機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-12 砂漠の巨獣(4/7)

ダイ・フーディーニと、始めて会ったのは2年前。

あの頃のアイツは、黒い髪をしていたのを覚えている。

髪も短かったからな。

一見すると、別人と言われても不思議はなかっただろう。

ただ、キツネ顔だからな。頬からアゴにかけてのラインが、

やや二等辺三角形染みた細長いのが特徴的だから。

「よろしくお願いします」

と、店先で深々と頭を下げるもので、

「そう、畏(かしこ)まるなって。人が見てるからよ」

なんて軽く叱ったのを覚えている。

さて、そのときは面接……という程、大したことではなかった。

ただ、部隊に編入されるより先に、個々で話しておきたかった。

立ち寄ったのは、所謂ファミレス。

白い煉瓦の壁に囲まれた清楚な空間ながら、

濃い色の木製テーブルと中身の黄色い綿が少し見える赤ソファーから、

チープさを感じずには得られない空間。

これで出てくる料理が遅いとか、店員の態度が悪ければ、

帰ってやろうかと思ったが、

「意外に……庶民的なお店を選ばれるのですね」

なんて不器用に俺を褒める、ダイの無邪気な笑顔に、

俺も毒っ気を抜かれた。

「……そりゃ、中隊の副長ごとき、大した給料じゃねぇからな」

苦笑気味に笑う俺は、

2、3先のテーブルでタバコを吸うオッサンに目がいった。

なるほど、喫煙・禁煙のくくりはないらしい。

そう近いところじゃないから、

流石に煙がこちらに届くことはないだけマシだが。

「んまぁ…………それだけ軍人ってのは、儲からねぇって話だよ」

「それ、教官にも言われました」

「あっ、マジ?」

口を拳で押さえて笑うダイの態度に、何となく品の良さを感じた。

「じゃあ……オマエが軍人を目指した理由は何だ?」

ダイの顔つきが変わる。

拳を開き、ゆっくりとテーブルの奥へ引っ込める。

「少し、失礼な言い方になるかもしれませんが……

考えるんです。いつも、自分ならどうするかを。

ニュースを見ていて思います。

もっといい選択ができたんじゃないかって」

「……というと?」

「例えば、税金の話とかしているでしょう?

タバコを吸う人の割合は減っているからって、

年々、税率が上がっている。でも、税収は増えていない。

嫌煙家が増えた今のご時世じゃ、

タバコの増税に反対する人が少ないのが原因でしょうけど、

もっと税の取り方があるんじゃないかなって。

例えば、そんなことを」

無論、タバコを吸っていたオッサンがいたから、

そんな話になったのだろうが……

「それと軍務に何の関係がある?」

「軍隊にしても、そうです。

僕は今の方面軍という体制がベストとは思いません。

戦時中でもないのに軍事費は拡大して、

ほぼ徴兵同然の制度に国民は反発、政権の支持は下がっている。

何より、プラント本国の守りが手薄になっている。

これでは、本国を叩きに来られたら、守りきれません」

「今の大国は……東ユーラシアを除いて、

国の一部にザフトの基地があり、方面軍がそこにある。

プラント本国を叩きにかかれば、その時間に方面軍がその国を攻める。

システム上、問題はない気がするが?」

「……元々、人口の少ないプラントが世界の警察を気取るには、

無理があると思います。

それなら、むしろプラントは本国のみに戦力を集中させていた方が、

テロリストなどへの対応も取れるのでは?

方面軍が強いといっても、物量では他国の方が上。

総力戦になれば、どのみち勝ち目は薄いのですから、

自ら不利な状況に持ち込ませるべきではないと考えます」

「まあ……わからんではないがなぁ……」

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