敗れ去った夢の先で   作:一辻梨

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弟のアンケートありがとうございました!

では続きをどうぞ


末の弟

 

 

月明かりが強い日のことだ。

 

窓の外から射し込む月光は夜中にも関わらず廊下を爛々と照らしていた。

 

満月は既に頂点を過ぎて日付は変わり、内心まだか、まだかと待ちかねて一刻一刻が過ぎて行くのを感じていた。

 

 

兄は長期任務で木ノ葉にいない。

父は急用で駆り出されていつ帰るか分からない。

役職があるというのも厄介だと感じていた。

 

 

 

皆が皆、心待ちにしていたはずだがここにいるのはサスケ一人。

今はここ一人で母を待つしかない。

 

 

予定日の前日である夜に産気づいて急ぎ病院に連れて来たがまだ産声は聞こえず、本当ならばフガクが連れて行く手筈だったのだがあいにくと朝に連れ出されて何かあると隣家に頼むといいと言いつけられていたのだが、慌てて自分で連れて来てしまったのだ。

もちろん、病院に行くのは変化して運び込んだのだが。

 

 

 

受付の人には父親と誤解されかけて変化を解いて息子だと説明して3人目だから一人でも大丈夫だと言われて外で待たされている。

 

 

もうすぐ夜明けという空が白み始めた頃、ようやく産声が上がり、元気な泣き声が反響した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして病室に運ばれ、中々泣き止まないサルのような産まれたての赤子がミコトの腕に抱かれていた。

 

 

 

 

「フガクさんは、父さんはまだ来てないのね…」

 

 

「間に合わんかったようだな。

母さんがああやって送り出したから余計にかもしれん」

 

 

二日程休みを取っていたのだが、昨日の昼頃に急な呼び出しで襟足が引っ張られるようにして出て行ったのだ。

 

 

 

 

“大丈夫よ、3人目なのよ?安心して行ってらっしゃい”

 

“…できる限りすぐ戻る。

サスケ、母さんのこと頼んだぞ。何があれば隣の家に頼むといい”

 

 

 

サスケは、はあ…と溜息をついた。

ミコトが赤子をサスケに差し出した。

 

「サスケ、抱っこしてみない?

泣き止まないけれど、あなたみたいにイタチに抱っこされると泣き止むかもしれないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衝撃の事実。

 

 

 

 

兄にあやされていたという記憶はないがどことなく恥ずかしい。いい歳こいたジジイだが、面倒を見てもらっていたとなると顔が上がらないと感じていた。

 

 

 

 

「あなたの弟よ、首はこうして支えてあげてね」

 

 

「ああ、分かっている…」

 

 

 

サスケは恐る恐る産まれたばかりの弟を抱き上げた。

懐かしい、昔はこうして弟たちをあやした。

 

五人兄弟で、

特に末っ子のイズナにはこうやって———

 

 

 

 

 

「……

 

 

…………イズナ」

 

 

 

「ううぅ…ぁう?うー!」

 

 

 

サスケが郷愁の念を抱き、無意識に口からその名前が溢れ出た。

 

抱っこしてから10秒と経たずに泣き止むと笑ってこちらに手を伸ばして来たのだ。

サスケ自身は気付いていないがその名前に反応した。

 

泣き止むのが早いわ!とツッコミをしそうになったが大声で話すと驚いてしまうためにやめてただ静かに見つめ、腕の中にいる赤児はキャキャと笑っている。

 

 

「あらあら、もう名前を付けちゃったの?

いい名前ね。イズナ…確かうちは二大伝説の弟の方ね。

 

名前は後で父さんが付けるって言ってたけれどこの子も嬉しそうだからイズナで決まりね」

 

 

その反応を見たミコトは疲れきった顔に微笑を浮かべて腕を伸ばし、赤ん坊を撫でた。

 

無言でいたつもりが言葉をこぼしていたらしいことに気づき、サスケは罪悪感に苛まれた。

 

 

しかもイズナ、…、

あれほど生前の兄弟に重ねるつもりも無く、

まだ何も知らない新た弟にその名を背負わせてしまうなど…と。

 

 

頭ではどうしようかとぐるぐると思案しながらもあやしているうちに赤ん坊は眠ってしまった。

そこでようやく考えがまとまり、口を開いた。

 

 

 

「母さん、イズナは」

 

 

 

 

丁度口を開いたタイミングでノックと共に扉が開いて看護師とフガクが姿を現した。

 

 

 

「うちはさん、旦那様が来られましたよ」

 

「ミコト!

帰ったら家にいないからまさかとは思っていたが…無事、産まれたのか…?」

 

 

サスケの鼻には微かに血の匂いが届き、その薄さと濃くはないが何か混ざった匂いから匂い消しを行なっているのだけは分かった。

 

 

「ええ、でも…サスケが名前をつけてしまったわ。

 

この子が喜んでね

 

イズナよ、サスケお父さんに見せてあげて。」

 

そんなつもりは、と思って顔を上げフガクの方を見つめるが考える素振りから口を出しを控えた。

 

 

「…、イズナか、悪くない」

 

 

少し拗ねたような間の開き方だったが、すぐに気を取り直して腕の中の息子をを覗いた。

 

 

 

母の言葉に頷いてサスケはイズナを差し出してゆっくりと抱っこしたが、フガクが持つと起きて烈火のごとく泣き出した。

 

 

「サスケそっくりね。

イタチから取り上げた時もこう泣いてたわ」

 

 

ミコトはクスクスと面白おかしそうに笑った。

サスケは慌てて困っている父の腕のイズナに頭を撫で、よびかける。

 

「イズナ、大丈夫だ。

 

お前の父さんだ。怖い人じゃない…」

 

 

「うううううううううぅう…う!」

 

 

呼びかけると撫でている手の親指をギュッと捕まれ、声を落としてサスケの方を見た。

 

生まれたての赤ん坊は白黒にしか見えないはずなのだがしっかりと見つめている。

 

 

じーっと見られて手を離そうとすれば更に泣き声は大きくなる。サスケは既視感を感じ、イズナもこんな感じだったな…と思い起こしていた。

 

 

フガクは溜息をするとサスケにイズナを渡した。

 

するとまたしてもキャキャと嬉しそうにして完全に泣き止んだ。

やはりか、と仕方がないような少しながら落ち込んだような顔をしながら微笑んだ。ミコトもまた、仕方ないように微笑んでいる。

 

 

 

 

「サスケそっくり」「サスケの方がマシだったかもしれんぞ…その上をいきそうだ」

 

 

こんな感じだったのか、俺は!と叫びたい気持ちになって口をぎゅっと噤んだ。

照れ臭いような恥ずかしいような気がしたのだ。

 

 

 

 

生理的笑顔で笑っていたと思われる赤ん坊は産まれてからほとんど泣いていたからか、泣き疲れたのか笑顔のまま眠りについた。サスケは赤児用のべッドに寝かせると、スンと真顔になった。

 

 

眠っているのにコイツ、やばい。

 

そう感じてしまうのはいくら歴戦の忍とはいえ仕方ないだろう。

 

 

 

生まれ持ってチャクラ探知が得意なのかもしれない。

少なくともそういう才能は物心つく前から兆候はある。

単に気配に聡いのか。

 

 

流石にこんな赤ちゃんはやばいと思う、弟だが。

 

 

 

可愛いと思うのだが、早くもブラコンに走っているとはな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや嬉しいが。

 

 

 

 

 

 

 

スヤスヤと眠っているのは普通で、

 

 

 

 

少しばかり変わった赤ん坊だが、悪くない。

 

 

 

 

「早く…大きくなれよ」

 

 

 

頬に手を伸ばし触れるとやはりサスケよりも高い体温で胸が不思議と暖まった。

 

 

 

 

 

 

「また泣いてるわね」「ああ、普段から泣かないがこういうこともあるだろう。いい兄になりそうだ」

 

 

 

 

サスケは目頭が熱くなって目を抑えたが涙が溢れ落ちる。

この歳になると涙腺が弱くなってかなわないと思っていた。

 

多少の情動で涙を流すとは忍として情けない。心なしか感情の振り幅が激しい。

 

 

 

 

“なんてこともない!サスケは人一倍愛情深いからな!”

 

 

 

誰が言ったか愛が重いとか何とか。

 

 

 

友か弟かを選んだ別離で写輪眼、扉間から聞いたらしいが認めたくはないが友愛が深かったのだろうと告げてくれたと嬉々としてナルトは語った。渋々告げたのが眼に浮かぶ。

 

 

 

 

千手において扉間ほどうちはに詳しいものはいないと言われた男だ。その男の兄の言葉だ、信頼できないわけではない。

 

 

 

 

 

 

ただ一番警戒するべき相手なだけだ。

あのイズナに一対一で手傷を負わせたのだ、そこだけは評価している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顔も見たくないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃からというもの、サスケはアカデミーの記憶が曖昧だ。

それは授業中、寝ていたからだ。

母の退院以後、イズナがそばにいなければ愚図るのだ。

修行に時間を使うために影分身で南賀ノ神社近くの森の中で修行をしていた。

 

家に分身を置いて行くのも良かったのたが、なんとセンサーのように察知して大泣きするのだ。

学校の間は理解しているのか機嫌は悪いが分身を置いておけば少しはマシだが、夕方になると分身でいると火が付いたように泣いてしまう。

自分自身で修行できるのは外が暗い早朝などご飯前に限られてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、この年齢で一種の育児ノイローゼになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

それでも寝ていても、当てられればちゃんと答えて教師にチョークを苦無が如く投げられても反応して定規で跳ね返し、教師の顔スレスレで黒板に返していた時には流石サスケ君!とばかり本人の預かり知らぬ所で女子にモテていた。

 

 

モテるのは眉目秀麗なうちはの宿命である。

 

 

 

殆どの授業を寝ていたとしても実技において、常にナルトと張り合う上にペーパーテストにおいて道徳の授業以外は殆ど満点に近い状態だった。

下手な下忍に比べて知識も技術も上回るので相手になるのはナルトだけ。

 

 

 

教師からしても同級生からしてもとっつきにくい付き合いの悪い生徒だっただろう。

 

ナルトも弟がいることを承知しているからこそ、その付き合いの悪くなったことも理解して早朝の修行は付き合ってくれた。

誤算はナルトが話しかけてくることにより、ナルトを普通の同級生として扱ってくれる者達が、ナルトと同じく何度も話掛けてくることだった。

 

 

 

 

「サスケ君よぉ、今日こそは組み手で倒させてくれよ」「それは無理だ。なぜならサスケは手加減などしないからだ。」「クゥン…」「ゔっ…、それはそうだがよぉ」「メンドクセーことに付き合ってられねーよ、サスケもな。オレたちじゃナルトにも及ばねーんだ」「そうそう!サスケ君はクールでカッコよくて強いのよ!」「う〜ん、先生達もこの前負けてたしねぇ、ボクらとやってもほぼ秒殺だし。あ、ポテチ食べる?」

 

 

 

 

 

どうしてこうなった…?子供同士のコミュニケーションは大人のものとは違い、好奇心旺盛で厄介な上に独特の世界観を持っている。

 

元来、血継限界持ちは閉鎖的な性質を持つ人が多くうちはもまた、会話という会話が少ない、寡黙な者が多い。

楽しむことは全力で楽しむが。

 

 

それはともかく、子供というのは中々諦めが悪く、へこたれない。

どうして彼らは付き合いが悪い自分に話し掛けてくるのだろうか。サスケには、分からなかった。

 

 

「まず、お前たちと俺では土俵が違う」

「んだと!」「まあ落ち着け、何故ならサスケは言葉足らずなところがあるからだ」「ケンカ腰にはサスケはならねーだろうよ」

 

 

 

 

「犬塚は忍犬の使い手。体術や近距離での戦闘よりも忍犬並みの嗅覚を持つという一族だ、追跡や探知向きだ。猪突猛進な性格と忍犬を合わせたコンビによる撹乱におけば近接もおいそれと負けんだろう。

油女は蟲使いだ、気付かれずに敵を倒するのには向いているだろうな。体術は不得手だが、冷静沈着ならば近接が得意な者と組んでサポートするのも一手だ」

 

「だ〜!お袋と同じこと言いやがって!

…へぇ、そんな手もあるのか…」「ふむ、一理あるだろう」

 

「サスケ君サスケ君!私は!私はどう!?」

「そう慌てなくとも分かるだろ?」「んー、ボクらは猪鹿蝶で組まされるからねぇ…分かりやすいとおもうんだけど」

 

「山中は確か伝令に向いたモノだと聞いたことがあるが…その気の強さがあれば仲間と連携するのには心強いな。奈良は影使いだ、捕獲や拘束向きでその頭脳なら策を考えれるだろう。秋道は倍加があったな、陽動にも足止めにも向いている。優しいところが目立つが…それは仲間を思えるだろうな」

 

 

クールそうとかナルトが言っていたからそれで来るのだろうと判断して、寡黙な人間だというイメージを覆すべくとりあえず答えると周りはキャイキャイ盛り上がった。

 

クラスでトップ、ナルト以外は追従を許さないクールな人物が遠く及ばないにしてもちゃんと見ていたことに舞い上がり、これ以降も話しかけられるようになった。

 

 

 

 

家族どころか仲間思いではあるのだ、一応。

 

 

 

ただ…、家族の比重が重いだけで。

 

 

 

 

 

 

 

イズナは思いの外、成長が早くハイハイができるようになるとサスケを掴んで離さないようになった。

 

 

 

ようやくというべきなのか、影分身での二重生活はそこで終わった。

 

 

そういえば、昔もイズナが家にいれば必ず引っ付いていた気もする。

とはいえ、アカデミーが終わるまでの間は不機嫌で分身を置いておこうとすれば本人でないと分かるからなのか、より不機嫌になりご飯も食べなくなるので今では急いで帰るのには変わりない。

 

瞬身で家に戻り続けて来たが、流石にそろそろ言葉を理解し始める頃。ただ甘やかしていても良くないのは分かっている。

 

 

今日は日曜日、久しぶりに昼間に修行に行こうと思ったが、イズナが離れない…、

 

 

 

「イズナ、今から修行に行くんだ。離れてくれ」

「いーやー!にぃしゃんいるー!」

 

 

 

まるで子犬が捨てられたように綴ってくる。

 

やめろ、罪悪感がっ!

 

だが、今日こそは兄として甘やかさないと決めた。

これからアカデミーの時間割も長くなる。

 

 

「兄さんなら、イタチ兄さんがいるだろう?」

 

 

「イタチやー!にいしゃんー!」

 

 

 

やー!と言った瞬間、廊下にいたイタチらしき影がガックリとしたような気配がした。

 

 

 

許せ、兄さん。

 

 

イズナは俺に懐いている、、

 

 

 

 

 

 

 

 

「、…、イズナ、いいか?修行はお前にとっては危ないんだ。

 

お前を守るために強くなりたいんだ。だから、行かせてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

「……や!イズナいく!にいしゃんいく!」

 

 

 

 

 

…ん?いるじゃなくて、行く?

 

 

 

「…ダメだ。俺とずっと一緒にはいられないんだ。イズナは家に」

 

 

 

「やー!イズナいくー!」

 

 

 

ダメだ聞かない。

どうしてこうも言葉を理解できているのにこうもわがままなのか。

母さんにはこうではないらしい。

発達は早いがこうも俺にだけは駄々を捏ねるんだろうか…

 

 

 

 

「イズナ」「い・く!」

 

 

 

 

もうすでに一人で歩けるため、縁側から抜け出されてはひとたまりもない。

既に中忍になっているイタチが目を離すわけはないが何しろ何をし出すか分からない子だ。

 

 

 

 

 

 

 

「…全く仕方のない。

 

兄さんが悪かったな。

術の練習をする。

 

一緒に来てもいいが邪魔はするなよ…?」

 

 

「…!

 

…うん!」

 

結局のところ、弟に甘いうちはである。

 

 

この後、うちは地区のため池に行き水の上に立ちながら龍炎放歌によるチャクラコントロールを行い大小様々な龍が舞った。

 

 

 

 

「にぃしゃん!にぃしゃん!」

「こっちに来るなよ!?絶対だぞ!」

 

 

 

 

 

それを人はフラグという。

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛!来るなと言っただろう!?」

 

 

 

 

 

 

「ごめんちゃい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだまだサスケの育児の受難は続く…

 

 

 








アンケートの結果、イズナになりました。イズナって飯綱落としって言う管狐(妖怪)使いからきてるんですね。確かに、マダラの目はイズナの目で九尾を操ったから間違いではない…
マダラってタラのことで、タラの子供は白子…共食いは嫌なのか…
すまん、模様みたいな名前だと思ってました!

アンケートはもちろんのこと、感想、評価などありがとうございます。更新ペース保って頑張ります













〜どうでもいい作者のガチ話〜



一歳の頃って、子供は凄いらしい。記憶は無いけど。

生まれて半年ぐらいの頃、歯も生えていないのに焼き鳥(串なし)を食べていたらしい…

親戚に、8ヶ月で歩いた人もいる。だいたい家の一族では一歳超えない子が8割いた。なんなんだ、この個人差とはいえ成長早いのは。(自分は遅くて、2歳近くにようやく)

ちなみに最初に覚えた(7ヶ月)言葉も中々…

自分「にいしゃん!」

親「「!!??」」

ブラコンかよ!?サスケやイズナとかはそう言いそうだけども!?
おしめや哺乳瓶とかしてもらってたらしいけどさ!(親とか大人がしてくれていたと思ってたら違った)
いい兄さんだとは思う。

後半のイズナは親とか親戚から聞いた一歳の誕生日の頃が元ネタ。いや!とか、やー!とか、いく!とか言ってたらしい。言葉の理解ェ。

一歳行かずに歩くの成長早いと言ったら、お前も大概だったと語られた休暇でした…

世知辛ェよ…
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