さて、多分一番気が抜けないラスボス戦っていうやつだな。ゲームと比べて変わってるのは、相手の取り巻きの嘆きの亡霊と魔王の使いがいないこと、あとこっちにアロマがいること(戦闘に介入出来るかわからない)、くらいか。
あいつの言っていた事が全部本当ならゲームみたくランダムじゃなく、戦略性がある攻撃をしてくるかも、と。
スリー、ミルト(ミルドラース)、ベリたろう(べリアル)を戦闘に出す。
それとほぼ同時にガルマッゾが歪な笑みを浮かべ、前傾姿勢を取る。
「それじゃあ....行くよッ!」
初撃はスリーに。ガルマッゾはどちらかといえば呪文タイプなのだが、だからといって物理攻撃が弱いか、と言われたらそうでもない。しかも二回行動も出来る。故に俺もいつも以上に戦闘をよく見なければならないんだが....
すかさず呪文を詠唱してくるガルマッゾ。J1の二回行動の二回目は通常攻撃しか出来ない仕様のはずなんだが....!?
しかし幸運にも、狙われたのはミルドラース。ガルマッゾが撃って来たのは「ドルマドン」で、ミルドラースは耐性でドルマ系吸収持っているので、痛いどころか回復になる。しかし流石におかしいな。ミルドラースにドルマ系が効かないのを知らなかったのか....?
「なるほど、こういう感じか....」
....?ガルマッゾが何か言ったような気がするが、聞き取れなかった。いや、そんなことより攻撃だな。といっても攻撃に変える事はあまりなく、基本的にスリーがバイキルト等でサポートして、ミルトとベリたろうで殴るだけだ。要所要所で指示が入ったり入らなかったり。
ただ、指示を入れるのもこれはこれで問題がある。相手が野生のモンスターならば指示の全てを正確に理解するのは難しいため有効ではあるが、対人戦や目の前のアレのような相手になると、まあ普通に指示を聞かれて対策されてしまう事がある。ということで一番の脅威であるガルマッゾに対して、逆手に取られる可能性のある指示を出すか出すまいか決めあぐねている....といったところだ。自信のなさの表れでもあるかな。
「....!スリー、後ろだ!」
今まで互角の勝負をしていたガルマッゾがスピードをワンランク上げ、スリーに向け奇襲しようとしていた。
スリーは指示を聞くと素早くその場を飛び退き、次の瞬間にはその場所にガルマッゾの攻撃が直撃し、ガルマッゾの攻撃が直撃した地面から土と砂ぼこりが舞い上がる。
「にゃはは....結構頑張ったんだけど、避けられちゃったね」
実際今のは危なかった。通常攻撃とはどこか違う様子だったため、恐らく今のは「キルジョーカー」だろう。スリーは神獣であるため、キルジョーカーが当たっていたら最悪ワンパン、よくて瀕死だったろう。何より恐ろしいのは、あの特技とスピード....身体能力を隠し持っていたこと。
絶対に侮ってはいけない、ともう一度思い知らされたな。自信がどうとか言ってる場合じゃない、ベストを尽くそう。
こちらの隙を見てか、「めいそう」を始めるガルマッゾ。
「ミルト、止めろ!」
指示を聞いたミルトはその巨体からは想像も出来ない素早い動きでガルマッゾに肉薄する。ガルマッゾもめいそうをやめ、ミルトの攻撃に対応する。ミルトは尻尾まで使ってガルマッゾに喰らい付くが、拳を突きだしたタイミングでガルマッゾの手....というか全身に掴まれ、反対側に投げ飛ばされてしまった。
矢継ぎ早に呪文を唱えるガルマッゾ。恐らくドルマドンで狙いは......!?
あ、やべ、死んだかも。
本当に死を覚悟して、ドルマドンを受け――――ることはなかった。俺を庇ってくれたのは、アロマのモンスター、はくりゅうおうだった。
「ちょっと!直接マスターを狙うなんて反則でしょ!」
「ちィッ....邪魔をしてくれる....」
ここまでこの世界で生きてきたため、思考が凝り固まってたみたいだ。まさか俺を直接攻撃してくるなんて完全に盲点だった。アロマが助けてくれなければ、死んでいただろう。
「すまん、ありがとう」
「別に、あんたが負けたり死んだりしたら大変でしょうが」
まあ、実際その通りだ。負けたら大変。
さて、反撃開始と行こう。こうなったらもう、ガルマッゾに行動をさせればそれだけで危険に繋がる。なので....
「囲め!」
数の利を最大限に活かして、ボコボコにすることにした。
「ひたすら殴れ!」
スリーもミルトもベリたろうも、思い思いの攻撃で殴る。余りにも一方的で、ドラクエのターン制バトルとはなんだったのかと頭を抱えたくなる勢いだった。いや、ほんとに頭を抱えたいのは向こうだろうが。
最初はガルマッゾも抵抗していたが、瞑想も呪文も、通常攻撃までも許してもらえることはなかったため、最後は無抵抗だった。ごめんて。
こんなんで、ラスボスとの戦いは終わってしまった。
「くそッ....この身体を扱いきれなかった....覚えていろよ、必ず、復讐に....」
最期の言葉を言い終わる前に、ガルマッゾは蒸発した。
「....はあ、柄にもなく緊張しちゃったわ」
「途中、ガルマッゾの凶弾からよく我がマスターを守ったな。小娘にしてはよくやったぞ」
「なんでそう上から目線なのかしらね!」
スリーがこちらに向き直る。
「汝は確かに他の人間とは魂が違うとぼんやり思っていた。だかそれが性格的なものではなく概念的なものであるとは、我も予想していなかった」
「しかし、汝と我がこうして出会い、旅をし、ここまで辿り着けたのも、最早偶然ではなく必然や運命と呼ばれるものなのだろう....感謝を。我が主、ジョーカーよ」
そう言い終わると、スリー....「JOKER」が背を向ける。
「アンタまたなんか変わってるし....まあそれはいいわ、どこかに行くつもり?」
「我はあの上空にある魔界の門を閉じねばならぬ。この島からあれは消えぬだろうが、門が開いているのと閉じているのでは訳が違う」
「JOKER」
「なんだ、ジョーカー」
「絶対、帰ってこいよ」
「....フッ、勿論だ。汝の隣のいこごちの良さは、手離すには惜しい」
そういうと、スリーは魔界の門へ空高く駆けていった。
まいあがれ そらたかく! ってか。
「ほんとに行っちゃったわね....帰って来れるのかしら」
「当たり前だよ」
「....そ。じゃあ帰りますか。あんたがカルマッソを倒したおかげで、今後GP協会は大忙しだろうからね」
....スリーには悪いが、流石に帰った。
あの戦いが終わってから、もう十日は過ぎたかな。カルマッソが抜けたバトルGP会長の座はアロマが受け継ぎ、俺も手伝いの為に走らされることになった。
今はノビス島のスカウトQテントにいる。
「ありがとうございました」
「構わんよ、期待しておる」
今しがた今後の交渉が終わったところだった。アロマは新しいGP決勝の参加条件を、闘技場とスカウトQの全制覇と決めたため、今までの非じゃないくらいの人が来ることを見越して、あと難易度設定の為の交渉だった。なんだかんだ、裏方仕事も悪くないなと思った。
....折角ノビス島に来たんだし、久しぶりに頂上の石碑にお参りと行くか。
二度と来たくないと思っていたダンジョンを抜け頂上の神殿に着く。そうだな、新しいGPも始まるし、必勝祈願にもなるだろう。
「おいおい、何故我を除いて必勝祈願などしているのだ?」
振り向くと、そこには少し会っていなかった懐かしい顔が見えた。
「彼処で待ってくれてると思っていたのだがな、白状なヤツめ」
「あそこで待つのは精神的にキツイだろ」
「まあそれもそうか....して、もう祈願は済ませたのか?」
しっかりと頷く。
「そうか、ではさっさと済ませて行くとしよう。新しいGPが始まるのであろう?」
「共に戦いの日々を、再び生きよう。汝が我の....マスターなのだから!」
fin
これにて完結というわけですね。最終話を投稿するのに一年以上かかってしまって、申し訳ないです。次書きたい話ができたら、こうはならないようにしたいですね。
キャプテン・クロウとかエスタークとかの話をエピローグとしてそのうち出そうかなと思ってます。
J3で続きを書く予定もありますが、更新が遅いと思うし、なんなら投稿されないかもしれません。気長に期待半分にお待ちください。
ちなみにJ2はやってないので書けないのですね、そちらも申し訳ない。
では、ここまで読んでくれた皆様、本当にありがとうございました。