殺生丸転生in鬼太郎   作:さくい

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鬼太郎との出会い

 明晰夢、たしか夢をみていてそれを夢だと認識できるのが明晰夢だった筈。

 

 今俺の居る場所は黒い空間。ただ黒いだけじゃなく、白や赤、緑といったものが渦巻いているものや煌々と輝く紅蓮の球体、それに照らされている巨大な岩や図鑑で見た木星や水星みたいなのが存在している。

 

 

 これは夢だ、何故なら宇宙空間を生身で活動することなんて出来ないし、こうして息をして思考を巡らす事なんて無理だからだ。いや、思考を巡らせる事は出来るかもしれないけど息する事なんて出来るわけがない。

 

 なぜなら今の俺はパジャマ姿だからだ。こんな薄着じゃあ宇宙空間に行った瞬間に死ぬだろうがいい加減にしろ!

 

 なんて風に一人寂しくツッコミ擬きをしてると四角いシルエットが2つ俺に向かって飛んで来た。シルエットの速度はゆっくりで、寧ろ焦らすかのようにゆっくりゆっくりとこっちに向かって来ている。

 

 シルエットが来るまで数えて360秒、中々の時間を使って腕を軽く伸ばせば届く所で止まった。シルエットの正体は上の面に穴がある黒い正方形の箱と白いプラカード、一体何なのかとぼーっと見ているとプラカードに字が浮かんできた。

 

 

 “これより始まるのは神々がケイドロをし、その敗者の神から贈られるギフトの譲渡なり

 

 夢を見ることなかれ、すべての結果はその箱の中なり

 

 その箱の中からカードを1枚取れ、そうすれば色が赤・青と2回変わるなり

 

 それぞれ1枚ずつ取り計3枚のカードを手にするがいいさ

 

 さすれば新しき生への扉が開かれるなり”

 

 

 5行の文で“なり”が4つ、この文考えた奴文章能力ねぇな。しかも残り1つが投げやりだし。俺の夢だから、つまりは俺ベース……つまり俺の文章能力はこの程度?

 

 ……まあ、いいか。どうせ夢なんだし楽しんだもん勝ちだ。さて、どんなカードが出てくるのか楽しみ楽しみ。

 

 

 というわけで1回目、黒の箱に手を入れて取ったカードに書かれていたのは“集中力が高まりあまり疲れない”……ふむ、中々に地味で微妙だな。

 

 つまり、やろうと思えば長時間チネリ米を作れるってことだろ?ふと気が付いたら山盛りになってたりするのかもしれない。

 

 

 うし、何時の間にか赤になってる箱から2枚目取るか。カードに書いてあったのは“努力すればある程度報われる”。おお、さすが夢だな。

 

 集中力が高まってあまり疲れず、努力すればある程度身につくとか何それ凄い。

 

 

 最後に青になった箱からカードを取り出す、書いてあるのは“今より器用になる”。……よしっ、これで折り鶴を作れるようになるかもしれん!

 

 今まで折り鶴作ろうとしても可哀想な紙にしかならなかったからなぁ、ある意味これが一番嬉しいかもしれない。

 

 

 とかなんとか思ってる内に、宇宙空間がゆっくりと白くなっていってる。もう終わりかぁと思いながら何かしらの行動を起こすことなくぼけらっとしていると、全部が白く染まって俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやらあの宇宙空間での夢は夢じゃなかったらしい、何故なら目が覚めたら赤ん坊になってたからだ。もしかしたら今の状況も夢なのかもしれないけどそれは否定せざるを得ない、何故ならこの日が来るまでに数10年時間を要したからだ。

 

 まあでも、夢であってほしかった。

 

 

「殺生丸、お前に守るものはあるか」

 

 

 月夜を背にして“俺”にそう問う我が父“闘牙王”。その背から感じるのは焦燥と覚悟。この先の屋敷にいる愛しの十六夜殿の下に行きたいと思っているのは言葉を交わさずとも分かるし、父上は其処で死ぬ気なのだと理解した。否、元々知っていた。

 

 それは此処が前世で漫画やアニメになっていた犬夜叉の世界であり、極め付けに俺は西国を支配している犬の大妖怪の息子の殺生丸としてこの世に生を受けたからだ。

 

 

 殺生丸っていったら犬夜叉が成長する為の踏み台的キャラじゃないですかやぁだぁ〜ってブー垂れてたけど、そこはまぁ時間が解決してくれた。

 

 っていうか子供の頃に母上に『ウジウジしてないで男の子らしくしなさい!!』っていう感じにケツ蹴られてから開き直っただけなんだけどさ。

 

 

「とりあえず父上の亡き後、十六夜殿が死ぬまでは生まれてくる子と共に2人を守ろう」

 

「……すまぬ」

 

 

 その言葉を最後に父上は口を噤んで化け犬に変化し、足早に去って行った。十六夜さん延いては犬夜叉LOVEにも程がある。

 

 原作の印象だと犬夜叉超贔屓な感じだったしなぁ。その愛情の一部でも母上に注いでくれれば拗ねて拗れる事はなかったろうに。

 まあ、とりあえず逞しく育って貰う為に厳しくいこうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後燃え盛る屋敷から脱出した十六夜さんと合流して、俺が作った屋敷に住んでもらった。

 

 犬夜叉がある程度大きくなってからは谷に落としたり滝から落としたり、海に突き飛ばしたり妖怪の群れに放り投げたりしてたらかなり立派に育ってくれた。

 

 ちなみにそんな犬夜叉を十六夜さんは少し困った様な表情で笑っていたり笑ってなかったり、っていうか女性ってのは強いんだと改めて理解させられた。

 

 

 父上が死んでも俺や犬夜叉に涙を見せずに笑顔で生きてたし。まあ誰も居ない時は1人で涙を流してたみたいだけど俺にはどうしようも出来なかった。

 

 父上が亡くなったことで出来た心の傷は誰にも癒せはしない、癒せるとしたらそれは父上だけだ。だから俺が出来ることは十六夜さんと犬夜叉を外敵から守ることだけ、ついでに犬夜叉を鍛えること。

 

 

 ああ、犬化して十六夜さんの横に寄り添ったりはした。彼女は俺の犬の姿が大層お気に召したらしくて、犬状態の俺と居る時は瞳から哀しみがなくなって年頃の少女みたいに顔を埋めたりしてたっけ。

 

 この時にあの世にいるであろう父上に内心で自慢しまくったのは秘密である。

 

 そしてその日の夢に父上が出てきて羨ましいだの何だのと言ってきたのも秘密である。

 

 

 年月が経って十六夜さんが老衰で穏やかに逝った後は犬夜叉を更に鍛えるべく毒華爪で乱舞したり、父上が残した天生牙と鉄砕牙、そしてある日身体が光って出てきた爆砕牙をフルに使っての追いかけっこをしたり、偶々見つけた叢雲牙の封印を解いて悪霊を屈服させてから極龍波を避けさせたりして過ごしてたある日……犬夜叉は衝撃的なことを宣った。

 

 

「俺、好きな奴できた」

 

 

 それを聞いた俺はビックリしすぎて思わず作っていたチネリ米を握り潰した。

 

 犬夜叉の好きな人、名は“桔梗”というらしくとある村の巫女をやってるらしい。その女性がどういった人物なのかを調べる為に村をうろちょろしてたら破魔の矢をブチ込まれた。

 

 その後何やかんやで桔梗と仲良くなって恋愛相談とかに乗ってたら、気付いたら犬夜叉が桔梗との恋を諦めかけていた。

 

 

 あ、やっちゃった? とか思ったけど、関係性としては弟に恋している女の子の相談に乗るただの兄貴である。

 

 だからそこんところを犬夜叉に説明して桔梗と犬夜叉を引き合わせてから、後少しで付き合いそうってところで横槍が入った。

 

 

 野党の鬼蜘蛛だかミイラ男だかが、桔梗に恋して桔梗を手に入れる為に妖怪に自らの身を差し出した結果新しい存在になり桔梗と犬夜叉を殺そうとした。

 

 そう、あくまで殺そうとしただけで桔梗の危機を察知して駆けつけた犬夜叉の龍鱗の鉄砕牙からの冥道斬月波のコンボで消滅させられてたけど。

 

 そして2人は更に愛を深め、犬夜叉は四魂の玉を使って人間に成り2人は幸せに暮らした。

 

 

 この時に犬夜叉に渡していた鉄砕牙は、犬夜叉本人が妖怪としての力を失い使えなくなったことで何故か俺の手に。

 

 あれ、原作じゃあ強力な結界張ってなかったっけとか思ったけど、そういや犬夜叉に渡すまでバカスカ使ってたのを思い出した。

 

 

 多分原作の殺生丸みたいに覇道を目指さないでチネリ米を作ったり、人に理解を示してたりしてたのが大きかったんだと思う。

 

 ていうか前世は人間だし理解も何もないんだけどな!

 

 

 ということで気付いたら父と弟を亡くしてた俺は、少しの間母上の所に行って存分に家族の温もりを補充した。

 

 ちなみに、母上に素直に寂しいって言ったら普段のシニカルな面が完膚無きまでに掻き消えてデレデレ笑顔で抱きついてきて甘やかされた。

 

 

 

 暫くの間母上の屋敷で過ごしていると何時の間にか平成に突入していた。

 前世でお世話になったスマホとか娯楽を求めて下界に降りてみた。

 

 

 その結果、鬼太郎とかいう小僧に髪の毛を飛ばされたり、黄色と黒の縞模様のちゃんちゃんこを拳に巻きつけて殴り掛かられたり、下駄で蹴りつけられたりという嫌がらせを受けた。

 

 髪の毛針! とか、霊毛ちゃんちゃんこ! とか、リモコン下駄! とか、お前ふざけてんのかと言いたくなるような技のラインナップである。

 

 しかもその子を離せと言いつつその子を抱えている俺に攻撃するとかどういう神経してんだよ。

 

 

 そう思いつつ腕の中の気を失っている女の子に視線を移す。

 ……うん、可愛い。

 

 




鬼太郎との出会いとか書いといて鬼太郎出るのが後半の少しという体たらく(愕然)。
ま、まあ、プロローグ回という事で(白目)。
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