再会した彼女は婚約者だった件について   作:ゼロ少佐

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9話

八幡「戻ったぞ…」

 

少し疲れたような声で

由比ヶ浜と神奈に声をかけた

 

結衣「おかえり、ヒッキー まさかヒッキーがお腹弱いだなんて知らなかったよ」

 

神奈「だねー」

 

神奈が由比ヶ浜にはお腹を下していたと

説明してくれていたようだ

良かった……いや、いいのか?

 

八幡「雪ノ下は?」

 

神奈「雪ノ下さんなら、部屋でぐっすり寝てるよ」

 

結衣「今度から飲む時は気をつけないとね〜」

 

神奈はうんうんと頷き

俺も「そうだな」と肯定した

 

少し神奈の方を観察していたが

雪ノ下が俺にキスしたりしていたのは

特に気にしている節は無さそうだ

至っていつも通りであった

 

神奈「はーちゃん、どうする?そろそろ帰る?」

 

八幡「…いや、今夜は泊まろう

明日俺か神奈が飯作ってやらないと

あいつ、何も食べないかも知れないしな」

 

神奈「あ、そっか…二日酔いで動けないだろうしね」

 

まぁ、由比ヶ浜を除外したのは言うまでもないだろう…

 

結衣「あれ!?私は!」

 

と声は聞こえてきた…お前が作った方が雪ノ下発狂するぞ…

 

一応神奈には由比ヶ浜の料理のひどさは伝えてある

奉仕部の思い出話している時に話したからな

 

八幡「んじゃ、俺はリビングで寝るから」

 

神奈「あれ、私達はどこで寝たらいいの?」

 

八幡「あっちに陽乃さんが来た時に使う為の部屋があるだろ…その部屋使えよ」

 

えーいいのかなー?とか声が聞こえてきたが

ま、いいだろう…最悪俺が頭下げるし

 

あ、寝る前に布団1枚貸してもらお…風邪はひきたくないな

 

そう思い陽乃さんの部屋のドアを開けた

 

八幡「おーい、布団1枚貸してくれー」

 

部屋をあけた先には

体を拭いたり、ブラを外したりしている二人の姿があった

 

結衣「ちょっ!ヒッキー!見ないで!」

 

神奈「はーちゃん!!」

 

2人の姿は目に焼き付けてしまったが

すぐに扉を閉めたためものを投げつけられることは無かった

 

 

 

神奈「はーちゃん、布団だよ」

 

数分ほどしたら神奈がリビングに布団を届けてくれた

 

八幡「サンキュ…さっきは悪かった…由比ヶ浜にも謝っておいてくれないか?」

 

神奈「うん、伝えとくね それと、乙女の部屋に入る時はちゃんとノックする事!」

 

そう言い残し部屋に戻っていった

 

明日ちゃんと謝ろうと決意し俺は眠りについた

 

 

 

翌朝

 

俺は1人朝早く目が覚めたため4人分の朝飯を作った

 

二日酔い対策としてしじみの味噌汁に梅粥、キャベツとしめじの野菜炒めの3品だ…

あまり多すぎると食べられないかもしれないからな

 

朝ごはんを作り終わると時刻は9時を過ぎていた

 

神奈「ふぁーあ あれ、はーちゃんもう起きてたんだ」

 

八幡「おう、なんなら朝飯作り終わったぞ 由比ヶ浜はまだ寝ているのか?」

 

神奈「うん、まだ寝てるよ…」ゴシゴシ

 

八幡「それなら、起こしてきてくれ…俺は雪ノ下起こすから」

 

彼女は眠たそうに「はーい」と欠伸をしながら部屋に戻っていった

任せて大丈夫なのか?二度寝したりしないだろうな

 

そう思いながら俺は雪ノ下の部屋の前にたち一応ノックをして入った

 

雪乃「スー スー」

 

綺麗な寝顔だな…

ふとそう思い頬や髪を撫でてしまう

欲情とかそういうのは一切ない

ただ本物の妹や娘を触るかのように

そっと触れた

 

八幡「……俺は何をしているんだ…おい、起きろ雪ノ下」

 

彼女の肩に触れ 体を揺すった

 

雪乃「ん、んー まだ眠いの…」

 

こいつ朝弱いのか?

何度も部屋に遊び来たことはあるが

流石に泊まったことは無かったからな

 

八幡「朝ごはん出来てるぞー」

 

雪乃「んっ、ごはん?」

 

可愛いこいつ……俺もこんな娘か妹欲しいな

つい、そんな事を思ってしまった

小町は最高で最強の妹だが

雪ノ下とはまた方向性が違う

 

八幡「ほら、起きろ」

 

ペシペシと頬を軽くたたくと

うつろうつろとした目でこちらを見た

 

八幡「おっ、やっと起きたか」

 

雪乃「……え?比企谷君?どうしてここに……」

 

八幡「後で説明してやるから ちゃんと目を覚ませ」

 

雪乃「(これは夢かしら?比企谷君が私の部屋で私の目の前に座っているのだけれど…もし、夢なら覚めないで欲しいわね)」

 

雪乃「比企谷君…うっ…」

体を起こそうとしたら激しい頭痛に襲われた

それに気分も悪いし…吐きそう…

 

八幡「大丈夫か?ほら背中に乗れ 洗面所まで連れて行ってやる」

 

彼はベッドの前で軽くしゃがみ 私を洗面所まで運んでくれた

 

雪乃「その、比企谷君… できれば遠くに行っていて貰えないかしら…貴方にこんな姿は見せたくないの」

 

洗面所に着くと私は身勝手ながら比企谷君にそんなお願いをしてしまった。彼は分かったと顔色ひとつ変えずに去ってくれた。好きな人にこんな姿を見せたく無かったし、私のプライドが…

 

そんな事を思いながら洗面所で吐いた

 

結衣「ヒッキーおはよー…」

 

八幡「ん、おはよ」

 

神奈「雪ノ下さん、やっぱり二日酔いだったか…」

 

八幡「そのようだ…何かあったらいけないから 近くにおってやろうと思ったが突き返されてしまった…」

 

いや、それ雪ノ下さんがこんな姿見られるのが恥ずかしいからだよね…察してあげようよ

 

結衣「あはは、ヒッキー鈍感すぎ…」

 

由比ヶ浜さんも軽く引いてるし…

どうしてはーちゃんってこんなにも鈍いんだろう

 

 

 

雪乃「ごめんなさい…迷惑かけてしまって」

 

そうしていると洗面所から雪ノ下が戻ってきた

 

八幡「気にすんな、それに…困った時はお互い様だろ」

 

雪乃「その事もなのだけれど…私の記憶が正しければ…えっと…うぅ///」

 

顔を赤くし手で隠してしまった

 

八幡「どうした?」

 

雪乃「き、昨日貴方に何度もき、キスをしてしまって///」

 

八幡「あっ.......///」

 

次は俺の顔が茹でダコのように真っ赤になってしまった。昨日の激しいキスを思い出し…あの魅力的な表情で求めてくる雪ノ下を…

 

八幡「あ、あれは酔った勢いだろ、き、気にすんなよ///それより、飯作ったから食べようぜ」

 

雪乃「え、えぇ///」

 

結衣「ねぇ、なっちゃん あの初々しいカップルみたいな二人見てたら殺意が湧いてきたけど、どうしたらいいかな?」

 

神奈「奇遇ね由比ヶ浜さん…私も少しカッチーンと来てしまいました.......ん?なっちゃん?ジュース?」

 

結衣「えっとね、神奈だからなっちゃん

流石にかーちゃん、とか変だからなっちゃんなの」

 

えぇ、由比ヶ浜さんのネーミングセンスどうなってるの…そう言えば雪ノ下さんのゆきのんはまだ可愛くていいけど はーちゃんのヒッキーは完全に違う意味になってるよね…

 

かっちゃんとか呼ばれるよりはマシよね…

 

そんな事を考えていたら はーちゃんが盛りつけを全部済ませてくれていた。何この彼氏…有能すぎる

料理スキルも高くて家事もできるし頭もルックスもいい…完璧じゃん

 

席順ははーちゃんの隣に雪ノ下さんはーちゃんの目の前で由比ヶ浜さんの隣が私…

少し違和感は感じるけれど、いつ雪ノ下さんの気分が悪くなるか分からないからこれの方がいいよね…

 

雪乃「そ、その比企谷君」

 

八幡「なんだ?」

 

雪乃「あ、あーん?」

 

八幡「あーん」

 

え?何ナチュラルにあーんしてるの?私だってしたことないのに

 

八幡「ほら、雪ノ下 あーん」

 

雪乃「あーん」

 

由比ヶ浜さんは普通にその光景を見てるし

おかしいのは私だけ!?

 

結衣「なっちゃんは初めてだから知らないよね…あの2人兄妹見たいに凄く仲良いの…」

 

えー、何それすごく初耳なんですけど…

というか、普通それ私がされるべきよね

 

「「ご馳走様」」

 

4人全員食べ終え 俺は全員分の食器を下げ

洗い物を始めた

 

神奈「あ、はーちゃん手伝うよ」

八幡「ん?おぉサンキュ」

 

神奈「さっきのあれさ…何だったの?」

アレ?あぁあーんってしたやつか

 

八幡「あれな…あれはなんつーか 兄妹ごっこみたいなものだ…俺は雪ノ下みたいな妹も持ってみたかったし、 雪ノ下は兄は居ないけど お兄ちゃんに甘えたりしてみたかったって言ってたからな。 それで俺が擬似的なお兄ちゃんをしてやってるんだよ…それに互いに得してるしな」

 

神奈「そうだったんだ…」

八幡「あいつ、育った環境もあってさ素直になれないし、なんでも1人で背追い込もうとするから…こうやってたまに あいつの甘える対象として お兄ちゃんしてやってるんだよ」

 

神奈「はーちゃんってさ雪ノ下さんの事実際どう思ってるの?」

 

八幡「……」

どう思っている…か

俺にもよくわからない

妹にしたいだとか部活仲間とかで

はぐらかしてはいたが

実際のところどうなのかよく分からない

 

神奈「黙っちゃうんだ…」

 

八幡「心配すんな…浮気だとか不倫だとかそういうものは絶対にしないから」

 

丁度洗い物が終わり 手を拭き神奈の頭の上にぽんと手を乗せた

 

神奈「今の時点でこれだけ女の子侍らしておいて、説得力ないよ」

 

八幡「うっ」

 

神奈「でも、信じてあげる」

 

八幡「...あぁ サンキュな」

 

思った以上に雪ノ下は元気そうだったので

昼過ぎくらいまでお邪魔させてもらって

そこから各々自宅に帰っていった


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