機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-09 意志を貫く力(7/7)

半分には満たない程度に開かれた窓より、

入ってきた海風が、腰に下げた軍刀を揺らしたとき、

持ち主──フェイ・デ・カイパーは《フレイヤ》の会議室にいた。

陽光を反射して銀に輝くテーブルの上の鳥籠の中、翼をばたつかせる、

白い鸚鵡(おうむ)にライチの実を食わせながら、

柔和な笑顔を見せていた。

それをドアの小さな鍵穴の中より見るや、

「あの人、もっとお堅いイメージだったんすけど」

なんて小声で漏らしつつ、1歩引き下がるアレハンドロ。

「どれどれェ……」

代わって少し猫背になり、目を鍵穴に寄せるワイリー。

「あんまり、無理しないでくださいよォ……」

と車椅子の後ろから気遣うダスティンに、

「まあ、まあ」

などと言い訳しながら。

「何でぇ、舌にピアスなんかして、強面(こわもて)って感じなのに、

意外と可愛い顔して笑うじゃねぇか。えぇ~」

とか何とかワイリーが言っているうちに、足音が近付いてきた。

話し声と一緒に。

「どういうことよ。補佐官様直々の御成りなんてさ。

大体……来るなら来ると、連絡寄越してくれれば、

こちらも迎えを出すのにさぁ。感じ悪いじゃない。もう……」

アルメイダの声である。角になって見えない位置にいるのだが、

それでもアレハンドロが振り返って、声の方を見た。

「それだけ、重要な任務ということでしょう。

電波に乗せると盗聴の恐れもありますし、

補佐官程の方がいらっしゃるとなれば、周囲の目も向きますから」

そう答えるはハビエルの声。やはり見えないが。

アレハンドロに続いて、ダスティンがそちらを向いた。

やはり見えないが。

「だったら、もっと無名の人間を寄越すとかさぁ……」

「伝言役として、信頼できないと判断されたのでは?」

「何よ、それぇ……」

そんなところで、ようやく男3人の視界に入った。勿論逆も然り。

「アンタら……何してんの?」

と割に大きな声で呼んでしまうのがアルメイダ。それを、

「まあ……お昼が近いですからねぇ」

と誤魔化(ごまか)すハビエル。

なお、女2人からして、会議室より1つ手前の部屋が食堂である。

ハァ?と言いたげな顔で振り返るアルメイダを、

まあまあと宥(なだ)めてハビエルは、

指でドアを差し、次に地面を差すという動作でもって、

中にフェイがいるのか、男らに確認する。

ワイリーとダスティンは意味が分からないらしかったが、

勘が鋭いアレハンドロが反応した。うんと頷(うなづ)いて。

わざと足音を立てて歩いてきてアレハンドロは、

「……朝が遅かったんすよ。俺たち寝坊しちゃって」

と答えつつ、振り返ってダスティンを見る。

慌ててダスティンも、

「あぁ……そうだね」

なんて空返事を返す訳であって。

続いてダスティン、何を思ったのか、車椅子を抱えると、

「おおっ」

と声を上げたワイリーに、

指を自身の口に当てて静かにと促(うなが)し、

それから、そのまま、足音を立てないようゆっくりと、

食堂の部屋の前まで運んだ。

「……今、食べてきたところですもんね?ワイリーさん」

なんて白々しい台詞を吐くダスティンだが、

芝居は下手と見えて、ぎこちない。

合わせるワイリーも、

「……おおっ!」

そう声が裏返り……そんなとき、突然、会議室のドアが。

振り返る一同。当然、そこにはフェイの姿があり。

「アルメイダ大隊長に、ハビエル副館長ですね?

突然の来訪、お許しください。ひとまず、話は中で」

と未だ遠方の両人に言うだけ言って、部屋に戻る素振りを見せた。

ホッとしたのも束の間、

「御二人のみで十分ですので……

覗き趣味の皆様にはお引き取り願います」

と言い残されてしまった。

「……やっぱバレてらぁ」

ワイリーが苦笑しつつ、アレハンドロ、ダスティン、ハビエルの順で、

周囲の面々と顔を合わせた。

ズケズケと進み、アレハンドロに退けと鼻を鳴らして合図し、

先にドアの中へと入っていくはアルメイダ。

他方、ハビエルはというと、退いたところのアレハンドロに歩み寄る。

「補佐官さんは、中で何してたの?」

「鳥に餌(えさ)やってました。楽しそうに」

ハビエル、これにはかける言葉を失う。

「……わかった。ありがとう」

アレハンドロの肩をポンと叩いて、彼女もまた、中へ入って行った。

……さあ、男連中はそれぞれが顔を見合わせる。そして、

「セクハラって言われるよりは、マシだよな?」

ワイリーのそんな付け加えを聞いて、うんと頷く残り2人なのだった。




「アーモリー・ワンのときといい、お疲れ様ですね。カイパー補佐官」
アルメイダの横に腰を下ろしつつ話した、
そんなハビエルの社交辞令はフェイの耳には届かないと見えて。
「……出来ることならアスカ副長にもお立ち会いいただきたかったが、
私にも時間がないもので。単刀直入に説明させていいただく」
フェイにそう言われれば、愛想笑いを浮かべていたハビエルの顔も、
真剣になるのは必定で。
「《フレイヤ》には、海路から迂回してリビアに入り、
セベク・アガレスが長女ネイトが守る拠点を叩いてもらいます」
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