学戦都市の“元”ボッチ 外伝〜新たなる祭典 黄昏星武祭〜 作:生焼け肉
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八幡と星露が戦闘を始めて10分近くが経った。2人はまだ相手にダメージを負わせる事が出来ないでいた。蹴りや掌底などは繰り出せてもガードされてしまうのだ。しかもその攻撃を常人では目で追えない程のスピードで出し続けたていた。
両者互角の戦いをしている為、戦況は膠着状態になっていた。余りの速さに殆どの者がキョロキョロと目を泳がせているが、序列上位の生徒は辛うじてついていけているようだ。【冒頭の十二人】は目が早さに慣れているのか、完全に見えているようだった。
八幡「……星露、いい加減当たってくれねぇか?でないと俺の勝ちにならないだろう。」
星露「お主こそ早う当たらんか。」
八幡「やなこった、お前にはまだ負けられないんだ。この勝負も勝たせてもらう。」
星露「ならばこの勝負、妾が勝てば4代目は返上かのう?ちょっと燃えてきたわ!」
八幡「はっ、出来るもんならやってみろ!」
八幡と星露は再び拳をぶつけ合った。1撃1撃が余程強力なのか、衝撃波が飛んでくる程であった。
八幡(流石は【万有天羅】だ、攻撃すら簡単に入れさせてくれない。それに防御も一流だな。だが、徐々に見えてきた。次で入れられるな。)
星露(全く、何故あんなにも強くなっておるのじゃ?前に戦ったのは半年前じゃというのに、ここまで早く強くなれるものかのう?少し自信を無くすわい。)
八幡「憑霊……颶風・天翔龍神。」
八幡「龍神の加護!」
八幡の身体から紅いオーラが現れ、瞳の色も黒から瑠璃色へと変化した。『龍神の加護』の強化された証拠である。
八幡「さて、やるか。」
星露(……不味いのう、八幡の雰囲気が一気に変わりおった。しかもあの技は……攻撃と速度を上げる技じゃったな。だとすると、妾があの動きについていけるかどうかに腕が掛かってくるのう。)
星露「ん?なんじ……ぐはっ!!?」
ドゴォッ!!
八幡「おいおい、何やってんだ?もう戦いは始まってんだよ、油断は命取りだぞ?」
星露「ガハッ!!?」
ドンッ! ドゴッ! ドガッ!!
星露は油断していたわけでは無かった。八幡の拳の速さが見えなかったのだ。現に八幡の拳が当たった後に強い衝撃が現れていた。星露はこの速さと強さに耐え切れず、後ろに飛ばされ壁に激突した。そしてその威力は、星露の身体を通して威力が落ちているとはいえ、障壁に亀裂を作る程の強大なものだった。
八幡「急急如律令。」
八幡は4つの札を取り出して手足にくっつけてから唱えると、手足が鉛色になった。
八幡「こんなものか?まだやれるだろ?俺は憑霊を纏って技を出しただけだぞ。」
星露「はぁ…はぁ……当たり前じゃ。勝負はここからじゃ。妾を楽しませてくれるような演出をしてくれるのう、八幡よ。」
星露は煙の中から出て来たが、頭からは血を流しており、拳が当たった腹部を押さえていた。
星露(何じゃ今の拳速は?妾でさえも見えないんだ。まさか音よりも早く拳を当てるとは………こんな技術、妾には到底真似出来ぬ。じゃが……何とも楽しませてくれる!!期待以上じゃ!何故そこまで妾を昂ぶらせてくれるのじゃ、八幡よっ!!)
八幡「流石のお前でも、いきなりこの速度は無理だったか。まぁ当然だな、この速さを出したのはお前で2人目だからな。」
星露「……ほう?その前は歌姫殿かえ?」
八幡「いや、その時はまだこの速さは実現出来ていなかった。この速さを出せるようになって、最初に手合わせしたのは麗蘭さんだ。今はあの人に色々と教えてもらっていてな、おかげで拳速もこの通りだ。お前でも見えないくらいの速さになったってわけだよ。」
星露「……まさか初代に弟子入りしたとはのう。」
八幡「違う、弟子入りしたんじゃない。技術を教えてもらっているだけだ。俺の師は汪小苑ただ1人だ。他の誰も居ない。」
星露(その言葉、あやつが聞いたらさぞ喜ぶじゃろうな。此処に居ないのが残念じゃのう。)
八幡「さて、無駄口はここまでにするか。そろそろ始めようぜ。」
星露「そうじゃのう。早うその早さに慣れんと妾もかなりマズいしのう。」
八幡sideout
小苑side
八幡め、中々嬉しい事を言ってくれるではないか。そうか、お前の師匠は儂だけか……ほっほっほ。自分でも分かっておるが、ニヤケが止まらんわい!
麗蘭「随分と嬉しそうですね、小苑。感情が昂ぶっているようにお見受けしますが?」
小苑「当たり前ではないか、八幡が師は儂だけだと言ったのじゃぞ!これほど嬉しい事は無いではないか!本当にあやつは良い弟子にして良い息子じゃわい!儂には勿体無いくらいじゃ!」
麗蘭「なら私が貰いましょうか?勿体無いのであれば引き受けますよ?」
小苑「誰が譲るものか!八幡はずっと儂の弟子じゃ!幾ら初代のお主でも譲らんわい!」
麗蘭(……八幡さんと出会われる前の小苑とは大違いですね。見事なまでに親バカになってしまわれたものです。目が見えない私でも、彼女の嬉しそうな表情が目に浮かびます。)
麗蘭「嬉しそうで何よりですよ、小苑。」
小苑「うむ、全くじゃ!折角じゃから今晩は妾がご馳走でも作ろうかのう?じゃがシルヴィアとの時間を邪魔しないじゃろうか?うぅむ……迷うのう。」
麗蘭(………以前お会いした時よりも、親バカには磨きがかかっているようですね。)