新連載を初めてしまう私はきっと心が弱いのだと思い知ります。がやれるだけのことはやろうと思うので温かい目で見守っていただければ幸いです。というわけで早速ですが本編の方に参りたいと思います。
Prologue.Ⅰ『堕(おちる)』
「……本当にこれでいいのかな?」
誰にともなくそう呟くと、隣の彼女が返事
を返した。
「例えこれで悪いとしても私たちの決断は揺
るがないだろう」
「そうだよね……もう、後戻りなんてできない
し、やっぱりこうするしか…ないんだよね」
深い諦念を深いため息に乗せて吐き出す。
言葉にできないやるせなさが、僕の心の中で
領土を拡大していた。これよりほかに選択肢
など僕らには無いと分かってはいても、やは
りどこかで他に道があるのではないかと思え
てならない。しかしそんな僕の胸中を射抜く
かのように彼女は言葉を投げかける。
「…もしも、他に選択肢があったところで今
の私たちに見えていなければ意味はない。
時が過ぎた後にその時に選べたかもしれない
新たな道が見えたとしても選べたその時に戻
ることはできないし、そんなことを考えたと
ころで無意味だ。…だから、私たちは今の己
に出来ることを悔いの残らないよう全力で取
り組まなければならないんだ」
彼女は僕の中で我が物顔で居座っていた迷
いを断つようにそう力強く言い切った。
彼女は見た目に似合わずとても優しく思いや
りがある。
なぜならそうやって退路を断つことによって
、余計なことを不安を考えずに目の前のこと
に集中できるように僕に言葉をかけてくれて
いることが伝わってくるからだ。
「そう…もう悩んでいる暇はどこにもない」
ともう一度、今度は自身にも言い聞かせる
ように言った彼女のその一言で、僕の迷いは
完全に吹っ切れた。
「うん!やろうっ!!今僕たちに出来ること
を全力で!!」
「ああ、そして必ず帰ってこよう・・・今度
は
今まさに水平線に落ちようとしている太陽
が空を血のように赤い夕焼けに染める。
その空に向かって挑戦するように声を発する。
覚悟は決まった。僕らの上に君臨する『一つ
の希望』に対して反旗を翻す覚悟を……。
「ん、ん……」
僕はいつものように眠りから覚めて、ベッ
ドの上で微睡んでいた。
すると、ベッドの感触がいつもと違い、それ
もいつものよりも上質なそれになっているこ
とに気付いた。
そのことに違和感を覚えつつも徐に起き上が
り、いつも通りのはずの自分の部屋を見渡す
と、僕の眠気はふっ飛んだ。
「!これは……一体!?」
そこはなんと、いつもの自身の部屋ではなく
、普段の自室よりも数段
ような部屋だった。
バスルームのシャワーはなんと言うのかわか
らないが上等そうなものに置き換わり、浴槽
はジャグジー付きに変わっていた、床も水滴
が乾きやすいような仕様になっていてとても
使いやすそうだ。
そして、部屋の照明は豪華なシャンデリアが
中央についており、部屋のスイッチ一つで、
直ぐに部屋全体が照らし出されるようになっ
ており、机もただの机ではなく、コンセント
が備えつけてあったり、照明は人が前に来る
と反応するタイプで明るさの調節から消灯ま
で自由自在、など………他にも上げれば切りが
ないほど至れり尽くせりだったけれど、なん
だかその背後にある………なんとも言えない不
気味さのせいで素直に喜べずにいた。
それもそのはずだ。
いつもの自室が眠っている間にほとんど置き
換わっていたら誰だって気味が悪いだろう。
正直、今は嬉しいというよりむしろ、不安の
ほうが強い……とそんな風に置き換わってしま
った自身の部屋、だった場所に戸惑いを感じ
ていると部屋に備えられたスピーカーから突
然大音量で音声が鳴り響いた。
『ピンポンパンポーン!!あー、あー、マイ
クテス!マイクテス!現在、各部屋でおくつ
ろぎのオマエラ!速やかに、船内のロビー前
にお集まりください。くりかえすよ!、オマ
エラは速やかに、船内のロビー前にお集まり
ください』
その妙に明るいただのダミ声に、何故か僕
は背中に悪寒が駆け抜けていく感覚を覚えた。
『じゃ、ボクはちゃんと伝えたからね!出来
るだけ早くきてね!』
謎の悪寒に僕が身を振るわせていると声の
主は一方的に要求を突きつけ(放送だから仕
方ないが)会話を打ち切り、放送を終えた。
背中になにか嫌な予感を背負いつつも、一応
なにがあるのか気になるので部屋をでて指示
されたところへ向かうことにした。
そこでふと疑問が浮かぶ。
それは先ほどの放送の内容にあった
う単語である。
え、船内?校内じゃなくて?それもこの部屋
の改装となにか関係があるのだろうか?そも
そも今の放送は?いくら考えても疑問は次か
ら次へと湧いてきてキリがないので、とりあ
えず指示に従い、事情の説明を求めたほうが
早いと思い、僕は部屋を後にした。
「え?…なにこれ……」
部屋を出るとそこには、向かいにも部屋が
あり、その部屋に付けられたドアプレートに
はドット絵でその本人のものと思われる絵が
描かれ、同じくドットで「アラウミカジキ」
と、その絵の人物の名前が書かれていた。
そして、自分の部屋のドアを見ると同じよう
なドアプレートが施してあり、そこにもやは
り自身のドット絵と「サトウミナタカ」の文
字がそこにあった。
廊下を軽く見渡して見たが、どの部屋のドア
もどうやら同じ意匠になっているようだ。
「本当になんなんだろう……」
そんなことを一人呟き、今の状況に当惑し
ながらも目的地に向かおうとして、今更なが
らあることに気が付いた。
「ロビー、どこにあるかわかんないじゃん……」
あの放送の声の主は
この廊下もいつもの希望ヶ峰学園の廊下では
なく、それよりも無駄に高級感のあるものに
なっていたことから考えてもここは学園内で
はないらしい。
そんな、見ず知らずの場所にあるロビーと言
われてもどこにあるのかわからなければ向か
いようがない。
「しょうがない…虱潰しに探すか……ん?」
諦めてこの
たところで、ポケットの中にある何かが振動
した。
取り出してみると、それは何かの携帯端末の
ようで液晶画面に触れると希望ヶ峰の校章が
表示された後、この船内の地図と思われるも
のが表示された。
「おおっ!ここか……意外と近いな……」
そこには自身の現在地と目的地、その現在
地から目的地までの道筋までが、とても分か
りやすく表示されていた。
が、そこにはなんのひねりもなく今自分が向
いている方へ真っ直ぐ進んですぐの所でロビ
ーに出られると示されていた。
取り敢えず地図の示す方へ歩いて行く……する
と、またも豪奢な内装が眼前に広がると共に
何十数人もの生徒がまばらにそこにいるのが
分かった。
するとその中の一人がこちらに気付き、何や
ら笑顔で駆け寄ってきた。
「ヤッホー!!ねぇねぇ!!あんたもさっき
の放送で呼ばれた系? そうだよね?……あ、
うちの名前は持中庵戸。
屋の店主兼看板娘兼職人!で、君の名は?」
『“超高校級の和菓子職人”
「な、なんか前前前世からの運命を感じさせ
そうな尋ね方だね…僕の名は佐藤。佐藤皆高
だよ」
『“超高校級の平均”
「佐藤皆高……ふーーん……じゃ、君のことは
今日からミナたんと呼ぼう!うん!あだ名は
ミナたんに決定!!そういう事だから!これ
からよろしくね!ミナたん!」
「み、ミナたん!?」
『どうやら全員揃ったみたいだね!それじゃ
あ、始めちゃいますか!!』
「っ!!なんだなんだ!?」
初対面の女の子に声を掛けられ、変なあだ
名で呼ばれ出したかと思うと今度はまた例の
放送の声が船内?ロビーに響き渡った。
『いやーー!やっぱりオマエラは他の奴らと
は一味違うね!集合に掛かった時間の短さが
、古今東西でダントツの一位だよ!!』
その声はどうやら、目の前の受付カウンタ
ーから聞こえているようだ。
そのカウンターは大理石を切り出したもの
で出来ていて、まるで鏡かのように磨かれ
て光を反射していた、その上には花瓶に花
が活けてあり、その横には「受付」の文字
がreception counterという英訳され
た筆記体の文字と並んで書かれたプレート
が置かれている。
その更にとなりには本来なら他の職員(船
員?)に連絡を行うためのものであろうマ
イク……子機とつながった親機のインターホ
ンが設置されていた。なんの脈絡も無く聞
こえてきた声に一同が黙ってそっちを見て
いるとまた例の声が聞こえてきた。
『いや~~~!オマエラのような生徒たち
を担当できるなんて……ボカァ感激だよ……
他のところでは遅刻したりする生徒だって
いるってのにさ…っといけない!いけない
!これはまだ言っちゃいけないんだった』
最初の方は大音量が耳障りだったものの徐
々にそれは緩和されていまでは丁度
聞き取りやすいほどの音量となっていた・・
・・・・しかし、それに心地よさなど、微塵
も感じられず、むしろ耳の中にずけずけと侵
入されていくかのような不快さを感じていた。
と、一瞬の思考の間に今度は奇天烈な音楽が
辺りに鳴り響き、それに合わせて、なにかが
カウンターから飛び出してきた。
それが台の中からかそれとも床からなのかは
わからないが、とにかく台の上に跳び上がる
ような登場の仕方だった。
そいつはまるで真っ白いクマと真っ黒いク
マのぬいぐるみが丁度半分の所で綺麗に真っ
二つになってそれぞれが合体したような見た
目をしていた。
突如として現れたその珍妙な…生き物?にそ
の場にいた皆中にも戸惑いを隠せない人が数
人いた。(他に冷静な人も何人かいる)
「テッテr…じゃなかった…ジャンジャジャ
ーーーン!!」
「!?」
「!!」
「「わーーー!クマがでたぞーー!」」
「…」
「一体なんなんじゃ…!?」
「ではまず…オマエラ!おはようございます
!」
「……?」
「あ、ああ…!おはようございま…す?」
「おはようさん!」
(「おはよう!」「ございまーす!」)
「おはようございます」
「おっは~☆」
「お、おおおは、おはようございます…!!」
「おっはよ~~!!」
「おはようっす!!」
「ああ、おはよう…」
「おう!おはようだぜ!」
「うん!おはよ!」
「ああ!おはよう!」
「ああ!!今日も私めに朝を迎えさせて頂い
たことに感謝して…おはようございます!!」
「おはようございます」
「ふぁあ~~っ……おはようございます~~
…」
「ふむ……まぁ、そのくらいは返してやろう」
「なに!?……一発で返ってくる……だと?
………しかも全員!! うぅっ……どっかの
誰かさんたちは喝を入れて三度目でようやく
挨拶が返ってきたくらいだってのに……オ
マエラはどこまでエラいんだっ!!……うぅ
っ!……感激しっぱなしで目から潤滑油が…
…っていけない!!これもナイショだった」
クマのぬいぐるみのような謎の生命体は僕
らが返した挨拶を何故か涙(潤滑油?)を流
しながら褒め称えた。
正直そんなことはどうでもいいからこの状況
の説明をして欲しい。
それは他の人もそうだったようで、すぐに抗
議の声が上がる。
「そんなことより、この状況の説明を10秒以
内に簡潔にしてもらおうか……こちらとて貴
様のような輩に悠長に付き合ってやるほど暇
ではないのでな」
「ええっ!?いや、そんな……つれないこと
いうなよ…‥‥ボクはオマエラが気に入った
から、もっとお話していたい気分なのに……
でも、いい加減本題に入らないと後がつかえ
てるのも事実だし……10秒は流石に無理でも
、そろそろ説明の方を始めちゃいますか!」
僕らの中から出た早く先を促す声に若干へ
こみながら、この状況についての説明に入る
白黒のクマ。
本当になんなのだろう……希望ヶ峰学園で生
活していたと思ったら、起きて目が覚めたら
こんなところにいるなんて……それに他の生
徒はどうしたのだろうか?このことを学園側
は知っているのか?これは集団誘拐なのか?
それともこれは学園の行事かなにかなのか?
これは何が目的なのか?……考えても考えて
も疑問は尽きない。
だから僕は大人しく聞いて置くことにした。
「じゃ、まずは自己紹介からさせてもらうよ
!ボクの名前はモノクマ。この修学旅行の引
率兼この豪華客船「モノクマ号」の船長なの
だ~~!」
(「「なのだ~!」」)
「ほほう……これはまたずいぶんと突拍子の
ない話ですね~~…」
「はぁ!?修学旅行?もう、そんな時期にな
っちまったってのか?」
「いや……ツッコむところそこじゃないでし
ょ……」
「まぁ、ほかにもなんで私たちだけなのか、
とかさぁ」
「なんで目ェ覚めたら船ん中なんか、とかの
ぅ……」
「そもそも全く知らされてないのはどういう
ことかというのもあるぞ」
「けどよぉっ!修学旅行っつったら普通、卒
業の少し前とかにやるもんじゃねーの?」
「でも、やっぱり、気になる所がズレてる気
が・・・・・・」
「まったく…馬鹿げてるぜ!キサマのような
珍妙な見た目の引率が存在するはずがないだ
ろ!俺は嘘が嫌いなんだ!撤回するなら今の
うちだぜ☆」
「そこらへんもまとめて説明……って、珍妙
とは失敬な!!そっちこそ、撤回するなら今
のうちだぞっ!!」
左右でくっきりと白黒に分かれたクマは自
らを"モノクマ"と名乗り、自身をこの船の船
長兼引率であると自称した。
そのモノクマが次から次に出てくる疑問に答
えようとした矢先、その質疑の中にあった一
言に一言に反応して顔を真っ赤にして怒って
いる。
「まったくもう!ちょっと褒めるとすぐ調子
にのるんだから……今から説明するって言っ
てんだから、クマの話は最後まで聞けって習
わなかった?」
「まず、クマとお話する機会がないっす!ど
こぞの巫女ちゃんじゃあるまいし」
「あ、あとクマですらない気が……どっどう
考えても、中身が機械……」
「そ、そんなこのないし!!ボクは正真正銘
、天然のクマだし!!それにちゃんと今お話
してるじゃん!ああ!もう!あんまり突っ込
まれると話が進まないでしょ!オマエラは説
明して欲しいわけ?して欲しくないわけ?」
「いやww無視すればいいじゃん!」
「ボクは生徒一人一人を大切にする系の先生
なの!」
生徒からのツッコミにいちいち対応する所
為で中々話が先に進まない。
と思ったけどモノクマが強引に話しをもとに
戻したことで、説明が再開された。
「……はい。先生もちょっとオマエラとの会
話で少々舞い上がっちゃいましたが説明の続
きに入ります」
「今の、舞い上がってたんだ……」
「当たり前だよ…!オマエラの引率になれて
ホントに鼻が高いんだから……さてさて、可
愛いオマエラに説明の続きをさせてもらうね
!えーー、この修学旅行の目的を説明させて
貰うと、まず、オマエラは類稀な才能を持つ
希望ヶ峰学園の生徒たちの中でも、特に優秀
で素行や態度にも大きな問題のない生徒たち
で…教師たちの間では、“超高校級の優等生”
たちなんて、呼ばれてる生徒なので~~す!」
「そのような評価をいただいていたのですね
……」
「斯様な評価は拙者には過ぎたるもののよう
に思われるが……」
「へぇ……なんだか嬉しいかも」
「ふん、当然の結果だ」
その教師陣の評価に驚きつつも嬉しくなっ
ていた。
しかし、僕はだから、それが今の状況となん
の関係があるのか全く分からなかった。
「なので、学園にとって貴重なオマエラは普
段の勉学と仕事の疲れをここで癒してもらう
ため、それと更なる団結力向上の為、今回の
修学旅行が企画された、ということなのです
!」
「ああぁ……、はいはい、な・る・ほ・ど…
…それで?修学
終わりがあるはずですが……まさか永遠に旅
をするなんて、言われませんよね?」
「モッチロン!!無期限にこの船で永遠の旅
人になるって言うのも悪くないけど、流石に
そういうわけには行かないよぉ……だから、
ちゃんと期限は設けてあります!」
「……して、その期限とは幾日?」
「その期限はぁ~~……約二週間ほどを予定
しておりま~~す!!どお?すごいでしょ!
二週間だよ二週間!!その間遊び放題だよ~
~!!」
「おおっ!!」
確かに……願ってもない好待遇のようだ。
それに期限がちゃんと定められており、その
日数が過ぎればここから解放されることが約
束されている。……そんなことを言えば僕た
ちがここに幽閉されているかのようだが、当
面の生活をするには快適そうな環境で………
だからこれは本当に単なる行事なのだろう…
そう思った。
「日頃から学園への貢献度が高いオマエラに
はこの旅で心身共にリラックスしてもらうこ
とが主な目的だからね!!思う存分!十二分
に羽を休めて、それこそ飛ぶことすら忘れち
ゃうくらい羽を休めちゃってください!」
(「わ~~☆」「すごい」「「すごい!!」
」)
「やっふぅ~~!!」
「と、飛ぶことすら忘れるって……退化しち
ゃってるし……」
「ちょっ!?マジ?マジ上がるんですけど!」
「マジかって?それはもうマジも
だよ!!普段から学園の教員たちがオマエラ
にどれだけ助けられていると思ってるんだ!
!それはもう、砂漠のなかのオアシス!永久
凍土にできた温泉みたいなもんだよ!」
「でも……ほ、ほほほんとにいいんですか?
わ、わたしたちだけ、こんなにしてもらって
?」
「いいの!いいのっ!・・・って、さっきか
ら何度もいってるじゃん!!これは、与えら
れるべき正当な対価って奴だよ!!クマに
二言はありません!!」
僕を含め数人は成り行きを眺めていたが、
本当にただのイベントみたいだ……とか考
えていると、さっきまでハイテンションだ
ったモノクマが若干声のトーンを普通にま
で落としてこう告げた。
その声音に秘められた何かに僕は背筋が凍
りそうなった。
「でも、流石にルールは守ってもらわなく
ちゃなんだよね……まぁ無いとは思うけど
、羽目を外しすぎちゃってうっかり……!
ってこともあるかも知れないし……と!い
うわけで!!余りにも度を越した行為を行
った者には、ボクの用意した、スペシャル
な、おしおきを、受けてもらいま~す!」
「え!?」
「お仕置き!?」
「なになに~~?」
「ああっ!!その『おしおき』とやらの内
容を、お聞かせ願えますでしょうかっ!!」
ここで初めて、さっきから黙っていた、
少しお洒落な感じの学ランに鎖付きの手錠
を嵌めた彼がモノクマに質問した。
その質問にモノクマが応える。
「うん!いいですとも!!おしおきの内容
それは……最っ高にエクスタシーで、超絶
エクストリームなぁ~~~…処っ刑でぇ~
すっ!!!」
「っ!!」
「はぁ!?」
先ほどと打って変わって再びハイテンシ
ョンになったそいつからこの後、語られた
のは身の毛も弥立つここでのルールだった。
「ちょっ!?処刑ってどういうこと!?…
…た、体罰とか?」
「そんな生易しいもんじゃないよ!!モッ
チロン!モチの論!!!死刑囚が殺される
…あの処刑だよ!」
それを語るときのそいつの口調はさっき
と同じであるにも関わらず、どこか神妙で
冷たい雰囲気を纏っていた。
「しょ、しょしょしょしょしょしょ……し
ょけいぃぃぃぃーー!?」
「ちょっと待たんかい!!」
「そうだぜ!待ってくれよ!!なんで俺ら
がそんな目に合わなきゃいけねぇんだ!!」
「たしかに…お仕置きや処刑、と言うから
にはどこまで
…是非とも教えていただきたいですねぇ」
「どんな事をすれば、おしおきされるかだ
って?それはもちろん、目には目を歯には
歯をだよ…つまり……」
「人を殺せば、ということだな」
「人をこr…って勝手に人の、じゃなかっ
た…クマの台詞とるなよ!!おしおきしち
ゃうぞコノヤロー!!?」
勝手に台詞を取られて不機嫌そうに真っ
赤になって起こるモノクマのその言葉を聞
いて僕ら一同はホッと胸を撫で下した。
とりあえずは大丈夫みたいだ。
僕らの中で殺人なんて起こりっこない。
つまり、おしおきの件はそんなに気にしな
くても良いという事だ。
「どう?びっくりした?そりゃあ、オマエ
ラほどの人間を……処刑になんてするハズ
ないじゃん?人でも殺さない限りはさぁ!」
「でも、ただ処刑するだけじゃオモシロく
ないから~、こんなルールを作ってみまし
た!」
モノクマがそう言って指のない丸まった
手を上に突きあげた瞬間、僕たちの持って
いる薄い端末からピロリン♪、と音がして
液晶画面にモノクマの言ったこの船の「ル
ール」が表示されていた。
その画面を見た僕たちは皆一様に、戦慄を
禁じ得なかった。
「っ!!」
校則一覧
1.生徒たちはこの船内のみで期間にして
二週間ほど生活して頂き
ます。
2.夜10時から朝7時までを"夜時間"と
します。夜時間は立ち入り禁止区域がある
のでご注意ください。
3.就寝は船内に設けられた個室でのみ行
って下さい。他の部屋での故意の就寝は居
眠りと見なされ罰則金が生じます。
4.希望ヶ峰学園とこの船について調べる
のは自由です。特に行動に制限は課せられ
ません。
5.船長兼引率ことモノクマへの暴力を禁
じます。監視カメラの破壊は器物破損と見
なし、罰します。
6.仲間を殺した者は『クロ』と呼ばれ、
その『クロ』は"退学"となります、尚、『
クロ』の方は自分が『クロ』だと知られぬ
よう、努々ご注意ください。
7.生徒内で殺人が起きた場合は、その一
定時間後に、生徒全員参加が義務付けられ
る学級裁判が行われます。
8.学級裁判で正しいクロを指摘した場合
は、クロだけが処刑されます。
9.学級裁判で正しいクロを指摘できなか
った場合は、クロは"退学"となり、残りの
生徒はペナルティーとして、全員処刑され
ます。
……これを見た時、まだ1から5までは
何とか納得できるものの、6以降の校則が
異様な存在感と威圧感を放ってそこに居座
っていた。
別に気にしなくて良いとはいえ、これは…
流石に捨て置けない!
「おい……これは一体何の冗談だ?」
「え……うそ…‥全員処刑って、しかもク
ロだけが生き残るって……?」
「…………っっ!!!」
皆がそれぞれの反応を取る中、そいつは
また喋り始めた。
すると、今の今まで、上がっては下がりを
繰り返していた皆の気分が絶望的な迄に一
気に急降下する音が聞こえた。
「やっぱ、自分たちの不始末は自分たちで
付けないとってゆーか?優秀なんだしそれ
くらいできるよねってゆーか? この緊張
感や緊迫感を持たせつつ、ゲーム性とエン
タメ性を兼ね備えた、最高の校則だと自負
しておりま~~すっ!!……って、幽香?」
「ふざけるなよ!てめぇ~っ!!」
(「「そーだ!」」「「そーだ!」」「ふ」
「ざ」「け」「る」「「なー!」」)
「そ、そんなこと言ったって…もう、決ま
っちゃってるもんはしょうがないでしょ?
それに!この船の船長はボクなんだからボ
クがルールなんだもんねっ!」
「そんな、ここでは俺がルールだ!…みた
いに言われても!」
「で、でも殺人を犯さなければいいだけな
んでしょ?だったら、そこまで怖がる必要
も…ない、……よね?」
そいつ…モノクマは皆の別の意味で上が
ったテンションをどうにかしようとでも思
ったのかここぞとばかりにその言葉に食い
ついた。
「そうそう!要するに、殺らなきゃ何も起
きないんだし……そこまで気にする必要は
ないのです!!」
「そ、そうだよ!そんなことしなければい
いだけなんだ!!」
「まぁ、それにもし起きちゃったところで
ワックワクでドッキドキなおしおきが見ら
れる上に、その前には命を懸けたスリリン
グでサスペンス且つ超エキサイティングな
ゲームが待っているってだけなんだ!」
「いや、それだけはマジ勘弁」
「そんなゲームは真っ平御免っす!!」
「まったく以って笑えん冗談よの…モノク
マ殿」
「僭越ながら、悪趣味にも程があるかと…」
「当たり前じゃ!!誰がそがなんことする
かっ!!」
「ははっ☆これがホントの死んでも良いゲ
ームなんてぬるすぎて欠伸が出るぜって奴
だね!ここでは、厳罰でさえも娯楽になっ
てしまうのデース!」
「どれに突っ込んでいいかわからない!?」
「う~ん…とりあえず、一々死んでたら間
に合わないよ…とかかな?」
みんなが突拍子もない、残酷とも取れる
そのルールに色めき立つなか、一つ疑問の
声が上がった。
「う~ん…私はその校則以外にも気になる
ねても?」
「うん!いいよ?114と書いて、いいよ
。何かな?」
「この、4.希望ヶ峰学園とこの船につい
て調べるのは自由です。
特に行動に制限は課せられません。と言
うのとですね……5.船長兼引率ことモノ
クマへの暴力を禁じます。監視カメラの破
壊は器物破損と見なし、罰します。という
ものでこの…禁ずるだったり、罰するとは
その校則の意味をそれぞれご説明願えます
か?どうにも私、寝起きでさっきから頭が
回らないみたいで……ふふふっ…すみません」
それで頭が回っていないのだとしたら、
相当なキレものって事じゃないだろうか…
…もし、僕が犯人だったらこの人には注意
するだろうな……って僕は何を考えてるん
だ!!そもそも、そんなことしちゃ駄目に
決まってるだろ!絶対に僕はそんな事はし
ない!ここにいる皆と普通に楽しく二週間
を過ごすんだ。
そんな事を考えていると、モノクマがさっ
きの彼の質問に答えた。
「ああ!それね!その罰は死んだりしない
から安心していいよ!その代わりその人に
とってキツ~い罰にはなるだろうけど、そ
れもメンタル的にって意味でだし、それに
そもそも違反しなきゃ良い話だしね!これ
も…!あと…ボクへの暴力も罰の対象にな
るから気を付けてね!次は、調べるのは自
由って奴だっけ?それはそのままの意味だ
よ。この船の中を自由に散策するも良し、
この船に隠された財宝を探すも良し、希望
ヶ峰学園のことについてなにか知りたいな
らその情報を探し出すも良しっていうだけ
で特に深い意味はないよ!」
「………」
「なんか、物語の根幹に関わる重要なワー
ドを聞いた気がするんだけど、気の所為か
な?」
「つーか、今財宝っつったか!?まさか、
あんのかっ!?」
「ああ…そうだ!それとね!オマエラの態
度や指摘次第では、校則は順次追加されて
行くのでそのおつもりで!まずは二つ、僕
がつけ忘れた校則を追加しておくね」
そのモノクマの言葉と共に、またもピロ
リン♪と軽快な電子音がなり、校則が表示
されている欄に二つの校則が追加された。
10.電子生徒手帳の他人への貸与を禁止しま
す。
11.コロシアイ学園生活で同一のクロが殺せ
るのは、2人までとします。
……その、11番目の校則を見た途端、
僕の気持ちが沈んで行くのが分かった。せ
っかく忘れていたところだったのにまた、
現実に引き戻されてしまった。
だが、誰がなんと言おうと僕は絶対に殺し
たりなんかしないと心に固く誓った。
「そんじゃ、二週間にも及ぶクルーズ!船
の長旅!優雅な船上のパラダイスライフを
エンジョイしてね!!では、バイ・ナラ!
!」
それだけ言うとモノクマはどこへともな
く消えていった。
それを目で追う事もできずに僕は一人、こ
こでの生活を存分に楽しむことに決めた。
そうだ、楽しもう!少しくらい羽目を外す
ことになったって校則を破らなきゃ問題も
ないんだし。
そう自分に言い聞かせて、僕は明日からの
船旅に思いを寄せた。
……この旅の果てに何が待ち受けているの
かも知らずに。
み、見てますか~。じゃんさん…とか個人に向けて、メッセージを送るのはありなんでしたっけ、無しなんでしたっけ?
兎に角、誘惑に負けたのと、ジャンさんの小説に触発されたのと、前から言っていた三次を
やりたかったのでついに手を付けてしまいました。これからどこまで続くか、更新が亀になるか分かりませんが、自分のペースでやって行こうと思います。
まず、自分のこれからの課題としては、じゃんさん離れが必要だと思っております。
何せこの話は、ダンガンロンパQQを見まくって、それに寄せつつ、被らないようにしたというところがあるのでそれをなくさないと、マジで亀になってしまうし、他の作品も進めないといけないというのもあるので、出来るだけなくしていきたいと思っています。
あとは指南書にあった「ザ具チャ」で犯行を作っていけたらと思っています。そんなこんなでこの作品をご覧になって「気が狂いそうになる!」という方以外はどうぞよろしくお願い致します。