機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-15 混沌の世界の中で(4/8)

暗い室内にて、数名の男女が言葉を交わしている。

「……聞きましたか?」

「ヤン・クールカの話だろう?……あぁ、聞かせてもらった。

アーモリー・ワンを襲ったのだろう?」

「困ったものですねぇ……」

「スパイだったのではないですか?彼は」

「そう言われるのが嫌で、功を急いだのではないですか?」

「……だとしても、軽率としか言いようがありませんな」

「全くですなぁ……」

「お話はありましたか?ルチアーノ長官」

そう告げられたシーザー・ルチアーノは、

「いえ」

と応じつつ、禿げ上がった頭頂部を撫でる。

「まあ、ともかく……ご説明いただけますかな?秘書官殿」

彼らの視線の先にあったのは、大型テレビ。

その画面いっぱいに、イスに腰かけた姿で映る、

ノエル・ド・ケグは、神経質そうに垂れた前髪を手ぐしで整えていた。

「……我々は、オートクレール氏の優位を認めたが、

家来にまでなったつもりはない。

今回の件、内容によっては、今後の対応も考えさせてもらいますよ」

そう告げられたノエルが、ゆっくりと腰を上げると、

カメラも付随して動き、ノエルの顔をアップにする。

『アマルフィ議員……ひいては、お集まりの皆さま方、

この度は、ご心配をおかけしたこと、

オートクレールに代わり、私の方から謝罪させていただきます。

……申し訳ございません』

深々と頭を下げたノエル。10秒以上、頭を下げていただろうが。

「……時間稼ぎかァー?」

などと野次を飛ばす者もいて。

「まあ、ひとまず話を聞きましょう?グールド議員」

ルチアーノがそう話しているうちに、ノエルの頭も上がり、

その身はまたパイプ椅子の上へと戻っていく。

『今回の事件は、我々の監督不行き届きが招いた事態であり、

オートクレール以下、主要閣僚の望むところではないと、

誠に勝手ではございますが、ご理解いただきたく……』

座ってからも、頭を下げるノエル。対して、

「……クールカ傘下のホルローギン・バータルが、襲撃の直前に、

オートクレール氏を訪ねていたとの情報が上がっているが。

本当にオートクレール氏は、本件とは関わりがないのですか?」

そう詰問する声が上がる。ノエルは少し顔を下げ、下唇を噛むと、

『はい……お恥ずかしい話になりますが……』

と語りつつ、鼻を軽く摘まんだ。

『……かねてより、クールカ隊の動向には、目に余るものがあり、

その点について、いくつか状況の説明をさせていました』

ゆっくり顔を上げるノエル。

『御承知の方も……中にはいらっしゃることと思っておりますが、

ホルローギン・バータルは、元々クールカ隊の所属ではありません。

人員不足に伴い、ルチアーノ長官から派遣していただいた、

ザラ派系の軍人です。

急進的とはいえ、広義にはデュランダル派に属する、

クールカの政治思想にも反しております』

「……では、余所者の件は、どう説明する?」

ノエルは一瞬、押し黙った。

「はて……何のことですかな?マクスウェル議員」

「御存知ありませんか?ルチアーノ長官。

……クールカ隊には、強化人間の可能性が疑われる人物の他、

オーブからの亡命者などが所属しているとのこと」

「なんと!」

口に手をあてるルチアーノ。

『……本件とは、関わりのない内容と思われますが』

「関係がない?……どこかが関係がないというのだ!

これは信用の問題ですぞ?秘書官殿。

我々はコーディネイターの国を守らんとしているのです。

それを、異国の者の手を借りるなど……

これで情報が他国に漏れて、後に国を奪われでもしたら、

如何に責任を取るつもりか!」

これにグールドも同調。

「そもそも、オートクレール氏はどこにいるのだ?

ここずっと演説のみで、我々と話そうともしないではないか!」

『……そのような訳では』

「では、何故!オートクレール氏ではなく、

毎度代理人の貴方が、我々の質問に答えているのですか?

ご説明を!」

あれやこれやと野次が飛ぶ。

その多くはやはりオートクレールを非難するもので。

ノエルはしばらく答えなかった。見かねたルチアーノが、

「ひとまずは……今後の方針、そこから話を聞いてみても……」

と場を収めようとするが、それを制したのは意外にも、

『……いえ、お答えします』

そんなノエルの言葉だった。

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