この場でこんな事を言うべきでは無いかもしれませんが、それでも一言だけ言わせてください。
体調は大丈夫でしょうか?
作品自体がニッチなため、これが目に入る人は少ないと思います。
しかし、僕の作品を、面白い、と呼んでくれる方々がと考えると、やはり心配です。
同じ趣味を持つ人として、心配です。
3月28日公開予定だったHF最終章も延期となり、奇しくも今日で一か月です。
僕も物凄く悲しみました。
テンションの最高潮をその日に持って行くべく、日程も調節していたのでダメージも大きかったです。
型月展なども現在公開中止と、オタクだけでなく様々な人がストレスを抱えていると思います。
ですが、不要不急の外出は控え、出来るだけ家でおとなしくしましょう。
僕の作品は気が重くなるやつばかりなので、見返すには適していないかもしれませんが、一助になれば幸いです。
そして、全てが収束した後、皆で最終章を見ましょう。
その為に健康でいましょう。いてください。
生きよう、オタク。
以上です。
因みに僕は医療従事者でないため、対策などは全然わかりません。
取りあえず毎日手は洗ってます。
ほんと気をつけようね・・・
と言う訳で!
今回からBacklogと題しまして、2月10日の夜に起こった真実を語っていきます。
何故、士郎はアサシンと共に行動しているのか。
何故、2人は戦うのか。
僕がイメージする鉄心エンドの全てがこの夜に詰まっています。
クライマックスに向けて、いよいよ佳境です。
では、どうぞ!
Backlog
2月10日 夜
「それにな、使ってみなければ分からぬだろう。案外コレは今の貴様には最も適しているやもしれぬぞ?」
そう言ってギルガメッシュは黄金の波紋の展開した。
中から取り出したのは手のひら大の水晶玉。
そしてそれを躊躇うことなく地面に投げ捨てた。
派手な音を立てて水晶玉は割れ、そのうち塵となって消えていく。
それとほぼ同時に、ギルガメッシュが佇む場所の隣がぐにゃりと歪んだ。
「な.......これは.......」
思わず身構える。
だがそこから現れたのは思いもしない者だった。
街頭に照らされた明るい地面に這いつくばるような黒い影。
四肢は金色の鎖で繋がれ、仮面の隙間から苦悶が漏れ出ている。
「アサシン………!?」
「………………」
臓硯のサーヴァント、アサシンがその場に拘束されていた。
「倒したのではなかったのか?」
言峰が低い声で尋ねる。
ギルガメッシュはそれを鼻で笑った。
「お前達の当初の計画では、言峰とそこな小僧が屋敷に突入、そしてエミヤシロウ、お前の役割はアサシンの足止めであったな?」
「そう……だけど。」
「故に、我もそれに従ってまでよ。倒せ、とまでは言われてなかったものでな。」
「………………」
思わず口を噤んでしまう。
これがこの男の普通なのだと理解しようとしても、どうしても納得出来ない。
きっとこの男と自分では感じるものが違うのだろうと、無理やりに飲み込む他無かった。
「分かった。なら俺が殺す。こいつはセイバーの仇だ。」
そう言って剣を投影し、アサシンの方に歩み寄る。
弱っているのは一目瞭然で、これなら自分でも簡単に殺せそうだ。
躊躇うことは無かった。当初の予定通りになるだけだ。
だが、その歩みを遮る者がいた。
「まぁ待て。言ったであろう。褒美、だとな。」
そう不敵に笑いながら、ギルガメッシュは眼下に這いつくばるアサシンを一瞥する。
「だから褒美って何だ。力をくれると言っておきながら何も無いじゃない…………か………」
そんな彼の行動に反駁しようとした瞬間に、その行為が何を意味するのか理解してしまった。
何か、流れ込んでくる。
考えたこともなかった、意識すらしたことが無かった。
でも、きっと
俺はこうなる運命だったのだろうと直感していた。
言葉にすれば全てが台無しになる予感がした。
幼いころ、苦労して作った朝食を全てひっくり返してしまったのを思い出す。
あの時俺は喪失感で泣きそうになったけれど、それでも取り返しがつくことだった。
でも、これは違う。
先に進めば全てが変わる。
俺の生きた全てが、今までとは決定的に変わってしまう。
そしてきっと後には戻れないのだろうと、
けど、俺はその先を問わずにはいられなかった。
「まさか……お前。」
「如何にも。これが貴様に与える最上の褒美。もう一度、この戦いに参加したいのであろう?」
それが意味する事は一つ。
「俺に、アサシンと契約しろって言うのか。」
サーヴァントととの再契約。
サーヴァントを失ったマスターと、マスターを失ったはぐれサーヴァント。
この両者の承諾があれば再契約をし、聖杯戦争に復帰する事が出来る。
特例中の特例であり、飽くまでルールとして存在するのみ番外戦術に近い。
何故ならサーヴァントにも感情があり、使い魔として自らの在り方を規定している者など数少ない。
まともな感性、まともな感情を持つ者が、先程まで殺しあっていた相手に背を向けるなど、正気では出来はしない。
「そうだ。今更躊躇する事などあるまい?貴様の理想はこのような外法の業であっても不変のモノであろう?」
だがそれは、
正気ならば、の話だ。
元よりこの場に正気の人間など存在しない。
「力が、欲しいのであろう?」
心の奥が震える。
冷えきった体に容赦無く言葉は突き刺さる。
それは俺の身体へ黒い靄のような色を与える。
いや、違う。
消えているのだ。
俺の身体から、人の温かさというものが。
「どうしようも無く力を望む、そんな自らが否定できないのであろう?」
ブリキの体、割れかけの心。
最早この身は人とは呼べない。
「………………」
心の内を暴かれる。
どんなに取り繕っても、自分にだけは嘘をつけない。
力が欲しい。
戦うための力が欲しい。
勝ちたい。
どんなに卑怯と言われても、それで皆が救われるなら勝利が欲しい。
ましてや、それが目の前にあるのなら。
俺はどこまでもあさましく下賤な者に身を落としてしまう。
それは他でも無い、の欲望だった。
「何、憂慮することなど一つもない。貴様らは互いに餓えた瘦犬だ。表面上を取り繕うともそこにある欲望は同一のものだ。.......そうさな、後はどちらがそれを曝け出せるか、そこに尽きる。」
「であろう?言峰。」
そう言って言峰の方を見やるギルガメッシュ。
すると彼もそんな俺の葛藤を見抜いたのか。
心底愉しそうな顔で、懐から何かを取り出した。
「なるほど。その為に私にこれを取りに行かせたのか」
取り出したのは小さな小瓶。
中にあるのは蠢く異形。
小指の第一関節程しかない身体で、ぎいぎいと力無く動き回る。
先ほど殺した臓硯の本体。
言峰が回収していたソレだった。
「手札は多ければ多いほど良い。ソレを盾に自らを暴け。それが貴様の理想への第一歩となろう。」
「そら、くれてやる。上手くやれ。」
言峰が放り投げた小瓶を受け取る。
それは少しだけ温かい。
辛うじて感じられる生命の温度。
覗き込むとこちらを睨み返してくるような、無為で無駄な視線を感じた。
———哀れだ。
自分を苦しめた者の末路が、こんなにも哀れで、惨めなものとは。
人ならざる者に果てて尚、この男は一体聖杯に何を求めたのか。
肉体を無くし、精神を侵し、その魂さえ腐り果てて。
そうまでして求めたものは、一体何だったのか。
「…………………………」
長い長い躊躇いの後、俺はゆっくりと動き出した。
動かない影に向かって歩を進める。
もう遮る者はいなかった。
決意は最初から決まっていた。
ただ、やるべき事を為すだけだ。
本日、複数話投稿予定です