私的鉄心END   作:たまごぼうろ

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どうも皆さん、たまごぼうろです。
早めに投稿できた気がする、えへん。

さて、GWも終わり迎えた今日この頃、皆さんはどうしていますか?
僕はがっつり引きこもっていました。
友人と小旅行に行きたいな、なんて思っていたらこれですよ。本当に残念です。
まぁそのおかげで執筆する時間が出来たので、こうして比較的早く投稿できたわけなんですが。
いやしかし、あれですね。
今日とか外、物凄い天気よくて小鳥とか囀っていて。
こんな日はお日様を浴びながら、散歩でも・・・みたいな事考えながらこれの原稿書いているとダウナーになりますね。
我ながらメンタルに来るもん書いていて辛かったです。
めっちゃ楽しかったですけどね!

さて、ではそんなダウナーな気分を皆様にもお届けします。



Backlog③

 

 

残響のような慟哭に震える鼓膜。

それを無視して先へ進む。

やる事も、やるべき事も決まっている。

影の元へ辿り着く。

片手には例の小瓶。

這い回る異形は、相も変わらず忙しない。

眼前には頭を垂れる髑髏。

 

 

「何の、用だ。」

 

 

がさついた声。

たった今息を吹き返したような、生気を感じられない音。

契約者のいないサーヴァントは、今にも消えそうに呟いた。

 

 

「殺すなら、殺せ。」

 

 

抑揚の無い独り言。

 

 

「一つ聞きたいことがある。」

 

 

 

それに対し、問いを吐き出した。

 

 

「……………」

 

 

返答は沈黙。

構いやしない、元より対話を望んでいる訳では無い。

喋らないならその方が都合が良い。

 

 

「お前は、聖杯に何を願う?」

 

 

「…………………」

 

 

「お前の望みは何だ?何ももって聖杯に呼ばれた?」

 

 

「侮るなよ、小僧。」

 

 

 

そこから感じられるのは怒り。

それは彼にとって侮辱だったのだろう。

見えない顔からも、静かに怒りの色が感じられた。

 

 

 

「私は理想がある、私には誇りがある。」

 

 

「それで?」

 

 

「暗殺者として、一度忠誠を誓った主を裏切る事は決して無い。分かったなら失せろ。」

 

 

「…………………」

 

 

 

少し驚く。

どうやらこいつは、似合わずに義理深いようだ。

こんな悪党でも主と呼び、それに付き従うほどには。

 

 

「………そうか。」

 

 

俺はそう呟いて、手にした小瓶を静かに手放す。

からん、と軽い音が周囲に響く。

ころころと転がり、それはアサシンの目の前に。

ちょうど彼がそれを見下ろすような形で止まる。

中の蟲はぎいと鳴く。

出せ、と吠えるのか。

消えろ、と罵るのか。

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーじゃあ」

 

 

 

 

 

 

 

「これで、その理由は無くなったな?」

 

 

 

 

 

そんな声無き恨み言を消し去るように、

一息をもって、それを踏み潰した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ばきゃり、と砕ける音。

続いて、ぐちゅ、と潰れる音。

断末魔をあげる暇すら与えず、小さきものを亡きものにした。

 

足を離す。

粘ついた液体が靴の裏に舐めとったように纏わりついていた。

その下、潰れた虫と散らばったガラス片。

それらは広がるように、最早元の形を留めていない。

その姿は、割れた卵に良く似ていた。

 

 

 

 

「貴様、何をっ!?」

 

 

 

焦るアサシンの頭を掴み、無理矢理にこちらに向き直らせる。

 

 

 

「これでお前を縛る誇りとやらはいなくなった。これでいいんだろう?」

 

 

そんな理不尽を当然の様に説く。

 

 

「巫山戯るな!!主を殺した相手に付き従えと!?そんな事出来るわけがない!!」

 

 

似ている。

ギルガメッシュの言う通りだ。

俺たちは同じ穴のムジナだった。

面の皮一枚剥がせば、ありありと自分の欲望が顔を出す。

全く、本当に意地汚い。

だからこそ、そんなこいつはこれからの俺に相応しい。

 

 

 

「それで、いいのか?」

 

 

 

 

 

「………どういう意味だ。」

 

 

 

 

 

「お前、願いがあるから召喚に応じたんだろ?死後を売り払ってでも叶えたいものがあるんだろ?なら、つまらない事に拘るなよ。」

 

 

 

「つまらない、だと。」

 

 

ぴきり、と。

今まで無関心を貫いていたアサシンの感情にヒビが入る。

その発言に、アサシンは明らかに苛立ちを覚えていた。

 

 

「あぁそうだ。誇りだの何だのくだらない。自分の欲望があるならさ、それに従っちまえよ。その方が楽で、何より楽しいぜ?」

 

 

僅かに開いた感情の亀裂。

そこに、鉛のように熱った意志を流し込む。

冷えきっていた欲望を無理矢理に焚き付ける。

 

 

 

「晒しちまえよ。吐き出してしまえ。お前の醜い我欲をさ。俺はそれを賛美する。俺はそれを肯定する。他の誰でもない、俺の為にな。」

 

 

 

 

 

「私の…………願い…………」

 

 

 

一度熱くなった欲望を鎮める事は出来ない。

思考は絡め取られ、一本道へと誘い込まれる。

 

 

 

「枷ならもう無いぞ。たった今俺が殺したからな。たった今からお前は自由だ。その欲望に従うも、この妄執に付き合うも良し。だが、お前が望むのなら俺はお前に手を貸そう。」

 

 

 

 

「そんな事は、出来ない。」

 

 

笑ってしまう。

同じだ、何もかも。

その迷いも躊躇いも、手に取るように分かる。

ついさっき自分が体験した事だ。

だから、その晴らし方だって分かる。

 

 

「…………そうだな。ならお前に理由をやるよ。主を裏切れないって言うのなら、主の願いを叶える為に戦えばいい。その為に俺を利用するんだよ。」

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

「ギブアンドテイク、ってやつ。魔力さえあれば俺を殺すのなんて簡単だろ?それこそ令呪を使う間さえ無く可能なはずだ。」

 

 

見ると、アサシンの体は徐々に透けている。

完全に主を失った事で、辛うじて残っていた魔力のパスが無くなったのだ。

消え行く体で、それでもまだ返答は無い。

 

 

「時間が無い、お前はもう消える。真に主に忠を誓うのなら俺と共に来い。お前の願いを、臓硯の願いを、俺が代わりに叶えてやるよ。」

 

 

我ながら酷い詭弁だ。

臓硯の願いも、こいつの願いも、そんなのどちらもどうだっていい。

臓硯の願いなんて碌でもないものを聞く気は無いし、それに付き従う馬鹿に与えるものなんてありはしない。

 

 

何もかも、理想の為に。

願う意思を偽り奪い、この道の為に糧とする。

 

 

 

『誰かの味方になるというのはね、誰かの味方をしない、ということでもあるんだよ。』

 

 

 

過ぎるのは嘗ての思い出。

目指す先、憧れの原点。

切嗣が俺にくれた、夢に向かう最初の言葉。

 

 

 

ーーー分かる、今なら分かるよ。切嗣。

 

 

 

ーーーこれが、お前の目指した正義だったんだな。

 

 

 

 

 

 




同時投稿に続きます。
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