絶対なる個性(チカラ)   作:へたくそ

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出会い

11年前、総護は無個性と診断され部屋に引きこもるようになった。

大好きで毎日見ていたヒーロー番組も見なくなった。

 

 

 

母「総護?ご飯できたよ?」

 

ソウゴ「…うん」

 

 

 

2週間もご飯もろくに喉を通らない、あれほど憧れていたヒーローになれないという絶望。4歳の子供には十分すぎるショックだった。

それでもなるべく母に心配をかけまいとなるべくご飯は食べるようにはしている。

 

静かな食卓、前まで総護は食事の時でも母にヒーローの話ばかりしていた。

そんな総護の顔を見るのが楽しみの1つだった母。

 

無個性の事実は本人だけではなく、周りの人にも影響する。

総護の母が分かりやすい例だ。息子の元気な姿が見れない。それが母親にとってどれほど辛いものか。

 

そしてもう1つ分かりやすい例がある。

 

それは『いじめ』である。

 

陰湿なもあれば露骨なものもある。それはどれも無個性だという事を馬鹿にする内容ばかりだ。

 

 

 

ソウゴ「幼稚園、行きたくないな…」

 

母「総護…」

 

 

 

無言のまま夕食は終わり、そのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

次の日の昼

 

総護は2週間ぶりに外に出た。それは何となくで理由は特にいない。

テキトーにぶらぶらして、すぐ帰る予定だった。

家を出て約30分、雨も降ってきたのでそろそろ帰ろうと偶然通りがかった公園で一人の少女がブランコで遊んでいた。

 

ただ寂しそうな顔をして雨も気にしていないのか、それとも雨に気づいていないのか。

その姿を見て自分の姿と重なった。何かに絶望してる顔。放っておいてはおけなかった。

 

 

 

ソウゴ「風邪、引いちゃうよ。家に帰らないと。」

 

少女「いや、帰りたくないの。怖いの…」

 

ソウゴ「それならウチにおいでよ。」

 

少女「え…?え、ちょっと待って」

 

ソウゴ「ほら早く」

 

 

 

総護は少女の話を聞かず、手を無理やり引いて家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

母「えーっと…総護、その子は??」

 

 

母は困った様子で総護に聞いた

 

 

ソウゴ「わからない。公園で一人でいたから連れて来た」

 

母「そっか。濡れたままじゃ風邪ひいちゃうから一緒にお風呂入りましょ?総護も一緒に!」

 

少女「いや、でも…」

 

ソウゴ「一緒に入るのはどうかと思うけど、お風呂は入った方がいいよ。」

 

少女「それじゃ、ありがたく」

 

 

 

その後、少女と母親が一緒に入り、総護は一人で入った。

その間に少女はあまり感情を表に出さないが、2人が仲良くなっていたことに少し驚いた。

 

 

 

 

 

数時間後

 

母「あら、もうこんな時間なのね。もう帰らなきゃ親御さんも心配するわ。送ってあげるから帰りましょ?」

 

少女「帰りたくない、もうあそこにだけは…。」

 

ソウゴ「どうして?喧嘩でもしてるの?」

 

少女「違う。あいつのところに帰りたくないの…」

 

母「そっか、それじゃ電話するから電話番号と名前教えて?」

 

少女「電話番号は分からない。名前は光園寺、光園寺なな」

 

母「光園寺ってもしかして、あの光園寺一族の?」

 

ナナ「はい。お母様も噂を聞いてると思います。嘘だと思ってる人も多いと聞きますが、あれは嘘ではなく事実なのです。」

 

ソウゴ「お母さん光園寺一族って?噂って何?」

 

母「それは…」

 

 

 

母はナナの顔を不安そうに見る。それに気づいたナナは、ただ黙って頷くだけ、それを理解した母は話し始めた。

 

 

 

母「光園寺一族。それは有名なヒーロー一家でとても昔から家業をしていたの。それは」

 

 

 

『暗殺家業』

 

 

 

ソウゴ「あん、さつ?」

 

ナナ「そう、暗殺。光園寺一族は代々暗殺家業を生業にしてるの。表向きはヒーロー一家、裏では政府からの暗殺の依頼を受けているの。それは私も同じ。依頼は受けていないけど、暗殺術の修行をしている。」

 

 

 

 

突然すぎる告白。あまりの事に理解が追い付かな。当たり前だ。総護はまだ4歳なのだ。理解できなくて当然。

でも1つだけ理解したことがある。それはななが助けを求めていることだ。

 

助けたい。ただそう思った。ヒーローに憧れた故か、優しいが故か、はたまた両方か

助けたいと思ってしまったのだ。

 

 

 

ソウゴ「連れてって、ナナちゃんの家に。」

 

母、ナナ「!?」

 

ナナ「何言ってるの!?話聞いてた!?暗殺の一族なんだよ!?殺されちゃうかもしれないんだよ!?」

 

ソウゴ「関係ないよ。ナナちゃんが泣いていた理由がそれなら僕はそれを許さない。ななちゃんが辛いっていうなら僕が助けて見せる」

 

 

 

総護は母とななをまっすぐ見つめて言い放った。その目は、昨日までの死んだ目ではなく、硬い決心を、曲げない決意を決めた目だと母とななは気づかされた。何を言っても無駄、絶対に折れない。解決する方法は総護を光園寺家の連れていくこと。それは二人にとってとても苦渋の選択だった。

 

片や母親、片や会ったばかりだが大切な友人。

 

しかし、総護は動かない。それを感じた母は

 

 

 

母「分かったわ。総護がそういうなら。」

 

ナナ「お母様!?いったい何を!」

 

母「ただし!!!!」

 

ナナ、ソウゴ「!?」

 

母「終わったら二人ともちゃんと戻ってくること。これを約束できなきゃ行かせない。約束できる?」

 

ソウゴ「分かった。ちゃんとナナちゃんと帰ってくるよ、絶対に。」

 

ナナ「待ってよ!なんで勝手に決めてるの!?そんなことしたら」

 

母「無駄よナナちゃん、この子は決めたことは諦めなかった。今でも、ヒーローになれないと分かってても貴女のヒーローになろうとしてる。だからお願い。あの子を守ってあげて欲しいの。あの子が貴女を守るように、あの子を守ってあげて。」

 

ナナ「分かりました。絶対に守り切って見せます!」

 

 

 

ななは今までとは違い無表情ではなく、総護と同じような固い決意をした顔をしていた

 

 

 

これが二人の出会いで、これからの出来事が二人の未来を変えることになる

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