機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-21 砂塵舞う空(2/7)

『手間取らせ……やがって……』

ノーマンの息は乱れていた。

『無茶するからだ。「一人でやる」なんて大見得切って』

近くにいる味方か?それとも母艦のクルーか?

とにかく誰かと話している。女らしい。

『現に……やれた……だろうが…………くそったれ』

荒い息で吐く強がりには、到底力は籠っていなかった。

『ホルローギンさんは、もう引いたぞ?』

『関係あるか!あんなジジィ。大体……』

そんな話をしている最中だったが、

ピーピー鳴るレーダーが会話を止めた。

『……使えねぇジジィだよ。まったく』

そこに映っていたのは、他でもない俺の《ヴェスティージ》で。

『よせ!流石にノーマンでもヤツには……』

『るせぇ!』

両手を下ろした、対象《A》。ボクサーのノーガード戦法みたいに。

『《ドミンゴ》と一緒にすんな!

この《アビス》はな!《アビス》はな……』

《A》、いや敵《アビス》の右足が少し後ろに下がったのが見えた。

『……最強なんだよ!』

2本のフランベルジュが一気に俺へと襲いかかってくる。

いや、一気に、ではないか。

右が少し早く、左が少し遅れて突き出された。

大したヤツだ。

先に出た右は刃を立てて面でぶつけて来ようとしている。

これで俺の視界の一部を遮り、左の刃の正確な位置を悟らせない。

かつ盾の役割も兼ねてるって訳だ。

無造作に見えて、意識的か無意識か、細かいマネをしてくる。

ビームライフルでは有効打にはならないし、

背中のモビィ・ディックでは近付き過ぎて狙いをつける暇がない。

動きも早い。アレハンドロの《アビス》以上。

恐らくカタログスペックがそもそも上なのだろうが。

この状況を一気に打開してくれそうなクトゥルフは……

残念ながら先程のホルローギンとの戦いで刺され、壊された。

とすれば狙うは……

「……俺はサムライじゃねぇのによ」

サムライ……そのフレーズにヤツが想像したのは……

『ざけんじゃねぇ』

白刃取りでもされると思ったのだろう。

その場で手首を返し、右の刃を回し始めた。

『やってみろよ?やれもんなら!!』

……完全に勘違いしてやがった。哀れと言いたくなるまである。

いや、あんな一言で推理し、当てろという方が無理か?

「あぁ……やらせてもらう」

余裕そうに笑っていたのは、今考えれば妙なことで。

不思議と怒りは湧いて来ていなかった。

ダスティンとアレハンドロなら無事だと思っていたのか?

ジョーンのときと違い、直接見てないからか?

ともかく冷静な自分が少しだけ怖かった。

これから人を殺すかもしれないのに、どうして俺はこんなに冷静で……

無論、そのときはかくも悠長に考える暇はなかったが。

「だが……」

空手の構えみたいだった。何も持たない両手が胸の前にあって。

ついで許しを乞うよう腕を上へ上げる。

少しでも動揺を誘いたかったが、意味はなかった。

とはいえ、それでもいい。

もう既に敵は勝手に罠にかかってる。

「……うおおおお!」

叫びに意味などないが、自然と声が出ていた。

両手をそのまま背中に回して振りかぶり、勢いよく振り下ろした。

ものは言わずと知れた慈悲の剣、カーテナである。

まさか攻勢に出るとは思わなかったのか、

ノーマンの動きは少し遅かった。

体の方はまだしも、フランベルジュの方はどうにもならず、

上から叩かれた2本が一気にへし折れる。

「……あんまりサムライチックでもなかったな」

なんて笑ってられるのは一瞬。すぐに反撃が飛んでくる。

その場で剣を捨てて可変したかと思うと、

例のサメ頭がこちらを向き、口を光らせる。

そんな手は食うかとばかりに、口に刃をねじ込むが……

『ビームじゃ、ねぇよ』

そこから起こったことは、正直驚きを隠せなかった。

この暑い暑い砂漠で、刃が……凍った。

「何で、こんなこと……マンガでも、ねぇのに」

『今だ!殺れ!パー!』

ノーマンが叫んだ瞬間……

『だから、よせと言ったんだ』

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