機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-17 分かたれし道(4/7)

──見渡せば、真っ白な雲が数多漂う、どこまでも青い空。

雲の切れ目から現れる人型ロボット。

雲に比べればいくらか濁った白、ないしはホワイトグレーのボディ。

関節部には紫色もいくらか見える。

そんな《Im/A-P》のコクピットにて、ダイ・フーディーニはぼやく。

「……詐欺だ。本物はこうじゃない」

の一言を。

ダイの視線は足下に広がる濃い青をした海へ。

丁度見下ろしたそのときに、何か跳ねたのが分かった。

それが飛び魚やイルカか、残念ながらそこまでは分からない。

何分、見ている場所が、高い高い空の上であったのだから。

見つめていること数秒、

耳障りに甲高い警告音がコクピット内をこだまする。

「来る」

目線を上げれば、そこには《スタキス》が。

例のモザイク壁画がごとき独特の色味は、否応なしに目立った。

手には黒いビームライフル。

「……食らえ!」

そう叫ぶが先か、動くが先か。

《Im/A-P》の背中から砲筒が、脇を通って前へ突き出される。

ガルムである。

赤く太い円柱状のビームが《スタキス》の方へ飛んでいく。

避けるかシールドで耐えるか。

観察しつつ、左腿からビームショーティライフルを抜き出す。

さて正解は前者。

もっとも、大きくは避けない。少し体を右側に反る程度。

間髪入れずライフルで追撃。だが、これまた避けられた。

それも今度は肘を曲げて腹部に寄せるような小さな動きで。

「……めんどくせぇ!」

そう叫んだ頃には、ガルムの光も消え失せて。

第2射が放たれた。

避けつつ《スタキス》が前に出てくる。

手数の多さをあてにして、ショーティライフルを連射。

空中に斜線を描くビームの弾丸だが、悲しいか、

一撃たりとも《スタキス》には命中せず。

いつの間にやら握られていた、あの死神の鎌が迫るばかり。

杖のように背中に背負って、武者震うように首を左右に振った。

「バカにしやがって……バカにしやがって、バカにしやがってェェ!!」

第2射が撃ち尽きた刹那、

手の空いた右腕が瞬時に武器を投げた。

それは《インパルス》以来の投げ槍ビームジャベリンである。

投げ槍……とは言うものの、

実を言えば、投げるというよりは、伸びるという表現が近い。

ともかく、それがようやく《スタキス》に命中。

シールドに左側よりぶち当たったジャベリンは、

その勢いから《スタキス》の身体が半回転させる。

更にダイは容赦なくショーティライフルで相手の背中に撃ちかける。

全弾……とは言わないまでも、数発は確実に命中。

《スタキス》の背に煙が立ち込める。

だが、

「ロスト…………していない?」

即座、煙の隙間を抜いて鎌が飛んできた。

これを回避するも間もなく、

煙の切れ間から姿を現す《スタキス》。

その手には、片側だけ刃のついた長い鎌が。

機動力で勝る《スタキス》に、回避も反撃も間に合わず……

画面は真っ暗になり、ダイの背がシートに落ちる。

『──シミュレーション終了、お疲れさまでした』

との音声が流れたのは、直後のことだった。




いつもの食堂へ歩く、ダイの息は乱れていた。
眉間から頬へと汗も滴る。
髪は水気を帯びて、窓から入る明かりを反射、輝いて見えて。
すれ違うラグネル・サンマルティンがその背中を見つめて立ち止まる。
もっとも、当のダイは見向きもしないで。
カードを翳(かざ)し、中へと入る。
足が敷居を跨いだ瞬間、聞こえてきたのはパーディの、
「やるじゃん。アレハンドロ」
などというの声だった。
彼女の声は、起きたばかりであるからか、少し眠たげで力がない。
それでも、ダイの耳には一切澱みなく聞こえてきて。
視線はパーディらのいるテーブルへと向いていく。
「たまたまだよ。たまたま……」
なんて言いながら、視線に気付いて向き直ったのは、
パーディの向かいに腰かけた、
アレハンドロ・フンボルトに他ならない。
アレハンドロは笑ってテーブルに肘を立て、ダイへと手を向けた。
ダイも笑って手で返事をした。が、小声で、
「……いつも、オマエか」
とも漏らしていたが。
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