機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-18 見えざる脅威(7/7)

(ユウ・アカエ……東洋人か?珍しい……)

ダスティンは見定めていた。

距離を取りつつ、サブマシンガンを乱射する目前の《ドミンゴ》を。

『たっ、隊長ォ!!』

「取り乱すなよ。明日は、いや次は我が身だ」

ビームシールドを展開したまま、味方の《ジズ》を背中に隠す。

「……接近戦は、苦手なのになぁ」

苦笑するダスティンだが、敵はお構い無し。

シールドを展開する腕を、突き出しつつも前屈み、

被弾面積を小さくする。鉄腕○トムみたいに。

シールドの奥に隠した逆手にはサーベルが握られている。

当人は隠しているつもりらしいが……

「……見えて、いるよ」

《セイバー》は前に出た。シールドは張られたまま。

『!?』

体当たりというべきか。ぶつかり合うシールドとシールド。

つんのめったのは、前に出た《セイバー》の方で。

体当たりへ一瞬早く気付いた《ドミンゴ》はギリギリで少し引き、

衝撃を和らげていた。

断頭台がごとく、振り下ろされる《ドミンゴ》のビームサーベル。

シールドを傘に、これに耐えた《セイバー》は、

敵のシールドの隙間から、顔のビームガンを撃ち込んだ。

致命傷になどなりはしない。

手足に小さなアザを幾つもつくっただけで。

「だから……嫌って言ったじゃん?僕」

更に飛んでくる《ドミンゴ》のムチ。

脇腹を抉りそうであったが、ギリギリで《セイバー》は避ける。

《セイバー》はそのまま結構退いた。

《ドミンゴ》はムチを回収しつつ、それを眺めていた。

生まれる間隙、見逃すダスティンの部下ではなかった。

『当たれェェ!』

《セイバー》の後方より、《ジズ》がビームを撃ち込めば、

回避までは間に合わなかった。

シールドで押さえる……が、それでも完全には殺しきれない。

勢いがシールドを押し出し、内側に逸れた腕を抜いて、

肩に風穴空けてみせた。穴の中でビリビリ電流が走ってみえる。

「ナイスアシスト」

そう言うダスティンは退避する。《ジズ》もこれに続く。

今度は《ドミンゴ》も前に出たが。

《セイバー》の逃げ足が思いの外、早かった。

《ジズ》が2、3秒遅れて追い付くと、

その肩を肘置代わりに構えた《セイバー》がスナイプ。

1射目が足を、2射目が右胸を、3射目で例の錣をと射抜いていた。

だが、

『お見事です』

「いや……致命傷には浅すぎる」

そう漏らす通り、《ドミンゴ》にはさしたるダメージはないらしい。

堂々たる佇まいである。

「義兄さんやダイくんは……これを相手にしたのか」

『隊長?』

「……いや、大したことはないか」

《ドミンゴ》の体勢がまた前屈みになる。

今度は盾の上から角のようにビームサーベルを突き出していた。

腕を引き絞る。突きで行くとみえた。

「きっと……ホルローギン・バータルは……」

ビームライフルを構える《セイバー》。そして……

「……もっと強かった」

飛び出して前に出た瞬間、《セイバー》は引き金を引いた。

シールドの僅かの隙間を抜いて、ビームは顔に命中。

首を飛ばされた《ドミンゴ》は衝撃もあって、身体が仰け反った。

そこを見逃さず、飛び付く《セイバー》。

右足で思いっきりシールドを踏みつけた。

踏みつけジャンプし、空中で馬乗りになり、

またシールドの間から胸の真ん中をひと突きにした。

《ドミンゴ》もお返しとばかりに、サーベルの刃を突き立てるが、

顔の右半分を削っただけ。

続く二度目の踏みつけと、爆発を受け、落ちていった。

「……僕の勝ちってことになるかな?お嬢さん」




「……くしゅん」
男はそう漏れ出たくしゃみを、両手で隠した。
「風邪か?ホルローギン」
「いえ…………
というか、コーディネイターって風邪ひくんですか?」
「……………………ひかないかな」
オートクレールは笑いながら、例によって爪を研いでいた。
「誰かが噂しているのかもわかりませんよ?」
プレイアスが微笑みがちにコーヒーをホルローギンのカップへ。
「私もまだまだモテますかな」
「ホルローギン様はお優しいですから」
「……それはどうも」
ホルローギンはただでさえ細い目を更に細めて、頭を垂れた。
「ナイルの神かもな」
オートクレールが手を止め、呟く。
「……ようやく重い腰を上げたというじゃないか」
「らしいですな」
ホルローギンが同調する。
「我々もそろそろ……身の振り方を考えるべきでは?」
ゆっくり爪切りをテーブルに置いたオートクレール。
「……身の振り方、か」
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