脱いだイオと、彼の物であろう上着を羽織ったライノが座席でお互いに身を寄せ合って写真を撮っている所だった。どうやら今まで身に着けていたロケットがどこかに行ってしまったらしく、その代わりとなる物を作っていたのだと言う。
ライノは頭上を見上げてファントムと目が合うと、イタズラそうな笑みを浮かべた。
「どーしたの? そんなに顔真っ赤にして? あぁ、分かった~、さてはあたしたちの事を盗聴してエッチなことを想像したんでしょ~? 悪い人だなぁ~」
「ち、違います!! 断じてそのようなことを聞いては……」
「あっれぇ~? 想像したことは否定しないんだ~? 耳年増って奴だね~」
「っ~~~~~~~!! もうっ、知りません!!」
ファントムはイオをキッと恨めし気に睨むと、手に持っていたフライトジャケットを叩き付ける様にして放って寄越し、「早くそれを着て機体を降りなさい!!」とだけ告げると顔を真っ赤にしながら足早にタラップを降りて行った。その一連の流れを遠目から見ていたリューコは、リンゴジュースのパックを片手にカラカラと笑う。
「やれやれ、策士策に溺れるとはこの事じゃのう……ま、話を聞いた限りしばらく儂も蜂娘のターゲットから外され――――――」
「ごめんねぇ~!! 社長秘書殿~!! やっぱ社長秘書殿は生で頬ずりするのが一番だよぉ~!!」
「げげぇっ!? お主いつの間に――――――ギィヤァアアアアアアッ!!」
いつの間にか機体を降りていたライノの接近に気が付けず、全力で頬ずりをくらわされ、那覇基地にリューコの悲鳴が響き渡った。
彼女がライノの頬ずりのターゲットから外れるのは、もうしばらく先の話になりそうだ。
振り解こうともがくリューコにしがみつくライノに、声を掛ける人物が一人。
「全く騒々しいな……ここにいたのか、ライノ」
「あ、ウィリー……」
「ほぉん、誰かと思えばDARPAの木偶か。今の気分はどうじゃ、大戦犯殿?」
やっとの思いでライノの拘束から逃れられたリューコは、一つ咳払いしてからシャンケル博士を煽り立てた。ファントムが入手した情報によれば、先ほどの戦闘でライノの暴走未遂やブロウラーの暴走により軍が多大な損害を被った事の責任を取らされ、近々軍事裁判に掛けられる予定らしい。彼女はざまぁ見ろと言った具合に舌を出す。この暑さのせいか、それとも自分の未来を想像してか、シャンケル博士は普段よりも角度の付いた猫背の姿勢で意気消沈としている。
「わ、分からない……我々の発明は成功する筈だったんだ。ライノに至っては自信作だった……なのに、どうして……」
「それはな、ウィリー。貴様がアニマが何なのかを分かっていないからだ」
何処からか替えの服の入ったビニール袋を持った八代通が、ライノにそれを手渡しながらシャンケルの質問に答えた。
「お前はアニマの事をプログラムか何かだと思っている。馬鹿野郎が、こいつらがそんな単純な存在であるものか。お前は生き物脳を1から10まで綺麗に解析できると思っているのか?」
「……ふ、不可能だ。しかし……」
「しかしもこけしもあるものか。ザイのコアをコンピュータとしてしか見れないお前には、アレの本質が分からなくなっているのさ。こいつらは洗脳じゃなく、あるがままでを受け入れ、教育や対話で俺達の味方にしていかなくちゃならない。丁度、あの坊主の様にな」
そう言って八代通は、こちらを見るとずかずかと歩み寄ってくる金髪の少年を見据えた。イオは鬼気迫る形相でシャンケル博士の白衣の襟を掴むと、身長差があるにもかかわらず自分の顔面の近くにその顔を引き寄せる。
「テメェだな? ライノに余計な物を仕込んでいやがったのは?」
「し、仕方がないだろう。彼女は唯一ザイに対抗できる兵器だ。だが憐れな事に人類から見れば敵の鹵獲品であることに変わりはない。その力がもし我々に牙を剥いてきたらどうする? Gを考慮しなくていいアニマに、人類が勝てる訳が無いだろう? 誰もがそう考える。だから我々は安全策として――――」
「あぁ、言っておくがウィリー。その坊主はこう見えてアニマの加護無しでドーターに勝っている凄腕だ。シミュレーター上とは言えな」
「ば、馬鹿な……あの男以外の、こんな凄腕がティーンエイジャーだと? 有り得ない」
「それが有り得るんだな。そういう訳だ博士さんよ。あんまり人類舐めんなよ? もしこいつらが暴走したら俺が止めてやる、何度だってな。それからもう一つ」
イオはシャンケル博士の白衣から手を放すと、彼を睨み付けながらライノの肩に手を置き、一呼吸おいてから付け加える。
「
10代の少年とは思えない只ならぬ気迫に押されるシャンケル博士、ワーオと口笛を吹くリューコにどこか笑いつつもこめかみを押さえる八代通、そして今にも沸騰して蒸気が出そうなほど顔が赤くなったライノの横を通り過ぎると、軽く手を振ってから基地の宿舎へと向かっていった。
そして、汗にまみれた衣類を脱ぎ捨てシャワールームに籠もると、ぽつりと一言呟く。
「やべぇ、やっぱ超恥ずかしい……」
改めてつい先程勢いに任せて言ってしまった言葉の意味を吟味し直して、イオは壁に頭を打ち付けるのであった。どうやらまだ齢17歳の少年がカッコつけるには、まだ早かったらしい。
勝った!! 第三部、巻!!
と言う訳でライノ救済までの一括りでした。
彼女をヒロインとする以上、誰しも通らなければならない鬼門。自分はそれを正面からぶつかり合わせる事で潜らせました。
そして新たに加わった(と言うより変化した)ザイ化した機体、あれ、そのまま使ってみたいですよね?