出来れば一気に読んでいただきたいので、今回の戦闘編は纏めて更新します。コンスタントに投稿できない作者でごめんなさい………
さて、少し前回の話題を引き継いで映画の話をしましょう。
というもの今作、色々な方にお褒めの感想を頂いております。ありがとうございます。
こうして僕が投稿再開する気になったのも、そうした温かい言葉のお陰です。
そんな感想の中で特に多かったのが、慎二に対する解釈のものです。
僕は勝手にですが慎二にシンパシーと言うか、近しいものを感じていて、だからこそ彼の言動行動は書いていてかなり楽しい部分でした。
で!!!
映画見た人なら分かりますよね。冒頭の!慎二!!
HF最終章、感動するポイントは数多くあれど、まず僕はあのシーンで涙腺が緩みました。
なんて綺麗な死に顔なんでしょうね。彼の生前の苦悩とか殆ど感じさせない。はっきり言って顔が良い。
それを死に顔で改めて痛感するんだから、ほんとひどい。
そしてそれに対する士郎の顔ですよね、憐れみというのも違くて、ただ単に可哀そうと感じているわけでも無くて。
感情に対する言葉がすごく多い日本語でも表せない、表情のみで作られる想い、そういったものを感じました。
と言う訳で間桐慎二強火オタクによる、HF最終章、間桐慎二のココがいい!!
次話の前書きに続きます(尚、本人は劇中に登場はしない)
ではどうぞ。
意識が闇に埋没しそうなった瞬間、士郎が動いた。
「ッ!!!」
コートの胸元に手を入れて取り出したのは歪な形をした球体。
それはラグビーボールの様な形をしていて、それでいて大きさは野球ボールくらい。
深緑色に染ったそれは、上部にピンのような金具を付けていた。
彼は素早くそのピンを抜くと、躊躇うことなくこちらにそれを投げた。
「なに、を」
と、思考が切り替わる直前に、体が勝手に動いていた。
大きく距離をとる。
それが何なのか理解していた訳では無い。
ただ、本能とか言うやつで体が勝手に動いたのだ。
あれに近づけば死ぬ、と。
そしてそれは直ぐに正解だったと分かる。
その球体は丁度先程まで私が立っていた地点にぽとんと落ちた。
湿った土の音、一瞬の静寂。
コンマ数秒、意識すら移す暇無く。
それは当たりを巻き込んで、私の視界を赤に染めた。
「かっ、はっ、ぁ!!!」
そして遅れて、耳を割く轟音と爆風がやってくる。
飛ばされまいと身を屈める。
だが、咄嗟に対応出来たのはそこまでだった。
堰を切ったように溢れ出るのは火薬の香り。
雨に濡れて冷たい体、だけど露出した肌だけ酷く熱い。
「爆弾…って!あんた………!!」
そう言って違和感に気付き、首元を触ると血が垂れている。
左耳が聞こえない。
正確には、耳鳴りが止まない。
さっきの爆発で鼓膜が破れたのだろう。
耳からは血が垂れ落ちて、鋭い痛みが走っている。
だが今は、それを気にする余裕すら無かった。
「
未だ残る爆煙を隠れ蓑に士郎が突進してくる。
手には双剣、その片方をこちらに投擲。
くるくると回りながら弧を描いて寸分違わずこちらの首を狙ってくる。
それが頬を掠る風を感じながらも躱し、逆にこちらも距離を詰める。
「!?」
丁度手にしたもう片方の剣を振り下ろそうとしていた士郎は驚いたように目を開く。
きっと彼も想定してはいなかったのだろう。
私が遠距離ばかりだと思って、油断していたのだろう。
これこそ私が狙っていたものだ。
私が付け込まれたように、今度はその隙をを狙い打つ。
「はぁぁぁ!!」
剣を握る手の手首を裏拳のように殴り飛ばす。
「う、ぐっ!」
振り下ろされようとしていた剣が滑り落ちる。
綺礼に仕込まれた八極拳。
近接戦を得意とする相手に接近された時の奥の手が、これ以上無い形で突き刺さった。
裏拳の衝撃で、士郎の左腕は弾け飛ぶ。
骨を砕いた感触。
鈍い痛みに歪む顔を見て、もう戻れないと覚悟を決める。
がら空きの胴体、彼の両腕に獲物は無い。
今ならいけると確信し、もう一歩鋭く踏み込む。
この間合いならと掌底を構えた時、視界の隅に黒い影が見えた。
「!?」
「おっと、バレたかな。」
咄嗟に身を翻す。
すると、左腕の肩口に切り裂かれたような痛みが走った。
鮮血が溢れ出るのを間近に眺める。
見ると、先程投擲されたもう片方の剣が戻って来ていた。
「あ、ぐぅっ!!」
強い痛みが走る。
それが今までのような軽い傷では無いのは、流れる血の量から容易に想像出来た。
もう一瞬気付くのが遅ければ、それは恐らく首に突き刺さっていただろう。
だが、今はそんな事を気にしてはいられない。
折角のチャンスがふいになっただけて無く、逆に大きな隙を生んでしまった。
だが、士郎も左腕が死んでいる。
これなら直ぐに攻撃は出来まい。
投影しようにも時間がかかるし、殴りかかって来たのなら寧ろ好都合だ。
そこまで考えを巡らせて、視界の端に置き去りにしていた敵を見据える。
だが、そんな彼の未だ動く右手に握られていたのは、その予測を全て覆す
「ーー
「ーーーーー!?」
その右手に握られていたのは、一丁の黒い銃。
それが魔術回路の淡い水色の繋がりを帯びて、遊覧灯のようにぼやけている。
だが、それは本来有り得ない。
銃とは技術の具現、即ち神秘の否定。
人が、人の歴史が、
「如何に効率的に
それを突き詰めた結果生まれた産物。
そうやって生まれた
何しろどんな信仰形態にも無い、正真正銘に神秘の手から離れたモノ。
更に言うならここは日本だ。
この国で銃の所持は重罪として扱われる。
魔術に置いても人の社会に置いても腫れ物として扱われるそれを、彼はさも当然のように持っていた。
当たる訳が無いと、私の理性は強く叫ぶ。
そもそもそんなもので私に傷は付けられない。
神秘に対抗出来るのは同じく神秘のみ。
魔力で強化されている私の体ならば、きっと銃弾は貫通すらしないだろう。
だけど同時に、培われた経験が物語っている。
あれが纏う神秘は、私のものに匹敵すると
「ーーーーーーーぐっ!!」
鋭い発砲音と共に、左足の太ももに激痛が走った。
迷いを、穿つ。
私の一瞬の逡巡を彼は見逃さなかった。
同時に、全身に違和感。
体から力が抜けていく。
僅かに顔に余裕が浮かぶ士郎。
だが同時に、それを見逃す私でもない。
強張る体を無視して魔力を回す。
「初見殺しもいい加減にしろっての!!」
片膝をつきつつ、腕を構えて魔弾を放つ。
数うちゃ当たると言わんばかりの乱れ撃ち。
同時に撃たれた箇所に激痛が走るが、我慢する。
「ッ!!」
不意を撃たれ、咄嗟に身を捩るが間に合わず、魔弾は彼を捉える。
「が、っ、」
そのまま仰向けに倒れ込む。
対魔力の無い彼にとっては致命傷にも近いだろう。
「痛ッ!」
同時に私も激痛にしゃがみ込み体勢を崩す。
先ほど撃たれた場所が燃えるように痛い。
弾丸は私の脚を貫通せず、弾は体内に残っている。
まるでそれが内部から食い破ろうとしているかの如き痛み。
「はーっ、はーっ、ふっ!!」
手に魔力を集めて、傷口の後ろ側を強く押す。
その力は振動となって体内の弾を押し出した。
「はっ、あぁ、ぎっーーーーーー!!!」
涙が出るほどの痛みと共に、弾が傷口から飛び出してくる。
(やっぱりか……)
出てきた弾丸は銃の口径とサイズがあっておらず、また剣のように鋭くとがったものが弾自体から何本も飛び出ていた。
恐らくこれが私の魔術回路に接触し、魔力の流れを阻害していたのだろう。
膨張した弾丸からは僅かに私の魔力を感じる。
この弾丸は魔力を吸って鋭く膨張する構造なのだ。
相手の魔術回路に撃ち込めば魔術を行使する度に肥大し、その部位を内部から破壊する。
今の攻防で私の魔術回路の場所を把握し、そしてそこに寸分違わず撃ち込んだ。
物体の解析と射撃のセンスが無ければ、全く意味を為さない。
さしずめ、衛宮士郎流の魔弾という訳だ。
ふらつく体に恐る恐る魔力を回すと、今度は正常に循環していく。
魔術刻印による再生こそほぼ停止しているが、これでいくらかマシにはなった。
泥濘の中で倒れたまま動かない士郎。
見れば頭部から出血している。
地面に薄く広がる紅色。
一見して戦闘不能になったようにも見える。
毎回前書きにクソ力入れてしまう。でもあれ書いてる時が一番楽しい。