機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-12 砂漠の巨獣(6/7)

《ドヌ・ゾド》の情報は入っている。

いや、仮に《ドヌ・ゾド》がそこにいなかったとしても、

他の敵に苦戦しているかもしれない。

……俺だって、出来ることなら助けに行ってやりたかった。

意地悪で無視をした訳ではない。単に、その余裕がなかっただけだ。

このとき、俺の駆る《ヴェスティージ》の前にも、

1機のモビルスーツが立ちはだかっていた。

《NダガーN》はもう仕留めたし、

まして《ワイルドダガー》や《ウィンダム》なら、

こう手間取ることもなかったさ。

《NダガーN》撃破の直後、ソイツは突然空より現れた。

レーダーは、その反応を捉えていたから、

特段対応が遅れることはなかったが。 

相手は所謂、ガンダムタイプのモビルスーツだった。

「オマエ……一体……」

なんて問いに答える声はなく。

暗い空に半ば同化するような6枚の紺の翼をはためかせて空を飛び、

ビームライフルを撃ちつつ接近する俺の《ヴェスティージ》を、

寸でのところで回避した。

戦艦《フレイヤ》を狙われるとまずいから、

持ち場を離れることはひとまず出来ない。

逆手に握ったビームピックの方も当たらなかった。

この敵のモビルスーツは、

腕にビームの刃を形成する大きな鎌を抱えている。

死神が持っているような鎌だ。

こちらとの接触を回避した次の瞬間には、稲穂を刈るように鎌を振り、

これを切り裂こうとしたが、振りが大きい分だけ、隙も大きくなる。

通り過ぎる一瞬で俺を刈るのは難しかったようだ。

俺は両腕にビームシールドを展開させたまま、

空へと垂直方向に飛ぶ。機体を回転させて隙を見せぬように。

同時にビームライフルも撃ちかけ、敵を襲う。

ここで明らかとなるのは、この機体の異常な柔軟性。

モザイク壁画のように白からオレンジに至る濃さの違う数色が、

グラデーションとなる形で疎(まば)らに点在する、

このモビルスーツの特異なボディは、滑らかな動きを見せると、

その身を襲うビームの線を僅かな動きでもって避けてみせた。

それはモビルスーツの動きというよりは、

むしろ人間のそれに近い所作(しょさ)であった。

それからお返しとばかりに、翼の少し上辺りにあった、

ビーム砲を屈むような姿勢になりつつ放てば、

そこはビームを回避するような運動性。

回避が完全には間に合わず、ライフルを落とされてしまった。

「……クッ」

それは声というべきか、音というべきか。

食いしばった俺の歯の隙間から、そんなものが漏れた。

「ワイリーのヤツが……間に合えばいいんだが。アイツら生きて……」




「生きて……」
ラグネルに、そう問いかけるダイ。それを制する、
『だるまだってよォ~、ダイさァ~ん』
そんなアレハンドロの言葉。
『カッコつけてたのにィ~……ダッセェなァ~。
何だっけェ~?「背中は預けた」だっけかァ~?
……預けた結果がこれかァ?俺も足やられちゃったじゃあねぇかァ!
畜生ォ!』
返す言葉がなく、唇を噛むダイ。
『なァ?ダイ……知ってっかァ?
達磨ってのはなァ……倒れねぇんだぜ?』
「……うるせぇよ!」
《Im/A-Pだるま》が、動いた。
赤べこみたいに、傷ついた首を上下に揺らしながら、
顔のビームガンを乱射した。
無論、《ドヌ・ゾド》へはダメージを与えられない。
どころか、届きもしない。
ただ、砂と瓦礫を撃ちかけて、煙を上げたばかり。
「そいつは、だるまじゃない……起き上がり小法師てんだ」
砂ぼこりが《ドヌ・ゾド》の視界を遮った瞬間に、
《アビス》は勢いよく飛びかかった。
俺との模擬戦で見せた、あの飛び魚がごとき跳躍で。
風車のように回り、弾丸のように前に出る。
その旋回に合わせ、巻き込まれた砂は小雨(こさめ)よろしく、
疎らに《ドヌ・ゾド》のボディにぶち当たる。
『何をッ!』
振り上げられた《ドヌ・ゾド》の右腕。
しかし、回転の勢いに弾かれて、《アビス》を掴めない。
続いて腹の辺りから、ビームが撃ち出されて《アビス》を襲うが、
当然弾かれて意味を成さず。
そこには、押し返す勢いすらなかった。
『こんなことでは……回転速度も落としませんか』
そう語るフェルディナンドに、尚も焦りは見て取れぬが。
『ぶちかましだァ!くそったれ!』
その様は、何か空間が螺曲(ねじま)がっていくようで。
自身の半分程度しかないモビルスーツの突撃に、
流石の《ドヌ・ゾド》も、塵や芥(あくた)を踏みにじりながら、
2歩も3歩も押し戻された。
出しっぱなしになっていたビーム数発が、
《アビス》のシールドに弾かれて、小便みたく飛び散った。
『……反撃開始だよォォ!』
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