私的鉄心END   作:たまごぼうろ

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お久しぶりです。
きのこと同じく隻狼ずっとやってたら気が付いたら4月に・・・・
誠に申し訳ない。
でも神ゲーなので是非やってみて欲しいです(フロム脳)




追憶 正義のミカタ⑤

「はぁ!?お爺様を!?」

驚いて声をあげてしまう。

「そうだ。だから、協力して欲しい。」

どうやら聞き間違いでは無いようだ。こいつは本気で言っている。

「待てよ衛宮。そいつは不可能だ。」

たまらず口を挟む。反論せずにはいられなかった。

「何でだ?アイツも所詮人だ。殺せないことは無いだろ。」

こいつは何もわかっちゃいない。そんなこと出来るなら、とっくにやっている。

「そもそも、その前提が間違ってるよ。あれはもう人なんかじゃない。正真正銘の化け物さ。

他者の命を喰らう無理やりな延命とはいえ、僕らから見ればそれは不死身だ。」

畳みかけるように続ける。

「それに、攻撃だって効かない。お前も戦ったなら見ただろ?首を切られたって、直ぐに肉体が再生している。殺すなんて、それこそサーヴァントでもいないと」

 

「いや、殺すこと自体は不可能とはいえんぞ。」

今までずっと黙っていた神父が口を挟んでくる。

「…どうゆうことだよ、神父さん。曲がりなりにも、僕は今まであの人を見てきたんだ。大した面識もないあんたに何が分かる。」

「……」

そう尋ねるも、神父はまた黙り込む。

腹が立つ。訳知り顔しやがって。

「おい!なんとか言ったらどうだ!!」

たまらず怒鳴る。静かな教会に僕の怒号が響き渡る。

少しして、ようやく神父は口を開いた。

「……なるほどな。いくら身内とはいえ、最も近しい者に自らの秘は明かさない、か。まったく、用心深いあの老人らしい。」

そう言って笑う神父。こいつ、何か知っているのか?

「どうゆうことだよ、僕が間違ってるといいたいのか?」

「いや、君は間違っていないとも。確かに間桐の者からすれば、あの老人は不死の怪物だ。殺すなんてこと間違っても考えはしない。」

そうだ、その通りだ。だから今まで僕らは従うしかなかった。人の身で怪物に逆らえるわけがない。いつだって死と隣り合わせの日常だった。

「だがな、それは真実では無い。あの老人は断じて、不死身などでは無いとも。」

「え…」

だから、その一言は驚きだった。今までの固定観念を崩されるような一言。それをさも当然のように、この神父は言った。

「どうゆうことだ、言峰。」

衛宮が尋ねる。

「なに、簡単な話だとも。あの老人が普段見せている姿は虫どもの集合体に過ぎない。どこか別の場所に、本体となる蟲がいて、それを潰さん限りは殺すことはできん。それがあの男の不死の正体だ。」

本体?本体だって?

「待てよ、そんなの聞いたことが無い。僕の父だってそれは知らなかった。」

「それは君が間桐だからだ。自らの最大の急所は、身内にさえも伏せていたのだろうよ。寝首をかかれては堪らないからな。」

「……………………」

驚きで言葉が出なかった。

間桐にとって絶対の存在だった男の弱点がこうもあっさりと明らかになるなんて。

怪物なんかじゃない。あの男は、ただの老人だったんだ。それを、ずっと僕らに隠していただけの事。

…待て、それよりも

「神父さん、なんであんたがそれを知っている?」

次に起こる疑問はこれだ。身内にさえ隠す秘中の秘。それを何故この男が知っている?

「僕も知らないそのことをあんたはなぜ知っていた。」

「なに、簡単なことさ。と言っても私も知ったのはつい先日だがな。」

神父はさらりと答える。

「昨晩、君のせいで暴走した間桐桜をここで治療した。刻印虫のことは知っているだろう?彼女の体に巣食っていた虫たちの切除を行ったのだ。」

そのことは知っている。

あいつは間桐に来た日から毎日ずっと、あの狂った虫蔵で拷問を受けていた。

それを知っていたからこそ、僕は保険としてあの薬を用意したんだ。

薬と言ってもただの媚薬。しかし、そんなものでもあいつは暴走する。

感覚が敏感になり、快楽中枢が高揚すれば、虫たちは活発化し宿主の魔力を喰らう。

それが分かっていたからこその手だった。

「だから何だよ。答えになってないぞ。」

「…だが、すべて取り除くのは不可能だった。彼女の心臓の奥深く、そこに根深く食い込んでいる虫がいた。」

「!、…………それって。」

「待て、言峰。…………それは。」

何かに気づいたのか。衛宮が驚いたように口を挟む。

恐らく、僕の考えていることと同じだろう。

お爺様の本体である虫。それを知る神父。桜の心臓に巣食う刻印虫。

それらが示しているのは

 

「……………桜の心臓。そこに本体がいる。そうゆうことか、神父さん。」

 

「そうだ。確かにあの老人の気配を感じた。間違いないだろうな。」

疑問半分で聞いたのだが、まさか事実だなんて。

自分で言っても信じられない。いくら何でも悪趣味が過ぎる。

孫の体に自らを埋め込むなんて。人のやることじゃない。

「……………」

衛宮は黙っている。ショックなのだろうか。

桜はこいつに良くなついている。そいつが黒幕の命を握ってるとすれば、胸中穏やかとは言えないだろう。

怒り狂って、今すぐここを飛び出したっておかしくない。

だけどこいつの言葉は僕の予想と真逆だった。

「…………じゃあ。」

「じゃあ何で、まだアイツは生きている(・・・・・・・・・・・)?桜が死んだなら、同時にアイツも死ぬはずだろ。」

…………は?

「目を離した隙に逃げられたのだろう。死体に反応はなかった。恐らく、この状況になることも予想済みだったのだろうな。」

待て、こいつら、何の話をしている?

「くそ、それなら話は早かったのに…。用心深い奴だ。」

悔しがる衛宮。

悔しがる?

おかしいだろ、それは。

「待てよ。お前ら、何の話をしている。」

震えた声で問う。

「あぁ、言ってなかったな。桜は死んだよ。遠坂が始末して、俺はそれを見過ごした。」

「……………!!」

衛宮は当然のように答える。

 

桜が、死んだ。

あの愚図な妹は、もういない。都合のいい人形ももういない。

僕から全てを奪っていった、あいつは、もう、

「……………………………………………………………………………そうか。」

悲しみは、無かった。かといって、喜びも無かった。

深い喪失感も、身を焦がすような怒りも、無かった。

いつも思っていた。あいつが居なければ、あいつさえ居なけば、と。

だから、傷つけた。あいつが僕から奪ったように、僕もあいつから奪ってやった。

殴った。蹴った。叩いた。首を絞めた。

そうして動かなくなったそいつをぐちゃぐちゃになるまで犯したこともあった。

そうやって、心も体も何もかもを奪ったって、あいつは何も言わなかった。

ただ一言

 

『ごめんなさい。兄さん。』

 

と、呟くだけ。

それを聞く度に自分の心も傷ついて、その傷を隠すように行為を重ねていった。

傷つけて、傷つけて、傷つけて傷つけて傷つけて。

その度に、虚無感だけが心を埋めた。

だから、死を悼む理由など無い。

代わりに、僕の胸にあったのはーーーーーーーーーーーーー

 

「慎二?大丈夫か?」

衛宮に声をかけられる。

「あぁ、取りあえずは。それで?どこまで話してたっけ。」

話を戻す。今は、考え込んでいる場合ではない。

「間桐臓硯を殺害についてだな。結論から言えば、可能ということだ。」

そうだ。お爺様を殺すことはできる。

けれど

「…だけど、どうするつもりだ?今どこに居るかは分からないんだろ。」

いくら殺せると分かっても、本体の場所が分からないなら意味がない。

改めて衛宮に聞く。

相変わらず曇った眼で、少し考えこむ衛宮。

何かぶつぶつ言っている

「…あぁ、ならもっとシンプルでいいな。やるべきことも1つしかない。」

「何だよ。はっきり言え。」

そうして、考えが纏まったのか。

決意したように口を開いた。

「じゃあ、これから「計画」を説明する。心して聞いてくれ。」

 

 

 

 

 

 

「………………」

「…………………………ほう。」

説明が終わる。説明を受けた両人は黙ったままだった。

「以上が俺の計画だ。どうだ?協力してくれるか?」

発案者の少年、衛宮士郎が彼らに問う。

「本気…なんだな。本気で言ってるんだよな。」

困惑しながらも少年に問う間桐慎二。

「勿論。最初から本気だ。」

しかし、士郎に迷いはなかった。

一方、大柄の神父、言峰綺礼は黙って考え込んでいる。

「言峰はどうなんだ?」

少年は神父に問う。

「…そうだな。」

もったいぶるように言峰が口を開いた。

「はっきり言って、悪くない。成功の目は無いとは言えんだろう。勿論簡単にはいかないがな。」

「!!だったら、」

士郎が表情を緩める。

「だが、」

しかし、そう上手くはいく筈はない。

「それを聞いたところで、私に協力する義理はない。そこの間桐慎二もそうだろう。それに関しては、どうするつもりなのかね?」

言峰の問いは至極全うだった。士郎は兎も角、慎二には最早戦う意思はなく、言峰に至っては監督役。おいそれと表舞台に行けるわけもない。

暗躍のために使役していたランサーも消えてしまった。

しかし、それを分からない士郎ではなかった。

「従ってくれないのなら、従わせるだけだ。懐柔策も強硬策もあるぞ。どっちがいい?」

士郎の雰囲気が変わる。それは先程、慎二を傷つけた時と同じ表情。

冷たい声と刺すような殺意。

「ほう、準備がいいじゃないか。では懐柔策を聞こうか。」

そんな殺意すら愉しむように、神父が返答する。

2つの狂気が視線を介して交わる。

「臓硯はあの影と繋がっている。あいつこそ、今回の聖杯戦争を乱す存在だ。ならお前は無視するわけにはいかないだろう?」

士郎が仕掛ける。

聖杯戦争の監督者の義務として、共闘を提案。

「……………強硬策は?」

「そんなの1つだ。」

そう言って、懐から大振りのナイフを取り出す。

銀色の殺意が、迷うことなく神父に向けられる。

 

「従わないなら、無理やりでも従わせるだけだ。」

 

はっきりと告げる。

一方的な暴力をもって、共闘を強制。

しかし、先ほどの慎二の時とは違う。

明らかな戦闘態勢に入っている。

それが士郎のこの神父に対する警戒を強く表していた。

言峰は動かない。表情は楽しげなまま。

刺すような殺意さえ、心地よいのか。

「ふっ、いい顔になったじゃないか。私の予想も捨てたものでは無いな。」

そう、嬉しそうに笑う。

「答えろ。返答次第では…」

ナイフに力を籠める士郎。

言峰までは数歩、といったところ。

一瞬で距離を詰めて心臓を一刺し。

それだけで片が付く。

なのに

「どうした、来ないのか?無理やり従わせるのでは?」

後ろに手を組み、立ち尽くす言峰。

戦闘態勢すらとっていない。先ほどと何ら変わりの無い姿。

けれどそこには、1分の隙すらも無かった

熟練の戦士のような重圧感が、士郎の足を止める。

大柄な体がさらに大きく見える。

ここで動けば、どちらかが死ぬ。しかも、高い確率で自分がやられる。

そんな絶対の予感が彼にはあった。

しかし止まるわけには行かない。

先手必勝。士郎が踏み出そうとした瞬間、

 

「冗談だ。無論、協力させてもらうとも。」

 

「……………は?」

一触即発を雰囲気から一転し、一気に空気が弛緩する。

「何を呆けた顔をしている。調和を乱す者を誅するのも監督役の勤めだ。」

さも当然のように、快く引き受ける言峰。

これには士郎も困惑を隠せない。

「…そ、そうか。それは…恩に着る。」

毒気を抜かれたのか、緊張が解けたように後退し、ナイフを下す士郎。

「気にするな。お前の言う通り、監督役として影を使役するものは放っておけん。それだけの話だ。間違っても、貴様を信頼したわけではない。」

言峰としても聖杯戦争の調和を乱す者は放っておくことは許されない。

「それはお互い様だ。誰がお前なんか信用するか。これはただの共闘関係。そうゆうことだろ。」

衛宮士郎と言峰綺礼。一見、正反対とも思えるこの2人の目的は、今回に限って一致していた。

「分かっているじゃないか。無論、そのつもりだとも。」

お互いに嫌悪感を一部も隠さない。この2人は陰と陽、真逆に位置する存在だ。

間違ってもそれが交わることなど無い。

しかし、今この時のみ、そんな両者が同じ方向を向く。

いつだって周りは地雷だらけ、敵地で気に掛けるのは目の前ではなく己の背中。

そんなちぐはぐな協力関係ができた瞬間だった。

 

 




エイプリルフールに型月のHPから隻狼のHP飛べるのマジで爆笑しました。
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