機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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──2009年6月4日、
日本は石川県七尾市中島市民センター駐車場にて。
作業員が100匹以上のオタマジャクシが落ちていたのを発見。
この出来事を地元の新聞社が翌5日に報道すると、
日本中から反響があった。
似たような事例は、アメリカやギリシャにもある。
これらはファフロッキー現象と呼ばれ、
竜巻が原因とか、鳥が運んだとか、様々言われているが、
果たして……
映画『ジョーズ』のアメリカ初公開日にあたる6月20日、
ナイルの神が拠点を置くクロコディロポリスをはじめ、
同時数ヵ所にてカエルが降るという怪奇現象に見舞われた……
本来なら中南米、流入するといえど、
東南アジア、オセアニアにしかいないオオヒキガエルが、
数百匹あまりもエジプトに現れるという緊急事態。
アルカロイド系の高い毒性を持つこのカエル。
大量発生は各地で悪臭騒ぎを引き起こしたという。
そして、一般大衆はもうひとつ、噂することとなる。
かの旧約聖書に登場する一節、エジプトを襲ったという十の災いを……


PHASE-20 砂の海原(1/7)

かつてファイユームと呼ばれた、このオアシス都市は、

かの神に魅入られて以来、急速な発展を遂げていたものであるが、

中心の一部を除けば、外はまだ長閑な田舎町が広がっていた。

新設の空港の側も、背の低い草がいくらも繁っていた。

「なるほど、臭いハズだわなぁ……」

そう漏らしたのは、野球帽を目深に被ったの男。

耳の上、アフロヘアーがヘッドホンのようにはみ出していた。

そして着ていたタンクトップのシャツの背には、

タトゥー……いや、彫り物がされている。

そして、片足しかない男だった。

男が立っていたのは、とある戦艦のブリッジの上で。

柵に手をかけ、傍らには松葉杖が置かれている。

数十メートル下には、草木に紛れて、無数のカエルたちが。

「……カエルまみれだ」

ゆっくり振り返る男。その視線の先には1人の女でいて。

「見ない方がいいぜ。気持ちわりぃ」

杖に手をかける男。

「……誰だか知らねぇが、無駄に手の込んだマネをしやがる」

杖を小脇に挟み、女の方へ一歩近付いた。

「一体どこにそんな時間と、やるだけの人材がいたのか……」

女はただ黙っていた。腕を組んで、向かいの男を見ている。

尼僧らしい。スキンヘッドの女だ。

「……いたのかねぇ。裏切り者でもよ」

1歩、2歩と前に出る男。そして動かぬ女。

地を叩く杖がコツコツと割に大きな音を響かせている。

「明けの砂漠……ムーサーとかいう男は何を考えているのか……

ロクな戦力も揃っていないクセに、

よく抵抗なんかと思っていたがなぁ…………

まさか、レェ・アモンなんて化け物従えてたとはなぁ」

「……それとこれと、何の関係が?」

「いや、だからよ。

いてもおかしくねぇんじゃないかっての。

裏切り者とかがよ。それで、やったんじゃないかってな」

上を向きながら歩く男。目の前には女と、分厚い鉄の扉。

その足が女の脇を抜けて、1歩だか2歩だか前に出たとき、

「……別に、明けの砂漠がやったとは限らないんじゃなくて?」

そう女が呟いた。

男の顔など見もせず、また男の方も見返したりせずに。

「ザフトでも、理屈自体は変わらないだろ?

いや、確かにそうだな。ザフトのが自然か」

「人為とも限らないけどな」

「言い出したの、オマエじゃねぇか?」

そう笑いながら、振り返る男。

その背後で鉄の扉が開き、

振り返ったハズの男が再度向き直ることになる。

扉へと向いた2つの眼が見たのは……

「……えっ?」

ゴルフクラブだった。

黒い背をしたドライバーのヘッドが、男の目線と同じ位置に……

あったと認識できたのだろうか?

即座に振り下ろされたこの鉄の塊は、

容赦なく、男の顔にめり込んだ。

脇から抜ける松葉杖。力を失い、後ろに倒れる体。

その肉体が地面に叩きつけられる音と共に、

吹き出した血がベチャリと床を濡らし、

また倒れた肉体をいくらか滑らせた。

「……よう。ジンファ」

そう呼ぶ声に吊られ、薄れいく意識の中で男が見たのは、

鮫のように鋭い歯が並び、大きく開いた口だった。

「な……んだよ……ブッ…………ブルースッ」

返事はなかった。

聞こえてくるのは鼻唄交じりにドライバーを振る音だけ。

「どう……し……」

次は言わせてももらえなかった。

脳天をフルスイングで叩きつけたドライバー。

男の体は2、3転、転がって、柵へと引っ掛かるまで押し出された。

血が転々と続いている。

「……殺したら証言が取れないだろ?ブルース」

女がそう咎めるが……

「いいじゃねぇか、パー。俺が全員ブッ殺せば、済む話だ」

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