機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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崩れた幾棟ものビルの下敷きにされた《NダガーN》。
その傍らに立つ《ヴェスティージ》の中にあって、
俺は小さく見える橙色した《ゲルググ》の背中を目で追っていた。
それより先、向かったダイらの姿はもう見えない。
「……柄にもねぇ」
と、自分でも思った。
まさか、俺があんな形でダイに発破をかける日が来るとは。
まあ、前々から思っていた。
礼儀正しいヤツだが、どこか本性を隠しているようだと。
そのせいか、あの日表面化しても、怒りは沸いてこなかった。
むしろ頼もしくさえあった。
よく言ったダイ。
俺だってオマエぐらいの頃には、同じぐらいには生意気だったんだ。
遠慮することはない。もっとバカにやれ。
尻拭いはしてやるからよ……
なんて言うと、どうにも親父臭いが、それでも、
「『アスランみたい』は……ないでしょうぜ。トライン隊長」
ただ、そう呟いた次の瞬間、
俺は強烈な爆発音と、遠方にて巻き上がる黒煙を見ることとなった……


PHASE-12 砂漠の巨獣(1/7)

『敵機捕捉……どうするよ?フーディーニ隊長さぁん?』

冗談めかしく笑うアレハンドロ。

「隊列を崩さず、撃退に動け」

そんなダイの返答に、

『……へいへい』

と返すアレハンドロの声は、どこか力が抜けていた。

さて、目下の敵は《ウィンダム》が計6機。

ビームシールドを展開しつつ、砲撃をかけてくる。

『分散はしないと?』

ラグネルの問い。

「必要ない……それより、背後を守れ!」

流石に無視は出来なかったのだろうが、やや口調が荒い辺りに、

ダイの本音が垣間見える。

「いいから掴まってろ!このまま、突っ切る!」

その形態を例えるには、雰囲気的にそぐわないものの、

引き合いに出すとすれば、騎馬戦が近い。

前には立つダイの白いブルートフォースの《Im/A-P》に、

右肩を掴むアレハンドロの《アビス》、

左肩を掴むラグネルの《ガイア》がそれぞれ付随する。

『そんなに飛ばして……ガス持つのかよ』

苦笑するアレハンドロを無視して、飛ばすダイ。

顔のビームガンを乱射しつつ、《ウィンダム》に近付いた。

逆に敵はその場で分散。

翼を広げた鶴のような陣形で、3機を取り囲む。

「古典的な戦術が、通じるとでも思ったか!」

ビームサーベルを抜いたダイが、一太刀にして、

まず1機の《ウィンダム》を腰から両断した。

「手を、離すなよ!」

宣言すると共に、更に加速して、

切り伏せられた《ウィンダム》を足場に飛び、

爆発するより先に通り過ぎた。

『おい!残りの5機は素通りかよ?』

アレハンドロが鼻で笑って伝えれば、

「……バカいえ。とっくに、手は打った」

そうダイは誇らしげに答えた。

事実、この直後には、同時に2つの爆発が巻き起こったのだから。

『……えっ?』

冷静なラグネルも、このときばかりは、そんな声を漏らした。

「見えなかったか?……すれ違い様に、ミサイルを落としてやった。

シュミレーターで検証済みだ。

あのミサイルの追尾機能は、本体と密着状態の機体は追尾しない。

ついでに、一定速度以上に加速した敵にもな。

だから、両方の条件を満たしてやったんだ。それだけのこと」

『……知らねぇぇぇ』

アレハンドロが苦笑する。

「残りは……」

ミサイルの接触とビーム拡散が、《ウィンダム》を3機仕留めた。

しかし、まだ2機が迫ってくる。

反転し、ダイらの背後に撃ちかける。

「おい!」

『……わかってるよ!』

《アビス》の甲羅と、《ガイア》のビームシールドが守る。

ただ、敵は何もそれだけではなく……

『アッ!』

と声を上げるラグネルに、

『おおっ?』

なんてアレハンドロは頓狂な声で応じ、勝手ににやけた出すが、

事態は笑えるものではなかった。

レーダーに反応のない敵が、突然狙撃してきて、

《ガイア》の右足首を撃ち落としてしまったのだから。

「構うな!動いていれば、狙いは早々つけられん!」

そう言い、ダイは振り向かない。

「……敵の本拠地は、割れてんだよ!この野郎!!」

ビームサーベルを背中に戻し、腰から2丁のガンを抜く。

目標は、一件の小さな民家らしき建物だった。

モビルスーツのサイズで見下ろせば、玩具のような小ささ。

一瞬……躊躇するような素振りを見せたダイだったが、

「もう……引けるかよ!」

との叫び声と共に、これにビームを撃ち込んだ。

当然、爆発する建物。

その脇に、ダイら3機は足を下ろすのであるが。

『ミッションコンプリート、とは行かねぇか?』

アレハンドロの言う通り、例の《ウィンダム》2機に加え、

少し先から《ワイルドダガー》数機が駆け寄せるのが見えている。

「あぁ……そうだな……」

目を細めたダイ。彼はこのあと、目にすることになる。

焼け落ちる建物の下で、静かに光る赤いひとつ目を……

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