皆さんはsnシリーズのヒロインの中で誰が一番好きですか?
いや、選べない事くらいは分かってます。どれも最高です。
でも敢えて、一番を選ぶとするならばどうでしょうか。
僕は凛が好きです。
僕がFateにハマったのが、2014年のアニメUBWからなのでやっぱり思い入れが強いんですかね。
セイバーも桜も、士郎にとっては幸せな結末なんでしょうが、共に理想を追いかけてくれる凛を選ぶのが、僕は一番綺麗だと感じました。
夢とは誰しもが抱き、そして誰しもが敗れるもの。
結局のところ、叶わなけば絵空事でしかないのだから。
けど、その夢を一緒に追ってくれる恋人、って最高だと思いませんかね。
結局、士郎が自分を変える事無く、かつアーチャーのように摩耗もしない。
衛宮士郎という存在(アーチャーも含む)にとって、一番幸せなのがUBWではないのか、と思います。
良ければ皆さんの好きなルート、そしてその理由を教えてください。
まぁ、何が言いたいかというと
呼符でイシュタル・アシュタレト来ました。
やっぱ推しは推しとくものですね!!(満面の笑み)
では、どうぞ。
「マスター!!おい、凛!凛!」
「え?」
「大丈夫か?急に泣き出すから驚いたぞ。」
酷く焦った様なアーチャーの声に我に返る。
「ッ!!アーチャー!今何時!?私、どのくらい倒れてたの!?」
「落ち着け。先ほどからそう時間は経っていない。まだ日は暮れてはいないさ。安心するといい。」
「…え、あ、は、そう。な、なら良かった。」
一瞬で熱くなった頭が急速に冷えていく。
つまりあれか。私は目の前の問題を処理しきれなくなって頭がパンクして、作戦会議中だったのも関わらず気絶したのか。
連日の疲れもあったとはいえ、何たる不覚だろう。
益々自分が嫌になってしまう。
自己管理もできないとは、いくら何でも弱り過ぎだと思う。
そう再び惨めな気持ちになっていると、アーチャーが座り込んだ私に歩み寄ってきた。
その顔は厳格で、唇は固く引き絞っている。
そして、何かに耐えるように肩は小さく震えていた。
「凛。この際だ。君に言いたいことがある。いや、私はこれを君に言わねばならない。」
あ、そっか。
遂に来てしまったか。
ここまでは許していてくれていたかもしれないが、ここに来て彼の逆鱗に触れてしまったのだろう。
彼の厳しい顔つきと震える肩を見て、何故か他人事のように思う自分がいた。
ま、それも当然といえば当然か。
丸々二日何も言わずに引きこもって、いざ出てきたと思えば急に調査に行くと言い出して。
挙句の果てに帰って来たら勝手にキャパオーバーで倒れて。
こんなのが主をやっていたのかと呆れられてしまったのだろう。
そして彼の性格だ。
きっと私に耐えられないから、契約の破棄を申し出ようとしているのだろう。
それはなにも令呪の破棄というではない。
初めて召喚に応じてくれた時の言っていたように私は工房に引きこもり、彼だけが外に出て戦う、というものだ。
今思い出しても腹が立つ、こちらをバカにしてるとしか思えない言動だが、今の私には丁度良いのかもしれない。
覚悟も気持ちも何もかも足りない私には、惨めに蹲って待っているのが相応しいってものだ。
「分かった。アーチャー。あなたの言いたいことは分かったわ。でもごめん。今の私、あなたの言葉に耐えられるだけの心の余裕が残ってないの。今直ぐここから出て行くから、お願い、何も言わないで。」
ぎこちなく体を起こして出て行こうとするが体に上手く力が入らずに起き上がれない。
するとアーチャーはずんずんとこちらに近づいてきた。
広間の電灯が私のへたり込んでいる位置とは逆光になって彼の表情は見えないが、きっと怒っているのだろう。
そして彼はこちらに手を伸ばしてくる。
大きな腕が迫ってくる恐怖に、思わずぎゅっと目を瞑ってしまう。
何か、ひどいことをされるのだろうか。
痛いのは、嫌だなぁ。
でも、それで許してもらえるなら、仕方ないか。
そうやって、結局罰に甘えている自分にまた嫌気がさして。
そして、何をされても文句は言えないと歯を食いしばった。
けれど、そこで私が受けたのは。
「済まなかった。……不甲斐ない従者である私を、許してほしい。」
冷たい言葉でも暴力でもなく、心から、自分を責めるような言葉と、温かな抱擁だった。
「……………は、え!?ちょ、あんた!な、な、何してんのよ!!」
反射的に彼の体から離れようと彼の体を跳ね除けようとする。
しかし、彼は私の体をさらに強く抱き留め、放そうとはしない。
どのくらいの間、そうしていたのだろう。
心臓の鼓動がどくどくと響く中、しばらくして彼は、ゆっくりと言葉を発した。
「君が、妹のことで悩んでいたのは知っていた。苦しんでいたのも分かっていた。けれど私はそれは君の手で、君自身が乗り越えるべき試練だと思い、何もしなかった。」
飽くまで冷静に、しかしその一音一音には噛み締めるような、自分の行いを悔いる感情が込められていた。
だから、私にその理由は分からない。
「………それ、正解よ。あなたの言う通りこれは私の問題。ありがたいけど、あなたがそこまで思い詰める必要は無いわ。」
回された腕から優しく離れるように、わざと冷たく言い放つ。
これが事実だ。
アーチャーは関係がない。これは
だから彼が何を思い詰めているのか、私には分からなかった。
思い詰めた彼の姿も、気持ちのこもった謝罪の訳も。
そして、その言葉をきっかけに、彼の腕から離れようとする。
彼のこの抱擁は、詰まるところ彼の考え過ぎで、結局は私が自分で折り合いを付けて行くしかないのだから。
それが、正解なんだから。
「それは違う!!断じて、断じてだ!!」
だけど、アーチャーはそれを認めなかった。
「……………済まない。大きな声を出して。けれど、それは違う。それだけは違うんだ。凛。」
「分かっているさ。こんなのはただのお節介に過ぎない。これは私のエゴだ。私は私の身勝手な感情で君の問題に入り込もうとしている。だが、それでも、それでもだ。」
そうして彼は、私の肩を優しく掴んで、私の眼をじっと見据える。
その彼の顔は、何だかいつもより優しく見えた。
いつもの眉間の皴は消え、穏やかな表情の彼は
そして、何だか見覚えがあるような気がした。
「オレが、オレ自身が、君にもうこれ以上苦しんで欲しくないんだ。ただ、それだけなんだ。それだけなんだよ。遠坂。」
泣きそうにそう言い切った彼の顔は、多分、きっと誰かに似てて。
「お門違いなのは分かっている。きっと君には迷惑だろう。けれど、私は君が苦しんでいる時に何も出来なかった自分が堪らなく悔しいんだ。泣きそうな君に、折れそうな君に、何もしなかった自分に腹が立ってしまったんだ。」
そして、私は結構。
「だから、私は謝罪と共に君にこう言うんだ。」
気に入っていたり、してたんだ。
「君は、後悔なんてするようなタイプじゃない。君はいつだって正しいさ。他でも無い君自身が正しいと信じているから。その過程には迷い無く、いつだって自分で選んだ道に胸を張って進んでいく君が、私にはとても眩しかった。」
「だから、君が今後悔してるなら、それはきっと失敗しただけなんだ。間違ったわけじゃ無い。君の道は、間違ってなんかいない。…………けど今回は、少しばかり背負いすぎたな。」
そう言って、彼はもう一度、私を優しく抱き留めた。
「人は弱く、そして傲慢なものだ。特に、君はそれが顕著だよ。けれどそれは当然なんだ。魔術師なんて生業をしていても、それは変わらない。変えてはならないんだ。命を尊ぶのはとても善いことだ。私たち英雄には無い感情だ。もし君が妹を殺したことに罪悪感が無いのなら、それこそ私は君と袂を別っていただろう。」
魔術師として不要な感情を、彼は変えてはならないと言った。
ヒトという生き物であるが故に変わらない感情、それを彼は綺麗だと、そう言った。
「だから、もし君がその罪悪感に押し潰されそうならば、私が共に支えよう。君は胸を張れ。そのままで構わない。けれど、それでも、少しくらい止まったって構わないんだ。悲しいなら泣いてもいい。その間、私が君を守る。」
「共に背負い、共に苦しみ、共に泣いて、共に笑う。それを仲間というんだ。君は一人じゃない。私が居る。君がどんなに失敗しようとも、君が笑って、胸を張って生きている限り、私が、君の仲間だ。君の味方だ。だって私は君の、最強のサーヴァント、だからな。」
私の弱み、魔術師としてあるまじき欠陥。
だけど同時にそれは人には無くてはならないものだと、捨ててはいけないものだと、戒めのように彼は言った。
「家族を愛して何が悪いものか。世界にたった一人の、君の、君だけの大切な存在だったのだから。」
そして、その弱さと共に生きる道を、正しいと、言ってくれた。
この気持ちは間違っちゃいないと、そう言ってくれた。
自然と、涙が溢れた。
自分を心に空いた大きな穴が、埋まったような気がした。
罪悪感、後悔、憤り、焦り。
それらの負の感情が、温かいもので溶けていった。
自分の内から生まれたものでは無い。他者から、言葉を介して流れ込んできた感情の波。
多分これが、ずっと私が欲しかったものなんだろう。
気付けば、私もアーチャーの背に手を回していた。
ごつごつとした男の体。
引き締まっていて、それでいて柔軟さのある筋肉。
その内にある心臓からは、規則正しい心音が聞こえる。
こうやって男の人に抱き留められたのは、きっと父さん以来だろう。
あぁ、そうか。
きっと私はこうやって、自分と共に歩んでくれる誰かを必要としていたんだな。
「……………信じられない。男の人に泣かされちゃった。」
そうして、私はここに来てようやく、真の意味で悲しみに浸った。
時間は無い、こうしていられるのは刹那の時しか無いだろう。
時は平等で優しく、そして残酷だ。
誰に対しても等しく進み、恐怖にも、救いにも、何にだって変わるだろう。
夜の帳が、音もなく街を包む。
戦いの時は近い。もう一刻の猶予もない。
だけどそれでもこの時間は、
きっと私には、必要だったのだろう。
そうして温かい涙と共に、私は再び目を閉じた。
これで本当に最後。目が覚めれば私は今度こそ私に戻る。
もう迷ってはいられない。今度は残酷に、時が私を責め立てる。
けれど、私はもう一人じゃない。
一緒に背負って、戦ってくれる仲間がいる。
なら、怖いけれど。不安に包まれて、再び落ちてしまいそうだけれど。
その手を握ってくれる誰かが居る、ただそれだけで。
その恐怖にだって、立ち向かえるはずだ。
interludeへ続きます。