機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-14 Distance(3/7)

『お見事』

とドルゴンがおだてれば、クールカは、

『いや……小さい』

のみ応じた。

『……小さい?』

ドルゴンがそう聞き返した。

『爆発が小さすぎる……これでは……』

クールカの不安は的中。突如雲の下から2本の赤いビームが飛び出す。

片やクールカを、片やドルゴンを狙ったようだ。

まず、ドルゴンの方は間に合わない。

シールドを張るも無意味で、片足を吹き飛ばされてしまう。

他方、クールカの方には余裕があった。

それはもう、回避するだけでなく、

傷ついたビームライフルらしき銃が煙を上げつつ落ちていくのを、

確認できるぐらいに。

『……武器を囮(おとり)にしたか。なるほど。

オマエにしては珍しい策だ。機体まで透明にしてな。

もっとも……データにないモビルスーツという時点で、

おおよその見当はついていた。

シン・アスカ……カーン・カーァを仕留めたオマエの機体だとな!』

流れていく雲の切れ間から、その姿が顕になった。

赤と金のクールカ機と対比されるような、

青と白の機体──《ヴェスティージ》である。

『下がれ、ドルゴン……相手が悪い!』

言われたときにはもう、

ドルゴンとやらの《ウィンダム》は引いていたが。

《ヴェスティージ》の左手にはビームピックが握られている。

即座にピックが指から離れる。当然回避に動いたクールカ。

しかし、間に合わなかったのか、『ズレた』のか、

ピックがビームライフルを直撃。

小さな稲妻を走らせるライフルを投げ捨て、後ずさるクールカ。

「……遅ェ」

そう離れちゃいない。一歩踏み出せば、

それは《ヴェスティージ》のスピードである。

手離されたライフルがその足先に当たる程のアズ・スーン・アズ。

間合いは詰まった。

すぐ右手を振り上げた。旗のように上へ向けて真っ直ぐに。

旗の代わりに握られた新手のビームピックが襲いかかる。

もっとも、流石にこれは回避された。

間髪入れず、ピックを放(ほう)った。

グーをパーにするだけの、最低限の動作でもって。

旋回するピックがクールカ機に近付く中、本体も暇しちゃいない。

顔のビームガンをけしかけた。

シールドでも張る……かと踏んだのだが。

首が動いた。凝った首を軽く回すときみたいに、微かに。

モビルスーツ、というか機械にしては滑らか過ぎるほどに。

前の戦場で見たパヴァロッティ・ギボンの機体がこうだった。

あまりにも繊細。あまりにも微細。

しかし、その些細(ささい)な動きがあるばかりに、

こちらの攻撃が当たらないのだ。

それは投げつけたピックについても同様。

捻(ねじ)るように動かした肩、腕がこれを避けた。

「またかよ!」

ならば、とビームガトリングを振り上げる。

いや、振り上げようとしたときには、もう遅かった。

噛み合わせたワニの歯のようなデザインをした、

クールカ機のアイマスク状の部位が動いた。

口を開くように、上下に分かれたのだ。

下には魚の鱗みたいな小さなパーツが並んでいた。

これが一斉に飛び出してくるのである。窓ガラスが割れるみたいに。

落ちた鱗には小さな刃が付いていた。見逃しかねないほど小さな。

慌てて身を引きつつビームシールドを展開するが、

完全には間に合わなかった。

顔にいくらか突き刺さり、頭部が損傷。煙も上がる。

クールカ機はこれと同時に、腰から2本の剣を抜いていた。

逆手に握った剣同士を胸の前にてクロスさせ、そのまま、

『うおおおお!!』

とか何とか叫び声を上げ、突進してくる。

勢いに押されて、シールドを持つ手が後ろにいき、機体も後退。

その隙を突き、右側の剣が切りつけてける。

回避はおろか、逆の手のシールドを張ることも間に合わない。

だから、誰かさんみたいに上体を反らした。

無論、焼け石に水。胸から下腹部辺りまで一文字に切り裂かれる。

クールカやギボンの機体みたいにはいかなかった。

それでも、コクピットまでは刃は届かずに済んだ。

浅く……そして、気持ち太刀筋が左に逸れていたこともあって。

『これで、チェックだ』

右の刃が弓ならば、左のそれは矢のようで。

手首を折り、剣先をこちらに向ける。後は前に突き出すだけ。

左の刃が迫る中、俺は……推進機を止めた。

背中で、

『探したぜェェ!こんのォォ、《フリーダム》もどきがァァァ!!』

なんて女の叫び声(怒鳴り声?)を危機ながら……

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