スーパーロボット大戦T 多次元の天秤   作:ジャギィ

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スパロボT見て、主人公の立場がサラリーマンって知って、クロウと合いそうだなーって思って発売日まで構想練ってました

スパロボTクリアしましたー。なので感想欄などでのネタバレの話が出ると思うので気をつけてください。よろしくね


プロローグ

“多元世界”

 

時空振動弾と呼ばれる物により、次元の壁が破壊されたことで出来上がった、あらゆる次元、並行世界が混ざり合った世界。その世界は“根源的災厄”と呼ばれる存在によって、全次元と全宇宙が滅びの危機に瀕していた

 

しかし、多元世界に住まう人間たちは諦めなかった。何度も世界の危機を救ってきたスーパーロボット部隊、それは「ZEUTH(ゼウス)」、「ZEXIS(ゼクシス)」、そして「Z-BLUE(ズィー・ブルー)」と名を変え、仲間を増やし、いくつもの並行世界を渡ったりもしながら戦い続けた

 

時には敗け、時には挫け、時には絶望し……しかし彼ら彼女らは最後まで諦めずに立ち向かい、ついにカオス・コスモスと呼ばれる宇宙で根源的災厄である“御使(みつか)い”の統合体「至高神Z」を撃破、超時空修復を行い、多元世界を超次元世界へと再構築して、宇宙の危機を救った

 

「天獄戦争」が終わったことで「Z-BLUE(ズィー・ブルー)」に属していた人たちはそれぞれの日常へと戻っていった。ある者は修理屋として伴侶の少女と一緒に世界を周り、ある者はグローリー・スターという軍属部隊に復帰し、ある者は並行世界の冒険家「ゲートトラベラー」として世界を巡る旅に出た

 

そしてこれは、借金返済のために戦い続ける男の、新たな物語である

 

 

 

 

 

太平洋…その隅っこでポツンと存在する無人島の上空に1体の機動兵器、リ・ブラスタTが佇んでいた

 

「こちらクロウ。指定のポイントについたぜ、チーフ」

 

ブラスタ(リ・ブラスタTの通称)のパイロットである男、クロウ・ブルーストは通信を繋ぎコールをかけた

 

すると通信先の映像がホログラムのように現れ、そこにメガネをかけた和服の金髪美女が映る。彼女の名はトライア・スコート。アクシオン財団第13研究所(通称スコート・ラボ)の代表でクロウの上司にあたる人物である

 

『こっちでも確認したよ。予定通り調査を始めておくれ』

「しかしよ、チーフ。再び次元震が確認されたってのは本当なのか?」

『正確には次元震の前兆であるエネルギーの余波を確認したんだけどね。超時空修復を行い世界が安定したって言っても宇宙は広がり続けてるし新しい世界も確認されてる。ならそのしわ寄せがどこかから来ても不思議じゃない』

「ま、せいぜい次元獣が出ないことでも祈るか」

 

そんな事あるわけないが、と内心思いながらクロウは無人島周辺の調査を始めた…その直後

 

『!!今あんたがいる場所一帯に次元歪曲を確認した!』

「まさか次元震か!?」

 

ぐにゃあああ……

 

突如ブラスタが飛行している宙域全体が捻じ曲がったような錯覚をクロウは感じた。次元震自体に慣れはあったが、あまりに久し振り過ぎる歪む感覚に思わず動けなくなる

 

今クロウが巻き込まれている現象こそが次元震。次元の壁が地震のように揺れ、それによるエネルギーによって巻き込まれた人や物体、時には世界の一部そのものが別の場所、世界に転移される。あるいは転移してくる現象である

 

今回クロウが巻き込まれたのは前者の方だった

 

『クロウ!そこからすぐに離脱するんだ!』

「ダメだ!間に合いそうにねえ!」

 

フルスロットルでブラスタを加速させるが、相当な広範囲が揺れてるのか一向に脱出できる気配が見えない

 

そして次元震の揺れがピークに達した時

 

コォォォォォ…

 

ブラスタの胸部にはめ込まれている翠のクリスタルが強く輝き出した

 

「揺れる天秤のスフィアが…!?」

『クロウ─────!!!』

 

カッ!

 

凄まじいまでに眩い光がクロウの網膜を焼き付け、ホワイトアウトと共にクロウは意識を手放した

 

 

 

 

 

そこは利便性と汎用性を重視した巨大な格納庫。株式会社VTXユニオン第一試験場にて、1人の男が目を閉じて静かに立っていた

 

サイゾウ・トキトウ。今日配属される特務三課の主任であり、黒のワイシャツと暗い錆色のネクタイの上からジャケットを羽織った姿は隠し切れない野性味を溢れさせていた

 

「…ねえ…」

「なんです?」

 

そんなサイゾウを見ていた2人の女性のうち、1人が口を開く

 

「あそこで寝ているのが、この特務三課の主任…?」

「ええ、そうです」

 

赤い髪にクールなイメージを持たせる女性、メリル・スパンナの質問に温和な雰囲気を感じさせるメガネの女の人、エイミス・アーネストは答える

 

「あれが噂の『野獣ネクタイ』か…初めて見た…」

「野獣ネクタイ?」

「ネクタイを締めたケダモノって意味よ。第二試験課にいたあいつがテストした機体はボロボロになって帰ってくるって評判だったの。ここまで過酷なテストをするなんて、パイロットは人間じゃない…って担当者が言ってたわ」

「なるほど…それであの人、一部の人たちから恐れられてるんですね」

 

サイゾウにつけられた二つ名の意味を聞いて納得するエイミス

 

「私はメリル・スパンナ…技術部からの転属よ」

「技術部第一課のメリルさんですね。お噂はかねがね…私はエイミス・アーネスト、総務からこちらの特務三課に転属になりました」

「総務か…道理であの野獣ネクタイや私のことも知ってるってわけね」

 

それを聞いたメリルは自嘲するように言う

 

「じゃあ私が一課を事実上追放になったのも当然ご存知か…」

「…それを言うなら私も総務を追い出されたようなものですから」

「要するにここは吹き溜まりなのね…」

 

どうしてこうなったのか、メリルは自分の境遇を呪うしかなかった

 

その時、サイゾウたち3人に近づく人物がいた。サングラスをかけて尚、その緩やかそうな雰囲気を隠さないでいた初老の男性だった

 

「皆さん、集まってますね」

「始業5分前には全員、集合していました」

 

3人に向かってかけられた声に最初に反応したのは、寝てたと思われていたサイゾウだった

 

(あの人…寝てたわけじゃないみたいですね…)

(こっちの話を聞かれたかも…)

「気にするな。半分は夢の中だった」

「地獄耳…」

 

サイゾウの微妙なフォローに呟くしかないメリル

 

「コホン…挨拶してもよろしいですかな?」

「は、はい」

 

返事を聞いてから、話を始める

 

「この特務三課の課長を拝命しましたヒロスケ・アマサキです。よろしくお願いします。スパンナさんとアーネストさんとは初対面でしたね」

「メリルと呼んでくださって結構です」

「互いをファーストネームで呼び、チーム内の結束を高める…技術部のしきたりですね」

 

思い出すようにアマサキが言う

 

「では、私たちもそれにならいましょう。エイミスさんもよろしいですか?」

「あまり好ましい風習ではありませんが、課長がおっしゃるなら構いません」

(可愛い顔でさりげなく技術部をディスるか…)

 

歯に衣着せない物言いにメリルの機嫌が少し悪くなる

 

「こちらが特務三課主任のサイゾウ・トキトウくんです」

「トキトウだ。よろしく頼む」

 

サイゾウが前に出て自己紹介をする

 

「本日から特務三課は始動します。皆さん一丸となって頑張っていきましょう」

 

アマサキは簡潔に特務三課の主業務を説明する。その主な目的は新型機の開発であり、新たな体制のモデルケースとして設立された故、特務三課そのものが小さな会社のようなものと答えていく

 

「そんな大変なことをこの4人でやるなんて…」

 

その小さなとはいえ会社をたった4人、しかもうち3人が吹き溜まりに打ち捨てられるような問題児。その大変さにメリルは億劫な気分になるが…

 

「いえ…課員はもう1人来ます」

 

アマサキはそう答えた

 

「その人…初日から遅刻なんですか?」

「いや、本社の方の式典に参加してからになるので…」

 

ドゴオオオオオン!!!

 

『きゃあああああああ!!!』

 

その時、凄まじい振動と爆音、そして悲鳴が第一試験場に響き渡った

 

「な、何!?」

「何かの事故でしょうか…?」

 

急な異常事態に混乱するメリルとエイミス。その中でアマサキは冷静に伝える

 

「落ち着いてください!まずは原因を調べましょう」

「振動と音はこっちからだ。行くぞ」

「ちょ、ちょっと!」

 

それだけ言うとサイゾウはすぐさま走り出し、アマサキもついていく形で移動した。それを追いかけるメリルとエイミス

 

爆音と振動の震源地までいくと、通り道の途中で銀色の何かが壁を突き破るように道を塞いでいた

 

「これは…機動兵器か?」

 

1発で巨大なそれの正体を見抜いたサイゾウ。次に、その機動兵器の近くで腰を抜かしている女性に話しかける

 

「大丈夫か?」

「ひゃっ!あ、た、助けてください!急にあの銀色の何かが壁から突っ込んできて…」

「…怪我はなさそうだな」

 

そしてサイゾウは考える。この道は第一試験場までの一本道、その道を通ってきたことを考えると…

 

「特務三課の新入社員だな」

「え…あ、はい。本日よりVTXユニオンに入社し、特務三課に配属になりました…ってそんなこと言ってる場合ではないと思います!」

「落ち着け。こうやって突っ込んできた以上、パイロットもタダではすまない。その証拠に動きを見せない…」

 

コォォォォォ……

 

ガシャン!

 

「!!」

「う、動きましたよ!?」

「…コックピットが開いていく…」

 

その銀の機動兵器の胸部のクリスタルが淡く輝くと、ひとりでにコックピットが開いていき…

 

ドサッ

 

「ひ、人が!」

「…どうやら、ただのテロリストとかではないようだな」

 

サイゾウはコックピットから倒れ出た男…クロウ・ブルーストを見ながら、そう呟くのだった

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