機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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さて、《フレイヤ》のブリッジ。
ドアが開いて、入ってきたのは、あのワイリー・スパーズであった。
車イスのタイヤが地面を擦る音が無言のブリッジに鳴り響く。
「……いやぁ、困ったもんだぜ。
若いのに、玩具取り上げられちゃってさ」
冗談めかしく、そう笑うワイリー。
「……えっ?」
ルアクは驚いていた。
「今……《ゲルググ》で戦ってんのって……」
「気付かなかったのかよ?色が違うだろ。色が」
「相手はびょうに……」
言いかけて言葉に詰まるルアク。
ワイリーは右手で車イスの肘掛けを自慢げに叩いた。
「……自慢することじゃないでしょう。まったく」
コメカミをかきながらハビエルが苦笑する。
「まあ……確かに、
小隊を動かせるダスティンが出てくれたのは有り難かったけど……」
ハビエルとワイリー、見合わす顔。
「隊長!ここは……」
とハビエル。アルメイダの顔色を窺うが……
「……隊長?」
部屋の中央、艦長の椅子に腰掛けたルシア・アルメイダは、
肘つき、顔を隠し、恐らく……
「……寝てらぁ」


PHASE-20 砂の海原(7/7)

『テメェ……』

赤き《ゲルググ改》と対峙したノーマン。

「改めて名乗らせてもらうよ……ダスティン・ホーク。

君らの仲間ユウ・アカエを倒した者だ」

そう《ゲルググ改》のパイロットにてダスティンは笑っていた。

前の戦いで負った腕と頭の傷はそのままに。

隠すように上からパイロットスーツを着込んで。

『……チッ』

ノーマンが剣を抜き、引き下がる。

1秒遅れて、フォルトゥーナが上から《A》のあった座標を爆撃。

更に後退した《A》を追跡し、爆撃を続ける。

《ゲルググ改》の方は左手にビームサーベルを構えると、

少しでもカモフラージュすべく、斜めに構えつつ右に動いた。

《A》の胸からは大出力のビームが放たれ、

《ゲルググ改》本体を容赦なく襲う。

当然これはビームシールドで防ぐが、

余波が《ゲルググ》の体を押し返し、

飛び散ったビームの一部が足やら顔を傷付ける。

その間もフォルトゥーナの爆撃は続いているから、

《A》は徐々に徐々に後ろへと引いていた。

さてビーム砲が撃ち尽くされた瞬間、《A》の姿は砂の奥に消えた。

モグラの進路がごとく砂を盛り上げながら、再度近付く《A》。

当然ビームサーベルで上から刺すダスティンだが、

刺したところにはいなかった。

一歩左に外れたところから、あのサメ形態にて飛びかかる。

だが……

『なッ!』

飛び出した頭を、

スウェーバック気味に《ゲルググ改》が回避した瞬間、

その体の上を旋回しながら飛んできたビームサーベルが、

サメの下顎を貫いた。

『《ジズ》が手持ちのビームサーベルなど……』

呟きながらも、レーダー上で既にノーマンは捉えていた。

対角線上に立つ1機のモビルスーツ。

小脇を《ジズ》に抱えられながらも、

自分の足で確かに砂の上に立っていた《アビス》の姿を。

『こんのぅ……死に損ないがぁぁぁぁ!!』

《A》の口から何本もの管が見えた。ビーム砲らしい。

赤や緑に発光を開始するが……

「ボクを忘れてもらっちゃ困るね」

そう《ゲルググ改》の左腕からサーベルが振り下ろされ、

上顎に一撃、前歯が2つに割れる。

ただ、そのとき既に回避動作を取っていた《A》。

それ以上のダメージは与えられず、また地中に潜られてしまった。

『やりましたか?小隊長!』

「いや、逃げられた」

心なしか《アビス》らの方に向いた《ゲルググ改》の体。

『警戒怠るな!敵は……』

ハビエルがわざわざ勧告したが、

せずともレーダー上に表示されていた敵《A》の位置。

《A》は砂を隔てた地の中、丁度彼らの真下に……

「あぁ……この下に……」

近付くフォルトゥーナ。

エイのような体についた2門の砲口が下を向き、

《ゲルググ改》本体が後方に飛んだ瞬間、火を吹き、砂を掘り返す。

砂煙が視界を遮る。だがレーダーは確かに捉えていた。

砲撃に堪らず、飛び出した敵《A》の姿。両手にあのフランベルジュ。

左腕のサーベルを胸の前に構えて、警戒する。

やがて砂煙の勢い弱まり、

モビルスーツ形態となった《A》のシルエットが煙の中に浮かぶ。

瞬間、欠けた右肘を土台に見立てて、左腕を乗せると、

突きのモーションで煙の中へ飛び込んだ《ゲルググ改》。

影が見えたは敵も同じか。

《A》がフランベルジュを振るい、組まれた両腕を殴りつけると、

サーベルを振り落とした。

光を失い、砂へと落ちていくサーベルの柄。

『ヒッ……』

と上げたノーマンの笑い声は一瞬にて止み、

《A》の影は膝から地に倒れた。

砂煙が収まるは、正にその直後のこと。

後にはビームサーベルを振り下ろした姿で立つ、

アレハンドロがいた。

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