早めに投稿できた気がする、えへん。
さて、GWも終わり迎えた今日この頃、皆さんはどうしていますか?
僕はがっつり引きこもっていました。
友人と小旅行に行きたいな、なんて思っていたらこれですよ。本当に残念です。
まぁそのおかげで執筆する時間が出来たので、こうして比較的早く投稿できたわけなんですが。
いやしかし、あれですね。
今日とか外、物凄い天気よくて小鳥とか囀っていて。
こんな日はお日様を浴びながら、散歩でも・・・みたいな事考えながらこれの原稿書いているとダウナーになりますね。
我ながらメンタルに来るもん書いていて辛かったです。
めっちゃ楽しかったですけどね!
さて、ではそんなダウナーな気分を皆様にもお届けします。
残響のような慟哭に震える鼓膜。
それを無視して先へ進む。
やる事も、やるべき事も決まっている。
影の元へ辿り着く。
片手には例の小瓶。
這い回る異形は、相も変わらず忙しない。
眼前には頭を垂れる髑髏。
「何の、用だ。」
がさついた声。
たった今息を吹き返したような、生気を感じられない音。
契約者のいないサーヴァントは、今にも消えそうに呟いた。
「殺すなら、殺せ。」
抑揚の無い独り言。
「一つ聞きたいことがある。」
それに対し、問いを吐き出した。
「……………」
返答は沈黙。
構いやしない、元より対話を望んでいる訳では無い。
喋らないならその方が都合が良い。
「お前は、聖杯に何を願う?」
「…………………」
「お前の望みは何だ?何ももって聖杯に呼ばれた?」
「侮るなよ、小僧。」
そこから感じられるのは怒り。
それは彼にとって侮辱だったのだろう。
見えない顔からも、静かに怒りの色が感じられた。
「私は理想がある、私には誇りがある。」
「それで?」
「暗殺者として、一度忠誠を誓った主を裏切る事は決して無い。分かったなら失せろ。」
「…………………」
少し驚く。
どうやらこいつは、似合わずに義理深いようだ。
こんな悪党でも主と呼び、それに付き従うほどには。
「………そうか。」
俺はそう呟いて、手にした小瓶を静かに手放す。
からん、と軽い音が周囲に響く。
ころころと転がり、それはアサシンの目の前に。
ちょうど彼がそれを見下ろすような形で止まる。
中の蟲はぎいと鳴く。
出せ、と吠えるのか。
消えろ、と罵るのか。
「ーーーーーじゃあ」
「これで、その理由は無くなったな?」
そんな声無き恨み言を消し去るように、
一息をもって、それを踏み潰した。
ばきゃり、と砕ける音。
続いて、ぐちゅ、と潰れる音。
断末魔をあげる暇すら与えず、小さきものを亡きものにした。
足を離す。
粘ついた液体が靴の裏に舐めとったように纏わりついていた。
その下、潰れた虫と散らばったガラス片。
それらは広がるように、最早元の形を留めていない。
その姿は、割れた卵に良く似ていた。
「貴様、何をっ!?」
焦るアサシンの頭を掴み、無理矢理にこちらに向き直らせる。
「これでお前を縛る誇りとやらはいなくなった。これでいいんだろう?」
そんな理不尽を当然の様に説く。
「巫山戯るな!!主を殺した相手に付き従えと!?そんな事出来るわけがない!!」
似ている。
ギルガメッシュの言う通りだ。
俺たちは同じ穴のムジナだった。
面の皮一枚剥がせば、ありありと自分の欲望が顔を出す。
全く、本当に意地汚い。
だからこそ、そんなこいつはこれからの俺に相応しい。
「それで、いいのか?」
「………どういう意味だ。」
「お前、願いがあるから召喚に応じたんだろ?死後を売り払ってでも叶えたいものがあるんだろ?なら、つまらない事に拘るなよ。」
「つまらない、だと。」
ぴきり、と。
今まで無関心を貫いていたアサシンの感情にヒビが入る。
その発言に、アサシンは明らかに苛立ちを覚えていた。
「あぁそうだ。誇りだの何だのくだらない。自分の欲望があるならさ、それに従っちまえよ。その方が楽で、何より楽しいぜ?」
僅かに開いた感情の亀裂。
そこに、鉛のように熱った意志を流し込む。
冷えきっていた欲望を無理矢理に焚き付ける。
「晒しちまえよ。吐き出してしまえ。お前の醜い我欲をさ。俺はそれを賛美する。俺はそれを肯定する。他の誰でもない、俺の為にな。」
「私の…………願い…………」
一度熱くなった欲望を鎮める事は出来ない。
思考は絡め取られ、一本道へと誘い込まれる。
「枷ならもう無いぞ。たった今俺が殺したからな。たった今からお前は自由だ。その欲望に従うも、この妄執に付き合うも良し。だが、お前が望むのなら俺はお前に手を貸そう。」
「そんな事は、出来ない。」
笑ってしまう。
同じだ、何もかも。
その迷いも躊躇いも、手に取るように分かる。
ついさっき自分が体験した事だ。
だから、その晴らし方だって分かる。
「…………そうだな。ならお前に理由をやるよ。主を裏切れないって言うのなら、主の願いを叶える為に戦えばいい。その為に俺を利用するんだよ。」
「………………」
「ギブアンドテイク、ってやつ。魔力さえあれば俺を殺すのなんて簡単だろ?それこそ令呪を使う間さえ無く可能なはずだ。」
見ると、アサシンの体は徐々に透けている。
完全に主を失った事で、辛うじて残っていた魔力のパスが無くなったのだ。
消え行く体で、それでもまだ返答は無い。
「時間が無い、お前はもう消える。真に主に忠を誓うのなら俺と共に来い。お前の願いを、臓硯の願いを、俺が代わりに叶えてやるよ。」
我ながら酷い詭弁だ。
臓硯の願いも、こいつの願いも、そんなのどちらもどうだっていい。
臓硯の願いなんて碌でもないものを聞く気は無いし、それに付き従う馬鹿に与えるものなんてありはしない。
何もかも、理想の為に。
願う意思を偽り奪い、この道の為に糧とする。
『誰かの味方になるというのはね、誰かの味方をしない、ということでもあるんだよ。』
過ぎるのは嘗ての思い出。
目指す先、憧れの原点。
切嗣が俺にくれた、夢に向かう最初の言葉。
ーーー分かる、今なら分かるよ。切嗣。
ーーーこれが、お前の目指した正義だったんだな。
同時投稿に続きます。