気付けばHF最終章まで2週間切ってるんですよ。
なんて言うんでしょうね。
ファンだからとか、HFだからとか、そんなんじゃ無くシンプルに寂しいっていうのが今の心境です。
優劣が付いちゃいそうなので普段余りこんな事は言わないのですが、僕もまだファン歴はかなり浅い方です。2014年UBWのアニメから入ったクチなので。
なのでもっと前、それこそ15周年の歩みをリアルタイムで見てきた人は本当に感慨深いのではないでしょうか。
少し具体的なことを言うと、言峰綺礼は100%演じ収めなんですよ。
凛、桜、イリヤ、などは他作品にもかなり出ていますよね。
バビロニア然り、exシリーズ然り、プリヤ然り。
でも言峰は違うんですよ。
hollowには出てこない、他作品にも大きな出番は存在しない。
士郎も実はそうですよね、hollowの士郎は士郎ですけど、って感じなので。
お話的な意味以外でも、こうして終わりが近づいて来ているのは中々に繰くるものがあります。
では本編です。
毎度思うんですけど、前書きと本編、温度差凄いですね笑
「避けろ!!凛!!!」
「え?」
最初、私は全く気が付けなかった。
当然だ。私の目にはもう
大きく腕を広げて満面の笑みを浮かべていた私は、それに全くそぐわない緊迫した顔のアーチャーに突き飛ばされる。
体が大きく横に倒れ、脇へと飛ばされる。
その寸前、倒れゆく体の耳元で、蜘蛛のように低く囁く声を聞いた。
「ーーー妄想幻像(ザバーニーヤ)。」
頬を何かが掠める感触。
背筋を走る悪寒。
思わず目を瞑り、突き飛ばされたままに尻もちを着く。
受身も取れず、背中を打ち付ける。
「いっ、たぁ………」
そうして、目を開けた時に目の前に広がっていたのは。
「ぐ…………はっ…………」
異形の腕に大きく胸を貫かれた、アーチャーの姿だった。
幸せが無くなる時は、いつだって一瞬で。
そしていつだって、私は間に合わない。
「油断を取ったな、アーチャー。」
「貴様………、アサシン………?」
アーチャーの体を貫いたのは紛れも無くアサシンだった。
影のように黒い体に、不釣り合いな程白い髑髏の面。
今は亡き間桐臓硯のサーヴァントのアサシンが、何故ここにいる?
疑問が頭を塗りつぶす。
「……?、何だ貴様。殻だけではないか。どうやら狂戦士相手に酷く苦戦したと見える。」
ずる、とアーチャーの胸から何かを引き出す。
その赤い手に握られていたのは、色を無くした心臓だった。
赤味が引いたそれには凡そ生気というものを感じられない。
彼の瀕死を示すかのようなその光景を見て、私は強く目を見開いた。
そして思考が戻るよりも先に、眼前に起こる惨劇を止めようと声を出そうとして
「やめっ、」
「この程度の心の臓、喰らって足しにするまでもないな。」
その全てが無駄だったのだと、
耳に響くぐちゃり、という不快な音で、現実の無常を悟った。
「ッーーーー!!!」
声にならない苦悶は吐いて、アーチャーがその場に倒れ込む。
血の気が引く。
何だか急に寒い。
体の震えが止まらない。
さっきまで温かく頬を伝う涙は、凍りついたかのように冷たい。
取り返しのつかない有様を見て、辛うじて戻った思考が身体を動かす。
驚愕による強張りか、恐怖による脱力か
けどそれよりも、私の体を動かしたのは焼け付くような怒りだった。
「ッ、お前!!私のアーチャーに何してんのよ!!!」
心が怖いと感じるよりも、体が寒さで強ばるよりも。
何よりも早く、目の前の影を撃ち抜こうと腕を構えていた。
魔弾を打つ。
サーヴァントでさえ当たればただでは済まないだろう威力。
許せない。
許せない、許せない、許せない。
頭はそれのみでいっぱいで、他の
後の事など今は考えていられない。
ただ、その胸に秘めた憤怒のままに、
ーーーあの面を貫いてやる!!!
今まで感じた事のない怒りと共に、濃厚な魔力を放った。
すぐさま飛び退くアサシン。
だが、そんな事許さない
避けなどさせない、絶対に当てる。
いや、射たる。
「!!」
アサシンを追う
それは私の狙い通り、その白い髑髏の面を弾け飛ばす。
大丈夫、まだ間に合う。
今すぐ駆け寄れば、きっとまだアーチャーは助かる。
絶対死なせない、死なせてはいけない。
この幸福を、終わらせてはいけない。
けれどそれは、
「
夜の闇を切り裂いて
黒い外套をたなびかせ
覚えのある声を共にして
突如として現れた男に、真っ二つに両断された。
「え………………」
舞い散る稲妻。
バチバチと音を立てて、黒い魔弾は霧散する。
渾身の魔弾。
間違いなく今までで最高の威力。
それを、いとも簡単に斬られた。
そんな当たり前の疑問を抱くことすら、私には出来ない。
目の前の男に、全ての思考を奪われていた。
信じられない、何故、何故、何故。
「何で……………アンタがここに居るのよ。」
「…………相変わらず、容赦ないな。」
聞き慣れた声。
苦笑するその表情。
燃えるような赤い髪、幼さ残るあどけない顔。
琥珀色の瞳はまっすぐにこちらを見つめて、
ーーーーーいや、違う。
知らない、こんな顔知らない。
幼さなど最早欠片も無い。
アレは何だ?
アレは誰だ?
今アイツは、一体どんな顔している?
「派手にやったな。お陰で分かりやすかったよ。」
周りを見渡し、そう気さくに笑う声の感情は読み取れない。
その表情が、喜怒哀楽どれを孕んでいるのかすら分からない。
ただ、酷く冷たい。
人の温かみを、微塵も感じられない。
出来の悪い物真似を眺めているようだ。
そう、まるで
必死に人のフリをする
「貴様……貴様貴様貴様貴様ァ!!!」
アーチャーの激昴が耳を劈く。
まだ意識があったのか。
もう動かない体を必死に起こしながら、目の前に立つ男に叫ぶ。
怒りと憎しみを、目一杯に込めて。
消えゆく体を気にもせず、潰れた喉で必死に吠える。
「よもや……よもや、そこまで堕ちたか!」
「ーーーーーーーー衛宮…士郎ォ!!」
知らない声、知らない顔。
よく見知った筈の彼は、全く知らないナニカへと変貌していた。
衛宮士郎。
この聖杯戦争に巻き込まれて、偶然にセイバーを召喚できただけの一般人。
魔術の素養はあるものの、魔術師としてはへっぽこの魔術使い。
ただ少しばかり、人より正義感が強いだけの男の子。
「久しぶり、遠坂。」
いるはずの無い男。
敗北した筈の参加者。
消えたはずのサーヴァントを従えて。
不気味な程の笑顔で、この男は現れた。
「黙れ!貴様…凛に少しでも手出ししてみろ!地獄に落ちようと、どうなろうと!必ず貴様を殺してやる!!」
「ハァ………煩いよ、お前。」
軽く頭を抱えた後、目を細めアサシンに合図する。
「御意。」
そう言い切るやいなや、アサシンは懐から黒い短刀を取り出して
「!?、だめ!!」
そう叫ぶ私の声を無視し、アサシンはそれを投げた。
短刀は狙い目掛けて真っ直ぐと飛ぶ。
走り出そうとするも、間に合わない。
とす、と軽い音。
それは寸分の狂いも無く、アーチャーの頭に突き刺さった。
瞬間、命の気配が途絶えた。
射るような瞳から光が消えていく。
「り………ん…………」
今にも絶えそうな声でこちらに手を伸ばすアーチャー。
私はその手を追いかける。
伸ばして伸ばして、その手を掴む。
言わなきゃ、言わなきゃ、
ーー私は、貴方に
「待って!私、まだ貴方に言わなきゃいけないことが!!」
そしてその手を握り返す。
冷たくなった手でも感じられるよう、強く、強く。
けど、
「すま………な…………」
その手は掴んだ瞬間、砂ように消えていって
最後の言葉を言い切るよりも先に、色を無くし崩れるように消えていった。
blow up in your face
意味:あーあ、もう台無しだよ