機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-06 禁断の力(6/7)

思えば半月ばかり前のこと、あの『オバマ』での戦いにて、

サムが乗っていると思われた《カオス》に、

実はジェイナス・ビフロンスが乗っていたという事態が起きて。

そして、今となっては、

目前の《アビス》がパイロット不明、

少なくともアレハンドロではないと言われては……

ビフロンスは死んだとはいえ。サムの裏切りもあった。

ダイが身構えるのも無理はあるまい。ただ……

『……アレハンドロも無理言うよな』

何て言うシージーの笑い声が、

ダイのピンと張りつめられた集中の糸を切り落とす。

時を同じくして、シージーを乗せた《1号機》……

すなわち、もう1機の《Im/AーP》が、

ブルートフォースシルエットを装備し、

(以前ハサンが利用していたタイプのシルエット)

向かい側にあった丘の上に着地する。

『人数が人数だからな……

《ジズ》より1機でも多く《ガンダム》を並べたいじゃねぇか』

どこからかは知れないが、

アレハンドロの応答する声がそう聞こえてきて。

『本当は、

ヴァイデフェルトちゃんに《アビス》に乗ってもらう……

つもりだったんだけど』

『何よ?私じゃ不服な訳?』

アレハンドロの呟きに、そう返答したのは、

何故かパーディだった。

「まさか……」

ダイが漏らした声に、パーディが答える。

『ええ。私よ……《アビス》に乗ってるのは』

画面の左下に表示される、《アビス》のコクピット。

確かにそこには、

少し身の丈より大きいノーマルスーツを着て、

前向きに腕の伸びをするパーディの姿があった。

「いや……おい!」

『実際、私のがガッコの成績はマユマユより上だし……あ、痛ッ!』

慌てて腰を押さえるパーディ。

「……おい!傷口が開いたら、どうするつもりだ!」

『なあに……大丈夫よ』

「パーディ!」

ダイの剣幕に、

笑顔だったパーディの表情が変わる。

といっても、満面の笑みが苦笑いに変わる程度だが。

『私は《アビス》……あくまで目的は支援だから。

無理はしないつもりだからね。

心配してくれて嬉しいけど……そんなに怒らないでよ』

「しかし、なあ!」

勢いよく顔を前に出せば、

『もう、ダイちゃん!髪が乱れちゃうよ!』

なんて返答をパーディはするのであって。

「……あのなぁ」

『言いたいことは分かるからけど……』

『為せば為る……っていうだろ?』

そう擁護したのはシージーで。

『パーディに無理させないように、

俺たちが頑張ればいいんだよ。なあ?そうだろ?ダイ』

そう言われては、ダイもケチはつけようがなく。

「……まあ、分かるが」

……いや、訂正しておこう。

別にダイは反論できなかった訳ではない。

ただ単に、そんなことに話題を裂く余裕が消えただけで。

『敵が……来ますね』

ラグネルが先に指摘をした。

「ああ……」

レーダーの反応は確かに伝えていた。《マッド》の到来を。

「シージー……行くぞ」

『ああ……ラグネルさんもお願いしますね』

ダイの口角に皺が寄る中、当のラグネルは、

『……はい』

と小さく答えた。




市街地は、ふたつの丘の麓、
谷間とでもいうべき場所に降り立った3機。
そこからまず、ダイが提唱した。
「フォーメーションはトライアングルで行く……」
『はい』
ラグネルの返事に、遅れて、
『……あっ、ああ』
とシージーも反応した。
それならば、とシージーが前に出ようとしたが、
ダイが手を出し、これを制した。
『……えっ?』
「俺とオマエは後列だ。
《ガイア》の機動力を思えば、前に出てもらった方が都合がいい」
……というのは、まあ、一因であれど根拠ではなかろう。
本音は、不信感にあるのは明らかだった。
サムのこともある。
裏切る余地がある新参者に背後は任せられない、と。
『オマッ……後輩ちゃんを前に出す気かァ~?』
『構いませんよ』
ラグネルは告げる。
『構いませんよ……それで』
シージーの動きは少し止まっていたが、
ダイの機体が右に動いたのに合わせて、左に寄った。
「……パーディは、くれぐれも丘を降りるなよ」
『分かってるっての!』
「シージーも……
敵を視認したら迷わずミサイルを撃ち込め」
『……あぁ』
「アレハンドロ……は、どこにいるのか知らんが……」
ダイの目に《ガイア》の姿は映っている。
映っている、が……
「……各々(おのおの)、抜かりなく」
そう言い、口を閉ざしてしまった。
戦場には今や近付く《マッド》の足音だけが聞かれていた……
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