スーパーロボット大戦T 多次元の天秤   作:ジャギィ

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1話にも書き足しましたがもう1度書いておきます

作者は現在スパロボTをクリアしてますので、スパロボTのネタバレなどを避けたい方は感想欄の閲覧はご注意ください


DMバスター

「う〜ん、随分と幸先の悪いスタートを切ってしまいましたね」

「まさか初日からこんな災難に見舞われるなんて、本当にツイてないですね」

 

会社に謎の機動兵器が突っ込んできてから2時間後

 

謎の機体ことリ・ブラスタはVTXユニオンの第二試験場の格納庫に入れられ、その機体に乗っていたクロウは気絶していたため、現在医務室のベッドで横になっていた。傷らしい傷がなかったのが幸いだったといえよう

 

「ところで、もしかしてその子が?」

 

エイミスはサイゾウの横で縮こまってる茶髪でポニーテールの新人社員に対して話題を切った。ちなみにメリルは謎の機体を調べるためこの場にはいない

 

「じ、自己紹介が遅れて申し訳ありませんでした!本日より特務三課の配属になりましたラミィ・アマサキと言います!至らぬ所もありますがよろしくお願いします!」

「アマサキ…?」

「ええ、彼女は私の娘です」

 

それを聞いたエイミスは淀みなく疑問を口にする

 

「コネ?」

「違いますよ!!」

 

失礼すぎる言葉にラミィは即切り返す

 

「落ち着いてくださいラミィくん」

「でもお父さん…!」

「そういうのもなしです。会社に入った以上、社会人としての区別をつけなければコネと言われても否定できないじゃないですか」

「うっ…ごめんなさい…じゃなくて申し訳ありません、課長」

 

アマサキに言われ言葉を訂正する娘ラミィ。それを見ていたサイゾウはエイミスに話しかける

 

「ミス・ストレートの名は伊達ではないようだな。こうも聞きにくいことをストレートに聞きに来るとは」

「…このクセは私もどうにかしたいとは思いますけど、親子だなんて聞いたら邪推してしまうのも無理がないと思いますが」

「まったく、先が思いやられるな」

 

ビー!ビー!ビー!

 

「け、警報?火事ですか?」

「これって…」

「レベルAの警報だな」

「レベルA…?」

 

サイゾウのレベルAという単語にラミィは首をかしげる

 

「当社に対して直接的な攻撃が加えられる可能性が高い場合に発令されます」

「ええっ!?」

「会社説明会でも話があったでしょう?大きい会社ですので、こういったこともある…と」

 

いきなり攻撃されてると言われてオタオタしだすラミィ。しかしそこで1つの疑問が浮かぶ

 

「あれ…?じゃあなんでさっきの時は警報が鳴らなかったのでしょうか…?」

 

さっきのこと…謎の機体が会社に突っ込んできた出来事である

 

「VTXユニオンは事故にせよ故意にせよ、設備に直接的な被害が被る場合警報が発令される。つまり、あの機体は何らかの手段で瞬間移動してきた後、突っ込んできたのだろう」

「な、なるほど…」

 

この疑問を解消したのはサイゾウだった。スラスラと出てくる答えにラミィは納得するが、肝心の回答者は納得していなかった

 

(しかし、ボソンジャンプなどの瞬間移動法が技術として確立している以上、会社が対策をしていないわけがない…一体どうやって…)

「失礼します!」

 

そう考えている中、第一試験場に慌ただしく入ってくる人が。ブラスタを調べていたメリルだった

 

「メリルくんですか。先ほどの警報を聞いてやってきたというわけですね」

「いえ、警報を聞いたのはこちらを向かっている最中です。あの機体を調べていたのですが、とんでもないもので…!」

「すみませんが、その報告は後にしましょう。今はレベルAの警報をどうにかする方が先です」

「しかし…!」

「そこまでにしておけ。今は緊急事態だ」

 

止められても渋るメリルをサイゾウが止める

 

「でも、どうにかするってどうやって…」

「無論、我々が戦うのです。ちょうど新型機もありますしね」

「新型をサポートするための戦術支援機であるキャリアクスは課長とメリルとエイミスが乗ることになるだろう。そして…」

「?」

 

サイゾウは言葉を一旦区切ると、疑問符を浮かべるラミィを見ながら宣言する

 

「その新型機であるティラネードに乗るのは…俺とお前だ、新人」

「えええええええっ!!?」

 

それ(宣言)を聞いたラミィは、今日悲鳴を上げた時よりも大声で叫ぶのだった

 

 

 

 

 

ビー!ビー!ビー!

 

「うっ……」

 

けたたましく鳴る警報。耳を通して頭に響く音は気絶していたクロウの意識を覚醒させた

 

清潔な白いベッドで寝ていたクロウは、頭を片手で押さえながらゆっくりと起き上がる

 

「…どうやら誰かが俺を助けてくれたみたいだな」

 

ベッド周りのカーテンを開けて今いる場所が医務室なのだとあたりをつけると、見ず知らずの自分を助けてくれた誰かに対して感謝した

 

「だがこの警報…どうやら良くねえことが起こってる感じだな」

 

同時にサイレンのように全体に響く警報をクロウはそう捉えた。すぐに医務室から出て近くの窓から外を見ると、多く建ち並ぶ施設やビルが敷地内に広がっていた

 

そして、その外側から聞こえてくる戦闘音も耳にする

 

「このままだとマズイな…!」

 

遠目に見ても敵と思わしき影は大群。それに立ち向かっているのは少数の人型機動兵器と一機の支援機。立ち回りはうまいが持久戦になれば疲弊していくのは目に見えていた

 

コォォォォォ…

 

その時、クロウは自身と共鳴する力の波動を感じ取った。それは自分の相棒が放つ力と同じ

 

「この感覚はスフィア…!?ブラスタが近くにあるのか!?」

 

スフィアの力を感じ取ったクロウは、その感覚のもとに向かって会社内を走り出す

 

走ること5分、クロウは誰もいないある巨大な格納庫にたどり着いた。そこにはクロウ・ブルーストの相棒、リ・ブラスタTが翠の光を放ちながら立っていた

 

「かなりボロボロの状態だな…だが駆動系が無事ならまだ動けるはずだ!」

 

そう言ってリ・ブラスタのコックピットを開けて乗り込んだ。コックピット内のダメージは殆どなく、問題なくブラスタは起動された

 

そのままリ・ブラスタを動かそうとした時

 

ピピッ

 

急にモニターからある動画が流れ出した

 

『この映像が流れてるってことは、とりあえずあんたとブラスタは無事ってことだね』

「チーフ!?」

 

そこには狐のお面で半分顔を隠すおキツネ博士ことトライアが映っていた

 

『ああ、悪いけどこれは緊急用のために撮っておいた録画映像だ。あんたの質問には答えられないから簡潔に言うよ。この映像はリ・ブラスタTの外装ダメージが70%を超えたら流れるように仕組んでいる。つまりあんたは今、リ・ブラスタTがほとんど動かせない状況ってわけだ』

 

トライアの説明をクロウは黙って聞く

 

『その状況に想定したシステムを私は108パターン用意した』

「そんなに!?」

 

周到過ぎる準備にクロウは驚きで叫んだ

 

『───というのは冗談だ。元気そうなツッコミで何よりだよ』

「緊急用の映像で遊んでんじゃねえよ!」

 

今度は怒りで叫ぶクロウだった

 

『さて、真面目に説明しようか。あんたの危機的状況を打開する方法がこれだ』

 

ピピピッ

 

「これは…!」

 

モニターに流れたシステムを見たクロウは、自分の上司の用意周到さに言葉を失った

 

 

 

 

 

一方、VTXユニオンの周辺では戦いが長く続いていた

 

「しゅ、主任!また敵が来ましたよ!」

「テロリストにしては随分数を用意してきたな。このやる気を社会に活かせばいいものを」

「軽口言っている場合じゃないですよ!?エネルギーも弾薬も半分を切っているんですから!」

「まだ半分も残っている!気合いを入れろ新人!」

 

黒い外装のスマートなボディ、肩に半分に折ったステルス機のような翼をつけた新型機動兵器の試作機「ティラネード」が上空を飛び交いながらマグナ・ビーム・ランチャーで敵機を撃破する。サポートする形でティラネードに乗っているラミィがサイゾウに向かって言うが聞く耳持たずだ

 

「ふん!」

「せいやぁ!」

「トウッ!」

 

少し離れた地点ではV字の赤い翼と胸部の放熱板が特徴の「グレートマジンガー」とそれに類似したマシン「イチナナ式」、そして3つの乗り物が合体してロボットとなった超AI搭載型ロボット「ビッグボルフォッグ」が、連邦軍の援軍としてそれぞれ戦闘を繰り広げていた

 

「鉄也さん!この数だと向こうの俺の部隊もやばいかもしれない!」

「シロー!お前は向こうの援護に行け!こっちはまだ何とかなるが、向こうはそうはいかん!」

「わ、分かった。気をつけてくれ鉄也さん!」

 

イチナナ式に乗っていた青年シローはグレートマジンガーを見てそう言うと、その場から戦線離脱した

 

しかし敵のまだ多い。下半身の横に腕をつけたような「ゼグード」や黄色い「バッタ」と呼ばれるにピッタリな無人兵器、胴体(というよりほぼ胸部)が横長い青い人型ロボット「マジン」などが存在している

 

バッタとマジンがマシンガンとビームを同時に発射するのをそれぞれ回避する3機。その後方の総合戦術支援機「キャリアクス」にはそれぞれアマサキ、メリル、エイミスが乗っていた

 

「課長、このままではジリ貧ですよ!」

「大丈夫ですよ、戦いが長引けば不利になるのは向こうの方です。連邦軍からのさらなる援軍も到着するはずです」

「でもエネルギーが先に尽きたら…!」

 

そうなればティラネードは動けなくなり、動けないのをいいことに袋叩きに遭うのが目に見えていた。そうなれば特務三課の仕事は失敗したことになることは明白だ

 

何かできることはないかとメリルは考えを巡らせ…

 

ザザッ…

 

『そこのあんたら、聞こえてるか?』

「え…?」

「だ、誰!?」

 

突如聞こえてきたオープン回線に困惑するメリルとエイミス。そのまま回線から声は聞こえ続ける

 

『今あんたらが非常にマズイ状況だというのは分かっている。助けてくれた礼として、俺も手助けさせてもらうぜ』

「助けてくれた礼…?」

「もしかして、あの銀色の機体の…?」

『緊急なんで格納庫を無理やり突っ切る!離れてろよ!』

「え!?」

 

そう言われてキャリアクスにいた3人は視線を第二試験場格納庫へ向ける

 

ガシャアアアン!!!

 

そして巨大なシャッターを突き破って…それは現れた

 

 

 

一対の機翼を背負った銀色の細身、右手に電磁加速式ガンランチャー、左腕の大型シールドを前面に構え、そして機体の中心につけられた翠のクリスタル

 

それはクロウが最初に出会った時の姿そのままの相棒、DM(次元獣)バスター試作機1号機「ブラスタ」だった

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