機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-11 海上の狼煙(6/7)

さあ、推理を始める。敵の位置。

足音は聞こえなかったところを見るに、ほとんど動いてはいまい。

となると……

「……あの辺りか」

飛んで一気に市街地へと入る。その間、相手が放ってきたのは3発。

1発目は機体が上昇した瞬間を襲ってきた。

飛び上がった際に右足首の横を、黄緑色した光が通り過ぎていった。

そして2発目。飛び上がった体が前進を始めたときだった。

ビームシールドを前方に展開しつつ、進んでいた。

これには流石にヒヤリとした。

何せビームシールドと脇腹の隙間を抜いていったのだから。

あと数センチ、ズレていれば、

コクピットも無事ではなかったかもしれぬ。 

ただ、3発ともなれば、敵の位置におおよその確信ができる。

相手を試すように左足をつき出せば、予想通り、撃ち抜いてきた。

「……やっぱな」

市街地に降り立つ。

ビルの影に隠れるなどせず、適当に4、5歩ばかり足を前に出した。

当然、ビーム攻撃が飛んでくるが、まだ気持ち遅い。

ギリギリとはいえ、ビームシールドの防御が間に合う程度には。

「まだだ……まだ遠い」

一気に間合いを詰める手もあるが、レーダーの反応からして、

ミラージュコロイドを使われているのは明らか。

接近したところで、視認するより先に撃ち殺されるのがオチだろうて。

ただ、ビームライフルの射程では、まだ不安が残る。

やるとすれば、あと数メートルは近寄らねば……

『副長!……指示を!!』

ダイの声である。

『おい、ダイ!オマエ、ちょっとタイミングつーもんを……』

「いいんだ。アレハンドロ」

敵は……恐らく一機ではあるまいが。

「モビルスーツ隊……サーベラス陣形を取りつつ、市街地まで前進しろ。

そして、ここからの指示は……ダイ!オマエに任せる!」

ダイの吐息が聞こえた。

『えっ!』

と思わず、アレハンドロさえ声を上げ。

「ホーク小隊とヴァイデフェルトには、《フレイヤ》を守ってもらう。

ダイ!オマエがアレハンドロ、ラグネル、ワイリーを連れて、

先を急げ!俺も目下の敵を撃退次第、援軍に向かう!」

『……しかし』

「俺は『大したことない』んだったな?……オマエはどうだ?」

1秒程度、ダイの返答は遅れたが、そのうち、

『了解しました』

という小声での反応が聞けた。

俺は思わず口角を上げたが、すぐに表情を引き締めた。

仕方あるまい、状況は進展してはいないのだから。

この間、敵の狙撃手は鳴りを潜めていたが、

そもそも通信中、味方の声以外の音まで耳は拾いにくい。

この数秒で、狙撃ポイントを変えてきた可能性は否定できない。

「下手には、動けないか」

どこからとも知れぬ視線を感じた体がむず痒(がゆ)かった。




『……ダイさんの下で、攻め手に回れとのお達しですよ。ワイリーさん』
少しの笑い声を漏らしつつ、ダスティンが呼びかけた。
「アスカのヤツ……俺が病人なの忘れてやがんな。こんちくしょー」
文字に起こすといくらか攻撃的な内容であるが、
実際のワイリーはニヒルに笑いながら、冗談めかしく言っていた。
『ワイリーさん!』
ダイの声。
「……先に行ってな。コイツの機動力ならすぐに追い付くからよ。
副長の指示なんてイチイチ守んなくていーんだよ」
ワイリーの返答に、舌打ちするダイの声が聞こえた。
『いいんですか?』 
尋ねるダスティンは半笑い。
「……いいんだよ。今は敵に夢中で、俺の声なんざ聞こえてねーよ」
『ひどーい』
「いや、そこは俺とアイツの……信頼関係がよ」
そんな話をしているうちに、発進シークエンスは始まる。
パーディの声が聞こえていた。
「……あ~あ。さっさと退役しちまうんだったなぁ。
まさか、足落とされたまま、戦場に駆り出されるとはなぁ~」
『信頼関係でしょ?それも』
「……だから、ヤなんだがな」
ヘルメットのガラス部分が下り、ワイリーの顔が覆われる。
「『割り切れよ』ってか?畜生」
レバーに手をかけるワイリー。
『発進、どうぞ!』
「……ワイリー・スパーズよ。《ゲルググ》、出ちゃうかんな!」
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