機動戦士ガンダムSEED C.E.81 ナイルの神   作:申業

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PHASE-14 Distance(6/7)

「クールカ……さんよぉ……」

『何だ?アスカ』

「……こんなこと、語るだけ無意味かもしれない」

敵は待ってくれはしない。片側からギボンの鎌が振り翳(かざ)され、

逆側からはカトリーナが針先から光線を飛ばしてくる。

両手にシールドを張り、耐えるばかり。

「……だが、あえて言わせてもらう。

『過去にとらわれたまま、戦うのはやめろ』。

アンタの目指す先に、アンタの望むような未来はない……

現実を見ろよ。俺と同等……いや、それ以上の力を持つアンタが、

高尚な理想を持ったアンタが、今やってることはなんだ?」

ギボンとカトリーナ、シールド1枚挟んで2つの機体が密着してきて、

ぶつかりあった刃と盾、針と盾とが火花を散らす。

「プラントじゃ体制批判しても……アフリカじゃ擁護かよ。

使いっ走りさせられて、無闇に人の命を奪い……」

『御託並べてんじゃねぇよ!カーン・カーァを殺ったテメェが!』

カトリーナは、もう一方の針をシールドの隙間にねじ込み、

胴体を狙う。しかし、

「……だから、そういうことさ」

片手を曲げた。カトリーナの方じゃない。ギボンに向けた方の腕だ。

半ば凭れるように鎌を振り下ろした敵は、

こちらが手を引くと、ドミノ的に前屈みに体勢を崩す。

だが、それは副産物に過ぎない。

左手を曲げて、半身を後ろに引いた。それは振り上げる為。

上半身の左半分が後ろに引けば、自然と前に出るのは右の下半身。

その勢いに乗せて、空手の前蹴りみたいに、

針と針の隙間から、カトリーナの機体の胸部を蹴り込んだ。

やはりフェイズシフト装甲を採用しているらしく、

蹴ったぐらいじゃ表面には傷はつかない。

ただ、勢いそのものが消えた訳ではないから、

カトリーナの機体は押し出され、

仰け反るように背中側へと飛ばされていく。

「所詮、闘争とは憎悪を生むだけ。力は何かを傷つけるだけ」

右の裏拳をギボンの顔面に見舞ってやった。

「『自由』とか、『正義』とか……そちらこそ、御託は止(よ)せよ。

こんなもん、喜劇にもならねぇ!」

返す刀で、鎌を奪い、カトリーナの方に投げつける。

それと同時、ギボンの腹に左足で、馬のような後ろ蹴りを入れながら。

「……まるで、ドン・キホーテだぜ。アンタ」

《ヴェスティージ》の顔を、一瞬だけ上に向けた。

見下ろすクールカを睨み返すみたいに。

それからすぐに左を向いた。ビームガトリングを押し当てる。

『ドン・キホーテ……か』

ビームシールドは、ギボンも張っていた。

蓋をするように、ガトリングの砲身と接地する形で。

とはいえ、ほとんど無意味で。

車輪のように回り始めたガトリングの砲口は線香花火みたいに、

瞬く間に飛び散った涙滴型のビームが、

顔や肩、また手や足にまで振りかかり、

当たると共にその身を焼き、あるいは貫いた。

ベイゴマみたいに徐々に回転速度を落としていくガトリングが、

その動きを止めるより先に、穴だらけになったギボンの機体が、

力をなくして地面へと落ちていった。

追い討ちする訳じゃないが、まだ回っていたガトリングからは、

なおもビームが排出されていき、

そのいくらかは、ギボンの機体の上へ雨みたいに振りかかった。

『クソ!!』

カトリーナが背後より迫る。

肩口についていたビーム砲が矢のように飛んでくるが、

軌道が直線であるから、回避には苦労しなかった。

瞬時に身を翻し、ビームピックを投げつける。

両腕を覆う殻がこれを弾くが、

その際、咄嗟に手を大きく開いてしまったカトリーナ。

胸元の辺り、守りがお留守になる。

別に見越してたって訳じゃないが、しめたとばかりに、

背中のモビィ・ディックを撃ち込んでやった。

流石に回避動作をカトリーナも取ったが、間に合わず、

首から上が消し飛んだ。

『気取りやがってよォォォ!』

モビィ・ディックの一撃が打ち止めるより先に、

機体を前進させ、カトリーナとの間合いを詰める。

右手でカーテナを抜き取るのも忘れない。

『こんのォォォォ、腐れチ○ポ野郎がァァァァァァ!!!』

何をするかと思ったら、針が飛び出してきた。

正直驚いたさ。目蓋が上がるのを感じるぐらいには。

吹っ飛んできた2本の針が、何を起こすかと思えば、

突然発光したのである。

後に映像で確認したが、ヤツの針の根本には、

手榴弾なんかにある、ピンとよく似た形状のものがあった。

早い話が閃光弾の役割を兼ねていたようである。

『くたばれよォォ!クソがァ!』

カトリーナ機の胸部と肩口にあった計4門のビーム砲が、

閃光に紛れるように一斉に火を吹いた。が、

「そんな子供騙しが、効くかっての……」

上に飛んで回避。

そして、まだビーム垂れ流してるカトリーナ相手に、

なくなった首の部分めがけて、刃を突き立てた。

……ほとんど、ただの体当たりであったが。

とにかく、そのままカトリーナもギボン同様、

地面めがけて落ちていくのだった。

「答えを急ぎ過ぎなんだよ。どいつも……こいつも!」

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