機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-04 ignited(5/7)

「やめなよ……ダイ」

ヴァイデフェルトが囁くも、

「……重要なことだ」

と一蹴するダイ。

対して、ダスティンも数秒間、

要領を得ないといった風に首を傾げていたが、

そのうちに、

「それ、直接言わないよね?普通」

なんて笑った。

「……確かに」

そう同意するシージーを、ダイは睨むが。

「ダイ……と呼ばせてもらうよ?」

「ああ」

「俺が本当にスパイだったとしても、

スパイじゃない、って否定すると思うんだけど?」

ダスティンは笑う。というよりは、微笑むというべきだろうか?

嘲笑するというよりは、優しく諭すように。

「……別に疑ってはいないが」

ロダンの『考える人』よろしく、顎に手を添え、頬杖をつくダイ。

「貴方には自覚を持って欲しい、と思ってな」

ダイの顔が上を向いた。

「フレイヤ隊は……俺たちは、隊員の裏切りに遭っている」

「カオスのパイロットのこと?」

「……あぁ」

ダスティンの『カオスのパイロット』という表現に、

ヴァイデフェルトが微妙な表情を見せた。

彼女はそんな名前ではない、サムだと言いたげな……

しかし、この状況でそれを切り出せるヴァイデフェルトではなく。

「貴方には自覚を持って欲しい……

自分が疑われる立場にあることを。

その意味で、失礼は承知で言わせてもらった。

別にルカーニア司令に、その意図があるとは思わない」

「あの人がそんなまどろっこしいことするかなぁ……」

「コロニー付近に爆発物を仕掛けておくようなマネをした男だ。

ないとは言えない」

シージーもシージーで微妙な表情。

これは、平然と上官ルカーニアを侮辱するダイを戒めたい、

といった感じだろう。

気まずそうに顔を反らすのだから。

「貴方がもし……妙なマネするようなら、

俺は部隊の安全を優先して、躊躇なく殺す」

若干上から見下ろすように、ダスティンを睨むダイ。

「……2人もだ」

次いで振り返ったダイは、当然前の2人を見ていて。

「……安直に信用するな」

「ひどい言われようだね」

「事実だろうが?」

睨み返すダイに、ダスティンもここで頭を垂れた。

「部隊の安全……ねぇ」

おうむ返しに応じるシージーの表情は暗い。

ただ、もっと悲惨なのはヴァイデフェルトの方で。

本筋の会話とは裏腹に、思い出していたのは俺(副長)のことで。

先の『オバマ』征討の前半戦にて、

ヴァイデフェルトに銃を向けたのは俺だった。

引き金を引いたのは俺だった。

ダイの言葉が引っ掛かる。

部隊全体の為なら、その一部を切り捨てるというのか?

あのときの副長の判断みたいに……

そんな感傷が彼女に、

「……そんなこと考え出したら、キリがないよ」

なんて言葉を紡(つむ)がせた。

これにはさしものダイも、

「そうは言うがな……」

と言葉を濁さざるを得なかった。

シージーも口角に皺を寄せて、言葉に詰まっている。

そんな中、

「まあ……考えるのは悪いことじゃないと思うけどね」

なんて立ち上がったのはダスティンだった。

「……どうせ、君らとは当分俺は別行動になるんだ。

その辺り、皆で話し合う時間はあると思うよ。

ひとまず、30分になった。何か食べようか?」

そう、皆を見渡せば、

「だよな」

ってシージーが同意して立ち、

ヴァイデフェルトも視線を感じて立ち上がった。

ダイのみ、座りしままに右側を向いた後で、

「……それも、そうか」

なんて声を漏らしつつ、立つのだった。

つまり、ダスティンには背中を向ける構図となる。

「……だよね!」

ダイの対応を他所に笑うダスティンに、

残りの2人はまた気まずそうに顔を見合わせるのだった。




食堂のカウンターと一口に言っても、幾つかあって、
ご飯ものだったり、麺だったり、パン、
スープとか、またはジャンクフードだったりと、
ブースが分かれている。
そこでは偶然にも、ダスティンとダイが並んでいた。
ダスティンの方が先、後からダイがやってきた構図で、
寄っていくのを躊躇する様子が見られた。
それでも頼んだものが頼んだものだから、行かない訳にも行かず。
寄っていくと、ダスティンは少し笑って、
「アフリカでも頑張ってね」
なんて首を斜めにして寄せ、囁いた。
「……ん?」
ダイの返事が聞こえるか聞こえないかというタイミングでもって、
ダスティンの頼んだものが出てきた。
チキンティッカマサラ。英国風のカレーである。
「……俺はしばらく、こっちなんでね」
と、カレーをチラッと見せると、
踵を返してテーブルへ向かうダスティン。
「どういう意味だ?」
と呼びかけるダイの向かいで今、
調理台の奥から火の燃え上がるぼうっという音が聞こえてきた……
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