機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-21 砂塵舞う空(6/7)

サーベルに貫かれた、1機の《ジズ》。

これを容赦なく足蹴にすると、《ドミンゴ》は、

同じ剣を片手に、もう1機の《ジズ》の背後を取る。

『オマエッ……』

「おっと……動かないでもらえますかね?」

そう言い、刃を下から《ジズ》の首にあてる《ドミンゴ》。

「およそ、見れば分かる光景でしょうが……」

これは人質だ、返して欲しくば……とでも、言いたかったのだろうが。

しかし、言うより先に、敵に動きが。

「……これは酷い」

後方より放たれたビーム砲。だが、《ジズ》のものである。

どうしても届くまでに時間がかかってしまう。

《ドミンゴ》はすぐに人質を手繰り寄せ、回避した。

それだけじゃない。

捨てたと思われていたビームライフルが姿を現す。

それは丁度、足に付随していたコンテナの口に銃口を引っかける形で、

そこに残っていたのである。

ビームサーベルをコインのように高く放ったかと思うと、

敵の攻撃を回避しつつ、ライフルに持ち換え、瞬時に反撃。

相手のビームが撃ち終わらぬうちに喉(のど)に1発、

続けて顎(あご)、眉間と計3発を撃ち込んだ。

「嫌ですねぇ。狙撃は私の専門じゃない」

そう言いながらライフルを持ちかえ、銃口を掴むと、

何もない方へと投げつける。

いや、何もない『ように見えた』方というのが正確か。

ゴツンと音がして、見えない何かにぶつかったらしいライフルが、

弾かれ落ちる。

奇しくもそれは大きく振り上げられた、かのサーベルが、

彼の手へと戻るタイミングで。

「……そこか」

《ドミンゴ》は《ジズ》を盾にしつつ一気に前進すると、

回避に動いたであろう透明な《ジズ》にこれをぶつける。

次はゴツンなんて間抜けた音じゃない。

ドンと激しく空気を振動させた。

サンドイッチみたいに2機の《ジズ》と《ドミンゴ》が相対す。

そして『盾』の隙間を抜いて、サーベルで敵を貫いた。

機体は爆発炎上、ここに来てようやく露(あらわ)となる姿。

大きなレドームが目につく。

「隠れるには……こちらの方が向いていたかもしれませんね」

なんて笑うホルローギンだが、

そう余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)とはいかなかった。

爆発の煙に紛れて近付く、1機の《ジズ》。

いや、レーダー上の反応からホルローギンは見落としていた。

確かに《ジズ》には違いない。しかし、

(《ジズ》にしては速すぎる)

側面を突く形で、繰り出された銃撃が、

《ドミンゴ》の首を吹き飛ばした。

続いて咄嗟(とっさ)に《ジズ》を突き飛ばし、

2度目のサンドイッチ。慌てて敵との距離を取るホルローギン。

「なるほど……

流石は『雨の髪のフォーコレ』、と言ったところでしょうか?」

『逃がさん』

「いや、逃げさせてもらいますよ」

《ドミンゴ》は力を抜き、砂の上へと落ちていった。

下では砂煙が巻き起こっていた。すなわち……

『使えねぇジジィだな。クソが』

「……お陰で私は助かりましたよ。Mr.ノーマン」

《アビス》のヒレのような腕に掴まり、

ホルローギンは逃げて行った。




「流石は狼……狼藉はお手のものというところか」
そう微笑み、マイクからゆっくり口を離したシーザー・ルチアーノ。
その背中に銃口が押し当てられた。
ゆっくり顔の半分だけ背後に向けて、確認するシーザー。
相手はすぐに肩を押してシーザーの顔を前へ向けさせる。
「テーザー銃とは、珍しいね」
水鉄砲のような派手な黄色の外観が特徴的な、拳銃タイプのスタンガン。
シーザーの背に接していたのは、そんなものだった。
「……そんなことをお聞きしているのではありません」
そう応じたのは、若い男性の声で。
「忠告を……聞いておくべきだったな」
「まったくです。
回線の方は確かにジャックできませんでしたが、
監視カメラが確かにアナタの姿を捉えていた。アナタの姿と、声をです。
『やはり、そう思うか?』などと述べ、
この回線からは聞こえないと釈明していたご様子。
一体、何をお話されていたのか。
事と次第によっては……ただでは済みませんよ?」
「『ただでは済まない』か……」
シーザーは自身の禿げ頭を軽く撫で、ニヤリと笑った。 
「精々、ビリビリするだけだろう?フー・ソクティス麻酔医。
いや、ソクティス大尉と呼ぶべきか?」
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